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第1章
第87話 謎の不統一感
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本当に、俺の彼女は大丈夫なのだろうか? 心配だけど、切り替えも大事……。もしかしたら、ルグアも同じことを言ってるかもしれない。
いつの間にか、お目当ての〈レイベル酒〉の準備が終わり、俺達は第十八層への階段を上る。
聞くところによると、俺とクリム、レヌス以外のみんなは、先に移動しているとのことだ。そして、俺のためにいろいろ企画を考えているらしい。
気分転換になればいいと思いながら、到着したのは学校の校庭だった。学校の夏休みも、そろそろ終わる時期なのでは?
ログアウト不可になった〝リアゼノン〟の学校は、なんの変哲もない中学校。校舎やプールまで、事細かに再現されている。
『あ‼ アレーン‼ こっちよ‼』
この声はチェリスだろうか? 校舎の二階で手を振る人影。俺も走って駆けつけると、その建物の中では……。
――ガサガサ、ガサガサガサ……。バリッ‼ バリリッ‼ バビリリリッ‼
何かがちぎれるような、破いているようにも受け取れる音が、あらゆる方向から聞こえてきた。
足元には、少し濃い緑色をした桑の葉っぱが敷き詰められて、白く細長い小さな虫がニョロニョロ動く。
「これって、蚕蛾の幼虫? っすよね?」
『正解よ。ここ、学校なのに養蚕しているのよね……』
――バリッ‼ バリバリバリ‼ ワサワサワサワサ……。バリバリンッ‼
「そ、相当耳障りっすね…………」
『仕方ないわよ。あと、少しは気づいたらどう?』
床にへばりついた目を離して、顔を上げると、チェリスがぷっくりとほっぺを膨らませて、俺を睨みつけている。
こんな俺に呆れてしまったのか、チェリスがため息をつき、校舎の二階へ姿を消す。
あとを追いかけた先では、女性陣がせっせと何かを縫っていて、レノンは一人だけ絹を織っているようだ。
「あの、チェリス……。これって…………」
「息抜きでプールに入るから、みんなの水着を……。って、ルグアから聞いたけど、犬。あんたカナヅチなのね……。アタシが教えてあげるわ」
「よ、よろしくお願いしやす……」
「乗る気はなさそうね……」
どうして、プール? 今度こそ、スパルタじゃないのがいい。そう考えると逆に心配な面も出てくるが…………。
「チェリちゃん‼ 機織り終わったよ‼」
「お疲れ、レノン。あとは縫い終わるを待つだけね……」
「こっちの方も終わりました」
「ガデルもお疲れ様。これで人数分、っと。早速、着替えるわよ」
チェリスの一声で、男女に別れて更衣室へ……。女性陣をチェリスが、男性陣は風魔が担当しているようで、フィレンだけなぜか女性陣と同じ部屋だった。
◇◇◇数分後◇◇◇
『みんな‼ 着替え終わったかしら?』
女子更衣室から響いたチェリスの声。もちろん、男性陣も着替え終わっている。一斉に部屋の外に出ると、スクール水着やら、女子陣のちょっと色気たっぷり水着やら。
けど、フィレンの姿が見えない。少しすると、
「ふにゃ? どうして、アイライだけこんなかっこ……」
「えっ?」
この反応が空気をおかしくさせた。理由は、腰紐と前に垂れる布一枚。すなわち……。
「ふんどしってマジっすか‼ ってか、なんでふんどし? プール用じゃないじゃん‼」
「お笑い芸人は、よくふんどしで激アツ風呂入っているわよ?」
「いやいや、そういう問題じゃなくて……。あと、クリムは?」
「ここじゃよ」
名前を出したのと同時に出てきた、人の姿になったクリム。巨乳の女体化ボディーが気になるが、男なのにビキニを着ている。
「男性のビキニって、チェリス。マジで、これヤバくないっすか? ふんどしに男性のビキニって。あはは」
「ものすごい効果がありすぎね……。やりすぎたかもしれないわ」
こんな状態で、水泳ができるのだろうか? 不安よりも面白すぎて、俺は喉が枯れるまでツボにハマってしまった。
いつの間にか、お目当ての〈レイベル酒〉の準備が終わり、俺達は第十八層への階段を上る。
聞くところによると、俺とクリム、レヌス以外のみんなは、先に移動しているとのことだ。そして、俺のためにいろいろ企画を考えているらしい。
気分転換になればいいと思いながら、到着したのは学校の校庭だった。学校の夏休みも、そろそろ終わる時期なのでは?
