195 / 341
第2章後編
第86話 燃えるルグアとイフリート
しおりを挟む
◇アレンがアグマ活火山を離れて数分後◇
「さて……。アレンが来るまで耐久戦か……。大歓迎だからいいけど……。誰もいないし、どうせ外部から見えないから装備を全て外してっと……」
アレンにお使いを頼み、一人活火山内部に残ったルグア。人気がないのを好機とみたのか防具を外す。
最初から軽装だった彼女。熱気が充満しているのも気にせず待機。なにかを待っているようだ。
「ふぅ……。クリムいるんでしょ?」
〖お主なら簡単じゃろ?〗
「だね。ねぇ、例の相手に挨拶しないの?」
〖例のとな?〗
「【イフリート】だよ。イフリートだけは私も知り合いだからね」
〖そうじゃな……。我も顔合わせして来ようかのう〗
「事前に頼んでいたこともあるからね。どうやら侵食の影響で、ストレス溜まってるみたいだし。そのストレス発散で私も来ているから」
【イフリート】。ここでは、よくある火属性の悪魔だが、それはクリスタルに封印されている。
現在のアルヴェリア各地には、全8体の上位精霊が存在。
それらが一定を維持することで、環境をコントロールしている。
創世と破壊0のゼウスとハデス。雷の1トール。水の2リヴァイアス。
闇の3バハムート。光の4ヘイムダル。風の5シルフィード。そして、火の6……。
「イフリート……。今どうしているのかな?」
〖どうだかのう……。我も久々と言えば久々じゃが……。かのゲームボスとなってからは会っとらん……〗
「そう……だよね……」
イフリートは、火山の噴火活動や地熱発電を担っており、リヴァイアスとの相性がいい。双方が同時に動くことで、湿度を保つのだ。
そのような相手が侵食されている。進み続ける環境問題。これらは異世界も現実でも大差がないらしい。
ルグアが待ち望む相手がイフリート。彼女の身体は炎に包まれ、なにかををつぶやく。
「じゃ、最初は挨拶かな? お久しぶりです。イフリートさん。今、救世主を呼んでいるので安心してください。
鬱憤ばらしは私が相手します。不満全部その業火でぶつけてください。いくらでも温度を上げて大丈夫なので」
◇◇◇アレン目線◇◇◇
「また寝てる……。いや、まだ寝てるっすね……」
「アレンさん。バレンを背負って何しているんですか?」
「あ、いや。ちょっとね。団長に頼まれたんすよ」
「そうなんですね」
「そういうガデルさんは、執筆どんな感じなんすか?」
超特急でシュトラウトに戻り、バレンを連れ出そうとする俺。ここは、バレン達の拠点兼住居の冒険者ギルド。
急いで団長がいる活火山に行きたいけど、ガデルに引き止められていた。ガデルは小説家を目指す卵で、作者でもある。
けど、やっぱり作者が本編出てるって、ヤバすぎだよ‼ いつポックリ逝くんだよ‼ 普通のプレイヤーじゃん‼
後日ウェンドラさんに聞いたけど、システム上ではオンラインとのこと。でも、ここ異世界だよ‼ 何もかもが非常識‼
特にルグアは神超えて全能神だよ‼ 俺は絶対そう思う。絶対全能神‼ ザ・ゴッド‼ 異常人物‼ ドM馬鹿‼
「ちょっとアレンさん‼」
「あ、すんませんした……」
「別にいいですよ。実は最近執筆が進まなくて……」
「どうしてっすか?」
「いえ、そこまで重大なことじゃないんですけど……」
「重大じゃないって……」
――『あー。あー。アレン聞こえるか?』
「団長‼」
ルグア団長の通信魔法は高性能だから通信環境チェックいらないのに……。長文しすぎたかな? 一息で言えた自分すげー。
口の回り良くなったのかな? 俺の呂律覚醒した系? そんなに早口言葉得意じゃないけど、早口言葉言えると嬉しい。
誰か早口言葉で勝負してくれる人いるかな? 絶対勝ちたい勝ち取りたお……。うわッ‼ 噛んだ‼ さっき舌かみました‼ てへっ。
――『遊んでる場合かよ……。アレン今どこだ?』
「シュトラウトっすけど……。ガデルさんに止められまいた」(舌が痛い……)
――『そうか』
「その……。今ぽっと浮かんだんすけど。クエストの控えは?」
――『それなら全部ガデルに預けている。あと、さっきアレンが倒したアイアンゴーレムのドロップで、耐燃焼カバンを作って渡しておいた。そこに控えと……』
「控えと? なんすか?」
――『イフリートさんに渡す用の水入り瓶40本』
「イフリートさん? って誰?」
「……気持ちよく寝れねぇじゃねぇかよ。うっせぇな……」
「バレンさん。おはようっす」
愚痴を飛ばして目を覚ましたバレン。どうしても、彼特有の色がわからない。ここに存在していないかのように。
それより、なんでバレンを連れて来て欲しいんだろ? あと〝イフリート〟さんって誰? イフリートって悪魔だよね?
