24 / 50
24 ー母の汚名ー
しおりを挟む
「リングをこちらに引くのはできないもんかね?」
シェインに目配せしながら、ティオは机を指で小突いた。
「あんたが直々に勧誘したらどうなんだ?」
「リングはさー、アリアについてた時は良かったんだけど、アリアが死んでマルディンについてからは、ほんと可愛くなくなって、俺の話なんて聞かないんだよ」
ロンは息が止まるかと思った。微かな心臓の音がまるで太鼓のように高鳴って、口からそれが飛び出しそうだ。
「ただでさえマルディンも技を使うのに、リングの調合した薬を使われたらほんと迷惑だよ。こっちの薬師はリング程腕がないし」
ティオは嘘くさいため息をつくと、片目を瞑ってちらりとロンを見た。嫌な予感にロンは後ずさりした。
「薬師のロン君」
「はい?」
「シェインの命の恩人ってことは、リングと戦ったり…?」
「してない」
シェインが煥発入れず言い返す。ティオはわざとらしくがっかりすると、頬杖をついたまま口を尖らせた。
「お前、この少年、どーやって連れてきたの?何か理由言ったの?」
ロンは首を大きく横に振った。シェインの顔色に影が入ったのを見て、ティオは側めるようにシェインを見やった。
「かわいそうに。こんな表情のない奴のせいで苦労したでしょ。逃げ足の早いのが他にいなくて、こいつがわけあって逃げ回ってるんだけど、悪いことはしてないよ。ほんと」
「嘘くさい…」
ロンは疑いの眼を隠しもせず言った。小芝居がわざとらしすぎる。
「うわ。ほんと、ほんとだから。第一王子暗殺を止めようの会なの。ついでに悪を倒そうの会。リングって薬師がむこうにいるとね、俺達も動くのが大変なんだよ。何せ奴の力はこの国一だから。奴を相手にしない為にうった手もこうやって戻ってきちゃったし」
ちらりと見た視線の先はシェインだ。シェインは無言でティオを威圧している。うるさいと言っているみたいに。
冗談まじりのティオの説明は、本質を説明しないので良く理解できない。こちらの事情を知らないロンには理解するのは難しかった。継承権を争って王族直属薬師が大聖騎士団に対して戦いを起こしているのだろうか。
「ドイメにユタがいた。どのみち終わらせる気だったんだろう?」
ロンはドイメにいた赤毛の大聖騎士団を思い出した。やはりシェインの仲間だったのだ。
「おや、ユタに会ったの?奴にお前を捕まえさせて、帰ってくる頃にはこちらは終えるつもりだったんだ。奴は今回のけ者だから本気でお前を捕まえに行ったんだけど、捕まえられなかったねえ。帰ってきたらシェインを捕まえられなかったことをからかってやろう」
あはは、と笑う姿は遊んでいる風にしか見えない。それでもやはり他の者達は真剣そのもので、ティオのおどけはうさん臭さを感じさせた。
「ま、無事でなによりだよ。シェイン、お前が帰ってきたのはふれ回っておくから、外に出る時は気をつけなよ。部屋は一つ…二つにしといてやろう。恨まれたくないからね」
何のことかティオがそう言うと、ティオの側にいた男が鍵をシェインに投げた。
「大聖騎士団は皆つけられてる。無闇に近付かないようにね」
にこりと微笑んだティオの言葉は、良い内容ではなかった。
ロンにとってシェインの仲間と話すのは危険かもしれない。彼等は母親を知っている。
彼等に関わる前に、セウを捜して帰るのが一番いいかもしれない。強行で来てしまった為セウは追い抜かしただろうが、男の姿ならセウを捜しに辺りをうろつくのは可能だ。
シェインが一緒では、それはできないけれど。
部屋を出て外に出ると、シェインは無言で、たまにロンがちゃんとついてきているか確認しながら歩いた。着いた先は入り組んだ路地に面した三階建ての石造りの家で、裏手は水路が流れていた。
逃げ場のある家だ。隣と繋がった作りは屋上を走ればある程度まで逃げられるだろう。
シェインはその家の鍵を開けると、三階まで上った。階段のすぐ右手に部屋が一つ、奥に一つの二部屋だ。何に恨まれるのか、ティオが言った通り二部屋ある。階段に繋がった部屋はキッチンも併設されていた。ホコリもたまっておらず、たまに誰かが使っているようだ。
