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第2章前編
第29話 狂った歯車
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『落ち着けアレン。視野を広く保ちやがれ‼』
「風魔……さん……」
――ゴルァァァ‼
風魔に呼び止められた俺。一瞬硬直した間に、怯んでいた鬼が回復。大きな金棒が身の危険を感じさせているのに、硬直が解けない。
そんな俺を見かねたのか、まるで盾ように守る緑色の狼。それは、風魔がエネミーになった姿だった。攻撃を何度も受ける風魔が、とても痛々しく見えてしまう。
守られてばかり、指摘されてばかり……。ログインした時から、俺は何一つ変わっていない。良かれと思って失敗する。失敗を次に活かせていない。自分でわかっていても意味がない。
そもそも、根本的なことに辿り着いていないとしたら? 一番大事なことに辿り着いていないとしたなら? 俺は自分のことしか考えていなかったのかもしれない。
俺は自分のことしか考えることができない。
「それって、俺には団長向きじゃないって……」
――『んなことねぇよ。確かにリーダーすんなら周囲の人の意見を聞いて、忘れる前に実行する。そして、自分だけでなく周りの人を立たせる』
「たた……せる?」
――『んーと、まあ簡単に活躍させるってことだな。アレン。第二層でのことおぼえてるか?』
第二層。風魔とルグアが戦って、俺がトドメを刺したバトルのことだろう。あの時のルグアはとてもかっこよかった。
――『あのバトル。もし私がわざとトドメを刺さなかったとしたら、アレン……』
「えっ⁉」
******
『お疲れ‼ ルグア‼ やっぱ神だ。崇めてもいいっすか⁉』
『別に問題ないが……。あの球体、お前がやったんだろ⁈ 一歩間違えたら、私死んでたんだからな‼ ま、ウェンドラが喜ぶだけで済むだろうが……』
『なんで、ウェンドラが⁉』
『ん? なんとなく……、そう思った。あいつのことだし……』
******
ふと思い出すやり取り。約1ヶ月前の会話はとても懐かしい。俺にはもう一つ心当たりがあった。それは、第六層でのリヴァイアサン戦。
******
『お前が地上に上がったら、私は魔法で敵を拘束する。ついでに、サメの注目も私が引き受ける。そんなやわじゃねぇから、安心しろ』
『そ、そう言われても……』
『ほら、サメに喰われる前に動け!! 行動しないと何も始まらないからな!!』
******
「もしかして……」
――『そうだ。あの時気付いたんだよ。どんなゲームでも短時間で攻略可能な私が、新人を活躍させることなく終わらせるのは……。ってさ……。自分で言うのもあれだが……。師として、元団長として、私は誤った行動をとることができない。少しでも仲間を活躍させたい。それが新人なら尚更だ』
何かを振り返るように話し始めたルグア。これが責任ということなのか? 団長としての重みは同じなのだとしたら、俺はまだまだかもしれない。
仲間を助けるだけ助けて、一人で終わらせるような俺には……。助けることだけが全てじゃない。協力してこそ、支えあってこそなのかもしれない。
――『元々ラストアタックなんか頭になかったんだよ。アレンの行動はとても面白い。鉈を持ってきた時は驚いた。このことに関してはいっくらでも話せるかもしれない。っとまあ……』
この困難を突破したい。自分一人では何もできないのなら。考えてみれば、助けられてばかりなのに、俺は恩返しをしていないじゃないか。
「……。セレスさん。ガロンさん。フランさん……。俺に力を貸してください‼」
――『聞く耳無しか……。けど、わかってくれたようだし……。ま、いいか……。風魔‼ あとは頼んだ‼』
「フンッ……。言われるまでもない。はじめからそのつもりだ……」
「風魔……さん……」
――ゴルァァァ‼
風魔に呼び止められた俺。一瞬硬直した間に、怯んでいた鬼が回復。大きな金棒が身の危険を感じさせているのに、硬直が解けない。
そんな俺を見かねたのか、まるで盾ように守る緑色の狼。それは、風魔がエネミーになった姿だった。攻撃を何度も受ける風魔が、とても痛々しく見えてしまう。
守られてばかり、指摘されてばかり……。ログインした時から、俺は何一つ変わっていない。良かれと思って失敗する。失敗を次に活かせていない。自分でわかっていても意味がない。
そもそも、根本的なことに辿り着いていないとしたら? 一番大事なことに辿り着いていないとしたなら? 俺は自分のことしか考えていなかったのかもしれない。
俺は自分のことしか考えることができない。
「それって、俺には団長向きじゃないって……」
――『んなことねぇよ。確かにリーダーすんなら周囲の人の意見を聞いて、忘れる前に実行する。そして、自分だけでなく周りの人を立たせる』
「たた……せる?」
――『んーと、まあ簡単に活躍させるってことだな。アレン。第二層でのことおぼえてるか?』
第二層。風魔とルグアが戦って、俺がトドメを刺したバトルのことだろう。あの時のルグアはとてもかっこよかった。
――『あのバトル。もし私がわざとトドメを刺さなかったとしたら、アレン……』
「えっ⁉」
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『お疲れ‼ ルグア‼ やっぱ神だ。崇めてもいいっすか⁉』
『別に問題ないが……。あの球体、お前がやったんだろ⁈ 一歩間違えたら、私死んでたんだからな‼ ま、ウェンドラが喜ぶだけで済むだろうが……』
『なんで、ウェンドラが⁉』
『ん? なんとなく……、そう思った。あいつのことだし……』
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ふと思い出すやり取り。約1ヶ月前の会話はとても懐かしい。俺にはもう一つ心当たりがあった。それは、第六層でのリヴァイアサン戦。
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『お前が地上に上がったら、私は魔法で敵を拘束する。ついでに、サメの注目も私が引き受ける。そんなやわじゃねぇから、安心しろ』
『そ、そう言われても……』
『ほら、サメに喰われる前に動け!! 行動しないと何も始まらないからな!!』
******
「もしかして……」
――『そうだ。あの時気付いたんだよ。どんなゲームでも短時間で攻略可能な私が、新人を活躍させることなく終わらせるのは……。ってさ……。自分で言うのもあれだが……。師として、元団長として、私は誤った行動をとることができない。少しでも仲間を活躍させたい。それが新人なら尚更だ』
何かを振り返るように話し始めたルグア。これが責任ということなのか? 団長としての重みは同じなのだとしたら、俺はまだまだかもしれない。
仲間を助けるだけ助けて、一人で終わらせるような俺には……。助けることだけが全てじゃない。協力してこそ、支えあってこそなのかもしれない。
――『元々ラストアタックなんか頭になかったんだよ。アレンの行動はとても面白い。鉈を持ってきた時は驚いた。このことに関してはいっくらでも話せるかもしれない。っとまあ……』
この困難を突破したい。自分一人では何もできないのなら。考えてみれば、助けられてばかりなのに、俺は恩返しをしていないじゃないか。
「……。セレスさん。ガロンさん。フランさん……。俺に力を貸してください‼」
――『聞く耳無しか……。けど、わかってくれたようだし……。ま、いいか……。風魔‼ あとは頼んだ‼』
「フンッ……。言われるまでもない。はじめからそのつもりだ……」
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