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18話目:騒動の予感
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「この映画、面白かったねー!」
リリは新しく出来たクラスの友人たちと、ここ南昭島ショッピングモールで『親睦会』を行っていた。そしてリリの持つ手提げ鞄には当然の如く、銀のスライムの奏矢が潜んでいた。
あの後、保健室からクラスへと戻ったリリはクラスのみんなから心配されると共に、質問攻めにあった。どこ出身か? 趣味は? 部活はどこに入るのか? などなど。そしてクラスの中心のある数人のグループが『天野さんの歓迎会』をやろうと言いだして、週末を利用して遊ぶ計画が立てられたのだった。そしてリリとその友人たちはショッピングモールにて映画を見て、少しばかり遅い昼ご飯を取りに、3階の映画館から1階のレストラン街へと向かっていた。
「ご飯、どこで食べるー? えぇっと」
リリはショートボブほどの髪の毛を後ろにまとめ、精一杯のおめかしをして隣を並んで歩く”新しい”友人へと声を掛ける。
だが、リリはその隣を歩く”新しい友人”の名前が思い出せずに、少しだけ言葉が詰まってしまう。そのことを察した”友人”は笑いながらリリへと話しかける。
「あれー、天野さん。私の名前を忘れちゃったのぉ? 酷くない?」
「あっ、ごめん……」
「んー、いーよ! 昨日、初めて会ったんだし、まだなかなか名前なんて覚えられないよね。アタシは加藤 優。前を歩いてる右の子が鈴木、あたしは椎って呼んでるけど。で左側の子が植田。佳奈って呼んでるけどね。覚えた?」
「う、うーん……?」
「優、それは無茶じゃない……?」
「いや、いけるでしょ!」
優は元気そうにかなの言葉に答える。
そのやりとりを見ながら、リリは笑う。軽口をたたき合う、優、佳奈、椎を見て本当に仲が良いんだなぁとぼんやりと考えていた。
「ねー、天野さん」
「うん?」
ふと、軽口を叩いていた佳奈が振り返ってリリへと声を掛ける。
ちょうどリリはぼんやりとしていたために、少しだけ声がうわずってしまう。
「あのさ、あの二宮さんのこと気にしなくて良いよ? あの子、うちのクラスで浮いてる子だし」
「ああ、うん……」
リリは昨日のことを思い出す。脚を引っかけられ保健室送りになった後、クラスに戻ったリリを『怪我をさせた張本人である』二宮が、じっと校内を回るリリを見守るようについてきていたのだった。
それが数日間ずっと続き、どうしようかとリリは思い悩んでいたのだ。
「でもさぁ、ありえなくない? 自分で天野さんに怪我させときながら、あの後すごい心配してさ。体育のバレーボールやってたときに、ボールが天野さんにぶつかっただけでキレてたし」
「うーん、私が二宮さんが思ってたより勢いよく転んじゃったから、すごい心配になっちゃったのかな?」
「いやー、二宮はそんなこと、気にしないと思う」
「本当、すぐに先生に絡んで授業を止めちゃうし。あーあ、来年受験だから、二宮と一緒のクラスにならなければ良いなー」
「あっ、椎もそう思うよね! 来年も佳奈と椎と一緒なら良いなぁ。あ、天野さんも一緒だと嬉し……あっ」
ふと、優は言葉を切る。そしてリリも椎も佳奈も、優が言葉を切った理由にすぐに気がついた。
あともう少しで下の階へと続くエスカレーターだというそのときに、ちょうどエスレータ-で昇ってくる二宮の姿が見えたからであった。二宮もまたこのショッピングモールに友人と遊びに来たのか、数人のツレと後ろを向きながら喋っていた。そしてエスカレーターから降りようと前を見た瞬間、固まっているリリたちを見て二宮もまた固まってしまう。
「あっ……」
二宮は後ろから押し出される形でエスカレーターから降りる。そしてリリの顔を凝視しながら固まっていると、心配したように二宮の友人が声を掛ける。
そのことで二宮はハッと我に帰ると、リリに関わらないように、リリたちが居るところから離れようと一歩踏み出したその次の瞬間。
ガシャン!