シェインは注意深げに窓を開けては外を確認し、キッチンや隣の部屋のベッドを満遍なく調べて、ソファーにどかりと座った。
「食料がないから買ってこないとな」
「私行ってくるよ。軽く散歩したいし」
「一人で?」
「一人で。少し頭の中を整理したい」
シェインは沈黙した。そうしてとうとう諦めたように大きなため息をついた。
「パンドラを、知っているか?」
直球だ。
「知らない」
その言葉を耳にしながら、こちらから問う真似はしなかった。黙っていることはロンも同じ。だから放置していたけれど、ここまで連れてきてだんまりではロンもシェインを信用できない。
それくらいシェインは分かっていたはずだ。
ここまできてやっと話す気になったと、シェインは地面に目線を下ろしながら話しはじめた。
「薬師の、最高の知識をまとめた古文書だ。あらゆる力と権力を得られるだけの知識。人を操り天変地異をも起こせる恐ろしい力」
善悪もなく薬師が行える極限の技の数々。千の力を凌駕する個の力。
扱える者を選ぶ難解な秘技。
「遥か昔にこの国の王がそれを封じた。だが、現在の王になってパンドラを解読する作業が進められた」
「解読…?」
「解読するにも薬師の知識がなければ解読できないと言われている。だから、王族専属薬師はパンドラ解読に入った。それが、ここ十二年ぐらいの話だ」
ここ十二年。二年近く母親も関わっていることになる。
ロンの頭にふと何かが過った。
幼い時に村で聞いた噂は何だった?王都から逃げて、辿り着いた村で聞いた噂は。
記憶を探ればすぐに出てくる。何度も聞いた話だ。聞きたくなくても耳に入った。
今まで思い出さなかったのは思い出したくなかっただけ。
その噂はしっかり覚えている。
女薬師が、エンリルに保管されている薬師の秘術を解読して、王の暗殺を企てた、だ。
「それを、俺が盗んで逃げ回った。今この国の王は病に倒れ、二人の王子の継承問題で長く国は揺れている。その中で王族専属薬師の重鎮であるマルディンが第二王子を取り込み、パンドラの力を手にし、国を乗っ取る恐れが出てきた。だが奴を捕らえるにも証拠がない。その証拠を押さえる為に、俺達はパンドラを盗むなんて茶番を演じた。パンドラを失ったマルディンはすぐに動き、第二王子を後ろ楯にパンドラを探しながら第一王子暗殺を計画。尻尾がつかめれば奴を捕らえる。俺が戻ってきたと分かれば更に動くだろう」
「解読する目的は何だったの…?」
「表向きは飢饉や天変地異への対処の為と言われている。だが、マルディンにその気はなかった」
「今まで誰も解読できなかった?」
「何百もある章を一つ解読できた者が二人いる。一人は、薬師、…アリア」
「その人はどうなったの?」
「…パンドラの力で砦を破壊し、確かではないが王暗殺を企て、国を追われた。第一特権により処刑の許可が出、追っ手に殺されたと聞いている」
遥か遠くに聞こえる笑い声。柔らかな花を腕に、笑んだ瞳。怒りも激したりもしない、優しい母。穏やかな顔を見せながら癒しを求める人々にその力を使った。そんな人が王暗殺に砦を壊した。
それが真実だった。
「ロン…?」
胃の中に何かが渦巻いてたまった。
「町、歩いてくる」
後ろでシェインが何か言っている。でも何も聞こえなかった。
懐かしい人々のざわめき。揺れる国旗。広場のカラクリ時計が踊りはじめる。広大な土地に作られた庭園。
緑深き王都エンリル。
懐かしいものか。この町にはもう何も残っていないのに。パンドラ?そんな物は知らない。そんな物の為に母親は死に絶えた。
セウは真実を知っているのだろうか。本当に母親が王の暗殺を行ったのか。
母は何もしていないと信じてセウと共に生きてきたのに、それは真実ではなかったのだと。
シェインに目配せしながら、ティオは机を指で小突いた。
「あんたが直々に勧誘したらどうなんだ?」
「リングはさー、アリアについてた時は良かったんだけど、アリアが死んでマルディンについてからは、ほんと可愛くなくなって、俺の話なんて聞かないんだよ」
ロンは息が止まるかと思った。微かな心臓の音がまるで太鼓のように高鳴って、口からそれが飛び出しそうだ。
