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魔女裁判
しおりを挟む私が暮らす村には、奇妙な言い伝えがありました
度々奇行に走る住民
人々はそれを『悪魔憑き』と呼び…
それから逃れるために、より一層、敬虔に、盲目的に、信仰を捧げてゆきました
…であれば、仕方の無い事だったのかも知れません
年端もいかぬ少女達が、外つ国のまじないに魅せられる事も
禁じられたもの程、より魅力的に映るという事も
少女達の好奇心は、閉鎖的な村の中で膨れ上がり、破裂し…全てを呑み込んでゆきました
「この人は魔女」
「その人も魔女」
「あの人達は魔女の仲間」
子供の吐いた小さな嘘で、私達は殺し合ったのです
茶番劇と分かっていても、誰が言い出せるというのでしょう
自分が吊し上げられてしまうのに
子供の吐いた小さな嘘を膨らませ、破裂させたのは…私達の方だったのです
茶番劇と明らかでも、誰が気付けるというのでしょう
振り翳した正義に酔っていたのに
元より閉ざされた場所…
みるみる内に狂気は感染し、次々と奇妙な果実が実りました
隣人の死を前に安堵していた私達…
それはどんなに恐ろしい事でしょう
恐れていたものに
忌避すべきものに
いつの間にか、成り果てていたのです
だから…ええ、想像もしていなかった
無邪気な殺意、小さな指先が次に示すのは
「あのね、あの人がおかしな術を…」
嗚呼、まさか私が
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