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2章
23
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「来い」
青年の姿が見えなくなると掴まれたままの手首を強引に引っ張られる。
その勢いに押されて、苓は自然と足を動かして、後に続いた。
あぁそして私は結局物陰に引きずり込まれる運命なのね、、、。
適当な、建物の陰に、押し込まれた苓は、退路を断たれた状態で周に睨まれた。
「馬鹿野郎!ほいほいと軟派について行く奴があるか!!」
「っえ!あれ軟派だったの!?」
まず第一声に怒鳴られたが、その威圧感よりも、苓はあの青年の目的が軟派だったという事に驚いた。
そしてその反応を見た周は「はぁ~っ」と大きく息を吐いて、少しだけ脱力した。
「軟派を軟派とも見極められねぇ世間知らずが、ホイホイと一人で街中に出るな」
うなるように呆れ半分に言われて、むぅっとむくれる。
「そんな、仕方ないじゃない、経験ないんだから!!もう分かったから次からはついて行かないわよ!!だからもういいでしょ!」
ツンと顔を逸らして、抵抗を示す。
「お前なぁ!」
「もう放っておいてよ!」
どうせあと数日の付き合いなのだ、苓はこれから彼らと離れて生活していくのだから、街で好きなようにさせてくれてもいいだろうに。
「放って置けるか!危なっかしすぎる!それに道も分からん癖に!」
「くっ、、、宿の場所くらい人に聞けば何とかなるもん!一人で何とかするから放って置いて!!」
そう言って、苓はわずかにできた隙を狙って、周の脇を抜け出る。
「そっちは方向違うぞ!!」
そう言われて、不覚にも一度止まってしまう。
本当に自分の方向音痴が恨めしい。
この際、周から逃げられるのなら多少方向が違っても構わない。なぜかそこまで意地になっている苓は構わず走り出した。
しかし運動神経のいい周がそんな隙を逃すはずもなく、腕をつかまれて身体を引かれると、抱き寄せられた。
「そう簡単に逃すかよ!」
耳元で苛立った周の低い声が響いた。
「っ、、、、はなして!」
じたばたと抵抗してみるが、当然びくともしない。
「何をそんなに怒ってるんだ?」
ため息交じりにそう言われて、苓は唇を噛む。泣きそうだった。
苓の気持ちなんて少しも理解できていない、、、否、そんな感情で苓を見ていない彼に何をどう説明すればいいのだ。
「っ、、、」
瞳に涙を浮かべて、周を見上げるしかできない。これでは駄々をこねる子供と同じだと自分の子供っぽさに更に嫌気がさした。
「そんな顔するなよ」
案の定、周は困った子供をあやすように眉を下げて苓の頭を、撫でた。
「妹扱いしないで!!」
手を払いのける。そうすると、もう涙を堪えることはできなかった。ポロリと頬を一つ涙が伝うのが分かる。
「した覚えはないぞ?」
こちらを見下ろす周は言い聞かせるようにそう言って、大きな手で苓の頬に触れ涙を拭った。
「してるわ!ずっと!」
その手から逃れるように身を捩って、彼から身体を離す。もうこれ以上子供っぽい姿を彼に見られたくはなかった。
それなのに、
逃げようとする苓の腕を彼は離すどころかさらに引き寄せた。
「っもう!」
離して!と言いかけて、彼を見上げて、、、苓は自身に起こった事を一瞬理解できなかった。
唇に柔らかくて暖かい感触が重ねられて、そしてすぐに離れた。
青年の姿が見えなくなると掴まれたままの手首を強引に引っ張られる。
その勢いに押されて、苓は自然と足を動かして、後に続いた。
あぁそして私は結局物陰に引きずり込まれる運命なのね、、、。
適当な、建物の陰に、押し込まれた苓は、退路を断たれた状態で周に睨まれた。
「馬鹿野郎!ほいほいと軟派について行く奴があるか!!」
「っえ!あれ軟派だったの!?」
まず第一声に怒鳴られたが、その威圧感よりも、苓はあの青年の目的が軟派だったという事に驚いた。
そしてその反応を見た周は「はぁ~っ」と大きく息を吐いて、少しだけ脱力した。
「軟派を軟派とも見極められねぇ世間知らずが、ホイホイと一人で街中に出るな」
うなるように呆れ半分に言われて、むぅっとむくれる。
「そんな、仕方ないじゃない、経験ないんだから!!もう分かったから次からはついて行かないわよ!!だからもういいでしょ!」
ツンと顔を逸らして、抵抗を示す。
「お前なぁ!」
「もう放っておいてよ!」
どうせあと数日の付き合いなのだ、苓はこれから彼らと離れて生活していくのだから、街で好きなようにさせてくれてもいいだろうに。
「放って置けるか!危なっかしすぎる!それに道も分からん癖に!」
「くっ、、、宿の場所くらい人に聞けば何とかなるもん!一人で何とかするから放って置いて!!」
そう言って、苓はわずかにできた隙を狙って、周の脇を抜け出る。
「そっちは方向違うぞ!!」
そう言われて、不覚にも一度止まってしまう。
本当に自分の方向音痴が恨めしい。
この際、周から逃げられるのなら多少方向が違っても構わない。なぜかそこまで意地になっている苓は構わず走り出した。
しかし運動神経のいい周がそんな隙を逃すはずもなく、腕をつかまれて身体を引かれると、抱き寄せられた。
「そう簡単に逃すかよ!」
耳元で苛立った周の低い声が響いた。
「っ、、、、はなして!」
じたばたと抵抗してみるが、当然びくともしない。
「何をそんなに怒ってるんだ?」
ため息交じりにそう言われて、苓は唇を噛む。泣きそうだった。
苓の気持ちなんて少しも理解できていない、、、否、そんな感情で苓を見ていない彼に何をどう説明すればいいのだ。
「っ、、、」
瞳に涙を浮かべて、周を見上げるしかできない。これでは駄々をこねる子供と同じだと自分の子供っぽさに更に嫌気がさした。
「そんな顔するなよ」
案の定、周は困った子供をあやすように眉を下げて苓の頭を、撫でた。
「妹扱いしないで!!」
手を払いのける。そうすると、もう涙を堪えることはできなかった。ポロリと頬を一つ涙が伝うのが分かる。
「した覚えはないぞ?」
こちらを見下ろす周は言い聞かせるようにそう言って、大きな手で苓の頬に触れ涙を拭った。
「してるわ!ずっと!」
その手から逃れるように身を捩って、彼から身体を離す。もうこれ以上子供っぽい姿を彼に見られたくはなかった。
それなのに、
逃げようとする苓の腕を彼は離すどころかさらに引き寄せた。
「っもう!」
離して!と言いかけて、彼を見上げて、、、苓は自身に起こった事を一瞬理解できなかった。
唇に柔らかくて暖かい感触が重ねられて、そしてすぐに離れた。
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