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1章
20 再会の裏側④
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夜通し走った結果、随分と離れることができた。
自分達の休息と馬の交換、そして、腹をすかせた赤子が泣き始めたために、宿を取り休憩することにした。そこで霜苓を医者に見てもらった。そして彼女は毒の影響で体がしびれていたのだと知る。
何かを察した医者には「関わらないほうがいい。おそらくは彼女は影の郷の者だ」と忠告をされた。
そんな事は知っていると思いつつも、面倒事を嫌うふりをして、行く先をごまかした。もしかしたら、この医者も影の郷と繋がりがあるかもしれないと読んだのだ。
どこかで、郷のものに連絡される可能性を考え、早めに出立しよう。そう思い夕刻の出立準備をしていたところで、霜苓が目を覚ました。
驚くことに、霜苓はあの晩の事を記憶していなかった。正確には、誰とひと晩を共にしたのか……をだが……。
目を覚ました彼女は、まるで初めて陵瑜を見るような様子で。本気で親切な行きずりの男に助けられたと思っているらしい。落ち込むどころの話じゃない。
あれほど焦がれて忘れられないほど想ってていたのは自分だけだったのだ。
あの晩の、互いを求め合ったあの熱すら彼女は覚えていないというのだ。
その上、子供の父親を頼ろうと思わないのかと問うてみたが、帰ってきたのは、そんな事は考えた事もないというあっさりとした言葉だった。
どこの誰かも知れぬ男に期待を持つ気はない、その男が娘を認知するかもわからない上、どのような身の上の者かも分からない。
だった一晩の関係でそんな男にぶら下がる気はないと……
父親は俺だ!お前達を迎えにきたのだと、その場で叫び出したかった。しかし、霜苓はやはりあの晩の事は、一夜の過ちのように認識しているらしく、そんな行きずりの男に自分までもがぶら下がる事は許さない、そんな気概を感じた。
今真実を告げても、きっと彼女は、その事実だけを受け止めて、陵瑜の手を取ることはしないだろう。
焦らないほうがいい。どこかで冷静な自分が押し留めてくる。
もう少し、信頼関係を作って、何か側に置く口実を作ればいい。昔から計算高い事には定評がある。時間をかせいで、考えればいい……
そう思って、陵瑜はここまで2人を連れてくることに成功したのだ。
本当ならば、真の意味で妻として迎えたい所だが、偽装でも何でも数年間側に置けたならば、どこかで真実を告げる日も来よう。
その時には、改めて彼女に思いを告げて、側にいる事を請うてみよう。
2人の寝顔を交互に見比べる。
珠樹は霜苓によく似ている。
必ず、側に置いて、そして二人を守り抜く。陵瑜の全てを掛けてでも、否、時には全てを捨ててでも。
自分達の休息と馬の交換、そして、腹をすかせた赤子が泣き始めたために、宿を取り休憩することにした。そこで霜苓を医者に見てもらった。そして彼女は毒の影響で体がしびれていたのだと知る。
何かを察した医者には「関わらないほうがいい。おそらくは彼女は影の郷の者だ」と忠告をされた。
そんな事は知っていると思いつつも、面倒事を嫌うふりをして、行く先をごまかした。もしかしたら、この医者も影の郷と繋がりがあるかもしれないと読んだのだ。
どこかで、郷のものに連絡される可能性を考え、早めに出立しよう。そう思い夕刻の出立準備をしていたところで、霜苓が目を覚ました。
驚くことに、霜苓はあの晩の事を記憶していなかった。正確には、誰とひと晩を共にしたのか……をだが……。
目を覚ました彼女は、まるで初めて陵瑜を見るような様子で。本気で親切な行きずりの男に助けられたと思っているらしい。落ち込むどころの話じゃない。
あれほど焦がれて忘れられないほど想ってていたのは自分だけだったのだ。
あの晩の、互いを求め合ったあの熱すら彼女は覚えていないというのだ。
その上、子供の父親を頼ろうと思わないのかと問うてみたが、帰ってきたのは、そんな事は考えた事もないというあっさりとした言葉だった。
どこの誰かも知れぬ男に期待を持つ気はない、その男が娘を認知するかもわからない上、どのような身の上の者かも分からない。
だった一晩の関係でそんな男にぶら下がる気はないと……
父親は俺だ!お前達を迎えにきたのだと、その場で叫び出したかった。しかし、霜苓はやはりあの晩の事は、一夜の過ちのように認識しているらしく、そんな行きずりの男に自分までもがぶら下がる事は許さない、そんな気概を感じた。
今真実を告げても、きっと彼女は、その事実だけを受け止めて、陵瑜の手を取ることはしないだろう。
焦らないほうがいい。どこかで冷静な自分が押し留めてくる。
もう少し、信頼関係を作って、何か側に置く口実を作ればいい。昔から計算高い事には定評がある。時間をかせいで、考えればいい……
そう思って、陵瑜はここまで2人を連れてくることに成功したのだ。
本当ならば、真の意味で妻として迎えたい所だが、偽装でも何でも数年間側に置けたならば、どこかで真実を告げる日も来よう。
その時には、改めて彼女に思いを告げて、側にいる事を請うてみよう。
2人の寝顔を交互に見比べる。
珠樹は霜苓によく似ている。
必ず、側に置いて、そして二人を守り抜く。陵瑜の全てを掛けてでも、否、時には全てを捨ててでも。
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