上 下
67 / 101
第2章 水の研究者、魔族と戦う

第67話 水の研究者 vs 魔族3体

しおりを挟む
 ミスティナスの王都周辺に広がる森が激しく燃えていた。

「ふはははははっ! 燃えろ燃えろ!!」

 イブロという魔族が周囲に炎をまき散らしていた。彼は火の魔法を使う存在ではこの世界最強。そんな彼の魔法を、アバディル兄弟が風魔法で強化する。

 兄弟魔族の風に煽られ、イブロが放った炎は瞬く間に世界樹の森に広がっていく。


「これだけ火力が上がれば、頭上の世界樹にも届くか? アバディル兄弟、ちょっと手伝え」

「「御意!」」

 イブロがターゲットを頭上に広がる世界樹の枝に定めた。上方に向かって膨大な魔力を放出する。

火よエジュ集まりケネス 舞い上がれレマーラ

「「風よオーラ旋回せよハリィータ!」」

 周囲の森から炎が集まってきた。それが1本の柱となって、上へ上へと立ちのぼる。その周りを風が旋回して炎の上昇を助けた。

「……ちっ! これでも届かぬか」

 炎の量は凄まじいものだったが、それでも世界樹には届かない。

「やはり根本から直接燃やすしかないな」

「そのようで」

「これだけの火力があれば、世界樹の結界は破れるでしょう」

 イブロ単体の魔力であれば、世界樹の結果を超えられなかった。

 しかし森を焼き、風魔法によってその炎を一か所に集約することで、これまで破られたことのないミスティナス王都を守る結界すら破壊可能な火力となっていた。

「行くぞ。我らの悲願は今宵実るだろう」

 世界樹の森を焼く炎を引き連れ、イブロたちは王都の防壁へ向かった。


 
「ん……。あれは、人族? それに獣人か?」

 王都防壁の外にエルフではない男女が立っていることにイブロが気づく。

「なぜこんな場所に」
「まさか、勇者が?」

 強烈な火炎を背後に引き連れて迫ってきたと言うのに逃げる様子もなく、まるで自分たちを待ち構えているかのようなふたり。彼らを見てイブロたちは足を止めた。

「貴様ら、何者だ? なぜ逃げない」

「逃げる必要がないから。俺はここで、お前たちを止める」

 トールが杖を地面に突き立て、ここから先は通さないという意志を示す。

「その杖、魔法使いだな。魔力量はそれなりにありそうだが、その程度で我ら魔族を前に粋がるとは。後悔しながら死ぬが良い。お前たち、殺れ」

風よオーラ貫けクフィツァ
風よオーラ切り裂けザイル

 イブロの両脇に控えていたアバディル兄弟が風魔法を発動させる。

 数十人の騎士をまとめて切り刻める威力の魔法だったのだが──


 その魔法はトールに当たらなかった。

 魔法無効化《マジックキャンセラー》の機能を搭載した鎧を纏ったミーナが前に出て拳を振るい、魔族の魔法を打ち消したのだ。

「わ、我らの魔法が」
「かき消された、だと?」

「わー。これ、すごいニャ!」

 魔具師ガロンヌが発明した魔法を無力化してしまう魔具。その機能を盛り込むことに成功した鎧は、どんな魔法使いの攻撃も通さない。

 しかし魔族の魔法ともなれば、そう簡単には防げない。一般的な魔法使いと魔族では魔法の威力に差がありすぎる。

 そこでミーナは魔族が放った魔法の核となる部分に自身の魔力をぶつけて弱体化させ、更に魔法無効化の効果を持った鎧で殴りつけることで魔族の魔法を消滅させた。

 拳に魔力を留め、殴りつける瞬間にそれを放つことが可能な彼女だけがこの神業を成し遂げることができる。

「あの、ミーナさん。俺の出番は?」

 魔法を発動させるより早くミーナが動いたため、トールは詠唱もしていなかった。

「あっ、ごめんニャ。ウチも初めてこの鎧の性能を試せるってなって……。ついやっちゃったニャ。あとは見ておくから、トール頑張ってニャ」

「はーい」

 トールが杖を構えた。

 その瞬間、イブロたちは言いようのない恐怖を感じた。

「な、なんだこれは?」
「身体が、震える」

「えぇい、落ち着け。所詮ただの魔法使いだ。聖剣を持った勇者でないのは明らか。そんな奴に、我ら魔族が恐れることなど何もない! 我の魔法に合せよ!!」

「は、はい!」
「いけます!!」

 イブロは防壁前に立つトールごと、世界樹が展開している結界を破壊するつもりで魔力を高めた。そしてここまで森を焼きながら増やしてきた炎を一点に集中させ、トールに向けて放つ。

