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第3章 ダークファンタジー編
第59話 ガロンとの再会
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「クエストの詳細ってなんすか?」
「そうだったね」
ルグアは、クエスト受注書の控えを取り出す。その枚数は5枚ほど。上質な用紙は入手できないためか、簡単にちぎれそうな穴あきの和紙だった。
偶然クワ科の木材があったので、ルグアが学生時代の記憶を頼りに作ったもの。
また、嬉しいことに、チェリス達が〝リアゼノン〟から、桑の枝木を持ってきたのもある。
かなり久しぶりの事だったようで、完成度はそれほど良くないけど、おかげで受注書を作成できている。
だけど、なん知ってるんだろ? それに、蚕は桑の葉しか食べないし。あの後残った枝木ってどうするんだろう?
「そもそも、枝木ごとは与えないよ。葉と枝木の間に、細くて緑色の枝があるんだけど、その部分から切り落としていたはず」
「なるほどっす……。その前にクエスト内容は?」
「脱線させたのは先輩じゃないですか‼」
(ギクッ⁉)
「リィファンに一票‼」
「ちょ、ルグアさんまでまで……」
なんか俺テンパってんじゃね? 絶対テンパってるって‼ 整理できないよ。できないんすけど‼
「それはアレンが整理しようとしないからでしょ?」
「あ、なるほど……」
よしよし、一旦冷静になろう。だけどやっぱり、ルグアが和紙の作り方知ってるのが気になる……。気になっちゃうんすけど‼
『モードレさーーーん‼』
遠くの方から聞こえてくる、女性の声と芝生をふむふむ音。だんだん声も大きくなり、俺達の前に姿を現したのは……。
「や、やっと追いついたのです……。合流したいと伝えたのに……。出発が早すぎです……はぁ……はぁ……」
「ガロンさん‼ お久しぶりっす‼」
「お、お久なのです……。け……ど……。今は……はぁ……休ませて……欲しい、のです……」
「ゆっくりでいいよ」
走って呼吸が乱れたガロンの背中を、ルグアが優しくさする。どんな時でも、どんな場面でも、メンバーファーストのルグア。
俺がリーダーをしていた時は、何をやっても上手くいかない、というか、逆にバラバラすぎて頭混乱してたわ。団長やっぱすごい、すごすぎっす。人数多いのにマジで……。
「人間観察。アレンこれ大事だからね。人によってできることが違うから。しっかりそれに合わせないと」
『明理さんの仰る通りです』
「リゲルもお久っすね。思えば、ハデスが主導権握っていた時は、何していたんすか?」
『僕ですか?』
今日は再会する人が多い。みんな懐かすぎるもん。俺にとってはだけど。ちょっとちがうか? ま、いいや。ほとんどの人が4ヶ月ぶりなんだから。俺はだけど。
『そうですね……』
リゲルの声が脳内で響く。発言に迷うような反応に、俺への視線が集中する。俺じゃないのに、顔が熱くなる恥ずかしさ。
長い長いシンキングタイム、かなり説明が難しいのか、質問した内容が少し不安になってくる。
『実は、妹のことが気になってしまいまして……』
「妹?」
そういえば、リゲルって妹三人いるんだっけ? 七人兄妹の大家族だったはず。でもなんで、今気になっているのかな?
「あの、リゲル? 実は私も気になってたことがあって……」
「ルグアさんなんすか?」
『明理さん。お聞きしてもいいですか?』
「はい……」
******
『……ルナジェインさん。私を呼んだ理由って?』
『通達についてか。昨晩の一件で貴殿の魔法を見た者が目をつけてな。
失われた古代魔法使いの一人なのではと。過去に息子も読んでいた文献に、旧王都ライナスに関する歴史が記されていた』
『その文献を書いた人って、旧統一者のユーラスさん?』
『いいや、著者はライナス王家第四女のレシフィナ。そこに〝ルグア〟という名前あってな……』
******
『レシフィナ……、たしかに僕の妹の名前ですが……。彼女が文献を書かれていたのは、初耳ですね』
「そうなんですね……」
『元々長く生きられなかった身ですから、もしかすると、それ以降に書かれていたのかと。残念ながら、今どこに所蔵されているかは知りませんので……』
「そうっすよね……」
『誠に申し訳ございません……』
リゲルの妹の本。どんな感じの本だったんだろう? 読んでみたいけど、場所が分からないんじゃ意味無いよね。
それに、雷夜が自宅に置いてる本も全部読みたいし……。ものすごいたくさんの本が、図書館級に並んでいるんだもん‼
いや待て。〝図書館並み〟?
「ルグア団長、リゲル。後で雷夜に聞くのはどうっすか?」
「なんで? あ、そういうことね。可能性はなくはないと思う」
『承知しました。では、僕はまた休憩していますね』
「了解しやした‼」
多分。リゲルにも知らない何かがある。早く解決したいけど。それをするためには、ちゃんと情報を集めないとだよね。
元統一者のルナジェインも気になるけど、それでもいいや。きっと終わらせないといけないクエストが、山のようにあるだろうし。
「ルグア、リィファン。それとガロンさんも。先にクエスト行くっすよ‼」
「そうだったね」
「……や、やっと落ち着いてきたのです……」
しかし、それよりも気になっていたのは……。
「で、結局どんなクエストを受注したんすか?」
「そうだったね」
ルグアは、クエスト受注書の控えを取り出す。その枚数は5枚ほど。上質な用紙は入手できないためか、簡単にちぎれそうな穴あきの和紙だった。
偶然クワ科の木材があったので、ルグアが学生時代の記憶を頼りに作ったもの。
また、嬉しいことに、チェリス達が〝リアゼノン〟から、桑の枝木を持ってきたのもある。
かなり久しぶりの事だったようで、完成度はそれほど良くないけど、おかげで受注書を作成できている。
だけど、なん知ってるんだろ? それに、蚕は桑の葉しか食べないし。あの後残った枝木ってどうするんだろう?
「そもそも、枝木ごとは与えないよ。葉と枝木の間に、細くて緑色の枝があるんだけど、その部分から切り落としていたはず」
「なるほどっす……。その前にクエスト内容は?」
「脱線させたのは先輩じゃないですか‼」
(ギクッ⁉)
「リィファンに一票‼」
「ちょ、ルグアさんまでまで……」
なんか俺テンパってんじゃね? 絶対テンパってるって‼ 整理できないよ。できないんすけど‼
「それはアレンが整理しようとしないからでしょ?」
「あ、なるほど……」
よしよし、一旦冷静になろう。だけどやっぱり、ルグアが和紙の作り方知ってるのが気になる……。気になっちゃうんすけど‼
『モードレさーーーん‼』
遠くの方から聞こえてくる、女性の声と芝生をふむふむ音。だんだん声も大きくなり、俺達の前に姿を現したのは……。
「や、やっと追いついたのです……。合流したいと伝えたのに……。出発が早すぎです……はぁ……はぁ……」
「ガロンさん‼ お久しぶりっす‼」
「お、お久なのです……。け……ど……。今は……はぁ……休ませて……欲しい、のです……」
「ゆっくりでいいよ」
走って呼吸が乱れたガロンの背中を、ルグアが優しくさする。どんな時でも、どんな場面でも、メンバーファーストのルグア。
俺がリーダーをしていた時は、何をやっても上手くいかない、というか、逆にバラバラすぎて頭混乱してたわ。団長やっぱすごい、すごすぎっす。人数多いのにマジで……。
「人間観察。アレンこれ大事だからね。人によってできることが違うから。しっかりそれに合わせないと」
『明理さんの仰る通りです』
「リゲルもお久っすね。思えば、ハデスが主導権握っていた時は、何していたんすか?」
『僕ですか?』
今日は再会する人が多い。みんな懐かすぎるもん。俺にとってはだけど。ちょっとちがうか? ま、いいや。ほとんどの人が4ヶ月ぶりなんだから。俺はだけど。
『そうですね……』
リゲルの声が脳内で響く。発言に迷うような反応に、俺への視線が集中する。俺じゃないのに、顔が熱くなる恥ずかしさ。
長い長いシンキングタイム、かなり説明が難しいのか、質問した内容が少し不安になってくる。
『実は、妹のことが気になってしまいまして……』
「妹?」
そういえば、リゲルって妹三人いるんだっけ? 七人兄妹の大家族だったはず。でもなんで、今気になっているのかな?
「あの、リゲル? 実は私も気になってたことがあって……」
「ルグアさんなんすか?」
『明理さん。お聞きしてもいいですか?』
「はい……」
******
『……ルナジェインさん。私を呼んだ理由って?』
『通達についてか。昨晩の一件で貴殿の魔法を見た者が目をつけてな。
失われた古代魔法使いの一人なのではと。過去に息子も読んでいた文献に、旧王都ライナスに関する歴史が記されていた』
『その文献を書いた人って、旧統一者のユーラスさん?』
『いいや、著者はライナス王家第四女のレシフィナ。そこに〝ルグア〟という名前あってな……』
******
『レシフィナ……、たしかに僕の妹の名前ですが……。彼女が文献を書かれていたのは、初耳ですね』
「そうなんですね……」
『元々長く生きられなかった身ですから、もしかすると、それ以降に書かれていたのかと。残念ながら、今どこに所蔵されているかは知りませんので……』
「そうっすよね……」
『誠に申し訳ございません……』
リゲルの妹の本。どんな感じの本だったんだろう? 読んでみたいけど、場所が分からないんじゃ意味無いよね。
それに、雷夜が自宅に置いてる本も全部読みたいし……。ものすごいたくさんの本が、図書館級に並んでいるんだもん‼
いや待て。〝図書館並み〟?
「ルグア団長、リゲル。後で雷夜に聞くのはどうっすか?」
「なんで? あ、そういうことね。可能性はなくはないと思う」
『承知しました。では、僕はまた休憩していますね』
「了解しやした‼」
多分。リゲルにも知らない何かがある。早く解決したいけど。それをするためには、ちゃんと情報を集めないとだよね。
元統一者のルナジェインも気になるけど、それでもいいや。きっと終わらせないといけないクエストが、山のようにあるだろうし。
「ルグア、リィファン。それとガロンさんも。先にクエスト行くっすよ‼」
「そうだったね」
「……や、やっと落ち着いてきたのです……」
しかし、それよりも気になっていたのは……。
「で、結局どんなクエストを受注したんすか?」
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