「ただでさえマルディンも技を使うのに、リングの調合した薬を使われたらほんと迷惑だよ。こっちの薬師はリング程腕がないし」
ティオは嘘くさいため息をつくと、片目を瞑ってちらりとロンを見た。嫌な予感にロンは後ずさりした。
「薬師のロン君」
「はい?」
「シェインの命の恩人ってことは、リングと戦ったり…?」
「してない」
シェインが煥発入れず言い返す。ティオはわざとらしくがっかりすると、頬杖をついたまま口を尖らせた。
「お前、この少年、どーやって連れてきたの?何か理由言ったの?」
ロンは首を大きく横に振った。シェインの顔色に影が入ったのを見て、ティオは側めるようにシェインを見やった。
「かわいそうに。こんな表情のない奴のせいで苦労したでしょ。逃げ足の早いのが他にいなくて、こいつがわけあって逃げ回ってるんだけど、悪いことはしてないよ。ほんと」
「嘘くさい…」
ロンは疑いの眼を隠しもせず言った。小芝居がわざとらしすぎる。
「うわ。ほんと、ほんとだから。第一王子暗殺を止めようの会なの。ついでに悪を倒そうの会。リングって薬師がむこうにいるとね、俺達も動くのが大変なんだよ。何せ奴の力はこの国一だから。奴を相手にしない為にうった手もこうやって戻ってきちゃったし」
ちらりと見た視線の先はシェインだ。シェインは無言でティオを威圧している。うるさいと言っているみたいに。
冗談まじりのティオの説明は、本質を説明しないので良く理解できない。こちらの事情を知らないロンには理解するのは難しかった。継承権を争って王族直属薬師が大聖騎士団に対して戦いを起こしているのだろうか。
「ドイメにユタがいた。どのみち終わらせる気だったんだろう?」
ロンはドイメにいた赤毛の大聖騎士団を思い出した。やはりシェインの仲間だったのだ。
「おや、ユタに会ったの?奴にお前を捕まえさせて、帰ってくる頃にはこちらは終えるつもりだったんだ。奴は今回のけ者だから本気でお前を捕まえに行ったんだけど、捕まえられなかったねえ。帰ってきたらシェインを捕まえられなかったことをからかってやろう」
あはは、と笑う姿は遊んでいる風にしか見えない。それでもやはり他の者達は真剣そのもので、ティオのおどけはうさん臭さを感じさせた。
「ま、無事でなによりだよ。シェイン、お前が帰ってきたのはふれ回っておくから、外に出る時は気をつけなよ。部屋は一つ…二つにしといてやろう。恨まれたくないからね」
何のことかティオがそう言うと、ティオの側にいた男が鍵をシェインに投げた。
「大聖騎士団は皆つけられてる。無闇に近付かないようにね」
にこりと微笑んだティオの言葉は、良い内容ではなかった。
ロンにとってシェインの仲間と話すのは危険かもしれない。彼等は母親を知っている。
彼等に関わる前に、セウを捜して帰るのが一番いいかもしれない。強行で来てしまった為セウは追い抜かしただろうが、男の姿ならセウを捜しに辺りをうろつくのは可能だ。
シェインが一緒では、それはできないけれど。
部屋を出て外に出ると、シェインは無言で、たまにロンがちゃんとついてきているか確認しながら歩いた。着いた先は入り組んだ路地に面した三階建ての石造りの家で、裏手は水路が流れていた。
逃げ場のある家だ。隣と繋がった作りは屋上を走ればある程度まで逃げられるだろう。
シェインはその家の鍵を開けると、三階まで上った。階段のすぐ右手に部屋が一つ、奥に一つの二部屋だ。何に恨まれるのか、ティオが言った通り二部屋ある。階段に繋がった部屋はキッチンも併設されていた。ホコリもたまっておらず、たまに誰かが使っているようだ。
シェインは注意深げに窓を開けては外を確認し、キッチンや隣の部屋のベッドを満遍なく調べて、ソファーにどかりと座った。
「食料がないから買ってこないとな」
「私行ってくるよ。軽く散歩したいし」
「一人で?」
「一人で。少し頭の中を整理したい」
シェインは沈黙した。そうしてとうとう諦めたように大きなため息をついた。
「パンドラを、知っているか?」
直球だ。
「知らない」
