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4章
120 繋がった点【ラッセル視点】
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ディノの帰宅を見送って、不安そうにこちらを見上げるティアナに「大丈夫だよ」と微笑み返して来た時と同様に彼女を抱き上げて、部屋まで運ぶ。
やはり慣れない様子で、遠慮がちに首に手を回して来た。
恥ずかしげに顔を伏せているが、耳がわずかに赤くなっていて……たまらなく可愛らしい。
そんな事を思いながらも、先ほど聞いたジェイク・バトラーの名が頭の中にあった。
王太子殿下の周りで起こった不可解の謎がここに来て思いがけず繋がったのだ。
ジェイク・バトラーもディノと学院では同級生でおかしくない年端の青年だった。
おっとりしていて、物腰が柔らかい上、若くして少し髪が薄くなり始めているせいか、自分よりも歳上にも見えはした。王太子直轄の事務官である自分達と、どちらかと言うと管理側の事務官であり間に挟まれる立場の職でありながら、敵を作ることもなく卒なく均衡を取る事に優れた男だと印象付いていた。
そんな彼が数日前、殿下へ送る報告書や決済書を意図して遅らせるよう工作していた事が露見したのだ。
それはティアナとまともに顔を合わせられないほどに、仕事が忙しかった原因をつくっていた。
「仕事が回らなくて、パニックになり、少し殿下に渡るのが遅くなれば自分の仕事にも猶予が出来ると思って……」
というのが調べに対しての、ジェイクの言い分らしい。
たった1人の身勝手な事務員のおかげで、王太子殿下の周囲は随分と迷惑を被った。その上、事は殿下の裁可の信頼にも関わる事であり、看過できないという事になり、彼は今謹慎処分を受け、数日後には地方の閑職に飛ばされてるだろうと聞いていた。
俺とティアナがすれ違うように、リドックがディノに指示したのと同様で、ジェイクもそうした指示をされていたという事なのだろう。
直接被害を被っていたとはいえ、どこか他人事だった話が、まさか自分の抱えている問題と繋がっていて、それが主である殿下の公務の妨げとなっていたのであれば看過できない。
どうしたものか……
小さく息を吐くと、彼女の頭がもぞりと動いて、こちらを不安げに見上げる。
彼女もジェイク・バトラーとは同級生であったから、何かしらの関連がある事を察したのだろう。
大丈夫だ、と微笑んで見せて、そこで部屋に到着した。
丁寧に彼女をベッドに下ろして、一度部屋に下がる。
すぐにクロードを呼びつけて、王太子宮に伺いを立てるように指示を出す。
就寝のための身支度を整えて、部屋に戻り、同様に侍女によって着替えを済ませたティアナの隣に横になる。
胸に抱き寄せてその香りを吸い込むと、愛おしさで満たされた。
こんなに愛おしい彼女との子どもが、この世に形として……しかも半分は自分の血を継いで出てくるなんて。想像しただけで幸福だ。
だからこそ、この問題を……特にティアナの妊娠が確定するまでに全て片付けなければならない。
やはり慣れない様子で、遠慮がちに首に手を回して来た。
恥ずかしげに顔を伏せているが、耳がわずかに赤くなっていて……たまらなく可愛らしい。
そんな事を思いながらも、先ほど聞いたジェイク・バトラーの名が頭の中にあった。
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ジェイク・バトラーもディノと学院では同級生でおかしくない年端の青年だった。
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直接被害を被っていたとはいえ、どこか他人事だった話が、まさか自分の抱えている問題と繋がっていて、それが主である殿下の公務の妨げとなっていたのであれば看過できない。
どうしたものか……
小さく息を吐くと、彼女の頭がもぞりと動いて、こちらを不安げに見上げる。
彼女もジェイク・バトラーとは同級生であったから、何かしらの関連がある事を察したのだろう。
大丈夫だ、と微笑んで見せて、そこで部屋に到着した。
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すぐにクロードを呼びつけて、王太子宮に伺いを立てるように指示を出す。
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胸に抱き寄せてその香りを吸い込むと、愛おしさで満たされた。
こんなに愛おしい彼女との子どもが、この世に形として……しかも半分は自分の血を継いで出てくるなんて。想像しただけで幸福だ。
だからこそ、この問題を……特にティアナの妊娠が確定するまでに全て片付けなければならない。
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