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二章;OPENNESS
53話;始まりの学び舎(2)
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「はい。では、教室の案内と明日からの持ち物も確認できたので、今日のところはこれで解散になります」
朗らかな声が教室に響いた。
入学式も滞りなく終わり、マリスディアたち一年生はそのまま学舎の教室へと連れてこられていた。
各学年一クラスの編成になるので、一年生の担当教師は目の前でにっこりと笑っている女性ということになる。
彼女は名前をミスティ=レンドラーといった。
鮮やかな紫色の巻き毛を腰まで伸ばした彼女はとても美しく、微笑む度に女生徒たちからは感嘆のため息が漏れていた。
マリスディアはそんな彼女に見覚えがあった。
ウルファスの側近の一人であったと記憶している。
彼女は著名な魔法使いであると同時に、アカデミーの理事も務めていたはずだ。……それも何十年も。
“いつ見ても、変わらない美しさ”
確かそんな風に噂__もとい、称賛されている。
(一体、おいくつなのかしら)
彼女の年齢は謎とされ、この学園の七不思議と言われている。
「ミスティ先生、お綺麗よね。レンドラー家といえば、名高い魔法使い一族の名前だったはず」
その時、隣に座る女子生徒が話しかけてきた。
視線を向けると、深い青色の大きな瞳が印象的な長身の少女がこちらを見つめていた。
「聖王国で有名な魔法使い一家だと、ナイトレイズ家とレンドラー家で二分されているわよね」
彼女は続けて話していた。楽しそうに話す度に赤みがかった茶色の長い髪が機嫌よく揺れる。
「あの美貌ももう何十年と変わらないっていうし、一体どんな秘術を使われているのかしら……」
そんな風に考え込む彼女の横顔を眺めながら、マリスディアは気がつけば口を開いていた。
「あなたもとっても綺麗だわ」
こちらを振り返る少女は驚いたように目を見開いたが、いまの言葉がマリスディアの率直な思いだった。
マリスディアは、今まで出会った誰よりも隣で自分を見つめているこの少女が一番美しいと思った。
それくらい目鼻立ちがはっきりとしており、長い睫毛が深い青色の瞳を縁取り美しさを際立たせている。
そんな大きな瞳をにこりと細めると、少女がこちらを覗き込む。
「ありがとう。……ええと、違っていたらごめんなさい。あなたマリスディアさま、よね?」
名前を言い当てられこくりと頷くと、やっぱり!と少女はこちらにずいと身を寄せた。
「あたしはサリ=オランジェットよ。よろしく、王女さま」
はきはきとよく通る声で少女__サリはこちらに手を差し出した。
「よ、よろしく。サリ……さん」
突然のことで戸惑ったが、どぎまぎしながらマリスディアもその手を握り返した。
「明日は、教科書の配布とアカデミー内の案内をします。登校時間は今日と同じでね」
ミスティの言葉を合図に、めいめいが立ち上がりだした。
マリスディアも同じように立ち上がり帰り支度をしていると、教壇のところで生徒たちに挨拶を返しているミスティと目が合った。
親しいというわけではないが、見知った仲だからであろう。彼女はこちらに目配せを寄越して手を振った。
軽く会釈をしながら、もしかしたら理事長である彼女が一年生の担任をしているのは、ウルファスの娘である自分がいるからではないかと複雑な思いが頭を過った。
先ほどのサリの言葉も然り、自分の立場が特別視されてしまうのは仕方がないが、それでも“普通”でいたかった。
(そもそも、普通ってどういうことなのかしら)
浮かない表情になっていると、ぽんと肩を叩かれた。
振り返ると歯を見せて笑うジルファリアの姿が映った。
「なぁマリア、一緒にアカデミーの中探検してから帰ろうぜ」
「探検?」
そう言われてみれば、自分もこの学舎を見て回ったことはない。途端に高揚感が増してきた。
せっかく王城から自由に出られる時が来たのだ。
初日から寄り道なんてしていたら父に叱られるかもしれない。
けれどもマリスディアは突然の魅力的な提案と自分の好奇心には抗えなかった。
「え、ジルファリア=フォークス?」
彼の誘いに頷こうとした時、隣から訝しむような声が聞こえてきた。
サリが苦虫を噛み潰したような顔でこちらを見つめていたのである。
「あ!お前、教会の……」
途端にジルファリアも同じような表情に変わる。
「驚いた。あなたもアカデミーに入学していたのね」
「何だよ、悪いか?」
二人は知り合いなのだろうか。
睨み合っている彼らにマリスディアが首を傾げていると、
「ねぇマリスディアさま。こんなロクでもないヤツとはあんまり一緒にいない方がいいわよ」