火よエジュ貫けクフィツァ!!」

「「風よオーラ加速させよレハイーツ!」」

 魔族三体が全力で魔力を注いだ魔法に加え、森が燃えて発生した大量の炎がトールに襲い掛かる。



水よマイン障壁となれレハキィーフ


 地面から大量の水が染み出し、壁となって炎からトールとミーナ。そしてミスティナス王都を完全に守り切った。

 地面から湧き出した水は今日の昼頃、トールが魔力を混ぜ込み自由に操作できるようにしておいた地底湖の水。

 地面に染み込んだ水を操作できる魔法使いは存在しない。しかしあらかじめ水操作で意図して地面に侵透させた水なら好きなタイミングで操ることが可能だった。

 それに気付いたトールは、地底湖の水を対魔族用の武器として活用したのだ。


「王都の全周を覆えるだけの水量を確保してたんだけど……。もう終わりな感じ?」

 魔族たちの全力攻撃を、トールは余裕を持って防ぎ切った。

 というより、余裕過ぎた。

 ミスティナス王都を守るため、魔力を通して操作できるよう準備した水の100分の1も使っていなかったのだ。


「なん、だと──」

「馬鹿な、人族があの魔法を防ぐなんて」

「な、何かの間違いだ!!」

 アバとディルは次の攻撃をするために魔力を放出した。

 しかし彼らを率いてきたイブロは、自身の力だけでは絶対に出せない威力の魔法を防がれたことで唖然としてしまい、動けないでいた。

 それは絶対的な隙を産む。

 世界樹の枝は世界最高の魔力変換素材。それが芯に使われた杖──名をハザクという。それには使用者の魔力との親和性を高めるため、水魔法を使う魔族の角も素材として組み込まれていた。

 トールがハザクを前方に掲げる。

 杖の性能を最大限に活用し、世界樹から送り込まれる潤沢な魔力をすべて魔法に変換した。

 王都を炎から守るために使った大量の水を、そのまま攻撃に転用する。


水よマイン双璧となりシュラム──」

 イブロたちがいる左右に水が集まり、超高密度に圧縮される。

 そして二枚の巨大な水の壁となった。

 三体の魔族はその異様な光景に圧倒され、動けないでいた。

 トールが杖から手を離す。その杖、ハザクは彼の前で自立して浮いている。

 もはや魔法は完成していた。
 あとは発動のトリガーを引くだけ。

 トールが手を胸の前で広げる。
 

押しつぶせリホルズ!」

 彼が勢いよく手を叩くと、二枚の水の壁は超高速でぶつかり合い、その間にいた魔族たちは断末魔を上げる間もなく一瞬で叩き潰された。

 それは10メートル級の津波で発生する破壊力を優に超える威力があった。鉄筋コンクリート製の建物を容易く破壊する力である。

 あまりの衝撃で、頑丈な魔族でも身体がバラバラになっていた。とはいえ、これでも魔族はまだ復活する可能性がある。

 当然トールもそれを知っている。


水よマイン分離しレファフィリード 回れディスドーヴ

 正方形に維持された水の中で一部の水が高速回転し、バラバラになった魔族の肉片を更に細かく切断していく。それも魔族の血に含まれた魔力を使うので、魔族たちが死ぬまでこの魔法が解かれることはない。

 これはもはや、対魔族のための魔法と言っても過言ではなかった。


「これで終わりで良いのかな? 隠れてる魔族とか、いないよね」

「ウチが気配を感じ取れる範囲には、強そうな奴はいないニャ」

『私も大丈夫だと思います。というか、やっぱりトールさん強すぎですね。あとミーナさんも。魔族の魔法を打ち消しちゃうって……。なんでそんなことができちゃうんですか?』

