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それから2人は当然のごとく施設に入れられた。流石に離ればなれは可哀想…
という理由で同じ施設に入れてくれたことに兄妹は心からの御礼を言った。
だけど、それは他人の目からいえば親戚として非難されてもいいはずなのだが幼い2人はそんな事には気付かず、ただ離れなくていいという事実に笑みを浮かべるのだった。
…………
両親を亡くすという悲劇から3年経った今日、百合は8歳、薫は12歳となっていた。
2人は施設内では特に問題を起こす事なく平凡な毎日を過ごしていた。
薫が12歳になった今、施設の人からは2人でなら施設の外を歩いてもいいと許可を得ていたので2人で両親のお墓まいりへと来ていた。もちろん送り迎えは施設の人達にしてもらっているが。
「お兄ちゃん、ここに…お母さんとお父さんがいるの??」
「そうだよ」
あの件があって百合は普通の8歳の子供よりかは大人びた考えを持ち落ち着いてあまりワガママを言わないことから、周りには距離を置かれていた
その分、薫からは頭を撫でてもらったりと彼なりの愛情表現を受けていたことから、心を閉ざしてしまうことはなかった。
「百合、着いたよ」
そう言って立ち止まった所には篠塚家と書かれた墓石がありそこには花が置かれていた。
「おはな…あるね」
両親の記憶はあるものの鮮明には覚えてない百合はそこに花があることによって誰かに両親が想われてるという事実に自然と笑みが漏れた
「百合の笑った顔は母さんにそっくりだよ…
…さぁ、手を合わせて」
コクリと頷き百合は目をつぶって手を合わせた。薫も百合の動作を確認した後に同じように手を合わせた。
ザァー…
風によって木々が揺れ音を立てた
声をかけることなく2人は同じタイミングで目を開けて顔を合わせた。
どちらとも無く微笑みあい、手を繋いで両親のお墓を後にしようと歩き出した
ポツ…ッ……ポツッ…
「雨…百合走って」手を引き百合に合わせるように走った薫に百合は必死に足を進める
段々と雨脚が強くなり大きな木の下に走り込んだふたりは、空を見上げた
「お兄ちゃん…先生大丈夫かな??」
「大丈夫だよ、車の中で僕達を待っていくれてるよ」
「じゃあ濡れちゃうけど走る??」
了承を示そうと頷こうとした薫の耳に数人の足音を捉えた。
視界が悪いせいかあまり鮮明には見えないだろうが2人組の男がこちらに向かって走ってきていた
「あの人たちもお墓参り…かな?」
百合も姿を確認すると薫に問いかけた
「急な雨だから雨宿りするところを探しているのかも…あのー!!大丈夫ですかー!」
繋いでない方の手をおおきく振り道を示す
「あぁ!!すまない、助かったよ。」
と言ったのは備え花を持った小柄な男
「2人もお墓参りかい??小さいのに偉いね」いかつい顔をした大柄な男は顔に似つかないほどの柔らかい笑みを浮かべ百合の頭をポンポンと撫でた
しばらく世間話をしていると次第に雨が弱まってきて2人を呼ぶ声が聞こえた
「あ!お兄ちゃん先生きたみたい」
「みたいだね、行こうか。おじさんたちさようなら!」
「ばいばい!」
「気をつけるんだよー」と返事をもらったのを確認してふたりは背を向けて歩き出した
という理由で同じ施設に入れてくれたことに兄妹は心からの御礼を言った。
だけど、それは他人の目からいえば親戚として非難されてもいいはずなのだが幼い2人はそんな事には気付かず、ただ離れなくていいという事実に笑みを浮かべるのだった。
…………
両親を亡くすという悲劇から3年経った今日、百合は8歳、薫は12歳となっていた。
2人は施設内では特に問題を起こす事なく平凡な毎日を過ごしていた。
薫が12歳になった今、施設の人からは2人でなら施設の外を歩いてもいいと許可を得ていたので2人で両親のお墓まいりへと来ていた。もちろん送り迎えは施設の人達にしてもらっているが。
「お兄ちゃん、ここに…お母さんとお父さんがいるの??」
「そうだよ」
あの件があって百合は普通の8歳の子供よりかは大人びた考えを持ち落ち着いてあまりワガママを言わないことから、周りには距離を置かれていた
その分、薫からは頭を撫でてもらったりと彼なりの愛情表現を受けていたことから、心を閉ざしてしまうことはなかった。
「百合、着いたよ」
そう言って立ち止まった所には篠塚家と書かれた墓石がありそこには花が置かれていた。
「おはな…あるね」
両親の記憶はあるものの鮮明には覚えてない百合はそこに花があることによって誰かに両親が想われてるという事実に自然と笑みが漏れた
「百合の笑った顔は母さんにそっくりだよ…
…さぁ、手を合わせて」
コクリと頷き百合は目をつぶって手を合わせた。薫も百合の動作を確認した後に同じように手を合わせた。
ザァー…
風によって木々が揺れ音を立てた
声をかけることなく2人は同じタイミングで目を開けて顔を合わせた。
どちらとも無く微笑みあい、手を繋いで両親のお墓を後にしようと歩き出した
ポツ…ッ……ポツッ…
「雨…百合走って」手を引き百合に合わせるように走った薫に百合は必死に足を進める
段々と雨脚が強くなり大きな木の下に走り込んだふたりは、空を見上げた
「お兄ちゃん…先生大丈夫かな??」
「大丈夫だよ、車の中で僕達を待っていくれてるよ」
「じゃあ濡れちゃうけど走る??」
了承を示そうと頷こうとした薫の耳に数人の足音を捉えた。
視界が悪いせいかあまり鮮明には見えないだろうが2人組の男がこちらに向かって走ってきていた
「あの人たちもお墓参り…かな?」
百合も姿を確認すると薫に問いかけた
「急な雨だから雨宿りするところを探しているのかも…あのー!!大丈夫ですかー!」
繋いでない方の手をおおきく振り道を示す
「あぁ!!すまない、助かったよ。」
と言ったのは備え花を持った小柄な男
「2人もお墓参りかい??小さいのに偉いね」いかつい顔をした大柄な男は顔に似つかないほどの柔らかい笑みを浮かべ百合の頭をポンポンと撫でた
しばらく世間話をしていると次第に雨が弱まってきて2人を呼ぶ声が聞こえた
「あ!お兄ちゃん先生きたみたい」
「みたいだね、行こうか。おじさんたちさようなら!」
「ばいばい!」
「気をつけるんだよー」と返事をもらったのを確認してふたりは背を向けて歩き出した
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