「チビこそ今どこにいる」
――『ん? アグマ活火山だけど……』
「あぐッ⁉」
――『服脱いでるし……。イフリートさんに燃やされてるし……。超絶高温の黒炎で全身ファイヤーしてる』
「チビの頭ぶん殴るそ‼ 俺も人のこと言えねぇけどよ……。一般人が生きてるわけねぇんだぞ‼」
――『知ってるよ? それに、イフリートさんとは知り合いだし。あ、これみんなに内緒ね? アレンも他人にバラすなよ‼』
「は、はい。わかりやした……」
――『ってことで、こちらからは以上だ。切るぞ‼』
口調の切り替えやっぱ早ッ‼ 癖の違いわかりやすいし、どうしてできるの? でもこれから活火山に戻らないと‼
「ガデルさん行ってきやす‼」
「待って‼」
「ふぇ?」
「私も一緒に連れてってください‼」
「さて……。アレンが来るまで耐久戦か……。大歓迎だからいいけど……。誰もいないし、どうせ外部から見えないから装備を全て外してっと……」
アレンにお使いを頼み、一人活火山内部に残ったルグア。人気がないのを好機とみたのか防具を外す。
最初から軽装だった彼女。熱気が充満しているのも気にせず待機。なにかを待っているようだ。
「ふぅ……。クリムいるんでしょ?」
〖お主なら簡単じゃろ?〗
「だね。ねぇ、例の相手に挨拶しないの?」
〖例のとな?〗
「【イフリート】だよ。イフリートだけは私も知り合いだからね」
〖そうじゃな……。我も顔合わせして来ようかのう〗
「事前に頼んでいたこともあるからね。どうやら侵食の影響で、ストレス溜まってるみたいだし。そのストレス発散で私も来ているから」
【イフリート】。ここでは、よくある火属性の悪魔だが、それはクリスタルに封印されている。
現在のアルヴェリア各地には、全8体の上位精霊が存在。
それらが一定を維持することで、環境をコントロールしている。
創世と破壊0のゼウスとハデス。雷の1トール。水の2リヴァイアス。
闇の3バハムート。光の4ヘイムダル。風の5シルフィード。そして、火の6……。
「イフリート……。今どうしているのかな?」
〖どうだかのう……。我も久々と言えば久々じゃが……。かのゲームボスとなってからは会っとらん……〗
「そう……だよね……」
イフリートは、火山の噴火活動や地熱発電を担っており、リヴァイアスとの相性がいい。双方が同時に動くことで、湿度を保つのだ。
そのような相手が侵食されている。進み続ける環境問題。これらは異世界も現実でも大差がないらしい。
ルグアが待ち望む相手がイフリート。彼女の身体は炎に包まれ、なにかををつぶやく。
「じゃ、最初は挨拶かな? お久しぶりです。イフリートさん。今、救世主を呼んでいるので安心してください。
鬱憤ばらしは私が相手します。不満全部その業火でぶつけてください。いくらでも温度を上げて大丈夫なので」
◇◇◇アレン目線◇◇◇
「また寝てる……。いや、まだ寝てるっすね……」
「アレンさん。バレンを背負って何しているんですか?」
「あ、いや。ちょっとね。団長に頼まれたんすよ」
「そうなんですね」
「そういうガデルさんは、執筆どんな感じなんすか?」
超特急でシュトラウトに戻り、バレンを連れ出そうとする俺。ここは、バレン達の拠点兼住居の冒険者ギルド。
急いで団長がいる活火山に行きたいけど、ガデルに引き止められていた。ガデルは小説家を目指す卵で、作者でもある。