その言葉を耳にしながら、こちらから問う真似はしなかった。黙っていることはロンも同じ。だから放置していたけれど、ここまで連れてきてだんまりではロンもシェインを信用できない。
それくらいシェインは分かっていたはずだ。
ここまできてやっと話す気になったと、シェインは地面に目線を下ろしながら話しはじめた。
「薬師の、最高の知識をまとめた古文書だ。あらゆる力と権力を得られるだけの知識。人を操り天変地異をも起こせる恐ろしい力」
善悪もなく薬師が行える極限の技の数々。千の力を凌駕する個の力。
扱える者を選ぶ難解な秘技。
「遥か昔にこの国の王がそれを封じた。だが、現在の王になってパンドラを解読する作業が進められた」
「解読…?」
「解読するにも薬師の知識がなければ解読できないと言われている。だから、王族専属薬師はパンドラ解読に入った。それが、ここ十二年ぐらいの話だ」
ここ十二年。二年近く母親も関わっていることになる。
ロンの頭にふと何かが過った。
幼い時に村で聞いた噂は何だった?王都から逃げて、辿り着いた村で聞いた噂は。
記憶を探ればすぐに出てくる。何度も聞いた話だ。聞きたくなくても耳に入った。
今まで思い出さなかったのは思い出したくなかっただけ。
その噂はしっかり覚えている。
女薬師が、エンリルに保管されている薬師の秘術を解読して、王の暗殺を企てた、だ。
「それを、俺が盗んで逃げ回った。今この国の王は病に倒れ、二人の王子の継承問題で長く国は揺れている。その中で王族専属薬師の重鎮であるマルディンが第二王子を取り込み、パンドラの力を手にし、国を乗っ取る恐れが出てきた。だが奴を捕らえるにも証拠がない。その証拠を押さえる為に、俺達はパンドラを盗むなんて茶番を演じた。パンドラを失ったマルディンはすぐに動き、第二王子を後ろ楯にパンドラを探しながら第一王子暗殺を計画。尻尾がつかめれば奴を捕らえる。俺が戻ってきたと分かれば更に動くだろう」
「解読する目的は何だったの…?」
「表向きは飢饉や天変地異への対処の為と言われている。だが、マルディンにその気はなかった」
「今まで誰も解読できなかった?」
「何百もある章を一つ解読できた者が二人いる。一人は、薬師、…アリア」
「その人はどうなったの?」
「…パンドラの力で砦を破壊し、確かではないが王暗殺を企て、国を追われた。第一特権により処刑の許可が出、追っ手に殺されたと聞いている」
遥か遠くに聞こえる笑い声。柔らかな花を腕に、笑んだ瞳。怒りも激したりもしない、優しい母。穏やかな顔を見せながら癒しを求める人々にその力を使った。そんな人が王暗殺に砦を壊した。
それが真実だった。
「ロン…?」
胃の中に何かが渦巻いてたまった。
「町、歩いてくる」
後ろでシェインが何か言っている。でも何も聞こえなかった。
懐かしい人々のざわめき。揺れる国旗。広場のカラクリ時計が踊りはじめる。広大な土地に作られた庭園。
緑深き王都エンリル。
懐かしいものか。この町にはもう何も残っていないのに。パンドラ?そんな物は知らない。そんな物の為に母親は死に絶えた。
セウは真実を知っているのだろうか。本当に母親が王の暗殺を行ったのか。
母は何もしていないと信じてセウと共に生きてきたのに、それは真実ではなかったのだと。
20
お気に入りに追加
93
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
婚約破棄された地味姫令嬢は獣人騎士団のブラッシング係に任命される
安眠にどね
恋愛
社交界で『地味姫』と嘲笑されている主人公、オルテシア・ケルンベルマは、ある日婚約破棄をされたことによって前世の記憶を取り戻す。
婚約破棄をされた直後、王城内で一匹の虎に出会う。婚約破棄と前世の記憶と取り戻すという二つのショックで呆然としていたオルテシアは、虎の求めるままブラッシングをしていた。その虎は、実は獣人が獣の姿になった状態だったのだ。虎の獣人であるアルディ・ザルミールに気に入られて、オルテシアは獣人が多く所属する第二騎士団のブラッシング係として働くことになり――!?
