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反乱
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長い廊下の開きっぱなしの扉の先、空中回廊が見える。城の中の棟と棟を繋ぐ回廊だが、この回廊の先は王の棟となった。長い床と円柱が天井を支えているだけの、壁のない道だ。
「いつ通っても、趣味が悪い」
「声が大きいぞ」
空中回廊から降りてきた政務官が二人、扉を抜けるとほっと安堵したように、足早に歩んでいた速さを緩めた。
「落ちることはないと分かっていても、あの回廊を歩くのは気分が悪い」
「高所恐怖症にはきついだろうな」
回廊は魔導防御壁に守られており、壁がなくとも、落ちることはない。けれど遠目から見れば、床と天井、それを支える柱しか見えない状態だ。歩んでいて足を滑らせば、真っ逆さまに落ちてしまうように見える。
王の棟に行くには、そんな回廊ばかりだった。壁のない回廊を歩まねば、王の執務室にすら行けない。
それは不審者が入らないようにするためで、防御壁に何かしらの罠があるのではないかと言われている。怪しい真似をすれば、歩いている床がなくなり、高所から落とされるのではないか。そんな罠があるのではないかと。
回廊の下は、何もなかった。ずっと下の階層に階下の建物が見えるが、目もくらむほどの高さがある。この回廊から落下すれば、助かる術はない。
「城の人間を信用していないのだろう」
「し、聞かれたらまずい」
「皆言っている。国土を広げるつもりなのだと」
前から歩いてきた者が見えて、二人は声を潜めた。相手が通り過ぎる前に頭を下げて道を譲る。魔導院研究員のフードを被った者が、するすると回廊を渡っていく。王の棟には、最近魔導院の者が多く訪れるようになっていた。
戦々恐々とした城。信じている者たちには過ごしやすいことだろう。
「あの回廊、場所によって罠は違うと思うわよ」
エレディナが遠目に歩く魔導院の研究員を見ながら、小さく呟いた。
「最悪、回廊全てを落とすことも考えているかもね」
回廊が全て落ちれば、地階からの侵入か小型艇を使用しての侵入になるが、王の棟は窓が少ない。ほとんど壁の、塔のような建物。そして、地階からは王の棟に繋がっていない。階段がないのだ。
他者からの侵入を拒んだ、城の中の城だ。
「籠城されたら、籠城の間に王騎士団が動いて終わるわ」
回廊に繋がる扉の下部、装飾部分の円柱の陰で、フィルリーネは回廊を見上げた。この城の作りは階高がとにかくあるので、どんな場所にも間を持たせるための装飾された隙間がある。柱や装飾の規模は大きいので、人一人くらい簡単に隠れられた。隠れられるが侵入には回廊を使用しなければならない。
王の部屋は高層にあるので、外からの侵入は小型艇がなければ行えない。しかし、そんなものを使って城へ近付けば簡単に攻撃される。実現は不可能だ。
フィルリーネはエレディナがいるので、どこにでも隠れることが可能だが、外壁の隙間に隠れ、見聞して思う。どうやって王を討つつもりなのだろうか。
アシュタルの情報は、頭の痛いものだった。
「王を狙っている者たちが動きそうです」
「首謀者は?」
「政務官の一人、イカラジャ様と、警備騎士団第二隊長。それから、騎士数名」
「人数が少なすぎる。無謀だわ」
政務官のイカラジャは真面目で気骨のある人で、地方より抜擢されて政務に就いた。推薦したのは第二都市カサダリアにいる副宰相だ。
政務官であれば城の内情も耳に入るだろう。真面目すぎて多くの不可思議な事件に目を瞑ることができなかったのかもしれない。
警備騎士団は王直属ではなく、城の中を警備する騎士でもなく、街などを警備する騎士たちの集まりだ。その警備騎士団の第二部隊を率いているのは、イカラジャと故郷を同じくする者だった。
故郷が同じであることを考えれば、その故郷に何かがあったのかもしれない。そこまで城の内情は分からなくとも、故郷が廃れていくのを知って動くことにしたのだろうか。
「面倒ね……」
故郷が関わっているのならば気持ちも焦るだろう。家族や親戚、友人などが住む土地が、目に見えておかしくなっているに違いない。精霊がいなくなっているのならば、生物の住めない場所に変化しているはずだ。
イカラジャが反王派なのは分かっていた。仲間に引き込むには実直すぎるので手を出さなかったが、先に動かれるとは思わなかった。
「仕方ないわ。別件で落としましょう」
「よろしいのですか?」
「全員が殺されるよりましだわ」
そうと決めればどうやって王を断罪するつもりなのか、その方法を知らなければならなかった。
アシュタル以外にも動ける者はいる。騎士団に関わる情報を得るように伝え、政務に近い者たちにも確認させる。