けど、やっぱり作者が本編出てるって、ヤバすぎだよ‼ いつポックリ逝くんだよ‼ 普通のプレイヤーじゃん‼
後日ウェンドラさんに聞いたけど、システム上ではオンラインとのこと。でも、ここ異世界だよ‼ 何もかもが非常識‼
特にルグアは神超えて全能神だよ‼ 俺は絶対そう思う。絶対全能神‼ ザ・ゴッド‼ 異常人物‼ ドM馬鹿‼
「ちょっとアレンさん‼」
「あ、すんませんした……」
「別にいいですよ。実は最近執筆が進まなくて……」
「どうしてっすか?」
「いえ、そこまで重大なことじゃないんですけど……」
「重大じゃないって……」
――『あー。あー。アレン聞こえるか?』
「団長‼」
ルグア団長の通信魔法は高性能だから通信環境チェックいらないのに……。長文しすぎたかな? 一息で言えた自分すげー。
口の回り良くなったのかな? 俺の呂律覚醒した系? そんなに早口言葉得意じゃないけど、早口言葉言えると嬉しい。
誰か早口言葉で勝負してくれる人いるかな? 絶対勝ちたい勝ち取りたお……。うわッ‼ 噛んだ‼ さっき舌かみました‼ てへっ。
――『遊んでる場合かよ……。アレン今どこだ?』
「シュトラウトっすけど……。ガデルさんに止められまいた」(舌が痛い……)
――『そうか』
「その……。今ぽっと浮かんだんすけど。クエストの控えは?」
――『それなら全部ガデルに預けている。あと、さっきアレンが倒したアイアンゴーレムのドロップで、耐燃焼カバンを作って渡しておいた。そこに控えと……』
「控えと? なんすか?」
――『イフリートさんに渡す用の水入り瓶40本』
「イフリートさん? って誰?」
「……気持ちよく寝れねぇじゃねぇかよ。うっせぇな……」
「バレンさん。おはようっす」
愚痴を飛ばして目を覚ましたバレン。どうしても、彼特有の色がわからない。ここに存在していないかのように。
それより、なんでバレンを連れて来て欲しいんだろ? あと〝イフリート〟さんって誰? イフリートって悪魔だよね?
「チビこそ今どこにいる」
――『ん? アグマ活火山だけど……』
「あぐッ⁉」
――『服脱いでるし……。イフリートさんに燃やされてるし……。超絶高温の黒炎で全身ファイヤーしてる』
「チビの頭ぶん殴るそ‼ 俺も人のこと言えねぇけどよ……。一般人が生きてるわけねぇんだぞ‼」
――『知ってるよ? それに、イフリートさんとは知り合いだし。あ、これみんなに内緒ね? アレンも他人にバラすなよ‼』
「は、はい。わかりやした……」
――『ってことで、こちらからは以上だ。切るぞ‼』
口調の切り替えやっぱ早ッ‼ 癖の違いわかりやすいし、どうしてできるの? でもこれから活火山に戻らないと‼
「ガデルさん行ってきやす‼」
「待って‼」
「ふぇ?」
「私も一緒に連れてってください‼」
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
ビースト・オンライン 〜追憶の道しるべ。操作ミスで兎になった俺は、仲間の記憶を辿り世界を紐解く〜
八ッ坂千鶴
SF
普通の高校生の少年は高熱と酷い風邪に悩まされていた。くしゃみが止まらず学校にも行けないまま1週間。そんな彼を心配して、母親はとあるゲームを差し出す。
そして、そのゲームはやがて彼を大事件に巻き込んでいく……!