【第16回恋愛小説大賞 奨励賞受賞。ありがとうございました!】
逃げるための後宮行きでしたが、なぜか奴が皇帝になっていました
吉高 花
恋愛
◆転生&ループの中華風ファンタジー◆
第15回恋愛小説大賞「中華・後宮ラブ賞」受賞しました!ありがとうございます!
かつて散々腐れ縁だったあいつが「俺たち、もし三十になってもお互いに独身だったら、結婚するか」
なんてことを言ったから、私は密かに三十になるのを待っていた。でもそんな私たちは、仲良く一緒にトラックに轢かれてしまった。
そして転生しても奴を忘れられなかった私は、ある日奴が綺麗なお嫁さんと仲良く微笑み合っている場面を見てしまう。
なにあれ! 許せん! 私も別の男と幸せになってやる!
しかしそんな決意もむなしく私はまた、今度は馬車に轢かれて逝ってしまう。
そして二度目。なんと今度は最後の人生をループした。ならば今度は前の記憶をフルに使って今度こそ幸せになってやる!
しかし私は気づいてしまった。このままでは、また奴の幸せな姿を見ることになるのでは?
それは嫌だ絶対に嫌だ。そうだ! 後宮に行ってしまえば、奴とは会わずにすむじゃない!
そうして私は意気揚々と、女官として後宮に潜り込んだのだった。
奴が、今世では皇帝になっているとも知らずに。
※タイトル試行錯誤中なのでたまに変わります。最初のタイトルは「ループの二度目は後宮で ~逃げるための後宮でしたが、なぜか奴が皇帝になっていました~」
※設定は架空なので史実には基づいて「おりません」
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
処刑された王女は隣国に転生して聖女となる
空飛ぶひよこ
恋愛
旧題:魔女として処刑された王女は、隣国に転生し聖女となる
生まれ持った「癒し」の力を、民の為に惜しみなく使って来た王女アシュリナ。
しかし、その人気を妬む腹違いの兄ルイスに疎まれ、彼が連れてきたアシュリナと同じ「癒し」の力を持つ聖女ユーリアの謀略により、魔女のレッテルを貼られ処刑されてしまう。
同じ力を持ったまま、隣国にディアナという名で転生した彼女は、6歳の頃に全てを思い出す。
「ーーこの力を、誰にも知られてはいけない」
しかし、森で倒れている王子を見過ごせずに、力を使って助けたことにより、ディアナの人生は一変する。
「どうか、この国で聖女になってくれませんか。貴女の力が必要なんです」
これは、理不尽に生涯を終わらされた一人の少女が、生まれ変わって幸福を掴む物語。
異世界転生先で溺愛されてます!
目玉焼きはソース
恋愛
異世界転生した18歳のエマが転生先で色々なタイプのイケメンたちから溺愛される話。
・男性のみ美醜逆転した世界
・一妻多夫制
・一応R指定にしてます
⚠️一部、差別的表現・暴力的表現が入るかもしれません
タグは追加していきます。
魔力なしと虐げられた令嬢は孤高の騎士団総長に甘やかされる
橋本彩里(Ayari)
恋愛
五歳で魔力なしと判定され魔力があって当たり前の貴族社会では恥ずかしいことだと蔑まれ、使用人のように扱われ物置部屋で生活をしていた伯爵家長女ミザリア。
十六歳になり、魔力なしの役立たずは出て行けと屋敷から追い出された。
途中騎士に助けられ、成り行きで王都騎士団寮、しかも総長のいる黒狼寮での家政婦として雇われることになった。
それぞれ訳ありの二人、総長とミザリアは周囲の助けもあってじわじわ距離が近づいていく。
命を狙われたり互いの事情やそれにまつわる事件が重なり、気づけば総長に過保護なほど甘やかされ溺愛され……。
孤高で寡黙な総長のまっすぐな甘やかしに溺れないようにとミザリアは今日も家政婦業に励みます!
※R15については暴力や血の出る表現が少々含まれますので保険としてつけています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる