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第2章後編
第66話 親父‼ 酒‼
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◇◇◇ラノグロア宿屋 明理目線◇◇◇
――『あませらくと。お疲れ様‼』
「おつかれセイレーン。まさかあんなところにあったなんてね」
「王子の大手柄だったものね。さすがだわ」
「なッ、んなことねぇよ。偶然盗み聞きして目ぇ覚めたら、ダレネスってやつの腰に引っかかっていた。ゴブリンが返したんだろうな」
「もっと喜んでいいんですよ? 私達は笑顔が見た……」
「こんなんで喜ぶ意味あんのかよ‼ チビ‼」
「あるよ。バレンさんがクエストのMVPなんだから。あと、シュトラウトのギルドマスターから伝言もらってね」
宿屋にバレン達を送ったあと、私はシュトラウトのギルドへ行っていた。
理由は、クリア印の押された受注書控えを渡すため。そこで伝言書を受け取ったので、用紙を取り出して読み上げる。
「『フランネルリーダー。他メンバーのパーティランクを、〝F〟から〝E〟ランクへ昇格することになりました。おめでとうございます。
昇格後は、〝E+〟クラスまでのクエストに加え、〝D+〟までのクエストも受注可能になります。
今後のご活躍を楽しみにしています』とのことです」
「昇格したってこと?」
「はい。文面の通りですね。おめでとうございます‼」
――『うさみあぞぐおてでも』
「セイレーン。わざわざ古代言語で言わなくてもいいのに……」
――『おいぇっちおめでかどぅおたぎら』
「そ、そうだよね……。ありがとう」
――『えへっ』
やはり、どう言っているのかはわからなかった。そして、普通に相手をしているロムが不思議で仕方ない。
何度も法則となりそうなことを考えても、当てはまるようなことが出てこないのだから。
メルフィナに聞いても無意味で、ロムも自然とわかるらしく法則は知らない。どうにかして覚えた方がいいのに……。
「明理さん。本当ごめんなさい役に立てなくて……」
「大丈夫ですよ。いつか見つけてみせますから」
「いつも冷静ですよね。明理さんは」
「なんかそれ初めて言われた気がする。ありがとう。嬉しい」
「明理さんの笑顔可愛いですね」
「ロムさんも褒め上手ですよね……」
「そうですか? こっちも嬉しくなっちゃいますよ」
二人で照れ合いながらの会話。こんな会話をアレンとしたい。そのために助けないといけない。いつになるかは予想不可能だ。
「おお、帰ってきたのかい。おつかれさん。お望みの品無事に届いたよ。ありがとうね……」
「酒造場のおじさん。こちらこそ」
『ってことは、例の酒か? うひょーーーーーーーー。待ってました。酒造の親父‼』
「ちょっとフォルテ騒ぎすぎだよ」
『こんな時ぐらい全力で喜ばせてくれよ明理』
「ほら、バレンさんもこんな感じに喜んでいいんだからね」
『勝手に見本にされちまった……。ま、お酒あるから許してやるか……』
「なにかとお酒だよね……」
『なんか悪ぃか?』
「別に?」
『ほんとか?』
「ほんと」
『ほんとにほんとか?』
「ほんとにほんとだよ」
『ほんとにほんとにほんとか?』
「ほんとにほんとにほんとだよ」
『じゃ、好きなだけ飲ませてもらうぜ‼』
「それは却下」
『クッソォォォォォォォォーー‼ イケると思ったんによォーーー‼』
「残念でした。バレバレだよ」
本当にバレバレだった。フォルテと言えばお酒だから。これまでも、どれだけお酒に反応していたことか。ありすぎて困る。
一部のお酒は発電用に持って行かれてはいるけれど、約500瓶はある10000パーセントのお酒。もちろん異世界限定品。
一度は却下したけど、フォルテのためならと訂正。魔法でフォルテ用の素体を用意し、意識隔離状態にする。
解除させるまで影響は出ないけど、解除した時のことを考えると、ダウンした私が簡単に想像できてしまう。
「それでもいいか。フォルテが楽しんでくれるのなら」
「許可してくれるとは、サンキュー」
「はぁ……。今日だけだからね。今日だけたくさん飲んでいいから」
「んじゃ、早速。酒造の親父‼」
「はいよ。ちと待ちな」
ものすごい嬉しそうな酒造場のおじさん。少し視線をズラすと、ワクワク感ビンビン飛ばすフォルテを、バレンが横目で睨んでいた。
バレンはまだ十六歳でアレンとは同い年。飲酒はできないはずだけど、王族の場合は話が別で、年齢無制限なのだそう。
「フォルテだったか? あの酒飲んだことねぇんだろ?」
「そう言うお前はどうなんだよ? バレン」
「ある」
「やっぱ原液か?」
「原液って死ぬぞ‼ 普通は割って飲むんだよありゃー」
「わ、割ってって。お子ちゃまかよ……」
「てめぇこそアホか‼ 原液を飲みもんって言える口は引き裂くぞ‼ ってかお子ちゃまじゃねぇよ。王族は‼」
「王族は、って特権で完結するな‼」
「ちょ、ちょっと、フォルテもバレンさんも落ち着いて……」
「酒飲めねぇヤツは口出すな‼ チビ‼/明理‼」
突然始まった10000パーセントのお酒、原液で飲むか割って飲むか論争。私が止められるような状況じゃない。
フォルテが原液派なのは知っていたけど、毎回度が過ぎている。だから飲みすぎるのが怖い……。
「親父‼ 10本頼む‼」
「10本って……」
「味見終わったら100本追加な」
「フォルテおにいたんしゅごーい‼」
「フランネル寒ッ‼」(全員)
――『あませらくと。お疲れ様‼』
「おつかれセイレーン。まさかあんなところにあったなんてね」
「王子の大手柄だったものね。さすがだわ」
「なッ、んなことねぇよ。偶然盗み聞きして目ぇ覚めたら、ダレネスってやつの腰に引っかかっていた。ゴブリンが返したんだろうな」
「もっと喜んでいいんですよ? 私達は笑顔が見た……」
「こんなんで喜ぶ意味あんのかよ‼ チビ‼」
「あるよ。バレンさんがクエストのMVPなんだから。あと、シュトラウトのギルドマスターから伝言もらってね」
宿屋にバレン達を送ったあと、私はシュトラウトのギルドへ行っていた。
理由は、クリア印の押された受注書控えを渡すため。そこで伝言書を受け取ったので、用紙を取り出して読み上げる。
「『フランネルリーダー。他メンバーのパーティランクを、〝F〟から〝E〟ランクへ昇格することになりました。おめでとうございます。
昇格後は、〝E+〟クラスまでのクエストに加え、〝D+〟までのクエストも受注可能になります。
今後のご活躍を楽しみにしています』とのことです」
「昇格したってこと?」
「はい。文面の通りですね。おめでとうございます‼」
――『うさみあぞぐおてでも』
「セイレーン。わざわざ古代言語で言わなくてもいいのに……」
――『おいぇっちおめでかどぅおたぎら』
「そ、そうだよね……。ありがとう」
――『えへっ』
やはり、どう言っているのかはわからなかった。そして、普通に相手をしているロムが不思議で仕方ない。
何度も法則となりそうなことを考えても、当てはまるようなことが出てこないのだから。
メルフィナに聞いても無意味で、ロムも自然とわかるらしく法則は知らない。どうにかして覚えた方がいいのに……。
「明理さん。本当ごめんなさい役に立てなくて……」
「大丈夫ですよ。いつか見つけてみせますから」
「いつも冷静ですよね。明理さんは」
「なんかそれ初めて言われた気がする。ありがとう。嬉しい」
「明理さんの笑顔可愛いですね」
「ロムさんも褒め上手ですよね……」
「そうですか? こっちも嬉しくなっちゃいますよ」
二人で照れ合いながらの会話。こんな会話をアレンとしたい。そのために助けないといけない。いつになるかは予想不可能だ。
「おお、帰ってきたのかい。おつかれさん。お望みの品無事に届いたよ。ありがとうね……」
「酒造場のおじさん。こちらこそ」
『ってことは、例の酒か? うひょーーーーーーーー。待ってました。酒造の親父‼』
「ちょっとフォルテ騒ぎすぎだよ」
『こんな時ぐらい全力で喜ばせてくれよ明理』
「ほら、バレンさんもこんな感じに喜んでいいんだからね」
『勝手に見本にされちまった……。ま、お酒あるから許してやるか……』
「なにかとお酒だよね……」
『なんか悪ぃか?』
「別に?」
『ほんとか?』
「ほんと」
『ほんとにほんとか?』
「ほんとにほんとだよ」
『ほんとにほんとにほんとか?』
「ほんとにほんとにほんとだよ」
『じゃ、好きなだけ飲ませてもらうぜ‼』
「それは却下」
『クッソォォォォォォォォーー‼ イケると思ったんによォーーー‼』
「残念でした。バレバレだよ」
本当にバレバレだった。フォルテと言えばお酒だから。これまでも、どれだけお酒に反応していたことか。ありすぎて困る。
一部のお酒は発電用に持って行かれてはいるけれど、約500瓶はある10000パーセントのお酒。もちろん異世界限定品。
一度は却下したけど、フォルテのためならと訂正。魔法でフォルテ用の素体を用意し、意識隔離状態にする。
解除させるまで影響は出ないけど、解除した時のことを考えると、ダウンした私が簡単に想像できてしまう。
「それでもいいか。フォルテが楽しんでくれるのなら」
「許可してくれるとは、サンキュー」
「はぁ……。今日だけだからね。今日だけたくさん飲んでいいから」
「んじゃ、早速。酒造の親父‼」
「はいよ。ちと待ちな」
ものすごい嬉しそうな酒造場のおじさん。少し視線をズラすと、ワクワク感ビンビン飛ばすフォルテを、バレンが横目で睨んでいた。
バレンはまだ十六歳でアレンとは同い年。飲酒はできないはずだけど、王族の場合は話が別で、年齢無制限なのだそう。
「フォルテだったか? あの酒飲んだことねぇんだろ?」
「そう言うお前はどうなんだよ? バレン」
「ある」
「やっぱ原液か?」
「原液って死ぬぞ‼ 普通は割って飲むんだよありゃー」
「わ、割ってって。お子ちゃまかよ……」
「てめぇこそアホか‼ 原液を飲みもんって言える口は引き裂くぞ‼ ってかお子ちゃまじゃねぇよ。王族は‼」
「王族は、って特権で完結するな‼」
「ちょ、ちょっと、フォルテもバレンさんも落ち着いて……」
「酒飲めねぇヤツは口出すな‼ チビ‼/明理‼」
突然始まった10000パーセントのお酒、原液で飲むか割って飲むか論争。私が止められるような状況じゃない。
フォルテが原液派なのは知っていたけど、毎回度が過ぎている。だから飲みすぎるのが怖い……。
「親父‼ 10本頼む‼」
「10本って……」
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