サリがマリスディアの手を取り自分の方へと引いた。
「はぁ?何言ってんだお前」
鼻の上に皺を寄せながらジルファリアが噛み付く。
「マリアはオレと一緒に帰るんだぞ」
ジルファリアはそう言いながら、サリが掴んでいる手とは反対側の腕を自分の方へ引っ張った。
両側から引っ張られ、マリスディアは困ったように二人の顔を交互に見比べる。
「ちょっとあなた、マリスディアさまの何なの?ずいぶんと馴れ馴れしいわね、マリアって」
「オレたちは友だちなんだ」
「友だち……」
半眼になったサリがふぅんと唸ると、マリスディアの手を離す。
「マリスディアさまも、もうちょっとお友だち選びは慎重にした方がいいんじゃない?」
「え?」
「こいつが街でなんて呼ばれているか知っている?」
ちらりとジルファリアを見遣りながら、サリが腕を組む。
「悪ガキクソガキジルファリア、よ」
その不名誉な呼び名に、マリスディアは思わず吹き出してしまった。
確かにそこまで呼ばれでもしないと、あんな無茶なことはできないだろう。
貴族街に忍び込んでみたり、誘拐犯の馬車に飛び乗ったり……。
今まで何度となく彼がしてきた事柄を思い出しながら、マリスディアは笑いを止められなかった。
そんな様子を恨めしげに見つめていたジルファリアが「そんなに笑わなくてもいいじゃねーか……」と独りごちている。
一方で不思議そうな表情でこちらを見ていたサリが気を取り直してジルファリアを指差す。
「ともかく、王女さまがこんなやつと一緒にいたら、それこそ厄介なことに巻き込まれてしまうわよ」
「なんだとっ!」
「……でも、サリさん」
一頻り笑い終えたマリスディアが口を開く。
「ジルは本当はとても優しいんです。碌でもない人じゃないわ」
「マリアっ!」
ぱっと顔を輝かせるジルファリアとは裏腹に、口をぽかんと開けていたサリだが、そう、と短く返すと机の鞄を持ち上げた。
「あたしにはそうは思えないけど。ともかく忠告したわよ。それじゃあまた明日」
そう言いながら踵を返し、彼女は教室を素早く出て行ってしまった。
(あぁ……)
もしかしたら彼女と仲良くなれるかもしれないと期待していたのだが、正面からの反論はよくなかっただろうか。
マリスディアは心の中で落胆した。
「マリア、行こうぜ」
サリのことなどちっとも気にしていない様子でジルファリアがうきうきと切り出した。
(サリさんには、また明日話しかけてみよう)
そうだ、明日また頑張ればいい。
気を取り直したマリスディアは彼の後に続いた。
「はい。では、教室の案内と明日からの持ち物も確認できたので、今日のところはこれで解散になります」
朗らかな声が教室に響いた。
入学式も滞りなく終わり、マリスディアたち一年生はそのまま学舎の教室へと連れてこられていた。
各学年一クラスの編成になるので、一年生の担当教師は目の前でにっこりと笑っている女性ということになる。
彼女は名前をミスティ=レンドラーといった。
鮮やかな紫色の巻き毛を腰まで伸ばした彼女はとても美しく、微笑む度に女生徒たちからは感嘆のため息が漏れていた。
マリスディアはそんな彼女に見覚えがあった。
ウルファスの側近の一人であったと記憶している。
彼女は著名な魔法使いであると同時に、アカデミーの理事も務めていたはずだ。……それも何十年も。
“いつ見ても、変わらない美しさ”
確かそんな風に噂__もとい、称賛されている。
(一体、おいくつなのかしら)
彼女の年齢は謎とされ、この学園の七不思議と言われている。
「ミスティ先生、お綺麗よね。レンドラー家といえば、名高い魔法使い一族の名前だったはず」
その時、隣に座る女子生徒が話しかけてきた。
視線を向けると、深い青色の大きな瞳が印象的な長身の少女がこちらを見つめていた。
「聖王国で有名な魔法使い一家だと、ナイトレイズ家とレンドラー家で二分されているわよね」
彼女は続けて話していた。楽しそうに話す度に赤みがかった茶色の長い髪が機嫌よく揺れる。
「あの美貌ももう何十年と変わらないっていうし、一体どんな秘術を使われているのかしら……」
そんな風に考え込む彼女の横顔を眺めながら、マリスディアは気がつけば口を開いていた。
「あなたもとっても綺麗だわ」
こちらを振り返る少女は驚いたように目を見開いたが、いまの言葉がマリスディアの率直な思いだった。
マリスディアは、今まで出会った誰よりも隣で自分を見つめているこの少女が一番美しいと思った。
それくらい目鼻立ちがはっきりとしており、長い睫毛が深い青色の瞳を縁取り美しさを際立たせている。
そんな大きな瞳をにこりと細めると、少女がこちらを覗き込む。
「ありがとう。……ええと、違っていたらごめんなさい。あなたマリスディアさま、よね?」
名前を言い当てられこくりと頷くと、やっぱり!と少女はこちらにずいと身を寄せた。
「あたしはサリ=オランジェットよ。よろしく、王女さま」
はきはきとよく通る声で少女__サリはこちらに手を差し出した。
「よ、よろしく。サリ……さん」
突然のことで戸惑ったが、どぎまぎしながらマリスディアもその手を握り返した。
「明日は、教科書の配布とアカデミー内の案内をします。登校時間は今日と同じでね」
ミスティの言葉を合図に、めいめいが立ち上がりだした。
マリスディアも同じように立ち上がり帰り支度をしていると、教壇のところで生徒たちに挨拶を返しているミスティと目が合った。
親しいというわけではないが、見知った仲だからであろう。彼女はこちらに目配せを寄越して手を振った。
軽く会釈をしながら、もしかしたら理事長である彼女が一年生の担任をしているのは、ウルファスの娘である自分がいるからではないかと複雑な思いが頭を過った。
先ほどのサリの言葉も然り、自分の立場が特別視されてしまうのは仕方がないが、それでも“普通”でいたかった。
(そもそも、普通ってどういうことなのかしら)
浮かない表情になっていると、ぽんと肩を叩かれた。
振り返ると歯を見せて笑うジルファリアの姿が映った。
「なぁマリア、一緒にアカデミーの中探検してから帰ろうぜ」
「探検?」
そう言われてみれば、自分もこの学舎を見て回ったことはない。途端に高揚感が増してきた。
せっかく王城から自由に出られる時が来たのだ。
初日から寄り道なんてしていたら父に叱られるかもしれない。
けれどもマリスディアは突然の魅力的な提案と自分の好奇心には抗えなかった。
「え、ジルファリア=フォークス?」
彼の誘いに頷こうとした時、隣から訝しむような声が聞こえてきた。
サリが苦虫を噛み潰したような顔でこちらを見つめていたのである。
「あ!お前、教会の……」
途端にジルファリアも同じような表情に変わる。
「驚いた。あなたもアカデミーに入学していたのね」
「何だよ、悪いか?」
二人は知り合いなのだろうか。
睨み合っている彼らにマリスディアが首を傾げていると、
「ねぇマリスディアさま。こんなロクでもないヤツとはあんまり一緒にいない方がいいわよ」
サリがマリスディアの手を取り自分の方へと引いた。
「はぁ?何言ってんだお前」
鼻の上に皺を寄せながらジルファリアが噛み付く。
「マリアはオレと一緒に帰るんだぞ」
ジルファリアはそう言いながら、サリが掴んでいる手とは反対側の腕を自分の方へ引っ張った。
両側から引っ張られ、マリスディアは困ったように二人の顔を交互に見比べる。
「ちょっとあなた、マリスディアさまの何なの?ずいぶんと馴れ馴れしいわね、マリアって」
「オレたちは友だちなんだ」
「友だち……」
半眼になったサリがふぅんと唸ると、マリスディアの手を離す。
「マリスディアさまも、もうちょっとお友だち選びは慎重にした方がいいんじゃない?」
「え?」
「こいつが街でなんて呼ばれているか知っている?」
ちらりとジルファリアを見遣りながら、サリが腕を組む。
「悪ガキクソガキジルファリア、よ」
その不名誉な呼び名に、マリスディアは思わず吹き出してしまった。
確かにそこまで呼ばれでもしないと、あんな無茶なことはできないだろう。
貴族街に忍び込んでみたり、誘拐犯の馬車に飛び乗ったり……。
今まで何度となく彼がしてきた事柄を思い出しながら、マリスディアは笑いを止められなかった。
そんな様子を恨めしげに見つめていたジルファリアが「そんなに笑わなくてもいいじゃねーか……」と独りごちている。
一方で不思議そうな表情でこちらを見ていたサリが気を取り直してジルファリアを指差す。
「ともかく、王女さまがこんなやつと一緒にいたら、それこそ厄介なことに巻き込まれてしまうわよ」
「なんだとっ!」
「……でも、サリさん」
一頻り笑い終えたマリスディアが口を開く。
「ジルは本当はとても優しいんです。碌でもない人じゃないわ」
「マリアっ!」
ぱっと顔を輝かせるジルファリアとは裏腹に、口をぽかんと開けていたサリだが、そう、と短く返すと机の鞄を持ち上げた。
「あたしにはそうは思えないけど。ともかく忠告したわよ。それじゃあまた明日」
そう言いながら踵を返し、彼女は教室を素早く出て行ってしまった。
(あぁ……)
もしかしたら彼女と仲良くなれるかもしれないと期待していたのだが、正面からの反論はよくなかっただろうか。
マリスディアは心の中で落胆した。
「マリア、行こうぜ」
サリのことなどちっとも気にしていない様子でジルファリアがうきうきと切り出した。
(サリさんには、また明日話しかけてみよう)
そうだ、明日また頑張ればいい。
気を取り直したマリスディアは彼の後に続いた。
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