47 / 72
転生者
第42話
しおりを挟む
「助けて頂いてモギュモギュありがとうモギュモギュ、ゴックン、ございます」
取り合えず安全地帯である階段フロアで休憩というか、助けた少女に食べ物を振舞う状態になった。その食欲はすさまじいものがあったので、かなりの期間飢えと戦っていたのだろう。
「とりあえず~、話は食べ終わってからにしましょ~」
飢餓と戦っていた者相手にお行儀なんて関係ない。
まずは食べて落ち着いてもらおう。
「ふぃ~、もう食べられないでござる」
「「「ござる??」」」
「あっ、いやなんでもないです。ボクはユジャスカ帝国を、拠点に活動している冒険者のヤマト、です。助けて、頂いてありがとう、ございました」
チラッとこちらを見て視線が合うと照れたように下を向いた。
なんだ?
「捜索対象の子だわ!」
「そういえば~事前情報で男の子らしくない見た目ってあったわよね~」
改めて見てみても、女顔だし体つきはほっそりしてるし色白だし。
まぁ、このくらいの年齢の子供は男女区別がつきにくいことはあるが、それでも極まっている。
さらに鎧にはフリルとかついてるし、リボンとかついてるし。
「ボク男ですぅ!」
なんだ?女っぽくみられるのが嫌なのか?でも格好は……どっちだ!?
「俺達は研究者だけど今は冒険者をやっている。英国の鈴のパーティーリーダー、ゲンスイだ。こっちのエルフがサラ、竜人族がシェリーさんだ」
「亜人が、研究者、なんです、か?」
「鉱物や鉄類と魔物の組織を融合するような研究をしていてな、この先にいるアダマンタイマイ討伐を目的にここまで来たんだが……」
亜人差別教育を受けているだろうが、気にせず説明した。
「ここに来る途中に~、フォンちゃんに会って~、あなたの捜索も頼まれたのよ~」
「え? フォンちゃんが?」
「同行していたパーティーは遺品が確認されている。地下3階のジャックラ草が目的なのにこんな奥深くにいる事と言い、何があった?」
「そう、なんですか……分かりました。説明、します」
そういうと、悲しそうな表情を浮かべ少しずつ話してくれた。
要約すると、
ジャックラ草エリアでブレードビートルという魔物に襲われた。
ちなみに、通常のブレードビートルは体長30センチ程で甲殻部分が刃物のように鋭くなっている。そこそこ素早いがEランク以上の冒険者ならば対応可能というレベル。
襲われた魔物は体長2メートル弱はある、完全に突然変異種だった。
パーティーで応戦しながら撤退したが、通常では考えられない程の強さだった。
逃げているとヤマトは逸れてしまいいつの間にかダンジョンの奥へと進んでいた。
途中落とし穴のトラップにハマり、かなり地下へと落ちた。
なんとか脱出をしようと探索するも、敵が強そうで逃げ回る日々。
一本橋のようなエリアで悪魔族に会敵し逃げることもままならず、ペイッと落とされた。
運よく浮遊ブロックに落ち死なずに済んだがそこから動けなくなった。
たまたま通りかかった冒険者に助けられた。←イマココ
という事らしい。
なんとまぁ。不運なことで。
「ヤマト君の説明で聞き逃せないポイントがあるわね」
「ああ、ジャッカル草は結局取r……」
「悪魔族よね~」
あっ、違ったらしい。だって気になるだろ?目的の採取物をゲットできたかどうかだぜ??
まぁ俺は大人だからな。声を被せてきたシェリーさんを非難したりはせず、話を聞く。
「崖から一本橋みたいになっている、フロアがありまして、そこで、遭遇したので逃げれません、でした……」
「どんなヤツだったの?」
「見た目は普通の、いぇ、普通じゃなかったですね。肌の露出部分がなんといいますか、とても大きい、整った顔立ちの女性でした。ただ、大きなツノや尖った耳、それに蝙蝠のような羽と細長い尻尾がありました」
「聞く限り確かに悪魔族みたいね~」
「しかし、こういう言い方するとあれだが、悪魔と正面から対峙して、よく落とされるだけですんだな」
悪魔族は他の種族と交わらず独自の種族感と価値観を持ち、その世界がすべてと言われている。
もちろん、例外はあり他種族と契約をしている悪魔もいるにはいるが、基本的には全種族の敵である。
そして単独での戦力も他種族を圧倒できるほどで会敵即逃亡が基本であるというのが俺が知っている限りの悪魔族の情報だ。
「幸運だったの、かな? 道端の石ころを蹴る程度しか、意識されなかったんご」
んご??
