リアゼノン・オンライン ~プレイ中のゲームから異世界に連行された俺は、多くの人に学ぶ中で最強を目指す。現在地球は大変だそうです

八ッ坂千鶴

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第3章

第15話 作者の弱点

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「バレン。まだ顔赤いっすね……」
「だな。ま、嫉妬するのに無理はない……」
「そうっすね……。思えば、ルグアは嫉妬したことあるんすか?」

 俺の予想だと、彼女はバレンに嫉妬を抱いているかもしれない。バレンはルグアの弱点を教えてくれた。
 ただ、彼女は嘘をつかない人。ついてもバレるくらい誤魔化しが下手で、俺でもわかってしまう。
 今回の質問は難易度が高いのか、解答に困った様子のルグア。くすみ顔のまま固まっている。

「ルグア?」
「あ、いや、なんでもない。ちょっとな……」
「もしかして、〝嫉妬〟っすか?」
「そうだ。あんま嫉妬したってことはねぇけど……」
「その……。それってバレンのことだったりして……」
「だな。あいつには敵わないよ。私の剣を抑え込むレベルだからな」

 そんなにバレンて強いんだ。神より神の人もいるんだなぁ。今度俺に稽古つけてくれるらしいし。なんだかワクワクしてきた‼
 バレンて、どこまで強いんだろ? ルグアが倒せないくらいなんだから‼

「対処法はもう完成済みだけどよ」
「えーーーーーーーーー⁉ ってことは、もう対等に戦えるってことっすか?」
「さあな。実践しなけりゃわかんねぇって」
「ですよねぇー」
「あはは。バレン、こう言ってただろ? 『攻防一体ではなく、攻撃と防御で極端になってる』ってさ」

 自覚してたの⁉ マジ? バレン『自覚してない』って言ってたよ? もしかしてこれはお得意の……。

「演技だな。ま、バレンのナンバーが不明で、意思疎通ができなかったってのは、ほんとのこと。バレンがイフリートの力を使ったタイミングで判明した。
 それからだな、気付かされたのは。あれもあれで演技だけどよ。腕試しの時は、攻防別々。いざってなれば攻防一体も可能さ」
「マジっすか⁉」
「なんなら、攻防一体で相手してやろうか? バレンの方が教え方上手いだろうけど……」
「ってことは?」
「つまりは、別々でのバトルがメイン。攻防一体はほとんど使わない」

 戦闘スタイルの違い。はっきりしててわかりやすい‼ ルグアはやっぱり極端なやつってこと? なんかそれもかっこいい‼
 なにもかもがめちゃくちゃ。だけどしっかりしてて、違和感ゼロ‼ かっこいいから気にならない‼ やっぱ〝らしさ〟って大切なんかな?
 俺の〝らしさ〟ってなんだろ?

「らしさ……。らしさ……」
「ん? どうした?」
「いや、ぜんぜんなにも……」
「そうか。別に、無理に〝らしさ〟を探す必要性はないんじゃないか? そういうのは、自分で決めるよりも、他人に聞いた方がいい。
 他人が自分のことをどう思っているか? その人が自分と比べた時、その相手が持ってなくて、自分だけが持っているもの。
 それを貫くことで、〝らしさ〟が伝わるようになる。まあ、個人的なことではあるが……」
「他人が見て、俺しか持っていないもの……っすか……。よく考えればそういうのって、自分にだけのものを自分で見つけるのは、難しいっすもんね……」
「そうでもないと思うけどな。自己分析が出来れば、捉え方も変わってくるからさ」

 自己分析……。俺、イマイチわからない……。自己分析やったことない。

「予想通りだ。自己分析がしっかりできてないからこそ、失敗も多くなるし。今後の改善点も不明瞭のまま。
 割り切るってのも重要だな。これは、ガデルがめっちゃ苦手な部分でさ……。私や彼女の家族が助太刀しても、なんも聞きやしない」
「ガデルさん死角ヤバいッすね……」
「だからなんだよ。ガデルは言うだけ言ってだしさ。雷夜に聞いたが、本を読んでないらしい。風魔と雷夜の家は図書館なのにさ」

 ガデルって本読まないんだ……。作家だから、たくさん読んでいるかと思ってた。けど、読まなきゃ意味なくね?
 俺も読書好きだけど、読まない日はほとんどないし。むしろ大量に借りて読んでるし。ゲームでもストーリー性重視。
 そう、ストーリー性重視の中身は、肉厚ジューシーで情報たっぷり。小説漫画新聞なら、単語の肉汁ブッシャーーだよ‼

「お前東京出身だろ?」
「千葉近いっすよ?」
「ゆ○○○も東京って付いてるけど、千葉だよな」
「そうっしたね。ってどんだけ伏せているんすか?」
「本家の諸事情で禁句なんだってよ。いつか行きたいなぁ東京――――――に」
「俺も行って良いっすか? 東京――――――に?」

 ルグアと旅行かぁ~。俺超絶楽しみなんだけど‼ 俺と二人っきり。もうサイコーじゃん‼ 貸し切りとかしたい‼
 でも、二人だけだと寂しいか。なら、ギルドメンバーも全員呼ぼ‼ 人数多ければめっちゃ楽しいもんね‼ 俺ナイスアイディア‼

「お、なら大歓迎だ。レストランの食事代は私が全額払ってやるからさ」
「宿泊費もお願い……」
「それは自分で払え」
「万超えるから無……」
「冗談だよ。私が支払うに決まってるだろ‼」
「良かった……。焦りかけたじゃないっすか‼」

『せんぱーーい‼』

 話題が途切れた時にやってきたのは、後輩のリィファン。ゆっくり寝れたようで、足早に歩いてくる。表情もスッキリさっぱりさっぱりだ。

「おはっす。リィファン」
「おはようございます。先輩。ルグアさんも」
「改めて、二人ともクエストお疲れ様。今日からしばらく休んで良いそうだ。ルーアが出張でいなくなるからな」
「王族会議っすね‼」
「そうだ。私はそれに同行する。アレンにはすでに伝えたが、リィファンも参加者に入っているんだ。日時は3日後の6月1日。
 それまで、自由に行動していいからさ」
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