そうして分かったのが、王の棟への急襲だった。
「無謀にもほどがあるわ」
「王の棟を狙うならば、やっぱりここを渡らないと無理じゃない? でも、罠なんて掛けられないわよ。丸見えだし。外から回廊を落としたって意味ないもの。王が通る時に落とそうとしても、余程の力がないと無理よ? そんな簡単だったら、あんたがやってるでしょ?」
「そうね……」
回廊を破壊しても意味はない。そもそもあの回廊には罠が仕掛けてある。王の通る一本の道が単純な作りのわけがない。破壊しようとしてもできないか、反撃を受けるかどちらかだ。
イカラジャがそんな安直な攻撃を行うとは思わないが、王はほとんどこの棟から出てこない。執務室は王の棟にあるし、フィルリーネが呼ばれる時も中に入る。王の執務室に呼ばれるだけで、ほとんどの場所に入ることはないが。
入れるのはわずかな人間と警備の騎士だけ。その上、ルヴィアーレが来た時のような催しや客との食事でもない限り、この棟から出てこない。
そうであれば王の棟に入るか、回廊を破壊するかになってしまう。催しで狙うのならば多くの警備を掻い潜って行う周到な計画が必要だ。
時間がないのかもしれない。そこまで故郷は困窮しているのか。
「イカラジャと話す機会なんてないわね」
「カノイ、他のお仕事はなくて?」
「え!? 他の、お仕事ですか!?」
突然言われた言葉に、政務官であるカノイが困惑顔で復唱した。
久しぶりに届いた収支報告書を放り出して、フィルリーネは自分の執務机から立ち上がる。カノイが目を丸くしている前で、ルヴィアーレが少しばかり眉を傾げた。
「たまには別の書類を見てみたいわ。ねえ、カノイ。これはお返しして、新しいお仕事をもらいましょう」
「え、ふぃ、フィルリーネ様!?」
既に立ち上がっているフィルリーネは、放り出した書類を放置して、軽快に部屋を出ていく。呆然としたカノイが慌てて書類を持って追い掛けた。
「お待ちください。新しい仕事って、王の執務室へ行かれるおつもりですか!?」
「あら、お父様にお伝えしてもすぐにはいただけないでしょう? 中央政務官室へ行くわ」
「ち、中央政務官室……」
国の政務は王の直轄で、中央政務最高官が取り仕切る。中央政務官室はその最高官が職務を行う部屋で、下っ端政務官が入れるような部屋ではない。顔色を真っ青に変えたカノイはぶるぶると震えて、周囲を見回す。誰か止めてという視線に、側仕えも警備の騎士も見ぬふりをして視線を逸らした。
「ち、中央政務官室に、今、えっと、中央政務最高官はいらっしゃらないと思います。この時間は確か、えっと、いえ、急に中央政務最高官に訪ねて行かれるより、まずは中央政務室で何の仕事があるか確認させてください。既に振り分けられている仕事もありますから、新しい仕事がある部署へ確認した方が早めに手に入るでしょう」
中央政務最高官は中央政務官室を使う。王からの呼び出しがない限りその部屋にいた。そこには連れていけないと、カノイは止めた。いないと言うより早く仕事が手に入ると言う方がフィルリーネも納得する。
その言葉に乗って、フィルリーネは困ったように足を止めた。
「あら、だったら誰に言えばいいかしら。中央政務室で仕事をしている者って、誰がいて? わたくしが知っている者はいるかしら?」
「政務を取り仕切る方は……」
「顔を見て決めるわ」
「か、かお!?」
フィルリーネはすたすたと歩き出すと、中央政務室への通路を進む。遠いので、移動式の魔法陣に入り込み階下へ移動しようとしたら、すぐにカノイが乗り込んできた。
「僕がご紹介します!」
後ろから警備のためについてきた騎士やレミアが、同情の視線をカノイに向けた。突然何を言い出すか分からないフィルリーネに付き合うのは大変なのだ。
さすがにこの騒動にルヴィアーレはついてこなかった。ものすごい怪訝な顔をしていたら面白かったけれども、あれで表情をそこまで出さないとは素晴らしい。あそこにいた者たちほとんどが、何言ってんだこの女。って顔をしていたわけだが。
ちなみにイアーナは部屋の外だ。前にフィルリーネに怒られたので、ルヴィアーレが部屋に入れなかった。外に急に出て目が合った時、ギョッとしていたけれど。
メロニオルは予定通りルヴィアーレについている。イアーナの代わりとして遣わされたため、ルヴィアーレは彼を使っていた。監視だと思われているだろうが、何とか情報を得てほしい。メロニオルは見た目と違ってとても穏やかな男性なので、イアーナには警戒されないだろう。彼から何かと聞いてくれると助かる。
「フィルリーネ様!? 一体どうされましたか!?」
いきなり入ってきた王女に、中央政務室はざわついた。それも当然だろう。脈絡なく突飛なことをする、権力をかざす王女が突然部屋に入ってきたならば、どんな無理難題を言われるか分からない。
