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恋を知る

恋をしていた。

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気づいた時には、時既に遅し。

僕のバイト先にいるあの人。

初めは自分の好きな芸能人に似てると
思っていただけだった。

出会ってから、
少しずつ、話をするようになって、
3ヶ月の月日が経った。

その人は、
他の場所へと移動することになった。

その時交わした会話が、
なんだか凄く愛おしく思えて。



「来週は、バイト入れてないんですか?」


「はい。今週も今日が最後です。」


「そうなんですか…。
じゃあ今日が最後になりますね。」


「え、あ、そうなんですか…。
寂しくなりますね…。」

「そんなに真剣に言ってもらえると、
嬉しいです。」



寂しくなりますね…。

そう、言っただけだったのに。


一度言葉に出してしまえば、
それは酷く重たく僕にのしかかってくるようで…。


とても、寂しくなった。


もう貴方を見ることが出来なくなる。

こうやって作業をしながら話すことが
出来なくなってしまう。

貴方の声も、顔も、何もかも、
この場所からいなくなってしまう。


それは凄く、寂しい。



「…寂しいです。」

「…ははは。」


貴方は少し困ったように笑った。


寂しい、と思う。


その時、僕は気づいた。


これが、恋なのではないだろうか?


好きという感情。


今思えば、
初めから好きだったんじゃないか?

一目見た時から、僕は貴方に恋をしていた。


今更気づいた。


想いを伝えられないまま、
貴方と別れた。


気持ちを伝えて失恋するより、
気持ちを伝えられず会えなくなる方が、
もしかしたら辛いのかもしれない。


告白しておけばよかった。

「好きです」
と、言っておけばよかった。

思い出せば思い出すだけ、
貴方が好きで好きでたまらないのだと思い知らされる。


自分の気持ちに鈍感で、
失った時に、やっと気づいた。




これが僕の、初恋だった。
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