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第2章後編
第84話 ルグアの計算間違い
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◇◇◇アグマ活火山 火の砦◇◇◇
「ね、眠い……。熱い……。暑い……」
「無理すんなってアレン」
「そういう団長は眠くならないんすか?」
「そりゃなるって、ほとんど無視しているが……」
「なら、先ルグア寝て欲しいっすよ」
「はぁ……」
私のことを心配するのは良い。ただショートスリーパーなために、すぐ目が覚めてしまうのだ。3時間以上寝たことはない。
それに、ロムやメルフィナもリフェリアに残したまま。早期に戻らなければならなかった。
ついでに、アレンのおかげもあったのか、追加依頼で鉱石採掘して欲しいとの事。ピッケル等は現地支給となった。
「まさかまさかっすね」
「これは腕がなる」
「ふぇ?」
「いやなんでもない。鉱石採掘も久しぶりだな」
「俺もっすね……。さっさと終わらせましょう‼」
「あの二人も待ってるからな」
「はいっ‼」
元気たっぷりのアレンの返事。さっきまで眠いと愚痴を吐いてたのに、その面影はどこにもなかった。
切り替えの速さも普段通り。私が受ける負荷も正常だ、もう少し負荷を上げたいけど、エルフィレンナで限界値まで上昇させる。ここでやったらそのダメージは通らない。
アレンと雑談と混じえ、歩行ルートを戻る。そびえるゴーレム軍団。彼らにはコアという中心核があるそうだ。
コアとは人間でいう心臓。そのコアを破壊することで、倒すことができる。
「けど、コア見えなくないっすか?」
「んー。ここにいるのは、ロックゴーレムにアイアンゴーレム……。外装はかなり硬そうだな……。拳で壊せるかどうか……」
「こ、拳……」
「おーいフォルテいる? あはは……まだ寝てた」(笑)
「ルグア団長なら可能なんじゃないっすか?」
「答え合わせはやってみてからだな」
「俺も加勢しやす‼」
「お前はここで待て」
「どうしてっすか?」
まずはアレンがどれだけ対応できるか。一発本番で戦わせるには危険すぎる。
ここは私が試してみるべき。アレンはそれから。視認のみの段階で刃が通らない硬質。仮に通ったとしても、刃こぼれは確実だろう。
――ポチャン……ジューー……。
「なんだ?」
「すんません……補給用の水が……。それもラスト1本……」
「水? そういや、アレンの武器の基本属性は水だったよな?」
「そうっすね……。あと、ルグアの特異点魔法にも水属性……」
「いや、あれは無しだな。さっきドワーフを助けるのに使用したが……。すぐに蒸発しちまったんだよ……」
「じゃ、じゃあ、属性付与ならどうっすか? 手痛くなると思うんで……」
(属性付与か……)
アレンなら〈2色の瞳〉。見た目でわかるから、判別はしやすい。対して私は自身そのものを変更させる。
状況にもよるが、属性付与範囲も変えられるのが特徴。それは刀身の色も。攻撃手段も全て異なる。
「水はダイヤモンドも粉砕するんすよ。大袈裟っすけど……」
「なるほどな。やる価値はありそうだ」
私はしまった〈スカーレット・ブレード〉を取り出す。基本属性は火だが、即座に水属性へ変換。色も紅玉から蒼玉に。
周囲はマグマに囲まれた灼熱地獄。そして存在を感知したのか、ロックゴーレムとの距離は狭まっていく。
この機を使って突っ込む私。左斜め頭上から振り下ろされる岩石の塊。双方が交わる寸前に、属性能力を発動。
「……ッ⁉ スレスレか……。んなら強攻撃‼」
この後に続くのは、敵から見てでの右アッパー。一度後方宙返りで退避する。
直後に空振りする右アッパー。チラリと覗かせるコアらしきもの。アレンも見えたのか、私より先に動き出していた。
彼の剣を包む水。それは岩石もろとも破壊する。私よりも相性が抜群のようだ。
「アレン、そのまま続けてくれ‼ メインは任せる」
「なんでっすか?」
「私の計算間違いだ。支援に回る」
「もっと詳しくお願い……」
「アレン‼ 次は上へ向かって蹴り上げ‼ その後一時的に行動不能状態‼ 右後方のアイアンゴーレム突進からの殴り掛かりで左フック‼」
「そ、そんなにたくさん言われても……」
「お前ならできる‼ 援護は任せとけ‼」
◇◇◇アレン目線◇◇◇
「そんなたくさん言われもっすよ……」
「悩む時間はねぇよ‼ 考える前に動け‼」
「そういうルグアも悩みまくってたじゃないっすか‼」
団長からモーション説明はもらった。俺は〈アルス・グレイソード〉を使い、ゴーレムにへばりつく。
それより、デカすぎなんすけど‼ 咄嗟にコア破壊行きやしたけど、コボルトよりデカいんすけどぉー‼
「リアクション取ってる場合か‼ アレン‼ モーション開始まであと10秒‼」
「了解しやした‼」
「焦るなよ‼」
最初は蹴り上げ。ここは攻撃に乗っかってみる。振り子のように脚を揺らすロックゴーレム。その方向に空を飛ぶ。
眼下に見えるコア。俺はさらに水属性の力を増幅させ、その中心部へと突き刺す。
魔力で形成されているのだろうか? 肝心な場所を破壊されたゴーレムは、勢いよく四散した。
「まだまだ‼」
「今のはナイスだ‼」
「今度はアイアンゴーレムっすね‼」
「疲労状態は大丈夫か?」
「平気っすよ団長‼」
直後突進するアイアンゴーレム。束の間の展開。でも、ルグアが事前に察知したモーション。即回避の横スライドで急所を狙ってみる。
ダイヤモンド切れるんだから、鉄も切れるんじゃね? 自分でも軽視しているけど、一刀両断できたら楽勝‼
――ガギンッ⁉
鳴り響いたのは鈍い音だった。
「鉄切れないってマジっすか‼」
「ね、眠い……。熱い……。暑い……」
「無理すんなってアレン」
「そういう団長は眠くならないんすか?」
「そりゃなるって、ほとんど無視しているが……」
「なら、先ルグア寝て欲しいっすよ」
「はぁ……」
私のことを心配するのは良い。ただショートスリーパーなために、すぐ目が覚めてしまうのだ。3時間以上寝たことはない。
それに、ロムやメルフィナもリフェリアに残したまま。早期に戻らなければならなかった。
ついでに、アレンのおかげもあったのか、追加依頼で鉱石採掘して欲しいとの事。ピッケル等は現地支給となった。
「まさかまさかっすね」
「これは腕がなる」
「ふぇ?」
「いやなんでもない。鉱石採掘も久しぶりだな」
「俺もっすね……。さっさと終わらせましょう‼」
「あの二人も待ってるからな」
「はいっ‼」
元気たっぷりのアレンの返事。さっきまで眠いと愚痴を吐いてたのに、その面影はどこにもなかった。
切り替えの速さも普段通り。私が受ける負荷も正常だ、もう少し負荷を上げたいけど、エルフィレンナで限界値まで上昇させる。ここでやったらそのダメージは通らない。
アレンと雑談と混じえ、歩行ルートを戻る。そびえるゴーレム軍団。彼らにはコアという中心核があるそうだ。
コアとは人間でいう心臓。そのコアを破壊することで、倒すことができる。
「けど、コア見えなくないっすか?」
「んー。ここにいるのは、ロックゴーレムにアイアンゴーレム……。外装はかなり硬そうだな……。拳で壊せるかどうか……」
「こ、拳……」
「おーいフォルテいる? あはは……まだ寝てた」(笑)
「ルグア団長なら可能なんじゃないっすか?」
「答え合わせはやってみてからだな」
「俺も加勢しやす‼」
「お前はここで待て」
「どうしてっすか?」
まずはアレンがどれだけ対応できるか。一発本番で戦わせるには危険すぎる。
ここは私が試してみるべき。アレンはそれから。視認のみの段階で刃が通らない硬質。仮に通ったとしても、刃こぼれは確実だろう。
――ポチャン……ジューー……。
「なんだ?」
「すんません……補給用の水が……。それもラスト1本……」
「水? そういや、アレンの武器の基本属性は水だったよな?」
「そうっすね……。あと、ルグアの特異点魔法にも水属性……」
「いや、あれは無しだな。さっきドワーフを助けるのに使用したが……。すぐに蒸発しちまったんだよ……」
「じゃ、じゃあ、属性付与ならどうっすか? 手痛くなると思うんで……」
(属性付与か……)
アレンなら〈2色の瞳〉。見た目でわかるから、判別はしやすい。対して私は自身そのものを変更させる。
状況にもよるが、属性付与範囲も変えられるのが特徴。それは刀身の色も。攻撃手段も全て異なる。
「水はダイヤモンドも粉砕するんすよ。大袈裟っすけど……」
「なるほどな。やる価値はありそうだ」
私はしまった〈スカーレット・ブレード〉を取り出す。基本属性は火だが、即座に水属性へ変換。色も紅玉から蒼玉に。
周囲はマグマに囲まれた灼熱地獄。そして存在を感知したのか、ロックゴーレムとの距離は狭まっていく。
この機を使って突っ込む私。左斜め頭上から振り下ろされる岩石の塊。双方が交わる寸前に、属性能力を発動。
「……ッ⁉ スレスレか……。んなら強攻撃‼」
この後に続くのは、敵から見てでの右アッパー。一度後方宙返りで退避する。
直後に空振りする右アッパー。チラリと覗かせるコアらしきもの。アレンも見えたのか、私より先に動き出していた。
彼の剣を包む水。それは岩石もろとも破壊する。私よりも相性が抜群のようだ。
「アレン、そのまま続けてくれ‼ メインは任せる」
「なんでっすか?」
「私の計算間違いだ。支援に回る」
「もっと詳しくお願い……」
「アレン‼ 次は上へ向かって蹴り上げ‼ その後一時的に行動不能状態‼ 右後方のアイアンゴーレム突進からの殴り掛かりで左フック‼」
「そ、そんなにたくさん言われても……」
「お前ならできる‼ 援護は任せとけ‼」
◇◇◇アレン目線◇◇◇
「そんなたくさん言われもっすよ……」
「悩む時間はねぇよ‼ 考える前に動け‼」
「そういうルグアも悩みまくってたじゃないっすか‼」
団長からモーション説明はもらった。俺は〈アルス・グレイソード〉を使い、ゴーレムにへばりつく。
それより、デカすぎなんすけど‼ 咄嗟にコア破壊行きやしたけど、コボルトよりデカいんすけどぉー‼
「リアクション取ってる場合か‼ アレン‼ モーション開始まであと10秒‼」
「了解しやした‼」
「焦るなよ‼」
最初は蹴り上げ。ここは攻撃に乗っかってみる。振り子のように脚を揺らすロックゴーレム。その方向に空を飛ぶ。
眼下に見えるコア。俺はさらに水属性の力を増幅させ、その中心部へと突き刺す。
魔力で形成されているのだろうか? 肝心な場所を破壊されたゴーレムは、勢いよく四散した。
「まだまだ‼」
「今のはナイスだ‼」
「今度はアイアンゴーレムっすね‼」
「疲労状態は大丈夫か?」
「平気っすよ団長‼」
直後突進するアイアンゴーレム。束の間の展開。でも、ルグアが事前に察知したモーション。即回避の横スライドで急所を狙ってみる。
ダイヤモンド切れるんだから、鉄も切れるんじゃね? 自分でも軽視しているけど、一刀両断できたら楽勝‼
――ガギンッ⁉
鳴り響いたのは鈍い音だった。
「鉄切れないってマジっすか‼」
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