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第3章 ダークファンタジー編
第58話 お久のクエスト
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◇◇◇ゼヴァン平原◇◇◇
「先輩‼」
「リィファン待って……」
クエストが開始して早々、俺は完全に出遅れて足でまといになっていた。明理は半分スキップしているのか、回避練習なのか。リズムの良いステップを踏む。
久しぶりのクエスト。何を受注したのかわからないが――クエスト内容まで教えてもらっていない。
「そうだった。アレン」
「なんすかルグア」
「あはは……。もう呼び方ごちゃごちゃ……」
「仕方ないっすよ。ルグアの方が呼び慣れているっすから」
「そうだよね。あの……」
「ルグア?」
「挙式の件なんだけど……」
「……ッ⁉」
こ、このタイミングで〝挙式〟の話題⁉ いや、俺もルグアと結婚したいけど。したいけど資金ないし。場所もわからないし……。
どれだけの人数が入るのかもわからないよ。ルグアが言ってくれるのは嬉しいけど‼ タイミング的に厳しすぎない? 厳しいよね?
街だって復興が終わったばかりだし? みんな疲れてるし? リィファンは元気ハツラツだけど‼ 子供用栄養ドリンクの宣伝じゃないからね‼
「ガデルは、栄養ドリンク飲めないみたいだよ」
「そうなんすか?」
「うん。本人が言うには栄養価が高すぎるみたいで、すぐ鼻……」
「それ以上は言わなくて大丈夫っす……」
「了解‼」
俺は普通に魔剤(通称)とか飲むけどね‼ 体育会系だから、ちゃんと栄養補給しないと‼ 燃料不足は身体が持たない。
そう考えるとフォルテって機械じゃん‼ 燃料飲んでるのと一緒だよ‼ だけど、アルヴェリアでは普通のお酒のようで……。〈レイベル酒〉は。
「だけど、どうしてあの時。あのタイミングでバレンとジルグが来たんすかね……」
「どうしてだろう……。私も詳しくは知らないけど……」
「そうっすか……」
まだ公式で発表されていないこと。
〈ルナジェイン王の生死〉。
バレンが最後の手当てをしたけど、あのあとどうなったのかは公表していない。バレンのお父さん大丈夫なのかな? めちゃくちゃ心配なんだけど‼
それより、俺の家族はどう思っているんだろう? 寂しがってないかな? ずっと会えていないから。それに、父さんもアメリカから帰って来てると思うし……。
「ねぇアレンのお母さんって……」
「俺のお母さんっすか?」
「うん。なんか見覚えがある顔だったから」
「見覚え?」
「そう。もしかしてってね。お母さんの名前って」
「美紅っすけど……」
「やっぱり。アレンのお母さんとは、お世話になってるから」
「知ってるんすか?」
「だって、美紅さん。【アルファセントリア】の社員だもん」
えっマジ? 俺の母さんゲーム会社で働いてたの? 初耳なんすけど‼ 俺の母さんがゲーム作ってるてこと? 激ヤバ情報じゃん‼
「そうだよ? 美紅さんとはよく話してるからね……」
******
『巣籠さん。今日は来て頂きありがとうございます』
『ちょっと宮鳥さん。そんな改まらなくても……』
『いえいえ。巣籠さんのおかげで審査も順調ですし。社員一同感謝してますから』
『私はただ遊んでるだけですよ。宮鳥さん。思えば、お子さんいましたよね?』
『それって、亜蓮のことですか?』
『はい。少し前に骨折したって聞きましたけど……』
『ふふふ、もう5ヶ月前のことですよ。あの子諦めが悪いから、退院してすぐに部活再開してます……』
『そうだったんですね。では、私は次のゲームソフトを持ち帰りますね。亜蓮君には名前を伏せてお大事にと伝えてください』
******
「だからあの時……。母さんが……」
「骨折は大丈夫だった? 中学の体育祭」
「なんで知ってたんすか? もしかして……」
「私の弟が見学で行ってたから、その付き添い頼まれて」
「なるほどっす。って、弟いるんすか⁉」
「まだ話してなかったね……」
ぽっと顔をピンクに染めたルグア。その表情に癒される俺。そうこうしてるうちに、リィファンを見失ってしまった。
「ルグアさん。弟さんの話はまた今度で大丈夫っすから、今はリィファンを」
「急いで探すよ‼」
俺はオーラで、ルグアは勘とサブマップで、リィファンを探す。リィファンのオーラはエメラルドグリーン。緑が生い茂る平原では判別が難しい。
ルグアも難航しているのか。頭を抱える状態。まだ全部の地形を暗記してないリィファンに、何かがあれば先輩としての評価が落ちる。
必ずリィファンを見つけないと‼ 見つけて合流しないと‼ 寂しがってないかな? もしかしたら、リーちゃんに会いに行こうと?
