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160 ー毒ー

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 ちょっとお願いしただけなのに、なぜあんなに驚かれたのか。

 あの後、お願い事を言ったら、大きくため息をつかれてしまった。なぜなのか。袖を引っ張ったのが悪かったのか。偉い人の袖なぞ掴んではまずかっただろうか。

「解せん」
「何がですか?」
 理音の独り言にギョウエン怪訝な顔を向けた。何でもないと顔を振ると、明かに白い目を向けてきた。容赦ない目つきである。

「こちらが最後の庭です」
 促されて入ったのは、建物内にある庭だ。理音の部屋のある建物と同じく、天井から光が漏れている。
 高い天窓、一階には植物が植えられ、二階は部屋。建物内にある庭は外の気候に関係なく、緑色が生茂る。この庭も植物は多種多様。飢餓があり食べる物がなかったとは思えないほど、色々な食べられる植物が植えられている。

 その植物たちの影に隠れるように、鉢植えで植えられているものがあった。
 薔薇だ。群生で植えられており、そこだけ白や黄、赤などの色が見られる。他にも花は咲いているので、薔薇だけが目立つわけではない。ダリアも咲いているし、花は多い。

 温室で育てられるのか実験しているとしても、幾つかの建物を使い大規模だ。この建物をまず作り、それから植物を植えて育てたのならば、リンネ以外の専門家がいるだろう。
 一介の植木屋に城の建物をどう建築させるか、助言を得るとは思えない。しかも客用の棟である。元々ここに植物を植えることを考えていなければ、行うのは難しい。建物は掃除されてどこも綺麗だが、最近建てたわけでもなさそうだった。

「ギョウエンさん。こういう客用の建物っていつからあるんですか?」
「竣工したのは十年近く前です。当時の州侯が薬を作るために南の国より大工を呼ばせて作ったとか」
 やはり随分前に建造されたようだ。十年で中庭の植物は大きく育ったのだろう。温室の影響で外の植物より余程成長が早い。

「その国では、温室は普通に作られてるんですか?」
「おんしつ?植物のための建物があるそうです。私は見たことはありませんが、その建物の中は夏のように暑いのだとか。ですから、人が住めるのならば、冬もあたたかく良いだろうと」
 植物園に住むみたいに作ったわけである。一石二鳥の建物だ。

 レイシュンに頼んで、植物の植えられた場所を見させてもらっているが、案外合理的に作られている。
 建物は全て日の当たる場所に建てられているし、周りから日陰になることはない。それだけで建物が暖かくなるわけではなく、近くの温泉を引き温泉熱で建物を温めている。真冬でも高温の湯が湧き出る泉があるそうだ。
 地面から上る暖かい空気は二階にも及ぶ。客が泊まる部屋は自動的に暖かくなり、暖房がいらないのだから、中々の作りだ。換気は窓からできるし、冬は快適だろう。

 豪雪地であるこの土地で、外の庭園にも食べられる植物は植えられているが、それは冬を越えて実をつける植物で木が多い。梅や柿などだ。干したりすれば保存食にもなる。庭園ではない周囲の土地には畑があり、芋類が植えられていた。同じ芋でも種類が多いのは、全滅を防ぐためだろう。気温によっては咲かなくなることもあるのだから。

 確かに飢餓のために庭に食べられる植物を植えたのだろう。建物の中でも外でも食べられる植物だらけではある。
 しかし、温室で育てられているのは食べられる植物だけでなく、食べられない植物もあった。庭を飾るため仕方なかったのだろうが、だがしかし、全てが善意で利用できる植物というわけではなさそうだ。

「どこが食べられるんだろうね」
「何かおっしゃられましたか?」
 理音の呟きはギョウエンには聞こえなかったようだ。理音はかぶりを振って、何でもないと答える。

「この建物に自由に入られる人って、リンネさんとか植物触る人以外に、兵士と侍女さんとか、他にいます?」
「下働きの者もおります。それが何か?」
「皆さん、植物に詳しいんですかね?」
「いえ、おそらく植物の種類には詳しくないかと。食べられるとだけは知っておりますが」

 レイシュンも思っていた、みんな食べられる植物。他の者たちもそう思っているのだろう。ここには、食べられる物しか植わっていない。
 一体誰がそれを広めたのだろう。

 理音は目的の植物を見つけて、その根の足元に座り込んだ。
 この毒使用方法を知っている者は用意周到だ。この城にこの毒の植物があることを鑑みれば、城に入られる者の仕業である。それとも、この毒をこの場所以外から持ってきたのだろうか。

