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転生者
第54話
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「ここが鉱山坑道入り口みたいね」
心なしか既に強化靴に魔力が留まっているような気がしないでもないサラの到着宣言。
そんなに退屈してたのか。
「ああ、行こうぜ!」
坑道は高さも幅も2メートルくらいあるのでそのまま歩いて入ることができた。ただ、サラは如意棒を思いっきり振り回せないかもしれない。
「如意棒が振り回せなくても、私にはこれがあるもの」
そういって片足を上げて強化靴を強調してくるが、サラさん。そのポーズはもうパンチラリズムがけしからん感じにもうたまらん!!
……っておい、ミニスカートその防御力はなんなんだ!
だが俺を甘く見てもらっては困るな。パンチラがなくてもサラの美脚と絶対領域だけで十分ごちそうさまですなんですよ!
「ゲンスイ君はそのくらいにしとこね~」
「ッ! ……なんのことかな」
サラは俺の気持ちなど気付かず蹴る相手を探してもう前進しているがシェリーさんが何やら察したらしい。
だが俺の演技力により誤魔化すことができた。
そんな話をしながらもどんどん奥へ進むが、ロックイーターはおろか魔物一匹も出てこない。
「どうなってんだ?」
その時、俺の第六感が警告を告げる
「何か来る!」
その感覚に従い、すぐ近くにいたヤマトを掴んで後方へ投げる。尻餅をついているが今は無視。
直後壁から大口を開けたロックイーターが飛び込んできた!
大口を回避した俺はすれ違いざまにロックイーターの側部に強化腕で殴りつける。
が。
「でけぇぇ!」
殴った感触は岩。
普通の岩なら砕くことが出来る俺の一撃でもヒビすら入らない強靭なものだった。
それもそのはず、通常のロックイーターとは比べ物にならないデカさ。どのくらいデカイかというと、長さは分からんが正面のサイズだけで坑道と同じサイズだ。
「一旦退避しましょ~」
通常、というか俺が知っているロックイーターはせいぜい50センチ程度のはずだ。それがこの桁外れにバカデカいのは想定外。
一時撤退も止む無しか。
何より突然右壁から大口を開けて突撃してきた初撃を回避したが、その勢いのまま左壁へと潜っていった。
するとどうなるかというと、一本道だったはずの行動が突如4つ角の交差点になった訳だ。
「このくらい、まだ行けるわっ!」
見るとサラは初撃回避しきれずダメージを受けてしまったようだ
第六感的な感覚は俺とシェリーさんには種族柄あるみたいだけどサラには無く初動が微妙に遅れたらしい。
最も、本人曰く森の中ならばそういう感覚が働くらしいのだが、今は森とはかけ離れた環境過ぎる。
「サラ! 一旦引くぞ」
想定外の事態で冷静な状況判断、さすがリーダーの俺だ。
悔しそうにしながらも撤退のため動き出したサラにヤマトが近づきポーションを渡していた。
そして走り出してすぐの事だった。
今度は天井から大口が落ちて来た。
そしてそのまま地面へと潜っていくロックイーター。
「くそっ、退路に穴がっ!」
もちろん俺達(ヤマト以外)ならこのくらい飛び越えれるが……
「ヤマト君を抱えて飛びましょう~」
ヤマトを片手で掴むと皆で一斉に穴を飛び越えた……
瞬間だった!
着地点から現れる大口。
「このぉーーーー!」
如意棒を伸ばしてして大口に突きを放つと、その反動で勢いが落ちるサラを咄嗟に手で捕まえた。同じようにシェリーさんも器用に尻尾でサラを捕まえて何とか飛び越えようとしたが勢いが足りず……
「うーーーぁーーわぁーーーーー」
俺達はロックイーターの開けた穴に落ちてしまったのだった。
◇
どのくらい落下しただろうか
縦穴は徐々に斜めになり横になっていた。
そのおかげで転落死することなく途中から滑り台状態だった訳だが、スリルはそれの比じゃない。着地出来たのはよかったのだが……。
「みんな無事?」
「俺は大丈夫だ。かすり傷だけで済んだ」
「私も同じよ~」
「僕は大丈夫です」
とりあえず皆無事だったようだ。見るとサラもシェリーさんもかすり傷だけで済んだようだ。ヤマトだけは無傷だった。
その要因となったのは例の服のようだ。落下中の衝撃を吸収するためエアバックのように膨らんでいたのだ。ちょっとうらやましい。
「結構落ちたよな」
「登るのは……ちょっと無理そうね」
落ちて来た方向を見るが……
結構な距離落ちたような気がするからなぁ。
逆を見ると幸いなことに、この横穴はまだ途切れることなく続いていた。
「選択肢はないってことね~」
「それにしても……」
俺の視線がサラの手元で止まる。
それに気付いたサラが笑顔を見せてくれるが。
「大丈夫よ、私にはこれがあるから」
そういいながら片足を上げて強化靴を強調してくるサラさん。ですからそのポーズはなにかと私のツボを押さえすぎてましてけしからんぞもっとやれ~!
