9 / 123
兎と狼 第1部
第9話 攻略会議
しおりを挟む
「では、今後の攻略会議を開始します」
アリスが正式メンバーになったあと、俺たち7人は一つ屋根の下会議をしていた。
「では、まずアンデスという街について」
「はい!」
「カケル。何?」
「アンデスってアンデスメロンから取った名前なのか?」
「うん。そうだと思う」
「ありがと」
まず1つ目の疑問解決。アンデスの名称の意図がわかった。今の時期――1月は――メロンの収穫時期では無いが、聞いただけで口の中が甘くなる。
「アンデスメロンってなんですか?」
「アリスは知らないよね。こう黄緑色で風船みたいで、白い網目がついてる食べ物だよ。総称がメロンなんだけど、そう思ってもらっていいよ」
「なんか美味しそうですね。アンデスに行けば食べられますか?」
「うーん。どうだろ? ソルダムにもプラムみたいなものはなかったからね……」
ケイは会話の先頭に立って、情報を共有していく。続いてアンデスの地形の話題になった。どうやら形状は円形をした巨大タウンみたいだ。
行く前からここまで情報収集しているケイ。さすがはリーダーだ。俺にこんな能力あったか? きっとポテンシャルとしては備わってないだろう。
「カケル? 難しい顔してどうしたの?」
「いやなんでもない。わからないことはなんでもケイに聞いていいんだぞ?」
「そ、それはわかっているけど……。なんか具合が悪そうです」
AIに心配されてしまった。どう答えればいいのか? さっぱりわからん。たしかに俺は体調不良で自宅療養している。
でも、それは明日休めば終わりかもしれない。残念ながら、ケイやラミア姉妹。バレンとフォルテのログインタイミングが掴めていない。
だから、最悪危険な場所にアリスを放置――言い方悪いかもだけど――することになる可能性もある。
「じゃ、じゃあ。俺からもう一つ。アリス以外のみんなに聞くが、何時頃ログインしているだ?」
メンバーは考え込む。そして、一番手として切り出したのは、ケイだった。
「僕は大学があるから、日中はいないかな? だから、このギルドの主な活動時間は深夜帯が多い。休日は丸一日活動しているよ。で、ラミア姉妹はアイドル活動をしていてね。いくら休日でもログインできない時もあるから、このゲームに常駐しているのは、バレンとフォルテくらいだよ」
このリーダー。メンバーのプレイ時間も完全把握しているのか? 誰に似たんだ?
「あはは、気になる?」
俺の心の声聞こえてたのか!?
「カケル。なんか僕のお父さんに似てる。感情豊かっていうか、考えてることが顔に出るところが特にね」
「そうなんだ……」
この彼の発言は、心から喜べるものではなかった。だけど、一度会ってみたい気がする。どんな人なのかものすごく気になる。
「それなら、いずれ両親も一緒にこのゲームをプレイすることになってるし。そのうち会えると思うよ」
「わかった。楽しみにしとく」
「あ、あの……!」
俺とケイの会話の後に声を発したのはアリスだった。その表情は俺以上に感情で満ち溢れていて、どこか焦ってる様子。
これには、ラミア姉妹も一所懸命に落ち着かせようとしている。しかもアリスは今までにない大汗をかいていた。
「わたしは、どうすればいいんですか? まさか無計画っていうわけではないですよね? わたしは皆さんと違って生まれ持った武器はありません。支援しかできません」
「それはみんなわかってる。アリスはずっと俺にくっついていればいい」
「カケル……」
「へーん。カケルの野郎いい度胸しているじゃないか」
俺とアリスの会話に割り込んでくるバレン。俺が苦手なプレイヤー第2位に立つ彼は、ものすごく上目遣いで挑発してくる。
この人とは一緒になりたくない。でも、最終的にアリスの面倒を見る人だ。俺はバレンの機嫌を損なわせないように慎重に話す。
「バレンはアリスのことをどう考えてるんだい?」
「俺はなーんも考えてねぇよ。お前含めて大きなお荷物が増えただけだ……」
「お荷物!?」
なんてことを言うんだ……。他のメンバーは俺とアリスを歓迎してくれたのに、バレンだけは考え方が完全に違ってる。
こうなったらバレンにも応援されるように努力しなければ。と思っていると、突然『ビー!!』というブザーの音がした。
ほんの少しだけ騒がしかった空間が、一撃必殺のように静まり返る。
「今日の会議はここまで。念の為カケルに聞くけど。明日は何時頃来れそう?」
「えーと、明日から久しぶりに学校に行くから、夕方頃かな? 課題が終わってからログインするから」
「夕方頃ね。たしかラミアは明日の夕方に事務所の会議があるし。ファリナは出張ライブだったよね?」
「「はいっ!」」
アイドル活動って聞いてどんなもんだと思ったけど。かなりスケジュールがキツキツらしい。つまり、ラミア姉妹とは仕事が一段落するまで会えないようだ。
2人の仕事が落ち着くのは2月の頭らしいので、それまでのセーブポイントはプルーンになることが決まる。
「じゃあ。バレンにフォルテ、カケルと僕は明日の20時集合ね。アリスはジークさんのところで待ってて」
「「わかりました!!」」
「では、全員解散!!」
「「ラジャー!!」」
アリスが正式メンバーになったあと、俺たち7人は一つ屋根の下会議をしていた。
「では、まずアンデスという街について」
「はい!」
「カケル。何?」
「アンデスってアンデスメロンから取った名前なのか?」
「うん。そうだと思う」
「ありがと」
まず1つ目の疑問解決。アンデスの名称の意図がわかった。今の時期――1月は――メロンの収穫時期では無いが、聞いただけで口の中が甘くなる。
「アンデスメロンってなんですか?」
「アリスは知らないよね。こう黄緑色で風船みたいで、白い網目がついてる食べ物だよ。総称がメロンなんだけど、そう思ってもらっていいよ」
「なんか美味しそうですね。アンデスに行けば食べられますか?」
「うーん。どうだろ? ソルダムにもプラムみたいなものはなかったからね……」
ケイは会話の先頭に立って、情報を共有していく。続いてアンデスの地形の話題になった。どうやら形状は円形をした巨大タウンみたいだ。
