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転生したようです

嫉妬?

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しばらくして笑いが収まったのか
王太子ユーリアスがアランに声を掛ける

「そこまでだよ、してやられたりのようだね、アラン
まさか君にここまで言う令嬢が居るとは」
 
それはまるで真新しいおもちゃを見つけた子供のようなキラキラとだが鋭い視線をユリアに向ける

「くっ、兄上!俺にこんなこと言うなんて無礼だとは思わないのですか!」 

「そこまでだよ、っと僕は言ったよね?
今回の件に関しては早とちりをした君、そしてそれを謝る事すらしなくて罵倒を並べる君にこそ非があるのは明白だ」

アランを捉えたその視線は先ほどとは変わった、叱りつける親としての目のようだった。

「ぁ…あの…」

あまりの空気の硬さにユリアは声を掛ける

「ん?なんだいユリアナ嬢」

「ご、ごめんなさいっ!!
王家の血筋の尊いお方に私は…」

我に帰ったかのように先ほどまでの真っ赤な顔が真っ青になり頭を下げた

「君が頭を下げる必要はないよ。
君は…そうとして当然のことを言ったまでだ。」

そう言うと彼女に目を合わせるかのようにその膝を折る。

「おっ…王太子殿下様!!そそそそのようなことはおやめくださいませ!」

今のユーリアスの姿勢から彼女の顔はよく見える。突然すぎる出来事に動揺を隠せないユリアは慌ててユーリアスを立たせようとした

「…んー」

「お、王太子さま!」

「ユーリ」

唐突に人の名前を言われたことに
ユリアはきょとんとした。
その顔を見たユーリアスはまた肩を震わせる

「ちょ、王太子さま、笑うなんてあんまりですわ…」

忙しない表情の動きをみてユーリアスは
柔らかい笑みを浮かべてユリアに言った

「僕の事はユーリと呼んでくれユリアナ嬢。」

再びきょとんという顔になるが
ユーリアスの言ってる言葉を理解すると同時に

「む、む無理でございます、私ごときがあなた様のような尊いお方を愛称で呼ぶなど」

「なら、その尊い僕からの命令だ」

「そ、そんなぁ」

どうすればいいのかわからず後ろに居る父ケヨンに助けを求める

「ごほん、殿下。娘をあまり虐めないでやってください。」

「心外なー僕は虐めてなんていないよ。」

クスクスと綺麗に笑う姿を間近でみたユリアは再び顔を真っ赤にしてしまった

私が王太子さまを愛称なんて…そんなの無理だよ…っあそうだ!アランさまなら…

先程までのやりとりを見てアランはユーリアスを慕っていると推測したユリアはアランに向き直った

「あ、アランさまはどう思われますか!」

「っな、なんで俺に聞くんだよ!」

自分に聞かれるとは思わず声が裏返ったことに顔を染めた

「ですから、私ごときが王太子さまの御名をお呼びするなど…」

俺はいいのかよという発言は無視

「ふーん」

やりとりをみてたユーリアスは急に機嫌が悪くなったのか冷たい視線を向けてきた

「え、あ、あの!」

「アランの事は名前で呼ぶのに僕の事は名前で呼んでくれないんだ」

少し…いやかなり妬いちゃうね

と続けるユーリアスにどうすればいいのかわからなく咄嗟に出た言葉を並べる

「いや、そのアラン様は先ほどのことがありますし親しみやすいというか、可愛らしいというか。」

「おい、お前俺をなんだと!」
という声にはもちろん無視

「なら、僕もユリアナ…いやユリアと親しくなりたいな。だから僕の事はユーリと呼ぶんだ。いいね?」

さっきの私がみたらその笑顔はとても輝かしい天使の笑みのはずが今この状況では
悪魔の微笑みにしかみえなかった。
しかも、否定なんてさせないと言うかのように反論の余地は与えてくれなかった

「お父様ぁー!!」
ついにどうすればいいのか分からなくなったユリアは最強にして絶対な味方のケヨンに抱き付いた 

「はぁ…殿下、戯れはそこまでにしていただきたいものですな」

「戯れ?至って本気だが」

「なおタチの悪い!」

敬語が抜けてることにすら気にしない王太子を感慨深いと言うべきかはたまた聞こえてないふりなのかはユリアは知る由もない

「さて、じゃあ行こうか」

「え?」

急に思い出したかの様に王太…ユーリはユリアの手を包み込むかの様に掴んで自分の方へと歩ませる。

「え、え!」

突然のことになにがとうなのかわからなくなったのか言葉が出なかった

「殿下、せっかくの家族水入らずをまさか、邪魔する気ですか」

ぐぬぬとユーリを睨みながらケヨンは言う

だから、睨むなんて不敬じゃないの…
とはこの雰囲気では言えない

「確かに家族水入らずを邪魔するのは忍びないが、僕はユリアとピクニックをしたくなったんだ」

軽い口調で語り出すユーリにユリアは

「お、王太子さま!て、手…っ」

「聞こえない」

「ですから…手を…」

「え、なんだい?」

「…ゆ…ゆーり…………様」

「ちっ」

「え」

「なんでもないよ。さぁ行こうか」

まさかこんな見目麗しい人が舌打ちなんてするはず無い…うん、聞き間違いですよね

じゃなくて!

「いや、ですから!」

「アラン何してるんだい行くよ」

「はい、兄上」

やだ、弟も弟なら兄も兄で話聞いてくれないっ!

ちらっとお父様を見ると再びはぁと大きなため息をしてついてきた


…王家怖い。拒否権くれないんですね…
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