「結果的にこうやって無事なんだからよかったじゃない」
「そうね~。さて~、これからどうする~?」
それが一つの問題だ。
捜索対象を見つけたのだから一度戻るべきか?
だが俺達の目的はまだ先だ。
「一度戻るべきかな」
人命優先で普通に考えたらそうなるだろ。
「これだけ規模の大きいダンジョンだから入り口へと戻る転移石がある可能性も高いと思うの。どうかしら?」
もしこのすぐ先に転移石があったら、引き返すよりも安全に戻れることになる。
が、あるかないかは賭けだ。
「ギルドで手に入れた情報だと~、次の階層まであることは分かっているけど~、そこまでよ~。その先はギルドでは把握できいないわね~」
「ということは、そこでアダマンタイマイの目撃情報が出ているのか?」
「そうね~」
もし転移石があるとしたらその先ということか。
「討伐対象を相手にこの子を守りながら戦うのはキツイものがあるか……」
「ヤマト君は戦えるのかしら?」
「ボクは、その、簡単には死なないと、思いますけど、あんまり戦力にはならない、と思います」
まぁ、そうだろう。筋肉とか見当たらないし、というかもう普通の少女だから。すぐ死にそうだぞ?俺のように逞しい筋肉があれば話は違うが、戻るほうがよさそうに思う。
「それで、ヤマト君はどうしたいかしら?」
先へ進むか戻るか、どっちがいいか誰も分からない現状本人の意見を聞くのもまあ、ありか。
「ボクは、足手まといになりたくないです。あっ、でも置いて行かないでほしいです」
……どっちだよ!?
「それはつまり~、先に進む私達に付いて来たいって事かしら~?」
「はい、お願いします」
戦力としては期待できそうにないが、敵と距離を取って逃げ回るくらいは自力でしてもらうのが前提ならまぁそれでもいいか?
「決まりね!じゃあしばらくの間一緒に行きましょう。よろしくね、ヤマト君」
サラが話をまとめた。
なんかいつものサラらしくなく、結論を急いでまとめたな。
……!!
そうか!
さては浮遊ブロックエリアや崖一本橋エリアに戻りたくないな!!
そっとしておくか。
だが出発する前に確認しておくことがある。
「ヤマト君、ちょっと聞きたいんだが……」
「はい、なんでしょう?」
やめろ!上目遣いで見上げてくるな!なんか親戚の子にお菓子でも強請られている気分になるじゃないか。
「ぬるぽ」
「ガッ」
「違っ!違うンゴ!!!」
「クックック……、ネラーかと思ったらJ民でした!!」
「拙者はネラーでもJ民でもないンゴ~~~~!!」
儚げな少女というイメージだったヤマト君が実はネラーだったという事実!なぜかそういう時だけはっきり話す面白い生き物を発見した瞬間だった。
取り合えず安全地帯である階段フロアで休憩というか、助けた少女に食べ物を振舞う状態になった。その食欲はすさまじいものがあったので、かなりの期間飢えと戦っていたのだろう。
「とりあえず~、話は食べ終わってからにしましょ~」
飢餓と戦っていた者相手にお行儀なんて関係ない。
まずは食べて落ち着いてもらおう。
「ふぃ~、もう食べられないでござる」
「「「ござる??」」」
「あっ、いやなんでもないです。ボクはユジャスカ帝国を、拠点に活動している冒険者のヤマト、です。助けて、頂いてありがとう、ございました」
チラッとこちらを見て視線が合うと照れたように下を向いた。
なんだ?
