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第1章 

第20話 ルグアの裏技

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「……にしても、この迷路めちゃくちゃ広くないっすか? 俺、もう疲れた……。歩きたくない……」

 一人その場に座り込む。迷路が広くて複雑で、ヘトヘトだ……。それを見たルグアは、子供を二人も乗せているのに……。

「お前も乗っけてやろうか? 私は問題ないが……」
「じゃ、じゃあ。お言葉に甘えて……」

 俺はルグアの背中におぶさり揺られながら移動する。

「まあ愛剣と比べれば、まだ軽い方だけどな」
「そ、そうなんすか……」

 ってなると、〈クリムゾン・ブレード〉の重さは何キロあるんだよ⁉ 高身長で華奢な身体で見た目が男寄りで、俺口調のルグアが持てるって厳選しすぎだろ⁈

「今はみんな持てるようになっているが、実際に使用できるのは私だけなんだよな」

 そうなのか……。ってつまり……。それだけ重いってことだよね⁉ どれくらい重いんだろう? 持ってみたい‼

「高確率で剣に振り回されるかもな。ま、私も使える人を増やしたいと思ってる」
「じゃあ、あとで持たせてください‼」
「わかった。んじゃ、飛ばすか……。ちょうど酸素ゲージ無くなったし。HPも減少が始まったから……」

 えっ⁉ 0なっちゃったの⁈ 大丈夫なの⁉ あと、やっぱり酸素が0なるとHPも減少するんだ……。って、ヤバいじゃん‼

「私は気にしていないけどさ……」

 いや絶対気にした方が良いって、デスゲームだよ⁉ これデスゲームなんだよ⁉ 完全に命捨ててるだろ‼
 軽視しすぎじゃん……。儚いのに……。自分の命を放ったらかしにして、他の命守るとか……。

「ん~。あと少しで到着するはずなんだが……。方向音痴なんだよなぁ~。全部勘でやってるから……」

 マジかよ⁉ 勘が使えないんだろ? この階層は‼ 道も風もわからないって言ってたじゃん‼

「裏技使うか……」
「えっ⁉ 裏技?」
「そうだ。こんな時は私が今までプレイしてきたゲームを並べて……。迷路ゲームに絞り込んで……」

 迷路ゲームだけで何種類あるんだろう? これはあとで聞くとして……。

「5万の中から有名なやつにしてからの、共通点と……」

 5万⁈ えっ⁉ それゲームタイトルの数でいいんだよね? よくそこまで増えたなぁ~。

「逆の方向に歩く」

 逆に行くのか……。眠いから寝よ……。歩くルグアの背中に揺られて、ゆっくり目を閉じる。
 彼女の重くないという言葉にちょっと心配になるが、歩みはとてもゆっくりでだんだん眠くなってくる。
 少しして聞こえたさざ波の音色。視線の先に見えたのは、太陽の暖かい光とサファイアブルーの湖だった。
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