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第2話 校則
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それから数分後、教室に先生がやってきた。
「全員揃っているようじゃな。諸君。今日から担任になる長谷川龍二だ。よろしく」
「よろしくお願いします!」
え? 俺だけ?
『光彦先輩あんなキャラだったっけ?』
『最初めちゃくちゃ怖かったよね?』
悪評付けられてる!? まぁいいけど。これが目的だし。ところで最初はやっぱり自己紹介か? 今年の大学1年は12組あるって聞いてたし。
かなりの人数だよなぁ……。講義室とかも絶対パンパン。でもここモニタールームがあるし、講義室もかなりの広さみたいだから。
ってか講義かぁ……。毎回眠くなるんだよなぁ……。すぐにあったりしたら困る。ってこれ現実逃避じゃね?
「では自己紹介としよう。それぞれ得意属性も言うように」
そんな俺の思考を差し置いて、長谷川先生が切り出した。最前席の通路側からやって行くらしい。
俺とレイはお互い最後列の窓側。前にレイが座っていることから、俺は一番最後だ。とはいえ、俺は自己紹介の内容を考えるのを忘れてしまった。
『あの。あそこの飛び級生とは別のクラスを希望したいのですが……』
「はて……」
先程俺とレイにツッこんできたブロンドの女子生徒が、長谷川先生に要求を出す。
「飛び級生ということはレイくんと光彦くんのことかね?」
「はい。あの者たちとは関わりたくありませんので」
「ではまず名はなんと」
「岸辺有咲です。歳は18。得意属性は土。魔力量は多くも無く少なくもないノーマルです」
魔力量まで言う必要ある? ないよね? まあ、俺は計測不可なので魔力量という概念がないが……。
一応魔力測定器持ってきてるけど。カバンの中ぎゅうぎゅう詰めに。ともかく、この有咲という生徒は俺とレイの関係があまりよく思わないらしい。
それもそのはず。俺とレイの正しい関係性を知ってる人は非常に少ないのだから。
「まあまあ、早まんで良い。次学期以降に検討するよう学園長先生に伝えておく」
「一学期が終わるまで辛抱しろと……。仕方ないですね。わかりました。そうさせていただきます」
そう言って有咲は席に座る。その後も自己紹介が続き、次はレイに話しかけてきた小柄な少女の番。
だけど恥ずかしそうにモジモジしている。
「桜庭香音さん。大丈夫」
「あ、ありがとうございます。有咲さん」
なんで岸辺は彼女の名前を? そんなんことはおいといて。桜庭がゆっくりと立ちあがる。
「桜庭香音です。得意属性は光。回復専門です」
――シーン……。
誰も反応しない。なんで? まあ俺自身反応する思いは一つも無かったが……。
その後も一人一人が自己紹介をしていく。俺は最後なのでなんとなく暇だった。
魔力玉でジャグリングしようと思ったが、校則で魔法使用許可範囲が設けられているため、できない。
そうしているうちにレイの番になった。
「水瀬レイ。19歳、誕生日は4月3日。光彦とは1日違いです。得意属性は水と土。みんなよろしくね」
その発言に女性陣が瞳を輝かせた。レイは小さかった時からこんな感じで、よく女性陣に絡まれていた。本人お慣れているので問題はない。
そしてついに俺の番がやってきた。ヤバい。マジで考えてない。周りから向けられる視線は怖いものをみるような目だ。
それもそのはず。俺はこの教室、いや外にいた時から感情が荒ぶっていた。でも、そんな姿を長谷川先生には見せたくなかった。
先生には俺が暴言を吐いているところを一切見せていない。つまり、長谷川先生は大人しくしてる俺しか知らないのだ。
どうしようか考えた末俺は……。
「鏑木光彦。年齢は19。誕生日は4月4日、得意属性は火がメイン……。こんな感じか?」
半分以上が棒読みになってしまった。みんなは今も震えている。この学園内での印象悪化作戦――さっきつけた――は大成功だろう。
しかし、岸辺は俺の時もレイの時もそっぽを向いたまま。聞く耳も持ってなかったらしい。もしや俺への警戒心か?
そんなことはさておき。長谷川先生の進行で全員サークルデバイスを取り出した。円盤状で外枠がアプリケーション。内側がサイト画面を映すものだ。
「では、このコードを読み取って学園のサイトを開いてもらおうか」
この机もタッチパネルで中央にQRコードが出てくる。この大陸はかなり技術が発展していて、このような仕組みは最近取り入れられたらしい。
そうして、学園案内のページを開いて内容を確認する。そこにはもちろん切っては切り離せない校則が書かれていた。
俺が昔この大学に来ていた時は紙で配られ、読めない漢字は全部レイに教えて貰っていた。レイは勉強馬鹿で、魔法オタク兼機械オタク。
こういうものに関しては意外と詳しい。
"校則
1、登校時の服装は黒ローブのみとする。ただし全校が集まる学校行事では私服を許可する。
2、髪型や髪色は問わないが、柄付きのアクセサリーは身につけてはならない。
3、学園内では禁煙禁酒とする。
4、授業や掃討日以外での生徒の魔法の使用は、特例を除いて禁止とする
5、学園で認定された特定禁止魔法は使用を不可とする。
これらを破った場合。担当教師からの口頭での指導を行う。4、5を破った場合は学園内での会議をした上で、謹慎処分または退学処分とする"
特定禁止魔法ってなんだっけ? 確か俺とレイが持ってたような。そんなことはどうでもいいや。改めて覚えておくことにしておこう。
「では、今日は掃討日なので、外に出てもらいたい。ホームルームは以上とする」
「全員揃っているようじゃな。諸君。今日から担任になる長谷川龍二だ。よろしく」
「よろしくお願いします!」
え? 俺だけ?
『光彦先輩あんなキャラだったっけ?』
『最初めちゃくちゃ怖かったよね?』
悪評付けられてる!? まぁいいけど。これが目的だし。ところで最初はやっぱり自己紹介か? 今年の大学1年は12組あるって聞いてたし。
かなりの人数だよなぁ……。講義室とかも絶対パンパン。でもここモニタールームがあるし、講義室もかなりの広さみたいだから。
ってか講義かぁ……。毎回眠くなるんだよなぁ……。すぐにあったりしたら困る。ってこれ現実逃避じゃね?
「では自己紹介としよう。それぞれ得意属性も言うように」
そんな俺の思考を差し置いて、長谷川先生が切り出した。最前席の通路側からやって行くらしい。
俺とレイはお互い最後列の窓側。前にレイが座っていることから、俺は一番最後だ。とはいえ、俺は自己紹介の内容を考えるのを忘れてしまった。
『あの。あそこの飛び級生とは別のクラスを希望したいのですが……』
「はて……」
先程俺とレイにツッこんできたブロンドの女子生徒が、長谷川先生に要求を出す。
「飛び級生ということはレイくんと光彦くんのことかね?」
「はい。あの者たちとは関わりたくありませんので」
「ではまず名はなんと」
「岸辺有咲です。歳は18。得意属性は土。魔力量は多くも無く少なくもないノーマルです」
魔力量まで言う必要ある? ないよね? まあ、俺は計測不可なので魔力量という概念がないが……。
一応魔力測定器持ってきてるけど。カバンの中ぎゅうぎゅう詰めに。ともかく、この有咲という生徒は俺とレイの関係があまりよく思わないらしい。
それもそのはず。俺とレイの正しい関係性を知ってる人は非常に少ないのだから。
「まあまあ、早まんで良い。次学期以降に検討するよう学園長先生に伝えておく」
「一学期が終わるまで辛抱しろと……。仕方ないですね。わかりました。そうさせていただきます」
そう言って有咲は席に座る。その後も自己紹介が続き、次はレイに話しかけてきた小柄な少女の番。
だけど恥ずかしそうにモジモジしている。
「桜庭香音さん。大丈夫」
「あ、ありがとうございます。有咲さん」
なんで岸辺は彼女の名前を? そんなんことはおいといて。桜庭がゆっくりと立ちあがる。
「桜庭香音です。得意属性は光。回復専門です」
――シーン……。
誰も反応しない。なんで? まあ俺自身反応する思いは一つも無かったが……。
その後も一人一人が自己紹介をしていく。俺は最後なのでなんとなく暇だった。
魔力玉でジャグリングしようと思ったが、校則で魔法使用許可範囲が設けられているため、できない。
そうしているうちにレイの番になった。
「水瀬レイ。19歳、誕生日は4月3日。光彦とは1日違いです。得意属性は水と土。みんなよろしくね」
その発言に女性陣が瞳を輝かせた。レイは小さかった時からこんな感じで、よく女性陣に絡まれていた。本人お慣れているので問題はない。
そしてついに俺の番がやってきた。ヤバい。マジで考えてない。周りから向けられる視線は怖いものをみるような目だ。
それもそのはず。俺はこの教室、いや外にいた時から感情が荒ぶっていた。でも、そんな姿を長谷川先生には見せたくなかった。
先生には俺が暴言を吐いているところを一切見せていない。つまり、長谷川先生は大人しくしてる俺しか知らないのだ。
どうしようか考えた末俺は……。
「鏑木光彦。年齢は19。誕生日は4月4日、得意属性は火がメイン……。こんな感じか?」
半分以上が棒読みになってしまった。みんなは今も震えている。この学園内での印象悪化作戦――さっきつけた――は大成功だろう。
しかし、岸辺は俺の時もレイの時もそっぽを向いたまま。聞く耳も持ってなかったらしい。もしや俺への警戒心か?
そんなことはさておき。長谷川先生の進行で全員サークルデバイスを取り出した。円盤状で外枠がアプリケーション。内側がサイト画面を映すものだ。
「では、このコードを読み取って学園のサイトを開いてもらおうか」
この机もタッチパネルで中央にQRコードが出てくる。この大陸はかなり技術が発展していて、このような仕組みは最近取り入れられたらしい。
そうして、学園案内のページを開いて内容を確認する。そこにはもちろん切っては切り離せない校則が書かれていた。
俺が昔この大学に来ていた時は紙で配られ、読めない漢字は全部レイに教えて貰っていた。レイは勉強馬鹿で、魔法オタク兼機械オタク。
こういうものに関しては意外と詳しい。
"校則
1、登校時の服装は黒ローブのみとする。ただし全校が集まる学校行事では私服を許可する。
2、髪型や髪色は問わないが、柄付きのアクセサリーは身につけてはならない。
3、学園内では禁煙禁酒とする。
4、授業や掃討日以外での生徒の魔法の使用は、特例を除いて禁止とする
5、学園で認定された特定禁止魔法は使用を不可とする。
これらを破った場合。担当教師からの口頭での指導を行う。4、5を破った場合は学園内での会議をした上で、謹慎処分または退学処分とする"
特定禁止魔法ってなんだっけ? 確か俺とレイが持ってたような。そんなことはどうでもいいや。改めて覚えておくことにしておこう。
「では、今日は掃討日なので、外に出てもらいたい。ホームルームは以上とする」
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