177 / 316
女王4
しおりを挟む
「女王死んでから、魔導院ばたばたしてるよー。何か分からないけど、ばたばた、ばたばた。おじいちゃんも、嬉しそうにしてるしさ。そろそろ始めるんじゃないの?」
「そうね…」
婚姻式はさすがにまだ予定されていない。だが、それは間違いなく行われることだ。
「始まりに気付いたら、あなたたちは王女の棟に移動しなさい。戦闘に加わることなく、逃げることを念頭において待機すること。あなたたちが狙われることはないでしょう」
フィルリーネが言うと、ヘライーヌとオゼが顔を見合わせた。
「姫さんは?」
「私は戦闘に立つわよ。王女の棟は警備も緩いから、混乱している間さらに緩む。だから大丈夫よ。気にせず入りなさい」
「それって、どうかと思うんだけど」
「この国の王女はそんな扱いよ」
言い切ると、オゼは困惑の表情をしながら何か口にすべきかと口元をぱくぱくさせた。この国が王女をどう扱っているのか、事実を知らないのだろう。それを言えばミュライレンとコニアサスも同じだ。
ただ、あちらはコニアサスを次期王として守る兵士たちがいる。フィルリーネと違って忠臣も多いので、警備はしっかりやってくれる。
婚姻式に参列するかと思っていたが、王は二人を城に残すことにした。戦いに紛れて何か起きるのではと不安にもならないらしい。第二夫人も王子も、フィルリーネと扱いが同じなのだ。
ルヴィアーレのところは逆に危険だ。部下を残していけば襲われる。荷物なども荒らされるかもしれない。婚姻式に出発する前に別の場所へ逃さなければならなかった。その辺りは早めの相談が必要である。
「戦闘が始まったら、関わりのない者たちをできるだけ安全な道に誘導してちょうだい。城は荒れる。巻き込まれないようにね」
「…し、承知しました」
「分かったよ、姫さん」
オゼの緊張した面持ちと、何かを企むような顔をしたヘライーヌに不安を覚えたが、その時には戦いに巻き込まれることなく逃げてほしいものである。
城に非戦闘員は意外に多い。皆が皆、魔導を持っているわけではなく、武よりの者たちではない。経理や法務などを行う者にその傾向がある。学生の頃は文武を学んでも働き始めたら机に齧り付いている者は多いのだ。
そして一番の心配は、政務や警備を行う者たちではなく、清掃員や料理人、航空艇や城内の整備士など、貴族ではない一般市民の城で働く者たちである。
非戦闘員たちの逃げ場が少ないわけではない。ただ円滑に彼らを逃すことができるのかに不安が残る。戦闘になれば警備騎士たちも参戦し、彼らを誘導できる人員を確保できるか分からない。
考えることは山積みだ。
とりあえずルヴィアーレにその話をすると、いくらか不思議そうにこちらを見て目を瞬かせ、扉の前で待機するサラディカに顔を向けた。
「フィルリーネ姫がご心配されることはございません。こちらの者たちは戦闘が可能です。邪魔になるような者は連れてはおりませんので、お気になさらないでください」
やはり全員戦闘員か。それならば安心だが、婚姻式に出発すればすぐに城に残ったルヴィアーレの部下を殺しに行くだろう。それを避けるのは人数によって難しいかもしれない。一人も犠牲を出さないためには、襲撃をかわす必要もあった。
「念の為、転移陣でも作っておいて、私の棟に移動させておいてもいいのよ。植物園に転移陣を置いておけば誰にも気付かれないし、少人数で戦う危険は避けた方がいいんだから」
せめて場所を移動しておけば、襲撃から一度は逃れられる。そこから戦闘に加わればいいだけなので、できれば移動していただきたい。
「と、言うよりね。あなた方には私の棟で待機してもらいたいのよ。できればずっとそこに。婚姻式中私の棟に入り込むなど、思うわけないから、誰も襲撃になど来ないでしょうし。来たとしても私の部屋であれば誰も入り込めないから」
「我々に戦闘を行うなと?」
ルヴィアーレは眉を傾げた。自分たちも戦いに混じり、その混乱に生じて王を討とうとでも思っているかもしれない。だがこちらとしてはラータニアの人間には無傷でいてもらわなければ困るのだ。