ログアウト不可になった〝リアゼノン〟の学校は、なんの変哲もない中学校。校舎やプールまで、事細かに再現されている。
『あ‼ アレーン‼ こっちよ‼』
この声はチェリスだろうか? 校舎の二階で手を振る人影。俺も走って駆けつけると、その建物の中では……。
――ガサガサ、ガサガサガサ……。バリッ‼ バリリッ‼ バビリリリッ‼
何かがちぎれるような、破いているようにも受け取れる音が、あらゆる方向から聞こえてきた。
足元には、少し濃い緑色をした桑の葉っぱが敷き詰められて、白く細長い小さな虫がニョロニョロ動く。
「これって、蚕蛾の幼虫? っすよね?」
『正解よ。ここ、学校なのに養蚕しているのよね……』
――バリッ‼ バリバリバリ‼ ワサワサワサワサ……。バリバリンッ‼
「そ、相当耳障りっすね…………」
『仕方ないわよ。あと、少しは気づいたらどう?』
床にへばりついた目を離して、顔を上げると、チェリスがぷっくりとほっぺを膨らませて、俺を睨みつけている。
こんな俺に呆れてしまったのか、チェリスがため息をつき、校舎の二階へ姿を消す。
あとを追いかけた先では、女性陣がせっせと何かを縫っていて、レノンは一人だけ絹を織っているようだ。
「あの、チェリス……。これって…………」
「息抜きでプールに入るから、みんなの水着を……。って、ルグアから聞いたけど、犬。あんたカナヅチなのね……。アタシが教えてあげるわ」
「よ、よろしくお願いしやす……」
「乗る気はなさそうね……」
どうして、プール? 今度こそ、スパルタじゃないのがいい。そう考えると逆に心配な面も出てくるが…………。
「チェリちゃん‼ 機織り終わったよ‼」
「お疲れ、レノン。あとは縫い終わるを待つだけね……」
「こっちの方も終わりました」
「ガデルもお疲れ様。これで人数分、っと。早速、着替えるわよ」
チェリスの一声で、男女に別れて更衣室へ……。女性陣をチェリスが、男性陣は風魔が担当しているようで、フィレンだけなぜか女性陣と同じ部屋だった。
◇◇◇数分後◇◇◇
『みんな‼ 着替え終わったかしら?』
女子更衣室から響いたチェリスの声。もちろん、男性陣も着替え終わっている。一斉に部屋の外に出ると、スクール水着やら、女子陣のちょっと色気たっぷり水着やら。
けど、フィレンの姿が見えない。少しすると、
「ふにゃ? どうして、アイライだけこんなかっこ……」
「えっ?」
この反応が空気をおかしくさせた。理由は、腰紐と前に垂れる布一枚。すなわち……。
「ふんどしってマジっすか‼ ってか、なんでふんどし? プール用じゃないじゃん‼」
「お笑い芸人は、よくふんどしで激アツ風呂入っているわよ?」
「いやいや、そういう問題じゃなくて……。あと、クリムは?」
「ここじゃよ」
名前を出したのと同時に出てきた、人の姿になったクリム。巨乳の女体化ボディーが気になるが、男なのにビキニを着ている。
「男性のビキニって、チェリス。マジで、これヤバくないっすか? ふんどしに男性のビキニって。あはは」
「ものすごい効果がありすぎね……。やりすぎたかもしれないわ」
こんな状態で、水泳ができるのだろうか? 不安よりも面白すぎて、俺は喉が枯れるまでツボにハマってしまった。
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