※感想は私のXのDMか小説家になろうの感想欄にお願いします。小説家になろうの感想は非ログインユーザーでも記入可能です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
データワールド(DataWorld)
大斗ダイソン
SF
あらすじ
現代日本、高校生の神夜蒼麻は、親友の玄芳暁斗と共に日常を送っていた。しかし、ある日、不可解な現象に遭遇し、二人は突如として仮想世界(データワールド)に転送されてしまう。
その仮想世界は、かつて禁止された「人体粒子化」実験の結果として生まれた場所だった。そこでは、現実世界から転送された人々がNPC化し、記憶を失った状態で存在していた。
一方、霧咲祇那という少女は、長らくNPCとして機能していたが、謎の白髪の男によって記憶を取り戻す。彼女は自分が仮想世界にいることを再認識し、過去の出来事を思い出す。白髪の男は彼女に協力を求めるが、その真意は不明瞭なままだ。
物語は、現実世界での「人体粒子化」実験の真相、仮想世界の本質、そして登場人物たちの過去と未来が絡み合う。神夜と暁斗は新たな環境に適応しながら、この世界の謎を解き明かそうとする。一方、霧咲祇那は復讐の念に駆られながらも、白髪の男の提案に悩む。
仮想世界では200年もの時が流れ、独特の文化や秩序が形成されていた。発光する星空や、現実とは異なる物理法則など、幻想的な要素が日常に溶け込んでいる。
登場人物たちは、自分たちの存在意義や、現実世界との関係性を模索しながら、仮想世界を揺るがす大きな陰謀に巻き込まれていく。果たして彼らは真実にたどり着き、自由を手に入れることができるのか。そして、現実世界と仮想世界の境界線は、どのように変化していくのか。
この物語は、SFとファンタジーの要素を融合させながら、人間の記憶、感情、そしてアイデンティティの本質に迫る壮大な冒険譚である。
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
春空VRオンライン ~島から出ない採取生産職ののんびり体験記~
滝川 海老郎
SF
新作のフルダイブVRMMOが発売になる。 最初の舞台は「チュートリ島」という小島で正式リリースまではこの島で過ごすことになっていた。
島で釣りをしたり、スライム狩りをしたり、探険したり、干物のアルバイトをしたり、宝探しトレジャーハントをしたり、のんびり、のほほんと、過ごしていく。
法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘
橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった
その人との出会いは歓迎すべきものではなかった
これは悲しい『出会い』の物語
『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる
法術装甲隊ダグフェロン 第三部
遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』は法術の新たな可能性を追求する司法局の要請により『05式広域制圧砲』と言う新兵器の実験に駆り出される。その兵器は法術の特性を生かして敵を殺傷せずにその意識を奪うと言う兵器で、対ゲリラ戦等の『特殊な部隊』と呼ばれる司法局実働部隊に適した兵器だった。
一方、遼州系第二惑星の大国『甲武』では、国家の意思決定最高機関『殿上会』が開かれようとしていた。それに出席するために殿上貴族である『特殊な部隊』の部隊長、嵯峨惟基は甲武へと向かった。
その間隙を縫ったかのように『修羅の国』と呼ばれる紛争の巣窟、ベルルカン大陸のバルキスタン共和国で行われる予定だった選挙合意を反政府勢力が破棄し機動兵器を使った大規模攻勢に打って出て停戦合意が破綻したとの報が『特殊な部隊』に届く。
この停戦合意の破棄を理由に甲武とアメリカは合同で介入を企てようとしていた。その阻止のため、神前誠以下『特殊な部隊』の面々は輸送機でバルキスタン共和国へ向かった。切り札は『05式広域鎮圧砲』とそれを操る誠。『特殊な部隊』の制式シュツルム・パンツァー05式の機動性の無さが作戦を難しいものに変える。
そんな時間との戦いの中、『特殊な部隊』を見守る影があった。
『廃帝ハド』、『ビッグブラザー』、そしてネオナチ。
誠は反政府勢力の攻勢を『05式広域鎮圧砲』を使用して止めることが出来るのか?それとも……。
SFお仕事ギャグロマン小説。
CombatWorldOnline~落ちこぼれ空手青年のアオハルがここに~
ゆる弥
SF
ある空手少年は周りに期待されながらもなかなか試合に勝てない日々が続いていた。
そんな時に親友から進められフルダイブ型のVRMMOゲームに誘われる。
そのゲームを通して知り合ったお爺さんから指導を受けるようになり、現実での成績も向上していく成り上がりストーリー!
これはある空手少年の成長していく青春の一ページ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる