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兎と狼 第1部
第21話 ギルド案内所
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こうして、拠点探し組とプルーンでの居残り組の二手に分かれて行動を開始した。俺はできるだけアリスが狙われないように注意をしながら、歩く。
ヤサイダーに狙われたアリスは、途中キョトンとした表情を見せていた。それもそのはず。ケイのキャラが急に変わったからだ。
俺も驚いて一言も発せられなかった。そしてそんなケイに、紋章を連続使用させたことでまだ疲れは残ってるだろう。
ケイが寝ていた時間は約30分から1時間ほど。それで疲れが取れるわけが無い。そのため、時々彼は頭を揺する動作をして疲労を吹き飛ばそうとしていた。
「ケイ。本当に大丈夫なのか?」
「う、うん……。なんとか……」
「それにしては顔色悪いけど……」
「大丈夫。久しぶりに3回連続で使ったからまだ慣れてないだけ……だから……」
やっぱり様子がおかしい。俺としてはしっかり休ませておきたい。きっと明日も大学だろう。そこでダウンしたら勉強にもならないと思う。
そう考えれば俺もそうだけど、それ以上に精神的にも脳にもダメージがあるのはケイの方だし……。
すると、ケイは足を止め。
「カケル。僕のことを心配してくれるのはありがたいけど。本当に問題ないんだ。明日はちょうど受けてる講義がない日でね」
「え?」
「つまり、明日は一日フリーってこと。でも、自宅で勉強しないといけないから、できるだけ早く拠点を見つけたいんだけどね……」
「だけど、さっきから千鳥足になったりしてるじゃないか。やっぱりログアウトして休んだ方がいいって」
「お気遣いだけは受け取っておくよ。ありがとう」
そう言ってから再び歩き出す。真っ先に向かうのはギルド案内所。そこでギルド登録をするらしい。
ケイはギルド案内所に着くと、受付帳に名前を書いた。所属ギルドメンバーは8名。そこには青髪の受付嬢がいて、帳簿をまじまじと見つめこう言った。
「見たところ4名しかいらっしゃらないようですが、残りの4名は?」
「残りの4人は僕たちとは別行動をしています。そのうち2人は諸事情でログインできない状況なので。参加者名簿を提示しておくのでそっちを参照して貰えますか?」
「かしこまりました。ギルド案内所アンデス支部にて、ギルド名"アーサーラウンダー"計8名の登録を受付ました。ギルド拠点となる場所を探しますので、今しばらくお待ちください」
受付嬢は奥の方へと消えていくと、今度は赤髪の受付嬢が細長い筒状のものを持ってきて、カウンターいっぱいに広げた。
「実は、今このアンデスは"ロゼッタヴィレッジ"に占拠されていて、空いてる建物がないんです」
「そんな……」
ケイが唖然とする表情を見せて、ため息をつく。赤髪の受付嬢はさらに続ける。
「最悪この案内所を活動拠点にして貰ってもいいですが……。ロゼッタヴィレッジのせいで他ギルドと一緒になる可能性が非常に高いかと……」
「それは絶対にやだ……」
「ちょ、バレン……!」
突然バレンがカウンターをバンッと叩き、反論を始める。彼が言うには他ギルドとだと居心地が悪いかららしい。
でも、共同で活動しなくてはいけないのは確かだ。俺はバレンを止めようとしがみつく。
しかし、彼の力は想像以上ですぐに引き剥がされてしまった。どんな脳波を出せばここまで強くなるのか? バレンはかなり雑なようだ。
「俺は共同生活なんか論外だね。野宿すりゃいいんだよ! 絶対他ギルドと一緒になんかならねぇ……。なりたくもねぇ……」
「ちょっとバレン。ありがとうくらい……」
「アァン? んなら、ケイは他ギルドと一緒にされて嬉しいんかよ?」
「たしかに、他ギルドと一緒にされるのは嫌だけど、でもアリスが狙われてるからちゃんとした場所に隠れないといけないんだよ?」
「ゔっ!?」
バレンはようやく気がついたようだ。俺もケイやバレンと一緒で他ギルドと一緒にされるのはちょっと嫌だ。
でも、赤髪受付嬢が言うには、他ギルド間で喧嘩や争いが起きないように配慮してくれるらしい。
そして、アリスのことをしっかり説明すれば他ギルドもそれなりに対応してくれるだろう。
案内所にいるギルドは良識な人が多く、物分りも良いらしい。
「わーったよ。ケイに従う……」
