ビッチ令嬢と副団長

香月みまり

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答え合わせ

春のよく晴れた日の夜*

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式の日は、春先のよく晴れた日だった。


祝福の鐘の音に包まれて、私とフィルは永遠の愛を誓った。


愛する家族と、信頼する団員達に見守られて。


私の側に控えるグリーンのお揃いのドレスに身を包んだプライズメイド達の中には領地に戻ってしまったアイリーンの姿はなくて、、、それが少しばかり心残りだけれど、私の従姉妹たちと一緒にティナが引き受けてくれた事は嬉しい想定外だった。


ティナも来月、子爵位を授かったエディと式を挙げる予定で、とても幸せそうにしている。



私の花嫁姿を半ば諦めかけていた母と姉、、、そして何故かフィルにより。私のドレスや装飾はこだわりに、こだわり抜かれた。
彼らにしてみれば「あなたに任せていたらどうせ適当になるんだから!」という事らしい。
当たっているだけに反論出来ない。



結婚パーティーは、騎士団の面々のおかげで大いに盛り上がった。


あっという間の一日が終わり、新婚初夜を囃し立てられながら、私とフィルが彼の所有する邸に戻ったのは随分と夜も深くなった頃だった。



ドレスのまま彼に手を引かれて入ったのは、初めて彼に抱かれたあの部屋だった。



部屋に入るなり、彼は私をジッと見つめて

「綺麗すぎて、脱がせるのが勿体ない」

と呟いた。

朝から何度も何度も賛辞の言葉をかけてくれる彼に私は苦笑する。


「フィルも素敵よ?」

「比べ物にならないよ」

そんな事ないのに、、、彼の騎士の儀礼服姿も、初めに見た時に密かに身悶えたほどに麗しい。


そんな事を思っていると、彼が器用に私の髪から飾りを抜いていく。

これから始まる事を想像して、私は自分の頬が赤くなるのを感じた。


彼とは、あれから一度も身体を重ねていない。


結婚前、、、それ以前の恋人になる前に、関係を持ってしまった事を、私よりもフィルの方が責任を感じてしまっていて、、、彼は神の前で誓うまでは、私を抱かないと決意を表明していた。

全く真面目なんだから、、、。

私からしてみればそんなのはどうでも良くて、彼ともっとイチャイチャしたり抱き合ったりしたいのに、我慢が効かなくなるからと、それもあまり取り合ってもらえない。


そんな謎の禁欲期間が半年も続いたのだ。

私も、彼も我慢は限界近くまで来ている。



髪から飾りを取り切った彼の熱い手が、私の両肩から二の腕を滑っていく。
その手つきは。今までの彼の触れ方と違って、、。

顔を上げると熱い口づけが、唇に降ってきた。



背中に回った彼の手が、編み上げたドレスの紐を解いていく。

締め上げていた身体が緩められ、楽になる。

留められていたものが、無くなってストンとマーメイドラインのドレスが身体を滑って落ちていく。


ブライダルインナーと、ガーターベルトとハイヒールという、なんとも恥ずかしい姿になった私を、彼は上から下まで呆然としながらゆっくり眺める。

「ドレスも綺麗だったけど、これはこれで、たまらないな」


「っ、やめてよ!恥ずかしいっ」

いたたまれなくなって身体を隠そうと両手で胸元を覆うけれど、それは彼によって阻止された。

「もっと見せて、、、俺だけのものだ」



そしてしばらく眺めた後に、身体を引き寄せられて。プチンプチンと背中のホックを外されて、ハラリと上半身を締め付けていた物が取り払われる。


現れた双極を彼の手が覆ってゆっくりと揉んで、先端を悪戯に擦られる。

「ぁっ!」

小さく声を上げた私は、真っ赤になって、彼の肩にしがみついた。


彼がくすりと笑って、、、そして不意に私を抱き上げた。




脱がされたドレスはそのままに、寝台に運ばれる。




寝台に降ろされて見上げると、彼の欲を孕んだ琥珀色の瞳が私を見下ろしていて、ギシリと寝台が軋む音と共に、深い口づけが落ちてきた。

彼の熱い唇と舌が、私の口内を蹂躙する。呼吸も忘れるような熱いそれに私も応えるように舌を差し出す。



そうしながらも彼の片方の手が、私の胸を脇腹を、腰を、太ももを、そして下着に覆われたままの秘部を撫であげる。

恥ずかしい事に、私の秘部はすでに潤っていて、それに気づいた彼が、下着の布地の上でくるりと指を動かした。

そのわずかな刺激にも私の腰はピクリと反応した。



その指が、ゆっくりと下着を滑ってクロッチの中に侵入する。

くちゅり

部屋に水音がやけに鮮明に響いた。


「はぁ、んっ、」

スルスルと、太ももを布地が滑っていく。すでにそれを湿らせていた蜜が太ももにつっと筋を作っていく。

下着がハイヒールを履いたままの足を通ると、彼の手が私の脚をゆっくり開かせて、そこでようやく唇が離れた。


くちゃくちゃと、彼の指が流れる蜜を絡めて、ゆっくりと私の中に侵入して来る。

「ぁあっ、、んぅっ」

久しぶりの異物感に、たまらず腰を揺らした。

彼の唇と舌が、顎から首へ、鎖骨から胸元へ降りていって胸の頂で止まると、口に含んで舌を絡ませる。

「あぁっ!」

それだけの刺激で、私は泣きそうな声を上げて彼の肩を掴んだ。

そこで、ようやく、彼がまだ、服を脱いでいない事に、気がつく。


「フィルも、、脱いでっ」

彼の服を軽く引いて懇願すると、彼が顔を上げて。今思い至ったような顔をしていた。


「ミリィ脱がせて?」

私の顔の横に手を置いて閉じ込めるようにして私を見下ろした彼が、悪戯を思いついた子供のような笑顔で強請る。

くちゅんと私の中に埋めた彼の指が出入りする。

「あっぁ、、っ」

ひくんと肩を揺らして、恐る恐る手を伸ばして彼のシャツのボタンを外していく。

「はぁっ、、ぁあっ、、だめっ!動かさないで」
その間にも彼の指が揶揄うように私の中を擦り上げて、思うようにボタンが外れない。

抗議するように彼を見上げれば。とても楽しそうにそんな私をながめていて、、、

くそう、、、何か文句を言ってやらねばと思ったのに、、それを察した彼は少し奥に指を進めて私の好いところをトントンと刺激した。

「ぁあっ!あっ、あっ」

途端に私はビクリと肩を震わせる羽目になる。

諦めてボタンを外す作業に戻る事にした。
その間にも、彼が悪戯に私を刺激して邪魔をするけど、負けずに私も何とかボタンを外し終えて、均整の取れた彼の鍛え上げられた厚い胸板が露わになった。

彼の肩を撫でるようにシャツを滑らせると、よく出来たとばかりに口付けを落として、彼の身体が離れる。
同時に私の中の彼の指も抜かれて、、、私の蜜にまみれたその指を彼が私に見えるようにわざと舌を絡めて舐め上げた。
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