行く前からここまで情報収集しているケイ。さすがはリーダーだ。俺にこんな能力あったか? きっとポテンシャルとしては備わってないだろう。
「カケル? 難しい顔してどうしたの?」
「いやなんでもない。わからないことはなんでもケイに聞いていいんだぞ?」
「そ、それはわかっているけど……。なんか具合が悪そうです」
AIに心配されてしまった。どう答えればいいのか? さっぱりわからん。たしかに俺は体調不良で自宅療養している。
でも、それは明日休めば終わりかもしれない。残念ながら、ケイやラミア姉妹。バレンとフォルテのログインタイミングが掴めていない。
だから、最悪危険な場所にアリスを放置――言い方悪いかもだけど――することになる可能性もある。
「じゃ、じゃあ。俺からもう一つ。アリス以外のみんなに聞くが、何時頃ログインしているだ?」
メンバーは考え込む。そして、一番手として切り出したのは、ケイだった。
「僕は大学があるから、日中はいないかな? だから、このギルドの主な活動時間は深夜帯が多い。休日は丸一日活動しているよ。で、ラミア姉妹はアイドル活動をしていてね。いくら休日でもログインできない時もあるから、このゲームに常駐しているのは、バレンとフォルテくらいだよ」
このリーダー。メンバーのプレイ時間も完全把握しているのか? 誰に似たんだ?
「あはは、気になる?」
俺の心の声聞こえてたのか!?
「カケル。なんか僕のお父さんに似てる。感情豊かっていうか、考えてることが顔に出るところが特にね」
「そうなんだ……」
この彼の発言は、心から喜べるものではなかった。だけど、一度会ってみたい気がする。どんな人なのかものすごく気になる。
「それなら、いずれ両親も一緒にこのゲームをプレイすることになってるし。そのうち会えると思うよ」
「わかった。楽しみにしとく」
「あ、あの……!」
俺とケイの会話の後に声を発したのはアリスだった。その表情は俺以上に感情で満ち溢れていて、どこか焦ってる様子。
これには、ラミア姉妹も一所懸命に落ち着かせようとしている。しかもアリスは今までにない大汗をかいていた。
「わたしは、どうすればいいんですか? まさか無計画っていうわけではないですよね? わたしは皆さんと違って生まれ持った武器はありません。支援しかできません」
「それはみんなわかってる。アリスはずっと俺にくっついていればいい」
「カケル……」
「へーん。カケルの野郎いい度胸しているじゃないか」
俺とアリスの会話に割り込んでくるバレン。俺が苦手なプレイヤー第2位に立つ彼は、ものすごく上目遣いで挑発してくる。
この人とは一緒になりたくない。でも、最終的にアリスの面倒を見る人だ。俺はバレンの機嫌を損なわせないように慎重に話す。
「バレンはアリスのことをどう考えてるんだい?」
「俺はなーんも考えてねぇよ。お前含めて大きなお荷物が増えただけだ……」
「お荷物!?」
なんてことを言うんだ……。他のメンバーは俺とアリスを歓迎してくれたのに、バレンだけは考え方が完全に違ってる。
こうなったらバレンにも応援されるように努力しなければ。と思っていると、突然『ビー!!』というブザーの音がした。
ほんの少しだけ騒がしかった空間が、一撃必殺のように静まり返る。
「今日の会議はここまで。念の為カケルに聞くけど。明日は何時頃来れそう?」
「えーと、明日から久しぶりに学校に行くから、夕方頃かな? 課題が終わってからログインするから」
「夕方頃ね。たしかラミアは明日の夕方に事務所の会議があるし。ファリナは出張ライブだったよね?」
「「はいっ!」」
アイドル活動って聞いてどんなもんだと思ったけど。かなりスケジュールがキツキツらしい。つまり、ラミア姉妹とは仕事が一段落するまで会えないようだ。
2人の仕事が落ち着くのは2月の頭らしいので、それまでのセーブポイントはプルーンになることが決まる。
「じゃあ。バレンにフォルテ、カケルと僕は明日の20時集合ね。アリスはジークさんのところで待ってて」
「「わかりました!!」」
「では、全員解散!!」
「「ラジャー!!」」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー
びーぜろ@転移世界のアウトサイダー発売中
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。
理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。
今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。
ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』
計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る!
この物語はフィクションです。
※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?
とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
八十神天従は魔法学園の異端児~神社の息子は異世界に行ったら特待生で特異だった
根上真気
ファンタジー
高校生活初日。神社の息子の八十神は異世界に転移してしまい危機的状況に陥るが、神使の白兎と凄腕美人魔術師に救われ、あれよあれよという間にリュケイオン魔法学園へ入学することに。期待に胸を膨らますも、彼を待ち受ける「特異クラス」は厄介な問題児だらけだった...!?日本の神様の力を魔法として行使する主人公、八十神。彼はその異質な能力で様々な苦難を乗り越えながら、新たに出会う仲間とともに成長していく。学園×魔法の青春バトルファンタジーここに開幕!
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる