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砦3
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「お二人はどこから入ったんですか?」
「私たちは一階の窓からお邪魔しましたよ」
「では、戻る時気を付けて下さい。彼らがまだいないとも限りませんから」
自分はまだ調べることがあると暗に言って、シェラたちにはさっさと帰れと意味を含ませた。シェラは一瞬言葉を止めたが、すぐににこりと笑顔を返す。
「分かりました。フィリィさんも気を付けて下さいね。また町で会いましょう。ただ一つだけ」
笑顔のまま、シェラはするりと手を伸ばした。一瞬剣に手を伸ばしかけたが、仄かな暖かさを頰に感じて、フィリィはシェラの水色の瞳を仰いだ。
「先ほどのモストフの攻撃で頰を傷付けてしまったようです」
頰に掠った傷は軽く傷んだ程度だったが、顔に血が付いていたようだ。それを拭うようにシェラは魔導で傷を癒した。
「…ありがとうございます」
頰にあった傷は消えたのだろう。傷を癒す力も中々高等な力だが、シェラができても不思議に思わない。しかし、王の手でこれほどの魔導持ちならば耳に入ると思うのだが、地方の貴族となると何とも言えなかった。やはり反王派なのだろうか。
シェラとモストフは元来た道を戻っていった。彼らがこの砦にどうやって来たのか。小型艇を持っているのか、それとも転移魔法陣を使うほどの力があるのか。
しばらくして彼らの移動を確認したエレディナが戻ってきた。帰るふりをしてその辺りにいては困る。
『転移してったわ。町に戻ったのかもね。宿から移動されたら跡を付けるのは無理だわ』
そうだよね。リンカーネの仲間がシェラたちを追っても、宿の部屋から転移されたらどうしようもできない。
やはり小型艇に乗ってきたわけではなかったか。転移の力も相当な魔導が必要だが、シェラは問題なく使えるのだろう。
「まあ、只者じゃないよね」
シェラたちと戻るとどうやって来たのか問われるだろう。それは面倒なので先に帰るようにさせたが、相手も同じことを考えたかもしれない。二人は素直に戻っていった。
『何か調べるの?』
「木札が気になってねー」
フィリィは空になった檻がまとまっている方へ歩む。結構な数が端に寄せられており、木札は付いたままだったりそうでなかったりしている。
『何が気になるのよ』
「強い魔獣を探すのに番号なんていらないでしょう。そのまま戦わせて残ったものが強いんだから」
『それもそうね。ってことは、番号が必要になるようなことをしてるってこと?』
「番号を見た感じ、残っている番号が同じなのが多いのよね。何か投与でもして番号をつけてるのかなって」
ラグアルガの谷にいた魔獣のように、巨大化する薬でも使って実験をしているのだろうか。しかしラグアルガの谷にいた魔獣は既に巨大化し、実験は終わっているように思える。あれは成功例だろう。
では、ここにいる魔獣たちは?
「その辺の魔獣と変わりない気がするんだよね。それにしても大人しい」
『確かに。食事し終えたからって、随分呑気に寝てるんじゃない?』
近寄れば大抵噛み付いてくるものだが、すやすやと眠っている魔獣ばかりだ。睡眠薬でも飲ませたのだろうか。
「何だろうな。これだけ大人しかったら動かすのは楽だろうけど、でもさっきまで殺気立ってたよね」
『まあね。自然にいる魔獣が人に慣れるとは思わないし』
「人に慣れる、か。それはやだなあ」
魔獣を飼う者がいないといったら嘘になる。小型のそこまで強力でない魔獣を趣味で飼う貴族はいた。人を食べるような魔獣でなく、小動物を食らう比較的大人しい種類だ。
それでも言うことをきくわけではない。お腹が空けば噛み付いてくるし、気が立っていれば引っ掻かれもする。
『でも、静かだわ。薬でももってるのかしらね』
しかし男たちは荷物などを持っていなかった。薬などがあるならば、その辺りに荷物を収納していないだろうか。
フィリィが魔獣から離れると、少しだけ生臭さが消えたのを感じた。何匹もの魔獣を殺し合わせたのか分からないが、生臭さが服までこびりつきそうだ。
『ねえ、さっきから甘い匂いもしない?』
エレディナの声に顔を上げる。エレディナが姿を現して宙を移動した。
「私も思ったけど、どこから匂うんだろうね。血生臭くて分かりづらいけど、入り口付近では甘い匂いはしてた」
甘い匂いか。呟いてフィリィは周囲を見回した。広間には檻と魔獣しか見当たらない。匂いのする物は特にないようだが。
「エレディナ、上の方とか匂う?」
「そうね。地面より上の方が匂いはあるかも」
フィリィは唸りながら松明の方を見遣った。広間の壁に引っ掛かっている松明は燃やしっぱなしだ。地下の岩場を利用した部屋のため燃えることはないだろうが、それにしても不用心だ。
「ねえ、薪の他に何か燃えてたりしない? 香草とか香木とか」
「睡眠剤が入ったもの燃やしてたら、自分たちも眠くならない?」
魔獣の方が匂いに敏感なので、早く効力があるかもしれないが、確かに人間にも影響はあるだろう。フィリィはすぐに首元の布を口に覆った。
「ああ、これかしら。ちょっと待って」
エレディナは松明を氷で凍らせると、細長い枝のようなものを取り出した。
手渡された枝は自然の枝ではない。何かを固めているようだ。鼻を近付けてみると甘い匂いがした。
「調べてもらった方がいいわね」
「何かの薬を燃やしてたってこと? 魔獣を大人しくさせる匂いは初めて聞くわ」
魔獣に薬を投与して大人しくさせることはできる。麻酔銃があるためそれは可能だ。しかし、何かを燃やして大人しくさせる薬は聞いたことがない。
「大人しくさせるくらいならいいけど…」
「イムレスに渡して調べてもらった方がいいってことね」
フィリィは頷いてハンカチにそれを包んで鞄の中に入れた。ヘライーヌが食いつきそうな薬だ。
「どこに行っていた?」
リンカーネに砦であったことを伝えて、シェラたちが魔導院の魔導士並みの力を持つ者で身分を調べてほしいとお願いし、城に戻ったら、小姑が部屋にいた。
ルヴィアーレは当たり前のように人の部屋におり、勝手に本棚から魔導書を取り出してソファーで背筋を伸ばしながら本を読んでいた。戻った途端、ぎろりと睨み付けてくる。
「お外にお出掛けですが。武道会楽しかった?」
「大荒れだ。魔獣が暴れて観客に襲い掛かった」
「観客なの?」
フィルリーネの言葉にルヴィアーレは微かに眉を上げる。そこに貴族がいた可能性はないか、もしくは商人がいた可能性はないか問うているのだ。ルヴィアーレ関連の。
「こちらに被害はない」
「そっか…」
警備騎士が動いているのでそこにいたロジェーニたちが調べるだろう。民間の大会で王が動くとは思わなかったが、また狙われた者がいたのだろうか。
「そっちには来なかったの?」
「こちらはない」
「ふうん。まあ、襲ったりしないか」
その言葉にぴくりと眉を動かす。婚姻前にルヴィアーレは狙わないだろう。それはルヴィアーレも思っているはずだ。ただ本来なら王族が出席しない大会にルヴィアーレが出席したので、王が何か考えたかもしれない。
「魔獣って、どんなだった? 普通?」
「…普通だろうが、よく暴れまわったな。突然だった」
「大人しかったのに?」
「何が言いたい」
今まさに大人しくなった魔獣を見てきたわけだが、まさか早速そんな動きをしたのか、考えるところだ。だとしたら今持っているこの薬を、すぐに分析してもらわなければならない。
「さすがに今回はヘライーヌの実験ではないと思うわ」
「何か心当たりがあるのか?」
ルヴィアーレの目が光った気がする。まだ何とも言えないので、全ては言うまい。睨まれても言わない。
「警備騎士に調べてもらう。もう調べてるだろうけど」
しかし武道大会か。そんな場所で何か起こるとは想定していなかった。狙った者がいたのだろうが、全く情報がなかった。
「警備騎士の女性、ロジェーニと言ったか。良い腕だな」
ルヴィアーレがぽそりと呟く。魔獣が暴れ出した時、素早く対処したのはロジェーニだったらしい。倒した途端周囲の鎮静に勤め、ルヴィアーレの無事を確認したとか。
さすがロジェーニ、できる女!
「第三部隊隊長だからね。彼女に憧れて警備騎士を目指す女性も多いのよ。警備騎士になる女性も増えてきたわ」
街を歩いてる姿に憧れる女子も多いほどだ。ロジェーニは女性の憧れなのである。憧れるよ。素敵だもん。かっこいい。ロジェーニ!
ロジェーニの活躍は嬉しいが、しかしロジェーニ自体は悔やんでいるだろう。警備中の事故とは言え犠牲が出た。魔獣が使用される際に暴れるかどうかの想定はあっただろうが、防ぎ切れなかったのだ。今頃原因を探しているに違いない。後で話を聞きに行こう。
あの場所にいたのは第一から第三部隊までの警備騎士だ。ニュアオーマは統括局長だが、直接警備の任につくわけではない。
今回の責任を追求するならば、第一から第三部隊の隊長になる。第一部隊の隊長は王の手であるサファウェイがいる。第一部隊がいるならば、関わっている可能性もあった。
「早めに状況聞きに言った方がいいかもな…」
呟いた言葉にルヴィアーレは無表情でこちらを見つめた。
「私たちは一階の窓からお邪魔しましたよ」
「では、戻る時気を付けて下さい。彼らがまだいないとも限りませんから」
自分はまだ調べることがあると暗に言って、シェラたちにはさっさと帰れと意味を含ませた。シェラは一瞬言葉を止めたが、すぐににこりと笑顔を返す。
「分かりました。フィリィさんも気を付けて下さいね。また町で会いましょう。ただ一つだけ」
笑顔のまま、シェラはするりと手を伸ばした。一瞬剣に手を伸ばしかけたが、仄かな暖かさを頰に感じて、フィリィはシェラの水色の瞳を仰いだ。
「先ほどのモストフの攻撃で頰を傷付けてしまったようです」
頰に掠った傷は軽く傷んだ程度だったが、顔に血が付いていたようだ。それを拭うようにシェラは魔導で傷を癒した。
「…ありがとうございます」
頰にあった傷は消えたのだろう。傷を癒す力も中々高等な力だが、シェラができても不思議に思わない。しかし、王の手でこれほどの魔導持ちならば耳に入ると思うのだが、地方の貴族となると何とも言えなかった。やはり反王派なのだろうか。
シェラとモストフは元来た道を戻っていった。彼らがこの砦にどうやって来たのか。小型艇を持っているのか、それとも転移魔法陣を使うほどの力があるのか。
しばらくして彼らの移動を確認したエレディナが戻ってきた。帰るふりをしてその辺りにいては困る。
『転移してったわ。町に戻ったのかもね。宿から移動されたら跡を付けるのは無理だわ』
そうだよね。リンカーネの仲間がシェラたちを追っても、宿の部屋から転移されたらどうしようもできない。
やはり小型艇に乗ってきたわけではなかったか。転移の力も相当な魔導が必要だが、シェラは問題なく使えるのだろう。
「まあ、只者じゃないよね」
シェラたちと戻るとどうやって来たのか問われるだろう。それは面倒なので先に帰るようにさせたが、相手も同じことを考えたかもしれない。二人は素直に戻っていった。
『何か調べるの?』
「木札が気になってねー」
フィリィは空になった檻がまとまっている方へ歩む。結構な数が端に寄せられており、木札は付いたままだったりそうでなかったりしている。
『何が気になるのよ』
「強い魔獣を探すのに番号なんていらないでしょう。そのまま戦わせて残ったものが強いんだから」
『それもそうね。ってことは、番号が必要になるようなことをしてるってこと?』
「番号を見た感じ、残っている番号が同じなのが多いのよね。何か投与でもして番号をつけてるのかなって」
ラグアルガの谷にいた魔獣のように、巨大化する薬でも使って実験をしているのだろうか。しかしラグアルガの谷にいた魔獣は既に巨大化し、実験は終わっているように思える。あれは成功例だろう。
では、ここにいる魔獣たちは?
「その辺の魔獣と変わりない気がするんだよね。それにしても大人しい」
『確かに。食事し終えたからって、随分呑気に寝てるんじゃない?』
近寄れば大抵噛み付いてくるものだが、すやすやと眠っている魔獣ばかりだ。睡眠薬でも飲ませたのだろうか。
「何だろうな。これだけ大人しかったら動かすのは楽だろうけど、でもさっきまで殺気立ってたよね」
『まあね。自然にいる魔獣が人に慣れるとは思わないし』
「人に慣れる、か。それはやだなあ」
魔獣を飼う者がいないといったら嘘になる。小型のそこまで強力でない魔獣を趣味で飼う貴族はいた。人を食べるような魔獣でなく、小動物を食らう比較的大人しい種類だ。
それでも言うことをきくわけではない。お腹が空けば噛み付いてくるし、気が立っていれば引っ掻かれもする。
『でも、静かだわ。薬でももってるのかしらね』
しかし男たちは荷物などを持っていなかった。薬などがあるならば、その辺りに荷物を収納していないだろうか。
フィリィが魔獣から離れると、少しだけ生臭さが消えたのを感じた。何匹もの魔獣を殺し合わせたのか分からないが、生臭さが服までこびりつきそうだ。
『ねえ、さっきから甘い匂いもしない?』
エレディナの声に顔を上げる。エレディナが姿を現して宙を移動した。
「私も思ったけど、どこから匂うんだろうね。血生臭くて分かりづらいけど、入り口付近では甘い匂いはしてた」
甘い匂いか。呟いてフィリィは周囲を見回した。広間には檻と魔獣しか見当たらない。匂いのする物は特にないようだが。
「エレディナ、上の方とか匂う?」
「そうね。地面より上の方が匂いはあるかも」
フィリィは唸りながら松明の方を見遣った。広間の壁に引っ掛かっている松明は燃やしっぱなしだ。地下の岩場を利用した部屋のため燃えることはないだろうが、それにしても不用心だ。
「ねえ、薪の他に何か燃えてたりしない? 香草とか香木とか」
「睡眠剤が入ったもの燃やしてたら、自分たちも眠くならない?」
魔獣の方が匂いに敏感なので、早く効力があるかもしれないが、確かに人間にも影響はあるだろう。フィリィはすぐに首元の布を口に覆った。
「ああ、これかしら。ちょっと待って」
エレディナは松明を氷で凍らせると、細長い枝のようなものを取り出した。
手渡された枝は自然の枝ではない。何かを固めているようだ。鼻を近付けてみると甘い匂いがした。
「調べてもらった方がいいわね」
「何かの薬を燃やしてたってこと? 魔獣を大人しくさせる匂いは初めて聞くわ」
魔獣に薬を投与して大人しくさせることはできる。麻酔銃があるためそれは可能だ。しかし、何かを燃やして大人しくさせる薬は聞いたことがない。
「大人しくさせるくらいならいいけど…」
「イムレスに渡して調べてもらった方がいいってことね」
フィリィは頷いてハンカチにそれを包んで鞄の中に入れた。ヘライーヌが食いつきそうな薬だ。
「どこに行っていた?」
リンカーネに砦であったことを伝えて、シェラたちが魔導院の魔導士並みの力を持つ者で身分を調べてほしいとお願いし、城に戻ったら、小姑が部屋にいた。
ルヴィアーレは当たり前のように人の部屋におり、勝手に本棚から魔導書を取り出してソファーで背筋を伸ばしながら本を読んでいた。戻った途端、ぎろりと睨み付けてくる。
「お外にお出掛けですが。武道会楽しかった?」
「大荒れだ。魔獣が暴れて観客に襲い掛かった」
「観客なの?」
フィルリーネの言葉にルヴィアーレは微かに眉を上げる。そこに貴族がいた可能性はないか、もしくは商人がいた可能性はないか問うているのだ。ルヴィアーレ関連の。
「こちらに被害はない」
「そっか…」
警備騎士が動いているのでそこにいたロジェーニたちが調べるだろう。民間の大会で王が動くとは思わなかったが、また狙われた者がいたのだろうか。
「そっちには来なかったの?」
「こちらはない」
「ふうん。まあ、襲ったりしないか」
その言葉にぴくりと眉を動かす。婚姻前にルヴィアーレは狙わないだろう。それはルヴィアーレも思っているはずだ。ただ本来なら王族が出席しない大会にルヴィアーレが出席したので、王が何か考えたかもしれない。
「魔獣って、どんなだった? 普通?」
「…普通だろうが、よく暴れまわったな。突然だった」
「大人しかったのに?」
「何が言いたい」
今まさに大人しくなった魔獣を見てきたわけだが、まさか早速そんな動きをしたのか、考えるところだ。だとしたら今持っているこの薬を、すぐに分析してもらわなければならない。
「さすがに今回はヘライーヌの実験ではないと思うわ」
「何か心当たりがあるのか?」
ルヴィアーレの目が光った気がする。まだ何とも言えないので、全ては言うまい。睨まれても言わない。
「警備騎士に調べてもらう。もう調べてるだろうけど」
しかし武道大会か。そんな場所で何か起こるとは想定していなかった。狙った者がいたのだろうが、全く情報がなかった。
「警備騎士の女性、ロジェーニと言ったか。良い腕だな」
ルヴィアーレがぽそりと呟く。魔獣が暴れ出した時、素早く対処したのはロジェーニだったらしい。倒した途端周囲の鎮静に勤め、ルヴィアーレの無事を確認したとか。
さすがロジェーニ、できる女!
「第三部隊隊長だからね。彼女に憧れて警備騎士を目指す女性も多いのよ。警備騎士になる女性も増えてきたわ」
街を歩いてる姿に憧れる女子も多いほどだ。ロジェーニは女性の憧れなのである。憧れるよ。素敵だもん。かっこいい。ロジェーニ!
ロジェーニの活躍は嬉しいが、しかしロジェーニ自体は悔やんでいるだろう。警備中の事故とは言え犠牲が出た。魔獣が使用される際に暴れるかどうかの想定はあっただろうが、防ぎ切れなかったのだ。今頃原因を探しているに違いない。後で話を聞きに行こう。
あの場所にいたのは第一から第三部隊までの警備騎士だ。ニュアオーマは統括局長だが、直接警備の任につくわけではない。
今回の責任を追求するならば、第一から第三部隊の隊長になる。第一部隊の隊長は王の手であるサファウェイがいる。第一部隊がいるならば、関わっている可能性もあった。
「早めに状況聞きに言った方がいいかもな…」
呟いた言葉にルヴィアーレは無表情でこちらを見つめた。
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