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第3章
第23話 王族会議を控えて
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◇◇◇明理目線◇◇◇
「アレン大丈夫かな……」
私はバレンを抱えて、ベッドのある控え室へ。まさか、あんな事故が起こるとは、予想してなかった。
あれはキスと捉えるべきか? 私は拭いきれない複雑な感情に、胸が苦しくなる。でも、その苦しみは、高揚によるものではなかった。
――ボコン……。
身体に埋め込んだ爆弾の爆発音。一つだけではない。複数個が連鎖して破裂する。ここまで耐えているのも、はたから見たら不自然だ。
「……うぅ」
『明理。ほんと大丈夫なのか? オレが見てなかったのも悪かったが……』
「……だい……じょうぶ。自分で決めたことだから……ね」
『それでも、心配かけてばっかじゃないか。らしくねぇよ。以前はもんすごいオレの飲酒量とか管理してたし。周波数の設定も控えていたし』
「フォルテ……」
『それに。今よりもっと身体を労わっていたからさ』
フォルテが心配してる。私にとって、一番身近な存在だから。そんなに私のことを思っていたなんて……。私は何を踏み間違えたのだろうか?
アレンはこの前『ルグアは嘘がつけないから』と言っていた。朧げだから続く言葉が思い出せない。彼の言う通り、私は嘘をつけない。
なんでも真実を語るから、それが踏み間違いに繋がったという可能性。そう考えるしかなかった。これしか理由として挙げることができない。
――『明理。聞こえますか?』
「ウェンドラさん。なにかあったんですか?」
――『ええ、先程〝樋上或斗〟院長からお電話をもらいまして……』
「院長から?」
――『繋げますか?』
ゲームや異世界での通知管理は、全てウェンドラが担当している。だから、現実世界との連絡も、ウェンドラ経由だ。
ちなみに、私の連絡帳もウェンドラが暗記していて、着信時はリアルタイムで教えてくれる。異世界観光大使のような立ち位置だろうか。
「ウェンドラさん。不在着信とかは?」
――『あります。ですが、内容は後日連絡のみでした』
「ありがとうございます。今回はパスで」
――『かしこまりました』
或斗院長は私の主治医。そして、私をよく知ってる人。ただし、私とは真逆のゲーム嫌いだった。ゲーム制限も或斗院長が決めたこと。
私が強力な負荷で意識を失った時。心肺停止として誤診。意識はあったから、心肺停止ではないんだけど……。それくらい私を敵視している。
目的は違えど、狙いはウェンドラと同じなのかもしれない。私がいなくなった時。起こる現象と考えられること……。
「ゲームの消滅……」
『明理。それって……』
「もしこれが現実になれば、一生フォルテと話せなくなるね……」
「マジかよ……」
「嫌なのは私も一緒だよ。それに或斗院長は、私に埋め込んでる爆弾を知っていた。爆弾の起爆装置も持ってた。加えて、私の身体を充電器に……」
『おい、まさか明理』
「その〝まさか〟かもしれない」
私を充電器に。できるとすれば、心拍数しかない。私の心拍数を上昇させて、設置した爆弾が伸び縮みすることで、電気を作り出す。
となると、私の心拍数を上げれば……。
『明理やめとけって』
「ちょっとね……」
『ちょっとって。いくら耐えられるお前でもよ……』
「ウェンドラさん。今私のゲーム機って」
――『アップデート可能です。今現在よりも強力な周波数に設定できます。700極段階に』
「700極の0って……」
――『50個です』
「それなら、今すぐデバイスアップデートをお願いします」
こういうのは即断即決。アップデートも数分で終わり、私は倍率に悩みながら、寝る準備をする。今は300段階。必ずここまで落としているけど……。
『あんま負荷強くしすぎんなよ……』
「それくらいわかってるよ。だけど、今まで以上に強くしておきたい……かな? この前は5000億倍。えーと段階数は……」
――『200億段階ですね』
「そそ。だから今回は……。50京段階にしてみようかな? ちょうど寝ようとしてたし」
『ご、50京って……』
――『それはさすがにいけません』
「よし。これで確定っと。ごめん。もう50京にしちゃった。あと、50京って0いくつだっけ?」
『それ聞くのが先だろ‼』
――『フォルテのおっしゃる通りです‼ 何無茶で無謀なことをするのですか‼』
「あ、あはは……。の前に0の数教えて……」
――『17です』
「17個……。もうちょい強くてもいけるかな? 64って」
――『不・可・思・議。まだそこまで反映できませんよ。近日出しますが……』
(不可思議。不可思議の次ってなんだっけ?)