さっと見回してイカラジャがいるのを確認すると、フィルリーネは部屋を大きく見回して、うふふと笑った。きっとこの部屋にいる誰もが寒気を感じたことだろう。
「いつ通っても、趣味が悪い」
「声が大きいぞ」
空中回廊から降りてきた政務官が二人、扉を抜けるとほっと安堵したように、足早に歩んでいた速さを緩めた。
「落ちることはないと分かっていても、あの回廊を歩くのは気分が悪い」
「高所恐怖症にはきついだろうな」
回廊は魔導防御壁に守られており、壁がなくとも、落ちることはない。けれど遠目から見れば、床と天井、それを支える柱しか見えない状態だ。歩んでいて足を滑らせば、真っ逆さまに落ちてしまうように見える。
王の棟に行くには、そんな回廊ばかりだった。壁のない回廊を歩まねば、王の執務室にすら行けない。
それは不審者が入らないようにするためで、防御壁に何かしらの罠があるのではないかと言われている。怪しい真似をすれば、歩いている床がなくなり、高所から落とされるのではないか。そんな罠があるのではないかと。
回廊の下は、何もなかった。ずっと下の階層に階下の建物が見えるが、目もくらむほどの高さがある。この回廊から落下すれば、助かる術はない。
「城の人間を信用していないのだろう」
「し、聞かれたらまずい」
「皆言っている。国土を広げるつもりなのだと」
前から歩いてきた者が見えて、二人は声を潜めた。相手が通り過ぎる前に頭を下げて道を譲る。魔導院研究員のフードを被った者が、するすると回廊を渡っていく。王の棟には、最近魔導院の者が多く訪れるようになっていた。
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「あの回廊、場所によって罠は違うと思うわよ」
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「最悪、回廊全てを落とすことも考えているかもね」
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他者からの侵入を拒んだ、城の中の城だ。
「籠城されたら、籠城の間に王騎士団が動いて終わるわ」
回廊に繋がる扉の下部、装飾部分の円柱の陰で、フィルリーネは回廊を見上げた。この城の作りは階高がとにかくあるので、どんな場所にも間を持たせるための装飾された隙間がある。柱や装飾の規模は大きいので、人一人くらい簡単に隠れられた。隠れられるが侵入には回廊を使用しなければならない。
王の部屋は高層にあるので、外からの侵入は小型艇がなければ行えない。しかし、そんなものを使って城へ近付けば簡単に攻撃される。実現は不可能だ。
フィルリーネはエレディナがいるので、どこにでも隠れることが可能だが、外壁の隙間に隠れ、見聞して思う。どうやって王を討つつもりなのだろうか。
アシュタルの情報は、頭の痛いものだった。
「王を狙っている者たちが動きそうです」
「首謀者は?」
「政務官の一人、イカラジャ様と、警備騎士団第二隊長。それから、騎士数名」
「人数が少なすぎる。無謀だわ」
政務官のイカラジャは真面目で気骨のある人で、地方より抜擢されて政務に就いた。推薦したのは第二都市カサダリアにいる副宰相だ。
政務官であれば城の内情も耳に入るだろう。真面目すぎて多くの不可思議な事件に目を瞑ることができなかったのかもしれない。
警備騎士団は王直属ではなく、城の中を警備する騎士でもなく、街などを警備する騎士たちの集まりだ。その警備騎士団の第二部隊を率いているのは、イカラジャと故郷を同じくする者だった。
故郷が同じであることを考えれば、その故郷に何かがあったのかもしれない。そこまで城の内情は分からなくとも、故郷が廃れていくのを知って動くことにしたのだろうか。
「面倒ね……」
故郷が関わっているのならば気持ちも焦るだろう。家族や親戚、友人などが住む土地が、目に見えておかしくなっているに違いない。精霊がいなくなっているのならば、生物の住めない場所に変化しているはずだ。
イカラジャが反王派なのは分かっていた。仲間に引き込むには実直すぎるので手を出さなかったが、先に動かれるとは思わなかった。
「仕方ないわ。別件で落としましょう」
「よろしいのですか?」
「全員が殺されるよりましだわ」
そうと決めればどうやって王を断罪するつもりなのか、その方法を知らなければならなかった。
アシュタル以外にも動ける者はいる。騎士団に関わる情報を得るように伝え、政務に近い者たちにも確認させる。
そうして分かったのが、王の棟への急襲だった。
「無謀にもほどがあるわ」
「王の棟を狙うならば、やっぱりここを渡らないと無理じゃない? でも、罠なんて掛けられないわよ。丸見えだし。外から回廊を落としたって意味ないもの。王が通る時に落とそうとしても、余程の力がないと無理よ? そんな簡単だったら、あんたがやってるでしょ?」