『せーんぱい‼』
「ッ⁉」
どこかでリィファンの声がした。ルグアも首を左右に動かし、周囲を見回している。オーラは見えない。ルグアの勘でも無理。
空を触ろうとしても、何かに当たる感覚もしない。これは何が起きているのか? 俺こういうの苦手だから、よくわかんないけどね‼
「先輩‼」
――ぬすんっ‼
「うひゃぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉ だだ、誰っすか⁉ 俺触ったの⁉」
「リィファンでーーーーーす‼」(ニチャア)
「だから、しゅ……ゲフンゲフン。ちゃうわ‼」
突然現れたリィファン。どこから出てきたのか想像もつかないけど、合流でいいのだろうか? 俺とリィファンのボケツッコミに、ルグアはクスクス笑っている。
「さ、全員お揃いのようなので、今回のクエストをおさらいするよ‼」
「ルグア、おそろいとおさらいかけているっすよね?」
「はい‼ それに気づいた人はあとでおさらあらいね」
「なんでそうなんのーーー‼」
「ふふふ、やっぱりルグアさんとアレン先輩は面白い」(爆笑)
「先輩‼」
「リィファン待って……」
クエストが開始して早々、俺は完全に出遅れて足でまといになっていた。明理は半分スキップしているのか、回避練習なのか。リズムの良いステップを踏む。
久しぶりのクエスト。何を受注したのかわからないが――クエスト内容まで教えてもらっていない。
「そうだった。アレン」
「なんすかルグア」
「あはは……。もう呼び方ごちゃごちゃ……」
「仕方ないっすよ。ルグアの方が呼び慣れているっすから」
「そうだよね。あの……」
「ルグア?」
「挙式の件なんだけど……」
「……ッ⁉」
こ、このタイミングで〝挙式〟の話題⁉ いや、俺もルグアと結婚したいけど。したいけど資金ないし。場所もわからないし……。
どれだけの人数が入るのかもわからないよ。ルグアが言ってくれるのは嬉しいけど‼ タイミング的に厳しすぎない? 厳しいよね?
街だって復興が終わったばかりだし? みんな疲れてるし? リィファンは元気ハツラツだけど‼ 子供用栄養ドリンクの宣伝じゃないからね‼
「ガデルは、栄養ドリンク飲めないみたいだよ」
「そうなんすか?」
「うん。本人が言うには栄養価が高すぎるみたいで、すぐ鼻……」
「それ以上は言わなくて大丈夫っす……」
「了解‼」
俺は普通に魔剤(通称)とか飲むけどね‼ 体育会系だから、ちゃんと栄養補給しないと‼ 燃料不足は身体が持たない。
そう考えるとフォルテって機械じゃん‼ 燃料飲んでるのと一緒だよ‼ だけど、アルヴェリアでは普通のお酒のようで……。〈レイベル酒〉は。
「だけど、どうしてあの時。あのタイミングでバレンとジルグが来たんすかね……」
「どうしてだろう……。私も詳しくは知らないけど……」
「そうっすか……」
まだ公式で発表されていないこと。
〈ルナジェイン王の生死〉。
バレンが最後の手当てをしたけど、あのあとどうなったのかは公表していない。バレンのお父さん大丈夫なのかな? めちゃくちゃ心配なんだけど‼
それより、俺の家族はどう思っているんだろう? 寂しがってないかな? ずっと会えていないから。それに、父さんもアメリカから帰って来てると思うし……。
「ねぇアレンのお母さんって……」
「俺のお母さんっすか?」
「うん。なんか見覚えがある顔だったから」
「見覚え?」
「そう。もしかしてってね。お母さんの名前って」
「美紅っすけど……」
「やっぱり。アレンのお母さんとは、お世話になってるから」
「知ってるんすか?」
「だって、美紅さん。【アルファセントリア】の社員だもん」
えっマジ? 俺の母さんゲーム会社で働いてたの? 初耳なんすけど‼ 俺の母さんがゲーム作ってるてこと? 激ヤバ情報じゃん‼
「そうだよ? 美紅さんとはよく話してるからね……」
******
『巣籠さん。今日は来て頂きありがとうございます』
『ちょっと宮鳥さん。そんな改まらなくても……』
『いえいえ。巣籠さんのおかげで審査も順調ですし。社員一同感謝してますから』
『私はただ遊んでるだけですよ。宮鳥さん。思えば、お子さんいましたよね?』
『それって、亜蓮のことですか?』
『はい。少し前に骨折したって聞きましたけど……』
『ふふふ、もう5ヶ月前のことですよ。あの子諦めが悪いから、退院してすぐに部活再開してます……』
『そうだったんですね。では、私は次のゲームソフトを持ち帰りますね。亜蓮君には名前を伏せてお大事にと伝えてください』
******
「だからあの時……。母さんが……」
「骨折は大丈夫だった? 中学の体育祭」
「なんで知ってたんすか? もしかして……」
「私の弟が見学で行ってたから、その付き添い頼まれて」
「なるほどっす。って、弟いるんすか⁉」
「まだ話してなかったね……」
ぽっと顔をピンクに染めたルグア。その表情に癒される俺。そうこうしてるうちに、リィファンを見失ってしまった。
「ルグアさん。弟さんの話はまた今度で大丈夫っすから、今はリィファンを」
「急いで探すよ‼」
俺はオーラで、ルグアは勘とサブマップで、リィファンを探す。リィファンのオーラはエメラルドグリーン。緑が生い茂る平原では判別が難しい。
ルグアも難航しているのか。頭を抱える状態。まだ全部の地形を暗記してないリィファンに、何かがあれば先輩としての評価が落ちる。
必ずリィファンを見つけないと‼ 見つけて合流しないと‼ 寂しがってないかな? もしかしたら、リーちゃんに会いに行こうと?
『せーんぱい‼』
「ッ⁉」
どこかでリィファンの声がした。ルグアも首を左右に動かし、周囲を見回している。オーラは見えない。ルグアの勘でも無理。
空を触ろうとしても、何かに当たる感覚もしない。これは何が起きているのか? 俺こういうの苦手だから、よくわかんないけどね‼
「先輩‼」
――ぬすんっ‼
「うひゃぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉ だだ、誰っすか⁉ 俺触ったの⁉」
「リィファンでーーーーーす‼」(ニチャア)
「だから、しゅ……ゲフンゲフン。ちゃうわ‼」
突然現れたリィファン。どこから出てきたのか想像もつかないけど、合流でいいのだろうか? 俺とリィファンのボケツッコミに、ルグアはクスクス笑っている。
「さ、全員お揃いのようなので、今回のクエストをおさらいするよ‼」
「ルグア、おそろいとおさらいかけているっすよね?」
「はい‼ それに気づいた人はあとでおさらあらいね」
「なんでそうなんのーーー‼」
「ふふふ、やっぱりルグアさんとアレン先輩は面白い」(爆笑)
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