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第4章
第4話 ゲームセンターは不良品
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朝食を食べ終え、事前にルグアが用意してくれたリュックに色々詰め込んだ俺は、玄関前に来ていた。
「アレン。準備できた?」
「できやした! ところでお金はどうするんすか?」
「お金なら昨日下ろしてきたよ。結人さんに協力してもらって。予算は……」
ルグアが亜空間を使った。いつの間に習得していたらしい。それも俺よりも少し大きめだった。そこから出てきたのは大きなトランクバッグ。パカりと開けると中には……。
「ざっと、100万円かな? 寄付しないといけないところもあったし。はい。50万円。私は残りの50万円を使うから」
(いやいやこんな大金渡されても困るんすけど……)
ルグアから渡されたのは、なかなかに分厚い札束だった。さすがはお金持ち。だけどお小遣い数千円くらい、多くてもお年玉で1万円しか貰ったことがない俺は困り果ててしまった。
こんな大金の使い道が思いつかない。どこか高級レストランにでも行くのだろうか? なんだか雲行きが怪しくなってきた。
「さて、まずはおすすめのゲームセンターにでも行きますか……。アレン。メダルゲームとか好き? 年齢的にもパチスロは難しそうだし」
「パ、パチスロ……」
「もう、何怖気付いてるの」
「だ、だって意外だなぁって。思っただけっす」
ルグアからパチスロという言葉が出てくるとは、俺も正直びっくりした。だけど、俺は親と一緒にゲームセンターに行った時、親に内緒で遊んだことがある。ルールが分からなくてボロ負けしてたが……。
「そういえば、ルグ……。明理はパチスロやるんすか?」
「ん? 私はやらないよ? やったら出禁確定だし」
「で、出禁……」
「まあ、スロットならワンチャンあるけど。余裕で負けるし。ただお金をメダルに替えすぎて……メダルを在庫切れにさせたことならある」
お金の消費量が半端ない……。だけど、これでもお金が貯まるなんて……。俺は一瞬頭がクラっとした。ルグアもお金の使い方に悩んでいる。
それがわかっただけで嬉しかったけど、メダルに両替し過ぎて出禁ならばとんだやらかしすぎる。それくらいゲームが好きということにしておくことにした。
「じゃ行くよ。サバゲーも予定してるし。行きは結人さんに頼んでるから直通ね」
「了解しやした」
◇◇◇ゲームセンター◇◇◇
――ザワザワ……。
ルグアに案内されたゲームセンターは、それほど大きくない店舗だった。だけど、俺たちが入った瞬間店内がざわめき、熱視線がチリチリ焼いてくる。
もっと大きな店だと思っていたが、予想が外れた。というか、出禁経験者のルグアがこんな小さな店で目立つのは当たり前。有名人が入店したレベルに見られてる。
「じゃ、私はここで、20万寄付してくるから。ここの維持費の足しになればって感じで支援しているからね。亜蓮2万だけ使っていいよ。それ以上使うとメダルが切れるから」
「明理。わかりやした!」
「あと、空間魔法使う時は外でやってね」
「ラジャっす」
そうしてロビーで俺とルグアは別れた。メダルの両替機はロビーの脇にあって、ルグアから受け取った資金50万のうち2万を取り出す。
だけど、俺はメダルゲームはコツを掴んでるし、親からパチスロを禁止されてからメダル落とししか興味がなくなった。
まずは5000円だけメダルにして、3600枚用意。メダル落としは入口側にあって、「森物語」という機体の一号機を選んだ。
手前にメダル溜り。奥に駆動台のある普通の機体。この機体を使うのはこれが初めて。というのもアニメ原作の機体しか遊んでなかったので、メダルゲームスタートの機体は触れたことがなかった。
「えーと、駆動台が手前に動いたタイミングでメダルを入れるっと。あれ?」
(何かがおかしい……)
よく見ると駆動台の動きがやけに早かった。メダルを入れるタイミングはバッチリ。だけど、落ちるタイミングと駆動台が動くタイミングが合わない。
俺は数十枚ほど連続して入れる。だけど、結果は同じ。駆動台の上も溜まり場のようにメダルが積まれていく。
「ただいま。やっぱりここで遊んでたんだ」
「明理、おかえりっす。この機体どこか変なんすよね……」
「あ、それね。ここの店舗10年前からやってるんだけど、予算の都合で不具合品しか並んでないんだよ。この機体もそれ。ほらよく見てみて、駆動台の前後移動が激しいの」
それは俺も知っている。だけど、こんなにも客が入っているのに儲かってないなんてありえない。
「あー。ここは不具合品を買ってるから、店舗自体は儲かっているんだけど。不具合品な分故障が多いの。だから、事前に寄付金額を私に送って貰って渡してるだけだから」
「なるほどっす」
「じゃ、そのメダルが切れたらサバゲー行くよ」
「了解しやした!」
とは言っても3600枚のメダルを使い切るのに、二人で3時間ほどかかった。気付けばお昼の時間で、ファミレス経由でサバゲーに行くことになった。
「アレン。準備できた?」
「できやした! ところでお金はどうするんすか?」
「お金なら昨日下ろしてきたよ。結人さんに協力してもらって。予算は……」
ルグアが亜空間を使った。いつの間に習得していたらしい。それも俺よりも少し大きめだった。そこから出てきたのは大きなトランクバッグ。パカりと開けると中には……。
「ざっと、100万円かな? 寄付しないといけないところもあったし。はい。50万円。私は残りの50万円を使うから」
(いやいやこんな大金渡されても困るんすけど……)
ルグアから渡されたのは、なかなかに分厚い札束だった。さすがはお金持ち。だけどお小遣い数千円くらい、多くてもお年玉で1万円しか貰ったことがない俺は困り果ててしまった。
こんな大金の使い道が思いつかない。どこか高級レストランにでも行くのだろうか? なんだか雲行きが怪しくなってきた。
「さて、まずはおすすめのゲームセンターにでも行きますか……。アレン。メダルゲームとか好き? 年齢的にもパチスロは難しそうだし」
「パ、パチスロ……」
「もう、何怖気付いてるの」
「だ、だって意外だなぁって。思っただけっす」
ルグアからパチスロという言葉が出てくるとは、俺も正直びっくりした。だけど、俺は親と一緒にゲームセンターに行った時、親に内緒で遊んだことがある。ルールが分からなくてボロ負けしてたが……。
「そういえば、ルグ……。明理はパチスロやるんすか?」
「ん? 私はやらないよ? やったら出禁確定だし」
「で、出禁……」
「まあ、スロットならワンチャンあるけど。余裕で負けるし。ただお金をメダルに替えすぎて……メダルを在庫切れにさせたことならある」
お金の消費量が半端ない……。だけど、これでもお金が貯まるなんて……。俺は一瞬頭がクラっとした。ルグアもお金の使い方に悩んでいる。
それがわかっただけで嬉しかったけど、メダルに両替し過ぎて出禁ならばとんだやらかしすぎる。それくらいゲームが好きということにしておくことにした。
「じゃ行くよ。サバゲーも予定してるし。行きは結人さんに頼んでるから直通ね」
「了解しやした」
◇◇◇ゲームセンター◇◇◇
――ザワザワ……。
ルグアに案内されたゲームセンターは、それほど大きくない店舗だった。だけど、俺たちが入った瞬間店内がざわめき、熱視線がチリチリ焼いてくる。
もっと大きな店だと思っていたが、予想が外れた。というか、出禁経験者のルグアがこんな小さな店で目立つのは当たり前。有名人が入店したレベルに見られてる。
「じゃ、私はここで、20万寄付してくるから。ここの維持費の足しになればって感じで支援しているからね。亜蓮2万だけ使っていいよ。それ以上使うとメダルが切れるから」
「明理。わかりやした!」
「あと、空間魔法使う時は外でやってね」
「ラジャっす」
そうしてロビーで俺とルグアは別れた。メダルの両替機はロビーの脇にあって、ルグアから受け取った資金50万のうち2万を取り出す。
だけど、俺はメダルゲームはコツを掴んでるし、親からパチスロを禁止されてからメダル落とししか興味がなくなった。
まずは5000円だけメダルにして、3600枚用意。メダル落としは入口側にあって、「森物語」という機体の一号機を選んだ。
手前にメダル溜り。奥に駆動台のある普通の機体。この機体を使うのはこれが初めて。というのもアニメ原作の機体しか遊んでなかったので、メダルゲームスタートの機体は触れたことがなかった。
「えーと、駆動台が手前に動いたタイミングでメダルを入れるっと。あれ?」
(何かがおかしい……)
よく見ると駆動台の動きがやけに早かった。メダルを入れるタイミングはバッチリ。だけど、落ちるタイミングと駆動台が動くタイミングが合わない。
俺は数十枚ほど連続して入れる。だけど、結果は同じ。駆動台の上も溜まり場のようにメダルが積まれていく。
「ただいま。やっぱりここで遊んでたんだ」
「明理、おかえりっす。この機体どこか変なんすよね……」
「あ、それね。ここの店舗10年前からやってるんだけど、予算の都合で不具合品しか並んでないんだよ。この機体もそれ。ほらよく見てみて、駆動台の前後移動が激しいの」
それは俺も知っている。だけど、こんなにも客が入っているのに儲かってないなんてありえない。
「あー。ここは不具合品を買ってるから、店舗自体は儲かっているんだけど。不具合品な分故障が多いの。だから、事前に寄付金額を私に送って貰って渡してるだけだから」
「なるほどっす」
「じゃ、そのメダルが切れたらサバゲー行くよ」
「了解しやした!」
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