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婚約するようです
意思
しおりを挟む「「はぁ…」」
「……」
「「…はぁぁぁ…」」
「…」
「「はぁぁぁぁ「落ち着きなさいな」…」」
ランドール家の談話室では3人の人物がいた
当主であるケヨン、その妻であるリリアナに娘のユリアナだ
ケヨンとユリアナは、どんよりとしながら暇があればため息をつき、それを見かねたリリアナがいい加減にしろと言わんばかりに終止符を打った
「そんなにも落ち着くことなのですか?そもそも、王家に嫁ぐなど光栄な事ではないですか…貴方は娘の幸せも祝えないのですか~?それに、ユリア…貴女はお優しいと噂の王太子の何が不満なのですか~?」
そう問いかける母に対してユリアは迷う事なく口を開く
「「腹黒いところ/だな」」
それに父も合わせて口を開いた、
うん、やっぱりそこだよね…そこしかないよね
「…はぁ…」
今度はリリアナが頭を抱えた…
伯爵夫人という立場上色々な人と関わる
その中に腹に逸物持ってるものなどはわかるくらい人とは関わって来てる、
だからこそ、王太子の性格が表と裏という言い方でいいのか分からないが、彼の性格が平凡な人とは異なってることには気づいていた
「…わ、わかってます…私は…私たちは貴族である以上どちみち断ることなど出来る訳ないってことは…」
「ユリア…」
「でも…いきなりっ……ふっ…っ…ぁ、
わたし…まだこ、ころの…準備もできって
…ないのにっ…」
途中で嗚咽が止まらなく涙を流すものかと堪えるものの抵抗むなしくその頬は濡らされた
「…ほんとに嫌なら…貴女が本当に嫌ならわたしから王妃さまに一言添えることもできるわ…それに、ケヨンだって…貴女が本気で嫌だと言うなら本気でこの家を捨てようともなんだってするわ」
だから、貴女も…よく考えなさい
そう言うとリリアナはユリアの側に来て抱き締める
「貴女はまだ幼い。貴女のその迷いもわかるわ…でも、それでも私たちは貴族であり、その身を犠牲にしなければならない事はある。
だけどね?それでも、まだ幼い貴女はそんな責任取る必要はないの、その責任は親であるわたくしやケヨンが取る」
「う…うんっ…」
暖かく抱きしめられたその感覚が心地よく
「貴女の今やるべき事は王太子との婚約をどうするかではなく、どうしたら自分が納得できるかを考えることよ」
その声音には心から愛されてると実感できる程の優しさがあって
「ユリア…リリアナが言った通りだ悩みなさい。そして自分に正直でいなさい、そしてそれをどうか親である俺たちに教えて欲しい…分かったね?」
あぁ、わたしはほんとに幸せものなんだな…って感じた。
二人の想いに応えたい…だから悩もう…
そして、答えを出さなくては…
ーーーーーーーー
再び訪れたその場は相変わらずの美しい薔薇が咲いており、そこにいる人物を引き立てていた。
「…怒っているかい?」
そう問いかけたのは言わずとも王太子のユーリである
「いえ…ただ、分からないです」
「分からない?…それは婚約に対してかい?」
なぜ私なのか…出会ったその日から数日で婚約
一体何がそこまで彼を急かしたのか…
私なんて、ユーリの婚約者に…王太子の婚約者になったとして彼にどんな利をもたらすか…
それが分からないのだ…
「婚約…そうだね。正直僕も何故かはわからない」
「え…?」
「でも、どうしてか…君の全てが愛おしく感じる…そして、君がアランと仲良くしているところを見るとどうも気分が悪い…」
…え、それって…
「世間一般的にいうなら、僕は恐らく君に恋をしている…ということかな」
顔が一気に熱くなった…それこそ、ボッと音がしたかと思うほど
「え、ちょ……へ…?」
「ふっ…顔真っ赤」
彼の冷たい指先が心地いい…
サラリと撫でられた部分は火傷をしているのかと思うほどあつい
「なっ…さ、さわらないでください!」
キッと睨むと可笑しそうにクスクスと笑いだす
「そんな顔で見ても効果はないんだけどね」
「私は怒ってます!」
そうなの?と言いながらも私の頬をツンツンと突いては甘い言葉を囁く
「君が僕のことをどう思っているのかは知らないよ?…でもねそれでも…君がここに、僕の近くに居るだけで心が落ち着くんだ」
「それは…」
「だから、僕は君を離したくない…
いや、絶対に離さないよ…逃げたいなら逃げればいい。だけど君が何処に居ようと必ず見つけて僕の腕の中で閉じ込める。何度だって逃げればいいさ…見つけては逃げる気など無くなるほど甘えさせてあげるよ」
耳元で囁かれたその言葉は私の心を雁字搦めにしようとする
「ゆ、ユーリ…離してっ!」
バッと突き放すとその顔を隠すように下を向いた…
あぅ…甘いよぉ…
今日ユーリの呼び出しに応じた理由の大半は婚約の理由を聞くためだ…
だが今ではわかる…
「聞くんじゃなかった…」
こんなに重いなんて聞いてないのです…
いや、だって…私まだ10歳ですよ!?
ユーリは16歳…あ…そっか…
そういうことか…
ーーーユーリは恋に恋してるのね
大人びた考えを持ったユリアだからこその考えに至り、そっかそっかと顔を上げてユーリと目を合わせた
「ユーリ…その想いは恋じゃないです!」
「…どうしてそう思うのかい?」
急に顔をあげたと思うと意を決して発したその言葉に驚きを隠せないがその内容にはもっと驚いた
「ユーリはただ、恋に恋してるのです!
つまり、私に恋をしてるのではないのです!」
その後にドヤ顔をかました彼女の顔はユーリにとって
可愛らしいものにしか見えなかった
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