安定の数字ボケ。数学や算数は大嫌い……。0見るだけで頭痛くなる。それよりも先に熱を持ち始めた脳。爆弾も爆発して、身体中に衝撃を与える。
「負荷も……。やっぱり、1極にしとこ……。フォルテおやすみ」
『おやすみ明理。ぶっ倒れるなよ?』
「う、うん」
『んじゃ、オレも寝るか……。理由はねぇけど……。あ、次6月10日にアグラスと酒飲むから、そんときは頼む』
「6月10日ね。了解。飲みすぎ注意だよ」
『安心しろって。飲むって言っても、ノンアルだしな』
「アレン大丈夫かな……」
私はバレンを抱えて、ベッドのある控え室へ。まさか、あんな事故が起こるとは、予想してなかった。
あれはキスと捉えるべきか? 私は拭いきれない複雑な感情に、胸が苦しくなる。でも、その苦しみは、高揚によるものではなかった。
――ボコン……。
身体に埋め込んだ爆弾の爆発音。一つだけではない。複数個が連鎖して破裂する。ここまで耐えているのも、はたから見たら不自然だ。
「……うぅ」
『明理。ほんと大丈夫なのか? オレが見てなかったのも悪かったが……』
「……だい……じょうぶ。自分で決めたことだから……ね」
『それでも、心配かけてばっかじゃないか。らしくねぇよ。以前はもんすごいオレの飲酒量とか管理してたし。周波数の設定も控えていたし』
「フォルテ……」
『それに。今よりもっと身体を労わっていたからさ』
フォルテが心配してる。私にとって、一番身近な存在だから。そんなに私のことを思っていたなんて……。私は何を踏み間違えたのだろうか?
アレンはこの前『ルグアは嘘がつけないから』と言っていた。朧げだから続く言葉が思い出せない。彼の言う通り、私は嘘をつけない。
なんでも真実を語るから、それが踏み間違いに繋がったという可能性。そう考えるしかなかった。これしか理由として挙げることができない。
――『明理。聞こえますか?』
「ウェンドラさん。なにかあったんですか?」
――『ええ、先程〝樋上或斗〟院長からお電話をもらいまして……』
「院長から?」
――『繋げますか?』
ゲームや異世界での通知管理は、全てウェンドラが担当している。だから、現実世界との連絡も、ウェンドラ経由だ。
ちなみに、私の連絡帳もウェンドラが暗記していて、着信時はリアルタイムで教えてくれる。異世界観光大使のような立ち位置だろうか。
「ウェンドラさん。不在着信とかは?」
――『あります。ですが、内容は後日連絡のみでした』
「ありがとうございます。今回はパスで」
――『かしこまりました』
或斗院長は私の主治医。そして、私をよく知ってる人。ただし、私とは真逆のゲーム嫌いだった。ゲーム制限も或斗院長が決めたこと。
私が強力な負荷で意識を失った時。心肺停止として誤診。意識はあったから、心肺停止ではないんだけど……。それくらい私を敵視している。
目的は違えど、狙いはウェンドラと同じなのかもしれない。私がいなくなった時。起こる現象と考えられること……。
「ゲームの消滅……」
『明理。それって……』
「もしこれが現実になれば、一生フォルテと話せなくなるね……」
「マジかよ……」
「嫌なのは私も一緒だよ。それに或斗院長は、私に埋め込んでる爆弾を知っていた。爆弾の起爆装置も持ってた。加えて、私の身体を充電器に……」
『おい、まさか明理』
「その〝まさか〟かもしれない」
私を充電器に。できるとすれば、心拍数しかない。私の心拍数を上昇させて、設置した爆弾が伸び縮みすることで、電気を作り出す。
となると、私の心拍数を上げれば……。
『明理やめとけって』
「ちょっとね……」
『ちょっとって。いくら耐えられるお前でもよ……』
「ウェンドラさん。今私のゲーム機って」
――『アップデート可能です。今現在よりも強力な周波数に設定できます。700極段階に』
「700極の0って……」
――『50個です』
「それなら、今すぐデバイスアップデートをお願いします」
こういうのは即断即決。アップデートも数分で終わり、私は倍率に悩みながら、寝る準備をする。今は300段階。必ずここまで落としているけど……。
『あんま負荷強くしすぎんなよ……』
「それくらいわかってるよ。だけど、今まで以上に強くしておきたい……かな? この前は5000億倍。えーと段階数は……」
――『200億段階ですね』
「そそ。だから今回は……。50京段階にしてみようかな? ちょうど寝ようとしてたし」
『ご、50京って……』
――『それはさすがにいけません』
「よし。これで確定っと。ごめん。もう50京にしちゃった。あと、50京って0いくつだっけ?」
『それ聞くのが先だろ‼』
――『フォルテのおっしゃる通りです‼ 何無茶で無謀なことをするのですか‼』
「あ、あはは……。の前に0の数教えて……」
――『17です』
「17個……。もうちょい強くてもいけるかな? 64って」
――『不・可・思・議。まだそこまで反映できませんよ。近日出しますが……』
(不可思議。不可思議の次ってなんだっけ?)
安定の数字ボケ。数学や算数は大嫌い……。0見るだけで頭痛くなる。それよりも先に熱を持ち始めた脳。爆弾も爆発して、身体中に衝撃を与える。
「負荷も……。やっぱり、1極にしとこ……。フォルテおやすみ」
『おやすみ明理。ぶっ倒れるなよ?』
「う、うん」
『んじゃ、オレも寝るか……。理由はねぇけど……。あ、次6月10日にアグラスと酒飲むから、そんときは頼む』
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