ハッ!
いや落ち着け俺。
大事なのはそこじゃない。いやそれも俺にとっては大事なんだけど。じゃなくて。
サラが持っていた如意棒がポッキリと折れてしまっているのだ。
「如意棒ってアイアンゴーレムから採取した鉱石とミスリルの合金だったか?」
「そうよ。まさかあっさり噛み切られるとは思わなかったわ」
「食べられたら助かりそうにないな」
「そんなの当然でしょ~」
「しかし問題がいくつかある。取り敢えず今はロックイーターが俺達の事を見失っているっぽいから作戦会議しとくか」
「そうね~」
「このまま遭遇せずに脱出できるのが一番だけど、遭遇した場合の対処は必要だな」
「サラさんが如意棒で口の中を攻撃した時、ロックイーターが体液を流して痛がっているような動きが見えましたよ」
「確かに手ごたえはあったかしら。でも致命傷には程遠いダメージだと思うわ」
そういいながら折れた如意棒を収納庫にしまい込んでいた。
「俺も一度殴ってみたんだが、硬すぎてダメージが入ったのか分からなかったぜ」
「そうなると~、有効な攻撃手段が見当たらないって事が問題かしら~」
「魔法での攻撃だとどうでしょうか?確かロックイーターは火属性魔法が有効って聞いたことがありますよ」
確かに、通常のロックイーターの場合弱点とまではいかなくても有効ではあるという事らしい。
「あとはあのデカロックイーターに通用するかという事だよな」
「もし次遭遇したらシェリーさんはツインアルテミスボウで口内を攻撃すればいいとして、ヤマト君は火魔法で攻撃ね」
「もし火魔法が有効ならサラも魔法攻撃主体のほうがよさそうじゃないか。狭い坑道内だとその機動力も活かしにくいだろ?」
「……そうね。ゲンスイさんのパワーでダメだったなら……ちょっと待って。あのアダマンタイマイを倒した時のヤツ!」
「俺とサラで1点同時攻撃か!?」
「そう、あれなら……」
「試してみる価値はあるかもな。だが魔法攻撃が有効そうならそっちメインでいけよ」
「そうね」
「となると~、ゲンスイ君の~攻撃オプションがないわね~」
「俺だって魔法使えるんだぜ!?」
二人して、そういえばって表情しないでよ!
俺には転生特典『贈物』によって全属性適正があるんだ!
種族特性で初級しか扱えないのは悲しいが。
「基本的に攻撃を回避しつつ、正面に来られたり狙えそうなら口内へ攻撃って感じで立ち回ろう」
リーダーらしく話をまとめて坑道内を進むことにした。
心なしか既に強化靴に魔力が留まっているような気がしないでもないサラの到着宣言。
そんなに退屈してたのか。
「ああ、行こうぜ!」
坑道は高さも幅も2メートルくらいあるのでそのまま歩いて入ることができた。ただ、サラは如意棒を思いっきり振り回せないかもしれない。
「如意棒が振り回せなくても、私にはこれがあるもの」
そういって片足を上げて強化靴を強調してくるが、サラさん。そのポーズはもうパンチラリズムがけしからん感じにもうたまらん!!
……っておい、ミニスカートその防御力はなんなんだ!
だが俺を甘く見てもらっては困るな。パンチラがなくてもサラの美脚と絶対領域だけで十分ごちそうさまですなんですよ!
「ゲンスイ君はそのくらいにしとこね~」
「ッ! ……なんのことかな」
サラは俺の気持ちなど気付かず蹴る相手を探してもう前進しているがシェリーさんが何やら察したらしい。
だが俺の演技力により誤魔化すことができた。
そんな話をしながらもどんどん奥へ進むが、ロックイーターはおろか魔物一匹も出てこない。
「どうなってんだ?」
その時、俺の第六感が警告を告げる
「何か来る!」
その感覚に従い、すぐ近くにいたヤマトを掴んで後方へ投げる。尻餅をついているが今は無視。
直後壁から大口を開けたロックイーターが飛び込んできた!
大口を回避した俺はすれ違いざまにロックイーターの側部に強化腕で殴りつける。
が。
「でけぇぇ!」
殴った感触は岩。
普通の岩なら砕くことが出来る俺の一撃でもヒビすら入らない強靭なものだった。
それもそのはず、通常のロックイーターとは比べ物にならないデカさ。どのくらいデカイかというと、長さは分からんが正面のサイズだけで坑道と同じサイズだ。
「一旦退避しましょ~」
通常、というか俺が知っているロックイーターはせいぜい50センチ程度のはずだ。それがこの桁外れにバカデカいのは想定外。
一時撤退も止む無しか。
何より突然右壁から大口を開けて突撃してきた初撃を回避したが、その勢いのまま左壁へと潜っていった。
するとどうなるかというと、一本道だったはずの行動が突如4つ角の交差点になった訳だ。
「このくらい、まだ行けるわっ!」
見るとサラは初撃回避しきれずダメージを受けてしまったようだ
第六感的な感覚は俺とシェリーさんには種族柄あるみたいだけどサラには無く初動が微妙に遅れたらしい。
最も、本人曰く森の中ならばそういう感覚が働くらしいのだが、今は森とはかけ離れた環境過ぎる。
「サラ! 一旦引くぞ」
想定外の事態で冷静な状況判断、さすがリーダーの俺だ。
悔しそうにしながらも撤退のため動き出したサラにヤマトが近づきポーションを渡していた。
そして走り出してすぐの事だった。
今度は天井から大口が落ちて来た。
そしてそのまま地面へと潜っていくロックイーター。
「くそっ、退路に穴がっ!」
もちろん俺達(ヤマト以外)ならこのくらい飛び越えれるが……
「ヤマト君を抱えて飛びましょう~」
ヤマトを片手で掴むと皆で一斉に穴を飛び越えた……
瞬間だった!