「捜索対象の子だわ!」
「そういえば~事前情報で男の子らしくない見た目ってあったわよね~」
改めて見てみても、女顔だし体つきはほっそりしてるし色白だし。
まぁ、このくらいの年齢の子供は男女区別がつきにくいことはあるが、それでも極まっている。
さらに鎧にはフリルとかついてるし、リボンとかついてるし。
「ボク男ですぅ!」
なんだ?女っぽくみられるのが嫌なのか?でも格好は……どっちだ!?
「俺達は研究者だけど今は冒険者をやっている。英国の鈴のパーティーリーダー、ゲンスイだ。こっちのエルフがサラ、竜人族がシェリーさんだ」
「亜人が、研究者、なんです、か?」
「鉱物や鉄類と魔物の組織を融合するような研究をしていてな、この先にいるアダマンタイマイ討伐を目的にここまで来たんだが……」
亜人差別教育を受けているだろうが、気にせず説明した。
「ここに来る途中に~、フォンちゃんに会って~、あなたの捜索も頼まれたのよ~」
「え? フォンちゃんが?」
「同行していたパーティーは遺品が確認されている。地下3階のジャックラ草が目的なのにこんな奥深くにいる事と言い、何があった?」
「そう、なんですか……分かりました。説明、します」
そういうと、悲しそうな表情を浮かべ少しずつ話してくれた。
要約すると、
ジャックラ草エリアでブレードビートルという魔物に襲われた。
ちなみに、通常のブレードビートルは体長30センチ程で甲殻部分が刃物のように鋭くなっている。そこそこ素早いがEランク以上の冒険者ならば対応可能というレベル。
襲われた魔物は体長2メートル弱はある、完全に突然変異種だった。
パーティーで応戦しながら撤退したが、通常では考えられない程の強さだった。
逃げているとヤマトは逸れてしまいいつの間にかダンジョンの奥へと進んでいた。
途中落とし穴のトラップにハマり、かなり地下へと落ちた。
なんとか脱出をしようと探索するも、敵が強そうで逃げ回る日々。
一本橋のようなエリアで悪魔族に会敵し逃げることもままならず、ペイッと落とされた。
運よく浮遊ブロックに落ち死なずに済んだがそこから動けなくなった。
たまたま通りかかった冒険者に助けられた。←イマココ
という事らしい。
なんとまぁ。不運なことで。
「ヤマト君の説明で聞き逃せないポイントがあるわね」
「ああ、ジャッカル草は結局取r……」
「悪魔族よね~」
あっ、違ったらしい。だって気になるだろ?目的の採取物をゲットできたかどうかだぜ??
まぁ俺は大人だからな。声を被せてきたシェリーさんを非難したりはせず、話を聞く。
「崖から一本橋みたいになっている、フロアがありまして、そこで、遭遇したので逃げれません、でした……」
「どんなヤツだったの?」
「見た目は普通の、いぇ、普通じゃなかったですね。肌の露出部分がなんといいますか、とても大きい、整った顔立ちの女性でした。ただ、大きなツノや尖った耳、それに蝙蝠のような羽と細長い尻尾がありました」
「聞く限り確かに悪魔族みたいね~」
「しかし、こういう言い方するとあれだが、悪魔と正面から対峙して、よく落とされるだけですんだな」
悪魔族は他の種族と交わらず独自の種族感と価値観を持ち、その世界がすべてと言われている。
もちろん、例外はあり他種族と契約をしている悪魔もいるにはいるが、基本的には全種族の敵である。
そして単独での戦力も他種族を圧倒できるほどで会敵即逃亡が基本であるというのが俺が知っている限りの悪魔族の情報だ。
「幸運だったの、かな? 道端の石ころを蹴る程度しか、意識されなかったんご」
んご??
「結果的にこうやって無事なんだからよかったじゃない」
「そうね~。さて~、これからどうする~?」
それが一つの問題だ。
捜索対象を見つけたのだから一度戻るべきか?