「ギョウエンさん、この植物、何て名前か知ってます?」
 理音は目の前にある低木を横目にギョウエンに問うた。ギョウエンは特に表情を変えるでもなく、否定する。
「いえ、この庭で知っている植物の方が少ないので」
「皆さん、そんなもんですかね?」
「リンネは違うでしょうが」

 リンネがウルバスを殺したとしても、理由はあやふやだ。ウルバスがこの城に皇帝の妃がいると噂を流し、その後殺されたならば、リンネに何の関係があるのか。ウルバスに何か掴まれ脅されたとすれば、理音とは関係のない話で殺されたと言った方が納得がいく。
 そもそも理音を狙ったその口封じとしてウルバスを殺すのならば、リンネは理音に毒花でも送るだろう。この城の庭には、それなりの毒を持つ植物が結構な数で植えられている。

「この植物は毒なのですか?」
 ギョウエンは無表情で言い放った。知らなくて言っているのか、知っていて言っているのかは、理音にわかるはずがない。ギョウエンはいつも表情が変わらないのだから。

「あちこち毒だらけですよ」
 その言葉に一瞬眉を動かす。それを見て、ため息をつきたくなった。
「知っている割には、何が毒かは知らないみたいですね」
 ギョウエンの瞳が左右に揺れた。それは微かだが、間違いのないものだった。ギョウエンは食べられると聞いていながら、それが毒を持つことを知っている。

 とぼけて、それは毒なのか?と聞くなら相当である。試されているとしか思えない。
 しかし、ギョウエンは庭園に毒の植物が植えられていると知っていても、どれが毒かは知らないようだ。

「薬になると聞いています。毒とは薬の代わりだと。ですから、この庭に植えられた植物は全て食すことができるのだと」
「誰が言ったんですか。そんなこと」
 それを信じさせられる者とは誰になるのか。レイシュンですらそれを信じている。この庭にある植物は全て食べられるのだと。

「昔、この城にいた医師です。植物から薬を作ることのできる医師でした。しかし…」
 しかし、の後は聞かなくてもわかる。過去形に話されればさすがに気付く。

「亡くなったんですか?」
「ええ。死にました。毒で殺されたと聞いています。犯人はまだ捕まっていません」
 また物騒な話が出てきた。毒とは、デジャヴである。毒を植えて毒で殺されるとは、自業自得な感もあるが。

「じゃあ、それから毒は植えていないんですか?」
「毒から薬を作る植物を植えていた医師が死んだ後、リンネが引き継いでいますが、リンネが行わない限り」
「でも毒はそのまま?」
「どれか毒か、わかりませんから」
「でも、リンネさんはわかるんでしょ?」
「リンネはその毒がいつか薬になることを信じています」

 病の妹がいる。梅毒はペニシリンなどの薬がなければ治療できないはずだ。しかし、それを知らないリンネは、庭の植物からその薬ができればいいと思っている。
 ため息しか出ない。だから毒の植物を放置である。毒がある植物が薬になることもあるが、それなりの技術と知識を持った医師でなければ何の役にも立たないだろう。風邪であたふたしていた王都の医師ではまず無理な話だ。
 そしてこの目の前にある植物は、それにすらならない。

「この植物は、薬になりません。毒だとわかっていて、故意に植えたんでしょう。かなり育っているから、やはり毒も育てていたと考えるべきです」

 その十年以上前、医師が植えさせた。
 それとも、誰かが知らぬ間に植えた。誰かを殺すために。それに誰も気付かなかったのか。その毒を薬にする医師も。

「これは猛毒です。触れるだけでも危険な植物です」
「触れるだけでも…?」
 ギョウエンにしては表情が崩れた。眉根を寄せた顔は今まで見たことがない。本当に知らなかったのだろう。
「ウルバスはこれで殺されたに違いないです。でも、誰も知らない毒をなぜ知っている人がいるのか。そこがわからないことには、犯人に繋がりません」

 似たような植物は小学校にも植えられていた。祖父はなぜ毒の持つ植物を学校に植えるのか、不思議に思っていた。子供の頃はあの植物には触るなと、よく言われたものである。
 葉に触れるだけで接触部分が被れる。花は赤や白で大木なればなるほど迫力のある美しい植物だが、枝を燃やした煙を吸うだけで死に至ることもある。
 目の前にある植物は、それと同じ種類の植物だ。ただし、それよりずっと強い猛毒を持つ。

「植物園でしか見たことないよ、こんな植物」
 この植物であれば季節に関係なく人を殺せる。温室にあるのは、これが熱帯にある植物だからだ。
 すべての温室庭園を見てきたが、この低木はここにしか植えられていない。もし他に植えられていないとしたら、ここでしか取れない毒なのだ。




「お願いで庭を回れば、毒を見つけるとはね」
 レイシュンはため息混じりに言った。

 広大な敷地を持つこの城の庭と建物を全て回るには今の自分の足では難しい。なので、足が欲しいとお願いしたのである。
 レイシュンは目を丸くした後、大きくがっかりしてくれたわけだ。一体どんなお願いをされるつもりだったのか、何となく怖くて聞いていない。まあ、おかげでスムーズに目的の植物を見つけることができた。付き合わされて馬を操ってくれたギョウエンには迷惑だっただろうが。

「どうして、城の庭に毒が植えられていると思ったの?」
「植物の毒ならば、建物内の庭でなければできない植物しか思いつかなかったからです。植物でなくて、昆虫や動物の毒だとしても、常に温かな場所でなければ毒を持つ個体はほとんどありません。だから城の中だと思いました」

 毒を持つものは熱帯に多いものだ。自然毒ならばその辺りに目星をつけるしかない。理音の知識ではそこまでだった。あとは鉱物になるだろうが、入手経路を特定するのは難しいだろう。ここは他国からの商人がよく通る街なのだから。

「前の州侯は飢饉による飢えをひどく憂いていた。病も多く瀕死に伏すこの地方を何とか生き返らせないかと、エンシに相談し、食物と薬のなりやすい建物を造ることにしたんだ」
 毒を薬に変える医師、名前はエンシと言うそうだ。
 その昔皇帝を診ていた医師だが、元々別の国の人間で、薬学や医療の知識は元より、温室や植物の知識を持っていた。

「でもその知識って、誰にも受け継がれていないんですか?」
「皇帝が独り占めをしていたんだよ」
 レイシュンは杯に口をつけた。中の飲み物は琥珀色で、甘い香りがする。遠方の果物酒らしい。

 この街は隣国から入る商人がいる。新しい知識や物を手に入れられやすい場所だ。皇帝はその医師エンシを手に入れて、自分のための専属の医師とした。
 フォーエンよりずっと前の皇帝の話である。
 その皇帝は紛れもなく、医療技術を自分のものだけにしていたのだろう。そうでなければ、現皇帝であるフォーエンの医者があのレベルのはずはない。
 それは間違いなかった。レイシュンの言葉に、理音はひやりと背筋に寒気を感じた。

「皇帝が代わり、王宮も整理された際、次の皇帝に手を斬られたんだ」
「斬られたって…」
 言葉通りの意味だ。医師であるエンシの技を恐れて、手首を斬り落とした。エンシは医師としての技術を失ったのである。

「毒殺を恐れたんだよ。エンシの医術は別のものだったからね。治す力があれば、殺す力もある。当時の皇帝は前皇帝を毒殺しているから、自分が狙われるのを恐れたんだ」
 そのため、エンシの医術の技は失われた。両手を奪われて生活すら難しい状態にし街へ捨てたところを、レイシュンの前の州侯が助けたと言う。

「それで、この州に残って、植物を植えたんだ。飢餓や病で苦しむ者たちを助けられるように。強い植物と薬を作るためにね」
「でも、誰かに狙われて、殺されちゃったんですよね」
「そうだね」

 この国の壮絶さは理解できないし、想像もできない。裏切りは当たり前で、殺すのも当たり前。不安定どころの話ではない。
 そんな目にあいながらも、恐ろしい目に遭っても、他の者たちを助けるために薬となる植物と食べられる植物を植えた。
 けれど、

「その中に、毒だけのものがあるとは知らなかったよ」
 杯を置いて、レイシュンは月明かりに照らされる中庭を見下ろした。

 この棟には現在誰も泊まっていない。祭りの時に要人が泊まったらしいが、その時に毒を取られたかは定かではない。レイシュンから言うと、関係性はないとのことだ。

「エンシも思うところはあったのだろうね。まあ、その皇帝もすぐに毒で死んだけれど」
 月明かりで青ざめたように見えるレイシュンは、うっすらと笑った。
 その顔を見て寒気がしない方がおかしいだろう。理音はとっさに顔を逸らした。見てはいけない気がしたからだ。

 レイシュンは皇帝と言う立場に何か思うことでもあるのだろうか。皇帝が話に出るたびに、レイシュンの冷ややかな心が透けて見えるようだ。

「とにかく、毒を育てていたことになります」
 こんなところで毒を作っても、皇帝を毒殺できる力はないだろう。追い出された医師が簡単に王宮に入られるわけがないのだから。

 けれど、猛毒の植物を庭に植えた。自分の心を慰めるために?

「そのエンシって人の死に方って、どんなだったんですか?」
 理音の言葉に、レイシュンは一度黙って見せた。

「眠ったまま、心の臓が止まってしまったそうだよ」
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