ガラスが割れる音、そして人の悲鳴がショッピングモールに響き渡るのであった。
リリは新しく出来たクラスの友人たちと、ここ南昭島ショッピングモールで『親睦会』を行っていた。そしてリリの持つ手提げ鞄には当然の如く、銀のスライムの奏矢が潜んでいた。
あの後、保健室からクラスへと戻ったリリはクラスのみんなから心配されると共に、質問攻めにあった。どこ出身か? 趣味は? 部活はどこに入るのか? などなど。そしてクラスの中心のある数人のグループが『天野さんの歓迎会』をやろうと言いだして、週末を利用して遊ぶ計画が立てられたのだった。そしてリリとその友人たちはショッピングモールにて映画を見て、少しばかり遅い昼ご飯を取りに、3階の映画館から1階のレストラン街へと向かっていた。
「ご飯、どこで食べるー? えぇっと」
リリはショートボブほどの髪の毛を後ろにまとめ、精一杯のおめかしをして隣を並んで歩く”新しい”友人へと声を掛ける。
だが、リリはその隣を歩く”新しい友人”の名前が思い出せずに、少しだけ言葉が詰まってしまう。そのことを察した”友人”は笑いながらリリへと話しかける。
「あれー、天野さん。私の名前を忘れちゃったのぉ? 酷くない?」
「あっ、ごめん……」
「んー、いーよ! 昨日、初めて会ったんだし、まだなかなか名前なんて覚えられないよね。アタシは加藤 優。前を歩いてる右の子が鈴木、あたしは椎って呼んでるけど。で左側の子が植田。佳奈って呼んでるけどね。覚えた?」
「う、うーん……?」
「優、それは無茶じゃない……?」
「いや、いけるでしょ!」
優は元気そうにかなの言葉に答える。
そのやりとりを見ながら、リリは笑う。軽口をたたき合う、優、佳奈、椎を見て本当に仲が良いんだなぁとぼんやりと考えていた。
「ねー、天野さん」
「うん?」
ふと、軽口を叩いていた佳奈が振り返ってリリへと声を掛ける。
ちょうどリリはぼんやりとしていたために、少しだけ声がうわずってしまう。
「あのさ、あの二宮さんのこと気にしなくて良いよ? あの子、うちのクラスで浮いてる子だし」
「ああ、うん……」
リリは昨日のことを思い出す。脚を引っかけられ保健室送りになった後、クラスに戻ったリリを『怪我をさせた張本人である』二宮が、じっと校内を回るリリを見守るようについてきていたのだった。
それが数日間ずっと続き、どうしようかとリリは思い悩んでいたのだ。
「でもさぁ、ありえなくない? 自分で天野さんに怪我させときながら、あの後すごい心配してさ。体育のバレーボールやってたときに、ボールが天野さんにぶつかっただけでキレてたし」
「うーん、私が二宮さんが思ってたより勢いよく転んじゃったから、すごい心配になっちゃったのかな?」
「いやー、二宮はそんなこと、気にしないと思う」
「本当、すぐに先生に絡んで授業を止めちゃうし。あーあ、来年受験だから、二宮と一緒のクラスにならなければ良いなー」
「あっ、椎もそう思うよね! 来年も佳奈と椎と一緒なら良いなぁ。あ、天野さんも一緒だと嬉し……あっ」
ふと、優は言葉を切る。そしてリリも椎も佳奈も、優が言葉を切った理由にすぐに気がついた。
あともう少しで下の階へと続くエスカレーターだというそのときに、ちょうどエスレータ-で昇ってくる二宮の姿が見えたからであった。二宮もまたこのショッピングモールに友人と遊びに来たのか、数人のツレと後ろを向きながら喋っていた。そしてエスカレーターから降りようと前を見た瞬間、固まっているリリたちを見て二宮もまた固まってしまう。
「あっ……」
二宮は後ろから押し出される形でエスカレーターから降りる。そしてリリの顔を凝視しながら固まっていると、心配したように二宮の友人が声を掛ける。
そのことで二宮はハッと我に帰ると、リリに関わらないように、リリたちが居るところから離れようと一歩踏み出したその次の瞬間。
ガシャン!
ガラスが割れる音、そして人の悲鳴がショッピングモールに響き渡るのであった。
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