だが俺達の目的はまだ先だ。
「一度戻るべきかな」
人命優先で普通に考えたらそうなるだろ。
「これだけ規模の大きいダンジョンだから入り口へと戻る転移石がある可能性も高いと思うの。どうかしら?」
もしこのすぐ先に転移石があったら、引き返すよりも安全に戻れることになる。
が、あるかないかは賭けだ。
「ギルドで手に入れた情報だと~、次の階層まであることは分かっているけど~、そこまでよ~。その先はギルドでは把握できいないわね~」
「ということは、そこでアダマンタイマイの目撃情報が出ているのか?」
「そうね~」
もし転移石があるとしたらその先ということか。
「討伐対象を相手にこの子を守りながら戦うのはキツイものがあるか……」
「ヤマト君は戦えるのかしら?」
「ボクは、その、簡単には死なないと、思いますけど、あんまり戦力にはならない、と思います」
まぁ、そうだろう。筋肉とか見当たらないし、というかもう普通の少女だから。すぐ死にそうだぞ?俺のように逞しい筋肉があれば話は違うが、戻るほうがよさそうに思う。
「それで、ヤマト君はどうしたいかしら?」
先へ進むか戻るか、どっちがいいか誰も分からない現状本人の意見を聞くのもまあ、ありか。
「ボクは、足手まといになりたくないです。あっ、でも置いて行かないでほしいです」
……どっちだよ!?
「それはつまり~、先に進む私達に付いて来たいって事かしら~?」
「はい、お願いします」
戦力としては期待できそうにないが、敵と距離を取って逃げ回るくらいは自力でしてもらうのが前提ならまぁそれでもいいか?
「決まりね!じゃあしばらくの間一緒に行きましょう。よろしくね、ヤマト君」
サラが話をまとめた。
なんかいつものサラらしくなく、結論を急いでまとめたな。
……!!
そうか!
さては浮遊ブロックエリアや崖一本橋エリアに戻りたくないな!!
そっとしておくか。
だが出発する前に確認しておくことがある。
「ヤマト君、ちょっと聞きたいんだが……」
「はい、なんでしょう?」
やめろ!上目遣いで見上げてくるな!なんか親戚の子にお菓子でも強請られている気分になるじゃないか。
「ぬるぽ」
「ガッ」
「違っ!違うンゴ!!!」
「クックック……、ネラーかと思ったらJ民でした!!」
「拙者はネラーでもJ民でもないンゴ~~~~!!」
儚げな少女というイメージだったヤマト君が実はネラーだったという事実!なぜかそういう時だけはっきり話す面白い生き物を発見した瞬間だった。
0
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
婚約者は、今月もお茶会に来ないらしい。
白雪なこ
恋愛
婚約時に両家で決めた、毎月1回の婚約者同士の交流を深める為のお茶会。だけど、私の婚約者は「彼が認めるお茶会日和」にしかやってこない。そして、数ヶ月に一度、参加したかと思えば、無言。短時間で帰り、手紙を置いていく。そんな彼を……許せる?
*6/21続編公開。「幼馴染の王女殿下は私の元婚約者に激おこだったらしい。次期女王を舐めんなよ!ですって。」
*外部サイトにも掲載しています。(1日だけですが総合日間1位)
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
彼女が望むなら
mios
恋愛
公爵令嬢と王太子殿下の婚約は円満に解消された。揉めるかと思っていた男爵令嬢リリスは、拍子抜けした。男爵令嬢という身分でも、王妃になれるなんて、予定とは違うが高位貴族は皆好意的だし、王太子殿下の元婚約者も応援してくれている。
リリスは王太子妃教育を受ける為、王妃と会い、そこで常に身につけるようにと、ある首飾りを渡される。
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉
Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」
華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。
彼女の名はサブリーナ。
エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。
そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。
然もである。
公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。
一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。
趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。
そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。
「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。
ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。
拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。
【完結】結婚式前~婚約者の王太子に「最愛の女が別にいるので、お前を愛することはない」と言われました~
黒塔真実
恋愛
挙式が迫るなか婚約者の王太子に「結婚しても俺の最愛の女は別にいる。お前を愛することはない」とはっきり言い切られた公爵令嬢アデル。しかしどんなに婚約者としてないがしろにされても女性としての誇りを傷つけられても彼女は平気だった。なぜなら大切な「心の拠り所」があるから……。しかし、王立学園の卒業ダンスパーティーの夜、アデルはかつてない、世にも酷い仕打ちを受けるのだった―― ※神視点。■なろうにも別タイトルで重複投稿←【ジャンル日間4位】。
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる