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第2章後編

第81話 ラクト山地

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 ◇◇◇ラクト山地周辺◇◇◇

「それにしてもだんだん暗くなって来ましたね……。バレンのこと言えないけど、めちゃくちゃ眠くなってきたよ……」
「ロムさん大丈夫っすか?」
「う、うん。こんなに動いたのなかったから、疲れが溜まってきてるのかも……。そうですよねメルフィナさん?」
「ええ。明日は筋肉痛になりそうだわ。アレン君は大丈夫なのかしら?」
「お、俺っすか? 俺は……」

 思ったより疲れていない。


 ***リアゼノン 第七層***


『も、もう、限界っす。ギブ。マジギブアップ……』
『お疲れさん。私はゲリライベ行ってくるが、お前は休むか?』

 だから、限界って言ってるじゃん。動けないっつーの。体力ヤバすぎだよ……、ルグアは……。

『体力じゃなくって、思考力な。プラス持続と持久力。継続時間も長ければ長いほど、集中力が上がる。っと、私はそう考えている』

 負荷かけている時点で昏睡状態だろ!? よくならないなぁ~。アホみたいにすごい……。俺には到底無理。真似できない。


 ***現在***


 今思い返せば、あの時よりも体力――いや、集中力が長続きするようになった。疲れも感じにくくなっている。
 少し自分の成長に実感が湧いた。しっかり強くなれたのかな? だから、あの時よりもルグアに褒められるのだろう。

「うーん……」
「どうしたんすかルグア?」
「いや、エルフィレンナで泊まろうと思ったんだが……。ラクト山地に近い村にするか悩んでるだよ」
「ラクト山地に近い村?」
「名前はリフェリア。フォルテならよく知ってるはずの村だな」
「ほほう……」(じー)
「おいおいアレン顔近づけんなよ……」
「やっぱり身長高いなぁ……」
「それとこれとは違うじゃないか‼」

 だって、変身魔法クオリティ高すぎなんだもん。超高身長だし、めちゃくちゃかっこいいし、なおかつめちゃくちゃ似合ってる。
 俺もこのボサボサ頭が何とかなればいいけど。天然パーマは仕方ない。髪のセットは難しいしめんどくさいから。

「私はそのパーマが羨ましいけどさ……」
「ふぇ?」
「最近毎回その返答だな。アレンは自慢できることだらけだ。見込んだだけはある」
「俺もルグアと一緒が最高っす‼」
「よし決めた。リフェリアに泊まろう‼ エルフィレンナの総長には、明日からと伝えておく。ついでに……」
「ついでに?」
「……ウェンドラ聞こえるか? ちとリアルの方と接続してもらいたい」

 ルグアが通信魔法で連絡を取り合ってる。リアルとの通信接続を要求していた。同時に……。

「お、こっちも繋がった。総長聞こえるか? ああ、例の頼んだやつ準備できたみたいで良かった。ん? 試作品もなのか?
 なら、それも追加してくれ‼ ウェンドラ‼ そっちはどうだ? OK‼ 或斗さん聞こえますか? ちょっとリアルマネーが必要になったので……。
 私の近くにカバンあるでしょ? そこに通帳が20あるから。そそ。ネット銀行で引き出して欲しいんだけど。どの通帳かって?
 △△銀行の通帳に500万。そこから200万を。○○銀行の方には1000万入ってる。
 あ、外国の方のバンクには5000億あるから、それは好きに引き出して大丈夫です。ドルだけど……。暗証番号教えますね」

 完全に大富豪じゃん‼ ってか、暗証番号教えちゃだめでしょ‼ 個人情報だよ‼ 個人情報‼

「ギャンブルに使っていいかって? 別にいいですよ。負けて膨大な額失ってもすぐに戻ってくるので……。
 あ、そうだ。赤十字社に500万寄付しないとだった。1億寄付でもいいけどね。たしか寄付予定日は九月四日だったかな?
 え? もうすぎてる? じゃ、じゃあ5億寄付しておいてください。本来は私名義だけど、或斗さん名義でお願いします」
「スゴすぎる……。貢献しすぎじゃん‼」
「その……。アレンさん赤十字社ってなんですか?」
「支援団体のことっすね。こことは別の世界の」
「支援団体ね……。アルヴェリアにもあっていいわ」

 にしてもルグア富豪すぎじゃん‼ それに、口調が行ったり来たりしてるんだけど‼ 頭の回転早すぎる……。

「総長‼ 支払いの額準備終わったから、リボ払いで‼ ってんなもんねぇよな。一括現金払いで頼む」
「その。聞いちゃあれなんすけど……。購入金額は……」
「ざっと5億ウェレスだが、どした?」
「ご、5億ウェレス……」
「日本円で6000億だな。まあ、全銀行合計で軽く10兆は超えてるから、まだ安い方だよ」

 いやいやいや。億万長者っすよ‼ ルグア‼ 金銭感覚狂いすぎっす‼ 俺でも貯金少ないのに、裏山大爆発中なんすけど‼

「そうか。ま、私の兄は結婚してるし、アパート暮しやめたからさ。私が土地ごと一括払いで支払ってやった。今は五人暮しだ」
「五人? 四人じゃなくて?」
「ああ、私の兄とその妻。第五層にラミアとファリナいただろ? その二人。
 そして、私も同居している。電気代とかも支払ってるしさ。灯油代も水道代も。家具も全部私が支払ったかなぁ……」

 大人買いしすぎ‼ それに通信料も払っているんでしょ? スマホ代とかも全部。
 格安じゃないな団長は……。俺格安しか使えないんだけど‼ ってか俺一人で通信料1,900円とか引かれてるし‼

「ん? 家庭用は格安スマホなんだが……。ただゲームスマホとか、容量デカいパソコンとか、WiFiは人数分だな」
「わ、WiFi人数分……」
「もちろん、支払いは私の通帳にまとめてる。そろそろ額引かれるだろうし、入金しないとだな。ま、予備通帳も登録済みだから、気にする必要もないか……」
「裏山……」
「さて、リフェリアに着いたらみんなは休憩。私は追加受注と深夜のクエスト攻略に行ってくる」
「わかったわ。気をつけなさいよね」
「ルグアいてらっす‼」
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