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兎と狼 第2部
第75話 裏世界の現状
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会議が始まって30分。まずは俺が集めた情報を開示した。美玲がリアルではどんな人なのか? ゲーム内でヤサイダーとして活動している姿や言動。そのほかはみんな知っていたのでこの辺は大幅割愛。その後ケイが個人的に裏世界を探索した成果を発表。
フォルテさんやバレンさんは半ば言い合いをしながらも熱心に聞いてくれた、やっぱりこのギルドはとてつもなく騒がしい。
そんなことにもなれたのでケイの進行でようやく裏世界の魔物情報にたどり着く。
「それで、その世界には多くが巨大昆虫であふれているっていうことですよね?」
「そう。僕も何度か戦ってみたけど、さすがに黒白様みたいにはいかなかったね。紋章もあの祭りのときは黒白様とカケルがいたから使えたけど、ソロではかなり怖かった。あんな恐怖を感じたのは久しぶりだったよ」
「ってことは前にも同じようなことがあったんですか?」
「あったよ。でも、今は過去を振り返ってる暇はないから、戻そう」
そう言って、ケイは裏世界のマップを送ってきた。俺が作った一直線のものではなく、きちんとした全体マップ。
これはVさんが作ってくれたらしい。Vさんにとって裏世界は庭のようになったようで、さすがだなと思ってしまった。
その後昆虫の出現確率や各昆虫の攻撃モーション。そして、注意点なども共有された。これで万全と思った時。ギルド拠点の扉が開いた。
「やあやあ!」
入ってきたのは虹甲羅のVさんだった。あんな場所から一瞬で帰ってこられるということは空間魔法を使用したのだろう。
相変わらず彼の左手甲は白と黒のツートーンだった。あのどちらか片方に傾くことは決してない。やっぱり、紋章は感情に左右されやすいのかもしれなかった。
しかし、Vさんは紋章を作成した張本人。実際は紋章を使わなくても魔法は使えるのかもしれない。だけど、彼は考えていることが分かりづらく、嘘を見破れるとしたら彼をよく知っているケイくらいだろう。
「GVさん!」
誰かが声を張り上げてVさんを呼ぶ。その声の出どころはヤマトだった。多分Vさんは俺たちの会議の進行ペースを見計らって呼びに来たのだろう。ヤマトには残念だが、こっちは雑談している暇はない。
もしもヤサイダーが抜け出せない状況にあったとしたら、多分飲まず食わずでやっている可能性がでてきてもおかしくない。そうなったら生命の危険もある。いくら敵ギルドのリーダーでも先輩は先輩だ。
メルとアリスは案内所に預けるとしてそろそろ出発をする時間。移動法はVさんの空間魔法経由で移動することになった。
場所はまだ捜索をしていないらしい西側のエリア。俺たちはそれぞれ武器を装備し、歪みの中へと入る。
歪みはかなりの熱を帯びていた。きっと砂漠側の温度設定が高いからだろう。でも、Vさんに質問すると、それは関係なくてあっちとこっちの温度差を作らないようにするためのようで。
「ここからは3つに分かれていくよ」
「で、でも、即戦力は2人だけじゃ……」
「大丈夫だよ。黒白様が言ってるのは、黒白様が3つのチームのうち2つのチームに加わるってことだから」
「Vさんそうなんですか?」
念のためVさんに問いかけると、こくりとうなずいた。Vさんなら移動が自由だから問題ない。
その分忙しくなると思うが、本人がそれでいいというのなら問題ないと思った。
Vさんだったらきっと一瞬で片づけてくれる。だからものすごく心強い。だけど彼ばっかりにさせるのはかなり疲れるだろう。
それなりに俺たちも戦って貢献して、Vさんにあまり負担がかからないようにしなければならない。
チームは、俺とケイ。フォルテさんとヤマト。バレンさんとVさんで、Vさんは俺とヤマトのほうにも参戦することになった。
バレンさんは別にソロでもいけるとのことなので、こちらも問題ないだろう。
俺たちはそれぞれで散開する。そうして、ヤサイダーの捜索が始まった。広い広い砂漠の中を歩く。
途方もない環境の中、とにかく進む。途中小型の昆虫に出会って戦闘になったが、そちらは全て俺が倒した。ケイにはできるだけ体力温存してほしい。
だから、俺はできるだけ倒しやすい小物と戦う。時々空間が歪んで、Vさんが顔を出して状況確認。
開閉地点はケイとフォルテさんとバレンさんの居場所に設定しているようなので、俺とヤマトは絶対はぐれてはいけない。
はぐれたらもしかしたらヤサイダーと同じ状況になるかもしれないからだ。まあはぐれてもVさんがすぐに対応してくれるだろう。
ただそのためだけにわざわざ空間魔法を使うことにはさせたくない。
できるだけ全体の体力消費を減らせるように。最低限で最速を目指す。ヤサイダーが干乾びていたら大変だ。
「ケイ大丈夫か?」
「うん。僕は大丈夫。カケルは?」
「問題ない。けど、Vさんよく1人でこの裏世界のマップを作ったよな」
「まあね……。実は僕も黒白様がどのようにして作ったのかわからないんだ」
(そうなのか……)
やっぱりVさんは謎が多い。どうしてここまで謎を多くできるのか知りたいくらいだ。ところで、今Vさんはどうしているのだろうか?
Vさんとバレンさんといえば、かなり相性が悪い。フォルテさんとバレンさんの相性よりも悪いかもしれない。
それでもこれを決めたのはVさんだ。俺が口出しすることでは無い。だから気にしたら負けだと思考を押しやった。
そうしているうちに、俺たちは最初のボスと鉢合わせになる。
それは表世界の巨大カブトムシよりも大きくそして頑丈そうな、鋼鉄のオオクワガタだった。これを倒して少しでもヤサイダーのいる場所に近づく。
それが今の任務だから、頑張るしかない。ケイが紋章を発動させる。こっちの準備はできた。
「「戦闘開始!」」
フォルテさんやバレンさんは半ば言い合いをしながらも熱心に聞いてくれた、やっぱりこのギルドはとてつもなく騒がしい。
そんなことにもなれたのでケイの進行でようやく裏世界の魔物情報にたどり着く。
「それで、その世界には多くが巨大昆虫であふれているっていうことですよね?」
「そう。僕も何度か戦ってみたけど、さすがに黒白様みたいにはいかなかったね。紋章もあの祭りのときは黒白様とカケルがいたから使えたけど、ソロではかなり怖かった。あんな恐怖を感じたのは久しぶりだったよ」
「ってことは前にも同じようなことがあったんですか?」
「あったよ。でも、今は過去を振り返ってる暇はないから、戻そう」
そう言って、ケイは裏世界のマップを送ってきた。俺が作った一直線のものではなく、きちんとした全体マップ。
これはVさんが作ってくれたらしい。Vさんにとって裏世界は庭のようになったようで、さすがだなと思ってしまった。
その後昆虫の出現確率や各昆虫の攻撃モーション。そして、注意点なども共有された。これで万全と思った時。ギルド拠点の扉が開いた。
「やあやあ!」
入ってきたのは虹甲羅のVさんだった。あんな場所から一瞬で帰ってこられるということは空間魔法を使用したのだろう。
相変わらず彼の左手甲は白と黒のツートーンだった。あのどちらか片方に傾くことは決してない。やっぱり、紋章は感情に左右されやすいのかもしれなかった。
しかし、Vさんは紋章を作成した張本人。実際は紋章を使わなくても魔法は使えるのかもしれない。だけど、彼は考えていることが分かりづらく、嘘を見破れるとしたら彼をよく知っているケイくらいだろう。
「GVさん!」
誰かが声を張り上げてVさんを呼ぶ。その声の出どころはヤマトだった。多分Vさんは俺たちの会議の進行ペースを見計らって呼びに来たのだろう。ヤマトには残念だが、こっちは雑談している暇はない。
もしもヤサイダーが抜け出せない状況にあったとしたら、多分飲まず食わずでやっている可能性がでてきてもおかしくない。そうなったら生命の危険もある。いくら敵ギルドのリーダーでも先輩は先輩だ。
メルとアリスは案内所に預けるとしてそろそろ出発をする時間。移動法はVさんの空間魔法経由で移動することになった。
場所はまだ捜索をしていないらしい西側のエリア。俺たちはそれぞれ武器を装備し、歪みの中へと入る。
歪みはかなりの熱を帯びていた。きっと砂漠側の温度設定が高いからだろう。でも、Vさんに質問すると、それは関係なくてあっちとこっちの温度差を作らないようにするためのようで。
「ここからは3つに分かれていくよ」
「で、でも、即戦力は2人だけじゃ……」
「大丈夫だよ。黒白様が言ってるのは、黒白様が3つのチームのうち2つのチームに加わるってことだから」
「Vさんそうなんですか?」
念のためVさんに問いかけると、こくりとうなずいた。Vさんなら移動が自由だから問題ない。
その分忙しくなると思うが、本人がそれでいいというのなら問題ないと思った。
Vさんだったらきっと一瞬で片づけてくれる。だからものすごく心強い。だけど彼ばっかりにさせるのはかなり疲れるだろう。
それなりに俺たちも戦って貢献して、Vさんにあまり負担がかからないようにしなければならない。
チームは、俺とケイ。フォルテさんとヤマト。バレンさんとVさんで、Vさんは俺とヤマトのほうにも参戦することになった。
バレンさんは別にソロでもいけるとのことなので、こちらも問題ないだろう。
俺たちはそれぞれで散開する。そうして、ヤサイダーの捜索が始まった。広い広い砂漠の中を歩く。
途方もない環境の中、とにかく進む。途中小型の昆虫に出会って戦闘になったが、そちらは全て俺が倒した。ケイにはできるだけ体力温存してほしい。
だから、俺はできるだけ倒しやすい小物と戦う。時々空間が歪んで、Vさんが顔を出して状況確認。
開閉地点はケイとフォルテさんとバレンさんの居場所に設定しているようなので、俺とヤマトは絶対はぐれてはいけない。
はぐれたらもしかしたらヤサイダーと同じ状況になるかもしれないからだ。まあはぐれてもVさんがすぐに対応してくれるだろう。
ただそのためだけにわざわざ空間魔法を使うことにはさせたくない。
できるだけ全体の体力消費を減らせるように。最低限で最速を目指す。ヤサイダーが干乾びていたら大変だ。
「ケイ大丈夫か?」
「うん。僕は大丈夫。カケルは?」
「問題ない。けど、Vさんよく1人でこの裏世界のマップを作ったよな」
「まあね……。実は僕も黒白様がどのようにして作ったのかわからないんだ」
(そうなのか……)
やっぱりVさんは謎が多い。どうしてここまで謎を多くできるのか知りたいくらいだ。ところで、今Vさんはどうしているのだろうか?
Vさんとバレンさんといえば、かなり相性が悪い。フォルテさんとバレンさんの相性よりも悪いかもしれない。
それでもこれを決めたのはVさんだ。俺が口出しすることでは無い。だから気にしたら負けだと思考を押しやった。
そうしているうちに、俺たちは最初のボスと鉢合わせになる。
それは表世界の巨大カブトムシよりも大きくそして頑丈そうな、鋼鉄のオオクワガタだった。これを倒して少しでもヤサイダーのいる場所に近づく。
それが今の任務だから、頑張るしかない。ケイが紋章を発動させる。こっちの準備はできた。
「「戦闘開始!」」
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