「それでよし。じゃあ、フォルテとヤマトさんに拠点の地図を渡してっと。これで問題オーケー」
「では、こちらへどうぞ」
そう言って、赤髪の受付嬢は俺たちを部屋へ案内した。
ヤサイダーに狙われたアリスは、途中キョトンとした表情を見せていた。それもそのはず。ケイのキャラが急に変わったからだ。
俺も驚いて一言も発せられなかった。そしてそんなケイに、紋章を連続使用させたことでまだ疲れは残ってるだろう。
ケイが寝ていた時間は約30分から1時間ほど。それで疲れが取れるわけが無い。そのため、時々彼は頭を揺する動作をして疲労を吹き飛ばそうとしていた。
「ケイ。本当に大丈夫なのか?」
「う、うん……。なんとか……」
「それにしては顔色悪いけど……」
「大丈夫。久しぶりに3回連続で使ったからまだ慣れてないだけ……だから……」
やっぱり様子がおかしい。俺としてはしっかり休ませておきたい。きっと明日も大学だろう。そこでダウンしたら勉強にもならないと思う。
そう考えれば俺もそうだけど、それ以上に精神的にも脳にもダメージがあるのはケイの方だし……。
すると、ケイは足を止め。
「カケル。僕のことを心配してくれるのはありがたいけど。本当に問題ないんだ。明日はちょうど受けてる講義がない日でね」
「え?」
「つまり、明日は一日フリーってこと。でも、自宅で勉強しないといけないから、できるだけ早く拠点を見つけたいんだけどね……」
「だけど、さっきから千鳥足になったりしてるじゃないか。やっぱりログアウトして休んだ方がいいって」
「お気遣いだけは受け取っておくよ。ありがとう」
そう言ってから再び歩き出す。真っ先に向かうのはギルド案内所。そこでギルド登録をするらしい。
ケイはギルド案内所に着くと、受付帳に名前を書いた。所属ギルドメンバーは8名。そこには青髪の受付嬢がいて、帳簿をまじまじと見つめこう言った。
「見たところ4名しかいらっしゃらないようですが、残りの4名は?」
「残りの4人は僕たちとは別行動をしています。そのうち2人は諸事情でログインできない状況なので。参加者名簿を提示しておくのでそっちを参照して貰えますか?」
「かしこまりました。ギルド案内所アンデス支部にて、ギルド名"アーサーラウンダー"計8名の登録を受付ました。ギルド拠点となる場所を探しますので、今しばらくお待ちください」
受付嬢は奥の方へと消えていくと、今度は赤髪の受付嬢が細長い筒状のものを持ってきて、カウンターいっぱいに広げた。
「実は、今このアンデスは"ロゼッタヴィレッジ"に占拠されていて、空いてる建物がないんです」
「そんな……」
ケイが唖然とする表情を見せて、ため息をつく。赤髪の受付嬢はさらに続ける。
「最悪この案内所を活動拠点にして貰ってもいいですが……。ロゼッタヴィレッジのせいで他ギルドと一緒になる可能性が非常に高いかと……」
「それは絶対にやだ……」
「ちょ、バレン……!」
突然バレンがカウンターをバンッと叩き、反論を始める。彼が言うには他ギルドとだと居心地が悪いかららしい。
でも、共同で活動しなくてはいけないのは確かだ。俺はバレンを止めようとしがみつく。
しかし、彼の力は想像以上ですぐに引き剥がされてしまった。どんな脳波を出せばここまで強くなるのか? バレンはかなり雑なようだ。
「俺は共同生活なんか論外だね。野宿すりゃいいんだよ! 絶対他ギルドと一緒になんかならねぇ……。なりたくもねぇ……」
「ちょっとバレン。ありがとうくらい……」
「アァン? んなら、ケイは他ギルドと一緒にされて嬉しいんかよ?」
「たしかに、他ギルドと一緒にされるのは嫌だけど、でもアリスが狙われてるからちゃんとした場所に隠れないといけないんだよ?」
「ゔっ!?」
バレンはようやく気がついたようだ。俺もケイやバレンと一緒で他ギルドと一緒にされるのはちょっと嫌だ。
でも、赤髪受付嬢が言うには、他ギルド間で喧嘩や争いが起きないように配慮してくれるらしい。
そして、アリスのことをしっかり説明すれば他ギルドもそれなりに対応してくれるだろう。
案内所にいるギルドは良識な人が多く、物分りも良いらしい。
「わーったよ。ケイに従う……」
「それでよし。じゃあ、フォルテとヤマトさんに拠点の地図を渡してっと。これで問題オーケー」
「では、こちらへどうぞ」
そう言って、赤髪の受付嬢は俺たちを部屋へ案内した。
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