「そうね……」
回廊を破壊しても意味はない。そもそもあの回廊には罠が仕掛けてある。王の通る一本の道が単純な作りのわけがない。破壊しようとしてもできないか、反撃を受けるかどちらかだ。
イカラジャがそんな安直な攻撃を行うとは思わないが、王はほとんどこの棟から出てこない。執務室は王の棟にあるし、フィルリーネが呼ばれる時も中に入る。王の執務室に呼ばれるだけで、ほとんどの場所に入ることはないが。
入れるのはわずかな人間と警備の騎士だけ。その上、ルヴィアーレが来た時のような催しや客との食事でもない限り、この棟から出てこない。
そうであれば王の棟に入るか、回廊を破壊するかになってしまう。催しで狙うのならば多くの警備を掻い潜って行う周到な計画が必要だ。
時間がないのかもしれない。そこまで故郷は困窮しているのか。
「イカラジャと話す機会なんてないわね」
「カノイ、他のお仕事はなくて?」
「え!? 他の、お仕事ですか!?」
突然言われた言葉に、政務官であるカノイが困惑顔で復唱した。
久しぶりに届いた収支報告書を放り出して、フィルリーネは自分の執務机から立ち上がる。カノイが目を丸くしている前で、ルヴィアーレが少しばかり眉を傾げた。
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「え、ふぃ、フィルリーネ様!?」
既に立ち上がっているフィルリーネは、放り出した書類を放置して、軽快に部屋を出ていく。呆然としたカノイが慌てて書類を持って追い掛けた。
「お待ちください。新しい仕事って、王の執務室へ行かれるおつもりですか!?」
「あら、お父様にお伝えしてもすぐにはいただけないでしょう? 中央政務官室へ行くわ」
「ち、中央政務官室……」
国の政務は王の直轄で、中央政務最高官が取り仕切る。中央政務官室はその最高官が職務を行う部屋で、下っ端政務官が入れるような部屋ではない。顔色を真っ青に変えたカノイはぶるぶると震えて、周囲を見回す。誰か止めてという視線に、側仕えも警備の騎士も見ぬふりをして視線を逸らした。
「ち、中央政務官室に、今、えっと、中央政務最高官はいらっしゃらないと思います。この時間は確か、えっと、いえ、急に中央政務最高官に訪ねて行かれるより、まずは中央政務室で何の仕事があるか確認させてください。既に振り分けられている仕事もありますから、新しい仕事がある部署へ確認した方が早めに手に入るでしょう」
中央政務最高官は中央政務官室を使う。王からの呼び出しがない限りその部屋にいた。そこには連れていけないと、カノイは止めた。いないと言うより早く仕事が手に入ると言う方がフィルリーネも納得する。
その言葉に乗って、フィルリーネは困ったように足を止めた。
「あら、だったら誰に言えばいいかしら。中央政務室で仕事をしている者って、誰がいて? わたくしが知っている者はいるかしら?」
「政務を取り仕切る方は……」
「顔を見て決めるわ」
「か、かお!?」
フィルリーネはすたすたと歩き出すと、中央政務室への通路を進む。遠いので、移動式の魔法陣に入り込み階下へ移動しようとしたら、すぐにカノイが乗り込んできた。
「僕がご紹介します!」
後ろから警備のためについてきた騎士やレミアが、同情の視線をカノイに向けた。突然何を言い出すか分からないフィルリーネに付き合うのは大変なのだ。
さすがにこの騒動にルヴィアーレはついてこなかった。ものすごい怪訝な顔をしていたら面白かったけれども、あれで表情をそこまで出さないとは素晴らしい。あそこにいた者たちほとんどが、何言ってんだこの女。って顔をしていたわけだが。
ちなみにイアーナは部屋の外だ。前にフィルリーネに怒られたので、ルヴィアーレが部屋に入れなかった。外に急に出て目が合った時、ギョッとしていたけれど。
メロニオルは予定通りルヴィアーレについている。イアーナの代わりとして遣わされたため、ルヴィアーレは彼を使っていた。監視だと思われているだろうが、何とか情報を得てほしい。メロニオルは見た目と違ってとても穏やかな男性なので、イアーナには警戒されないだろう。彼から何かと聞いてくれると助かる。
「フィルリーネ様!? 一体どうされましたか!?」
いきなり入ってきた王女に、中央政務室はざわついた。それも当然だろう。脈絡なく突飛なことをする、権力をかざす王女が突然部屋に入ってきたならば、どんな無理難題を言われるか分からない。
さっと見回してイカラジャがいるのを確認すると、フィルリーネは部屋を大きく見回して、うふふと笑った。きっとこの部屋にいる誰もが寒気を感じたことだろう。
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