「無事お返しするって、シエラフィア様にもお伝えしてあるから、私に約束を違えさせないでちょうだいな。城のあちこちが壊れるのに、王弟とその部下たちの補償出すの大変なのよね」
「そんな心配か?」
当然である。今後ラータニアへの補償を長く払わなければならなくなると思うと、胃がキリキリ痛むようだ。できるだけ何もなくお帰りいただいて、慰謝料は少なめにするに越したことはない。
フィルリーネが堂々とそう言うと、ルヴィアーレは顔を曇らせる。動くなと言われてそう簡単にできるかと表情に出してきた。
「切実なお願いよ。小型艇を用意しておくから、戦いに乗じてラータニアに戻ってちょうだい。シエラフィア様に国を跨ぐ許可はいただいている。攻撃のされない道を通り、ラータニアへ帰ってもらうわ」
ただ城が混乱している間は危険だ。変に小型艇で脱出すると、敵味方なく撃ち落とされる可能性がある。それは否めないため、ある程度治めるまでは待機してもらいたい。
「精霊の配置換えが行われてしまったから、ラータニアの精霊は力を貸してくれないけれど、この国にいる間は精霊たちが手を貸してくれる。無事にラータニアへ戻れるよう手伝ってくれるでしょう」
ラータニアへの襲撃は斥候が多い。その邪魔の用意はしているが、万が一ラータニア襲撃が始まれば、ルヴィアーレはラータニアで戦いたいだろう。移動できるための方法はいくつか考えている。
「君はその間城で戦う気か?」
「当然でしょ? 私が立たずに誰が立つのよ」
王はイムレスやガルネーゼを王族への反意ありとして捕らえるだろう。捕らえる体で殺すつもりだ。反意の証拠などどうとでもでっち上げられる。しかし、王の弟を殺した罪を償わせるために王女が立てば、一応は体裁が保たれるのだ。それについてくるかはともかく。
ルヴィアーレは何故か不機嫌に表情を曇らせたままだ。活躍できる場がなくなって申し訳ないが、ラータニアの者たちに活躍されても困るのである。面倒なのよ。色々。ただでさえ面倒なのに、怪我をされても活躍されてももっと面倒になっちゃうでしょ。
「そう言うわけで、転移陣をこの部屋にでも作っておいて。また話しましょう。ところで、長くサラディカがこの部屋にいて変に思われないの?」
夜中を過ぎたこの時間、フィルリーネはルヴィアーレの寝室に入り込んでいた。ルヴィアーレを移動するより、こちらが移動した方が楽なのだ。メロニオルから良くルヴィアーレの部屋にサラディカたちが集まっているのは耳にしている。夜中情報共有をしているのだろうし、サラディカだけルヴィアーレの部屋にいれば、あのイアーナが何かと気にするのではないかと思うのだ。
そうであろう。ルヴィアーレは軽く咳払いをした。さすがに寝室にルヴィアーレと二人きりはまずいので、サラディカがちゃんと待機してくれていた。しかし、イアーナと言う扱いが困る子がいることも忘れていない。
「イアーナに話すのは、もう少し待った方がいいでしょうから、今日のところは退散するわ。脱出経路についてはまた伝えるわね」
ルヴィアーレは納得していなそうな顔をしていたが、そこは見ないふりをした。
婚姻式の前に行わねばならない山積みのこと。それは女王の亡くなった今、早急に行わねばならないことだった。
「そうね…」
婚姻式はさすがにまだ予定されていない。だが、それは間違いなく行われることだ。
「始まりに気付いたら、あなたたちは王女の棟に移動しなさい。戦闘に加わることなく、逃げることを念頭において待機すること。あなたたちが狙われることはないでしょう」
フィルリーネが言うと、ヘライーヌとオゼが顔を見合わせた。
「姫さんは?」
「私は戦闘に立つわよ。王女の棟は警備も緩いから、混乱している間さらに緩む。だから大丈夫よ。気にせず入りなさい」
「それって、どうかと思うんだけど」
「この国の王女はそんな扱いよ」
言い切ると、オゼは困惑の表情をしながら何か口にすべきかと口元をぱくぱくさせた。この国が王女をどう扱っているのか、事実を知らないのだろう。それを言えばミュライレンとコニアサスも同じだ。