 トールは異世界人だから、女神から受け取る特殊なスキルやこちらの世界にない知識で強くなれるというのは世界樹もまだ理解できる。しかし獣人が魔族の魔法を防いだというのが信じられなかった。

「確かに、ミーナって強いよね」

「そうニャ。その辺の人族には負けないくらいには強いって、前に言ったニャ。魔族の攻撃を防げたのは、ガロンヌさんの鎧のおかげニャ!」

 トールと世界樹が聞きたいのは、どうやってそれだけの強さを手に入れたのかということだが、今はそれを聞いている余裕がなかった。

『あっ、トールさん! 森の炎が、迫って来ています!! これも何とかできませんか? このままじゃ、エルフたちが暮らせなくなります』

 魔族は倒したが、そいつらが森に放った炎は森を広がり、ミスティナス王都を取り囲んでいた。放置すれば辺り一帯が不毛の地となってしまう。

「地底湖の水、全部使っていい?」

『ぜ、全部ですか!? ……仕方ありませんね。私の末端が一部枯れるかもしれませんが、森が全てなくなってしまうよりマシです。やっちゃってください!』

「りょーかい!」

 トールが杖を高く掲げた。

 魔族たちを倒した時以上に集中する。


水よマイン火を消せレハボゥテ エジュ

 地面からしみ出した水が塊となり、森へ飛んで行った。

 これは火を自動追尾する水魔法。

 対象となる火を消せば、蒸発しなかった分の水はまた別の場所の火を消すために移動する。そんな水の塊が大量に放たれた。

 次々と火が消されていく。

 
 10分もしないうちにすべての消火が完了した。

『すごい……。あれだけの火災が、もう消されるなんて』

「大量の水を押し流せばもっと早く消せたけど、それをするとまだ生きてる木々もなぎ倒しちゃうから。ちょっと時間かけちゃった」

『時間をかけたって、えっ? あ、あれで!?』

 ヒトの手ではどうしようもないと思えるほどの災害を防いだだけでなく、彼は複数ある選択肢の中から最善のものを選んでいたのだ。

『あ、あはは。もう、トールさんが勇者で良いですよね?』

「俺は勇者じゃないって。ただ勇者の召喚に巻き込まれただけ」

『それでも、私の中ではあなたが勇者様です。今回も私とエルフ族を守って下さり、本当にありがとうございました』

「うん。それじゃ、いつものよろしく」

『いつもの、とは?』

「俺らをここに召喚したでしょ。もう魔族は倒したんだし、俺たちが泊ってた宿まで送り還してよ」

『……いやです』

「えっ、なんで?」

『トールさんとミーナさんは救国の英雄です。もてなされるべきです。王族によく言っておきますので、エルフたちからも感謝されてください。さぁ、王城まで来てください! お待ちしてますよー!』

 そう言って世界樹の声が聞こえなくなった。

「えっと、どうする?」

「トールは3回もこの国を守ったから、そろそろ褒められても良いと思うニャ。だけど……。もし美人エルフたちに鼻の下伸ばしてたら、ウチは全力で拗ねるからそこんとこよろしくニャ」

「なら大丈夫かな。俺はミーナ一筋だから」

 トールはミーナの手を取り、彼女の頬に軽くキスをした。

「今日の俺、どうだった?」

「カッコよかったニャ! やっぱり戦ってる時のトールの顔、最高だニャ」

「ありがと。これからもこんな感じで魔族を倒すよ。ミーナを危険な目には合わせない。だから、応援よろしくね」

「はいニャ!!」


 ふたりで少しイチャついたあと、彼らは王都へ向かってゆっくりと歩いて行った。








【お知らせ】

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
これにて第2章終了です。
引き続き、最終章書いていきます。

また現在、『第3回次世代ファンタジーカップ』というのに応募しています。
期間中、たくさん読んでいただけると幸いです。

BETとかもできるみたいなので、是非ご協力ください。
下のフリースペースにリンク貼っておきます。

今30位くらいです。
応援、よろしくお願いしまーす!!
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

処理中です...