着地点から現れる大口。
「このぉーーーー!」
如意棒を伸ばしてして大口に突きを放つと、その反動で勢いが落ちるサラを咄嗟に手で捕まえた。同じようにシェリーさんも器用に尻尾でサラを捕まえて何とか飛び越えようとしたが勢いが足りず……
「うーーーぁーーわぁーーーーー」
俺達はロックイーターの開けた穴に落ちてしまったのだった。
◇
どのくらい落下しただろうか
縦穴は徐々に斜めになり横になっていた。
そのおかげで転落死することなく途中から滑り台状態だった訳だが、スリルはそれの比じゃない。着地出来たのはよかったのだが……。
「みんな無事?」
「俺は大丈夫だ。かすり傷だけで済んだ」
「私も同じよ~」
「僕は大丈夫です」
とりあえず皆無事だったようだ。見るとサラもシェリーさんもかすり傷だけで済んだようだ。ヤマトだけは無傷だった。
その要因となったのは例の服のようだ。落下中の衝撃を吸収するためエアバックのように膨らんでいたのだ。ちょっとうらやましい。
「結構落ちたよな」
「登るのは……ちょっと無理そうね」
落ちて来た方向を見るが……
結構な距離落ちたような気がするからなぁ。
逆を見ると幸いなことに、この横穴はまだ途切れることなく続いていた。
「選択肢はないってことね~」
「それにしても……」
俺の視線がサラの手元で止まる。
それに気付いたサラが笑顔を見せてくれるが。
「大丈夫よ、私にはこれがあるから」
そういいながら片足を上げて強化靴を強調してくるサラさん。ですからそのポーズはなにかと私のツボを押さえすぎてましてけしからんぞもっとやれ~!
ハッ!
いや落ち着け俺。
大事なのはそこじゃない。いやそれも俺にとっては大事なんだけど。じゃなくて。
サラが持っていた如意棒がポッキリと折れてしまっているのだ。
「如意棒ってアイアンゴーレムから採取した鉱石とミスリルの合金だったか?」
「そうよ。まさかあっさり噛み切られるとは思わなかったわ」
「食べられたら助かりそうにないな」
「そんなの当然でしょ~」
「しかし問題がいくつかある。取り敢えず今はロックイーターが俺達の事を見失っているっぽいから作戦会議しとくか」
「そうね~」
「このまま遭遇せずに脱出できるのが一番だけど、遭遇した場合の対処は必要だな」
「サラさんが如意棒で口の中を攻撃した時、ロックイーターが体液を流して痛がっているような動きが見えましたよ」
「確かに手ごたえはあったかしら。でも致命傷には程遠いダメージだと思うわ」
そういいながら折れた如意棒を収納庫にしまい込んでいた。
「俺も一度殴ってみたんだが、硬すぎてダメージが入ったのか分からなかったぜ」
「そうなると~、有効な攻撃手段が見当たらないって事が問題かしら~」
「魔法での攻撃だとどうでしょうか?確かロックイーターは火属性魔法が有効って聞いたことがありますよ」
確かに、通常のロックイーターの場合弱点とまではいかなくても有効ではあるという事らしい。
「あとはあのデカロックイーターに通用するかという事だよな」
「もし次遭遇したらシェリーさんはツインアルテミスボウで口内を攻撃すればいいとして、ヤマト君は火魔法で攻撃ね」
「もし火魔法が有効ならサラも魔法攻撃主体のほうがよさそうじゃないか。狭い坑道内だとその機動力も活かしにくいだろ?」
「……そうね。ゲンスイさんのパワーでダメだったなら……ちょっと待って。あのアダマンタイマイを倒した時のヤツ!」
「俺とサラで1点同時攻撃か!?」
「そう、あれなら……」
「試してみる価値はあるかもな。だが魔法攻撃が有効そうならそっちメインでいけよ」
「そうね」
「となると~、ゲンスイ君の~攻撃オプションがないわね~」
「俺だって魔法使えるんだぜ!?」
二人して、そういえばって表情しないでよ!
俺には転生特典『贈物』によって全属性適正があるんだ!
種族特性で初級しか扱えないのは悲しいが。
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