ただ、あちらはコニアサスを次期王として守る兵士たちがいる。フィルリーネと違って忠臣も多いので、警備はしっかりやってくれる。
婚姻式に参列するかと思っていたが、王は二人を城に残すことにした。戦いに紛れて何か起きるのではと不安にもならないらしい。第二夫人も王子も、フィルリーネと扱いが同じなのだ。
ルヴィアーレのところは逆に危険だ。部下を残していけば襲われる。荷物なども荒らされるかもしれない。婚姻式に出発する前に別の場所へ逃さなければならなかった。その辺りは早めの相談が必要である。
「戦闘が始まったら、関わりのない者たちをできるだけ安全な道に誘導してちょうだい。城は荒れる。巻き込まれないようにね」
「…し、承知しました」
「分かったよ、姫さん」
オゼの緊張した面持ちと、何かを企むような顔をしたヘライーヌに不安を覚えたが、その時には戦いに巻き込まれることなく逃げてほしいものである。
城に非戦闘員は意外に多い。皆が皆、魔導を持っているわけではなく、武よりの者たちではない。経理や法務などを行う者にその傾向がある。学生の頃は文武を学んでも働き始めたら机に齧り付いている者は多いのだ。
そして一番の心配は、政務や警備を行う者たちではなく、清掃員や料理人、航空艇や城内の整備士など、貴族ではない一般市民の城で働く者たちである。
非戦闘員たちの逃げ場が少ないわけではない。ただ円滑に彼らを逃すことができるのかに不安が残る。戦闘になれば警備騎士たちも参戦し、彼らを誘導できる人員を確保できるか分からない。
考えることは山積みだ。
とりあえずルヴィアーレにその話をすると、いくらか不思議そうにこちらを見て目を瞬かせ、扉の前で待機するサラディカに顔を向けた。
「フィルリーネ姫がご心配されることはございません。こちらの者たちは戦闘が可能です。邪魔になるような者は連れてはおりませんので、お気になさらないでください」
やはり全員戦闘員か。それならば安心だが、婚姻式に出発すればすぐに城に残ったルヴィアーレの部下を殺しに行くだろう。それを避けるのは人数によって難しいかもしれない。一人も犠牲を出さないためには、襲撃をかわす必要もあった。
「念の為、転移陣でも作っておいて、私の棟に移動させておいてもいいのよ。植物園に転移陣を置いておけば誰にも気付かれないし、少人数で戦う危険は避けた方がいいんだから」
せめて場所を移動しておけば、襲撃から一度は逃れられる。そこから戦闘に加わればいいだけなので、できれば移動していただきたい。
「と、言うよりね。あなた方には私の棟で待機してもらいたいのよ。できればずっとそこに。婚姻式中私の棟に入り込むなど、思うわけないから、誰も襲撃になど来ないでしょうし。来たとしても私の部屋であれば誰も入り込めないから」
「我々に戦闘を行うなと?」
ルヴィアーレは眉を傾げた。自分たちも戦いに混じり、その混乱に生じて王を討とうとでも思っているかもしれない。だがこちらとしてはラータニアの人間には無傷でいてもらわなければ困るのだ。
「無事お返しするって、シエラフィア様にもお伝えしてあるから、私に約束を違えさせないでちょうだいな。城のあちこちが壊れるのに、王弟とその部下たちの補償出すの大変なのよね」
「そんな心配か?」
当然である。今後ラータニアへの補償を長く払わなければならなくなると思うと、胃がキリキリ痛むようだ。できるだけ何もなくお帰りいただいて、慰謝料は少なめにするに越したことはない。
フィルリーネが堂々とそう言うと、ルヴィアーレは顔を曇らせる。動くなと言われてそう簡単にできるかと表情に出してきた。
「切実なお願いよ。小型艇を用意しておくから、戦いに乗じてラータニアに戻ってちょうだい。シエラフィア様に国を跨ぐ許可はいただいている。攻撃のされない道を通り、ラータニアへ帰ってもらうわ」
ただ城が混乱している間は危険だ。変に小型艇で脱出すると、敵味方なく撃ち落とされる可能性がある。それは否めないため、ある程度治めるまでは待機してもらいたい。
