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2章

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「随分と王妃のお仕事も慣れてきたみたいで安心したわ」

そう言ってにこやかに笑って私の目の前でお茶を飲むのは、王太后陛下、、、つまりユーリ陛下とジェイドのお母上だ。
そして、私の義母でもある。


結婚の行事が終わり少し落ち着いてきた頃合いと言うこともあり、今日は私1人でお茶に招かれているのだ。

もちろん私と彼女の2人きりだ。

陛下と同じ金の髪は、いくつになっても輝きを失わず、白い肌とピンク色の頬は艶やかで、とても成人した息子を2人も持つ母には見えない。

「はい。おかげさまにてつつがなく」

にこやかに答えれば、お義母様は満足そうに微笑んだ。


「そうでしょうとも、貴方は昔から賢い子だったものね。だからこそ、ユーリの伴侶が貴方で良かったと私は思っているのよ?」

唐突にそうした話を振られて、もとより覚悟をして出向いてきた私は、カップをソーサーに戻した。

その様子を見とめたお義母様が表情を遽に曇らせた。

「私が不甲斐なかったばかりに、子供達だけでなく貴方にまで重荷を背負わせてしまうのね。本当にごめんなさい。悪いのは私たち親なの。だからあの子達を責めないでやってね」

やはりその事だったのか。
こうして1人で呼ばれた上人払いをされているからには、その類の話であろうとは予想していた


「とんでもないです。お2人から事情を聞いて全て承知しております。国内の情勢と均衡を保つためにはやむを得ない状況だったと理解しております」

慌てて首を振る。多分私がお義母様の立場でも同じことを考えたと思う。それほど、この国の政治派閥の均衡は微妙なのだ。


私の言葉にお義母様は少しだけほっとしたように口元を緩めた。


「貴方にそう言ってもらえると、少しだけ肩の荷が下りたような気がするわ。ありがとう。同じ女の身として、貴方の心情も心配だったの。ほら、貴方はユーリを心から愛して嫁いでくれたでしょう?」


お義母様の言葉に、私の顔に一気に血が集まってくるのを感じた。

実のところそれを言われるのが今一番恥ずかしい。

「好きな人に嫁げたと思ったら、その弟と子供を作りなさいなんて、そんなひどい話ないわ。貴方の気持ちを踏みにじって、他の好きでもない男との子作りを強要するのは、本当に心苦しいの。
それが最初から政略結婚と割り切っている人だったらこんなに心は痛まないのだけれど」


そう言われてしまっては、私はどんな反応をしたらいいのやら分からなくなってしまう。

だってお義母様の言う、その好きでもない男も紛れもない彼女の息子なのだ。


とりあえず困ったような笑みを浮かべてごまかすしかない。

実の母からなかなかひどい言われようなジェイドがすこし可哀想になってきた。

だけど、お義母様の言い様は、私にとっては大袈裟な気もした。

確かに、ユーリ様が女性で本当の夫になり得ないのはショックだった。だけど、その代わりに好きでもない男と寝る、、、と言う考え方は今まで一度も感じていなかった。

あれ、不思議ね。


「だからね、私は反対したのよ?だけどあの子達、、、特にジェイドの希望が強くて、、、」

「、、、、え?」

自分の思考の中に囚われているうちにもお義母様の話は続いていたらしい。
なんとなく聞き流していた話の内容になんかすごい情報が入っていた気がして、思わず間抜けな声を上げてしまった。
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