「精霊の配置換えが行われてしまったから、ラータニアの精霊は力を貸してくれないけれど、この国にいる間は精霊たちが手を貸してくれる。無事にラータニアへ戻れるよう手伝ってくれるでしょう」
ラータニアへの襲撃は斥候が多い。その邪魔の用意はしているが、万が一ラータニア襲撃が始まれば、ルヴィアーレはラータニアで戦いたいだろう。移動できるための方法はいくつか考えている。
「君はその間城で戦う気か?」
「当然でしょ? 私が立たずに誰が立つのよ」
王はイムレスやガルネーゼを王族への反意ありとして捕らえるだろう。捕らえる体で殺すつもりだ。反意の証拠などどうとでもでっち上げられる。しかし、王の弟を殺した罪を償わせるために王女が立てば、一応は体裁が保たれるのだ。それについてくるかはともかく。
ルヴィアーレは何故か不機嫌に表情を曇らせたままだ。活躍できる場がなくなって申し訳ないが、ラータニアの者たちに活躍されても困るのである。面倒なのよ。色々。ただでさえ面倒なのに、怪我をされても活躍されてももっと面倒になっちゃうでしょ。
「そう言うわけで、転移陣をこの部屋にでも作っておいて。また話しましょう。ところで、長くサラディカがこの部屋にいて変に思われないの?」
夜中を過ぎたこの時間、フィルリーネはルヴィアーレの寝室に入り込んでいた。ルヴィアーレを移動するより、こちらが移動した方が楽なのだ。メロニオルから良くルヴィアーレの部屋にサラディカたちが集まっているのは耳にしている。夜中情報共有をしているのだろうし、サラディカだけルヴィアーレの部屋にいれば、あのイアーナが何かと気にするのではないかと思うのだ。
そうであろう。ルヴィアーレは軽く咳払いをした。さすがに寝室にルヴィアーレと二人きりはまずいので、サラディカがちゃんと待機してくれていた。しかし、イアーナと言う扱いが困る子がいることも忘れていない。
「イアーナに話すのは、もう少し待った方がいいでしょうから、今日のところは退散するわ。脱出経路についてはまた伝えるわね」
ルヴィアーレは納得していなそうな顔をしていたが、そこは見ないふりをした。
婚姻式の前に行わねばならない山積みのこと。それは女王の亡くなった今、早急に行わねばならないことだった。
14
お気に入りに追加
191
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい
宇水涼麻
恋愛
ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。
「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」
呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。
王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。
その意味することとは?
慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?
なぜこのような状況になったのだろうか?
ご指摘いただき一部変更いたしました。
みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。
今後ともよろしくお願いします。
たくさんのお気に入り嬉しいです!
大変励みになります。
ありがとうございます。
おかげさまで160万pt達成!
↓これよりネタバレあらすじ
第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。
親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。
ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる