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後日談
夫婦喧嘩は犬も食わない(中)※
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「んっ、ふ、ふぁっ」
「由佳、可愛い。沢山キスしような
」
なんでー!
どうしてー!
何がどうしてアンリをそう突き動かしたのか全く分からないけれど、アンリがすごく、すごくキスしてくる。
ころんと私をベッドに転がしたアンリは、私に覆いかぶさると、最初に唇に濃厚なのを一回。それだけでくらくらして溶けちゃいそうになりかけていると、頬に、鼻に、まぶたに。なぞるように顔中にキスの雨を降らしてくる。
「あ、アンリ、は、話を……っ」
「分かってる。由佳が朝起きたいって理由は十分に理解した。だから今までみたいに抱きつぶさないようにするよ。―――仕事の日は」
できれば休みの日もそうして欲しいんですが!?
そんな私の叫び声はアンリの口の中に吸い込まれて、こっくりと飲み干されてしまう。
「ごめん、由佳、我慢できない。抱いていい?」
「い、いや……! 話っ、お話するからぁっ」
「お願いだよ、僕の奥さん。可愛い由佳。君が好きすぎて、もうほんとどうにかなっちゃいそうなんだって」
「そんな他人事みたいに言わないでっ! 自制して!!」
「これでも充分、自制してるんだけどなぁ」
のんきにそんな事言ったって、結婚ビフォーアフターではアンリの態度全然違うからね!?
「由佳ぁ、殺生だ。こんな可愛い奥さんを前にお預けなんて生殺しだ」
「お預けって思ってるなら服脱がそうとしないで!」
「だって抱きたいし」
開き直ったようにけろっと言わないでくれる!?
そろそろツッコミと抵抗に疲れてきていると、アンリが私の服にかけていた手を止めて、真剣な顔をした。
「由佳、どっちがいい? 今すぐここで味見程度に抱かれて夕飯食べてゆっくり眠るのと、夕飯の後に眠るまで抱かれるの。どっちがいいかい?」
「今も、夕飯の後も、何もしないで寝る選択肢はないの?」
「ないなぁ。今抱かせてくれないなら寝る前にするよ?」
その言い方、決定事項なの??
私はぐぬぬとうなる。ひどい。アンリはとってもひどい。
アンリのせいで体の奥にポツポツと点った火が、うずいてる。
私はそろっとアンリから視線をそらした。
アンリが大好きな気持ち(心)とアンリが大好きな気持ち(身体)が、天秤にかけられぐらぐら揺れてる。
でもどっちにしてもアンリが大好きなのには変わりなく。
―――今致しても、夕食の時間までなら、明日起きれるのでは?
そう悪魔が囁いた気がした。
お許しを出してからのアンリは早かった。
するっと私の服を脱がしてしまうと、アンリは私にキスをしながら、その身体をなぞっていく。
「んっ……ふ、っん」
「由佳、舌出して」
一瞬だけためらったけど、アンリに言われるままちろりと舌を出す。アンリは目を細めて笑うと、ちゅ、と私の舌を食べるようにすすってしまう。
それがなんともえっちで、恥ずかしくて、もじもじしていれば、アンリが私の背中に腕を差し入れて浮かせた。
ブラのホックが外される。
驚くことにこの世界、貴族は腰のラインを強調するためにコルセットをつけるけど、平民の下着としてブラジャーは元の世界と遜色のない形のものが出回ってた。はるか昔、オルレットのお妃様になったという天降り人が伝えたらしい。
アンリは器用にブラのホックを外すと、ゆるんだ胸元に手を差し入れてくる。
アンリの大きくて、顔に似合わず無骨な指が、私の胸をやわやわと揉みしだく。
「ん、んんんっ」
「由佳、可愛い。これ、食べていい?」
「ひぁっ」
やわやわと胸に触れていたアンリの指が、私の胸の頂をくりっといじってくる。
ころころ転がされると、お腹の奥がきゅっとして、胸の内側がじんとしびれてくる。
「や、やだ……っ」
「えー? ……あ、そっか。ちょっと待って」
アンリか何かを思い出したように愛撫をやめてしまう。
そろりとベッドに横たえられた私は目を白黒させた。
え?? なんでやめたの???
「あ、アンリ?」
「いや、これ飲むの忘れるところだった」
そう言うと、アンリはチェストの上に置いた、イアン君から貰っていた瓶に手をのばす。
丸薬らしいそれを一粒手の平に出すと、パクっと食べてしまう。もぐもぐするアンリの顔が渋くなった。
「にっっが……」
「アンリ? それなに?」
「避妊薬」
「あれ? いつもはお水じゃなかった?」
きょとんとしてれば、アンリが笑う。
「いつもは水に溶かして、即効性を高めてるんだよ。丸薬のまんまだと効き目が出るのが遅いから」
「へぇ……え?? 効き目が遅い?」
「そ。まぁ効き目が出るのは自分で分かるから、効き目が出るまではいっぱい愛してあげるさ」
ふぅんとうなずけば、アンリは瓶を元の場所に置いて、私に再び覆いかぶさる。
「それじゃ、もう一度。可愛い由佳を見せてくれよ」
「ふぁ、ちょっ」
するりとブラが外されて、私は完全にショーツだけになる。慌てて胸を隠そうとすれば、手をシーツに押しつけられて、アンリが私の胸へとキスをする
「んっ」
「由佳のここ可愛い。ぴんってしてる。そんなに触ってほしかったのかい?」
「あ、アンリが触るから……っ、あっ」
「素直じゃないなぁ」
アンリがころころと舌先で転がすように胸を突起をいじってくる。
じわじわと灯る官能の熱に身を任せていると、アンリの指が下の方へと伸びていく。
ゆるゆるとショーツの縫い目をなぞるように動くアンリの指に、腰が揺れそうになる。我慢して、内股に力を入れれば、アンリがくすりと笑った。
「由佳、足を閉じるなって」
「や、やだ……恥ずかしい……」
「毎日してるのにまだ恥ずかしがるか。可愛いなぁ」
アンリが嬉しそうに笑う。なんでそんなに嬉しいのか分かんない。
きゅっと眉を寄せれば、アンリは私の眉間にキスをする。
「そんな顔するなって。可愛い顔が台なし」
「……可愛いくないし」
「可愛いよ。ここも、ここも、……ここも」
アンリが私の可愛い所を数えるように、キスを落としてくる。顔はもちろん、首筋を通って、胸、お腹までキスして、やがて私の、恥ずかしいところにまで。
「由佳、脱がしていい? すごく濡れてる」
「言わなくて、いいからぁ……っ」
そんな恥ずかしいこと言わないで!!!
涙目でアンリを睨みつければ、アンリはご機嫌で私のショーツを脱がしてしまう。
そして大きく私の足を広げると、私の隠されていた場所へとキスしてくる。
瞬間、私の腰が浮く。
「ひあっ!」
「可愛い。ぐずぐずに溶けてる。僕のせいかい?」
「~~~っ」
誰かアンリの口を縫い止めてー!
恥ずかしさと気持ちよさで口をはくはくさせていれば、アンリは容赦なく、私が気持ちいいと感じるところへと舌を這わせてくる。
「ふぁっ!? あっ、やっ、ひ、ぅっんっ!」
「由佳、ここ気持ちよくて好きだよね?」
「ち、ちがっ」
「違わないだろ」
な? と言わんばかりに花芽を吸われて、私の中にくすぶっていた気持ちいいが一気にはじけた。
「あぁっ!」
達した私が肩で息をしていると、アンリはひょっこりと足の間から顔を出す。
「もう一回いい?」
「よくないっ! これ恥ずかしいしっ! きたないっ!」
「えー」
えー、じゃない、し!
「由佳は汚くなんかないよ。まだ薬の効き目出てないし、もうちょっと味あわせておくれよ」
「……やだ。舐めないで」
「僕の奥さんはお預けばかりだ。それも可愛いけど」
アンリが身体を起こして、私の目尻にキスをした。
私がアンリのキスに意識を持っていかれていると、アンリの指が秘所さぐってくる。
つぷり、と指が中へと入ってくる。
「薬が効くまで、中ほぐそうか」
これにはうなずく。恥ずかしいからアンリの胸元に顔を埋めた。
くちゅくちゅと、はしたない水音が聞こえてくる。
「ん……ふ、ぅ、んっ」
「由佳、声我慢しないで。聞かせて」
「やだってば……ぁんっ」
「じゃあ言わせたら僕の勝ちね」
なにその勝負!
私受けるなんて言ってないんだけど!
でもアンリの指がだんだんと大胆な動きになっていくから、私はアンリにしがみついて必死に声を抑えた。負けるのは悔しい。
「……っ、ふ、ぅ……っ、はぁ」
「体震えてる。ここもひくひくしてる。気持ちいい? つらい?」
「へい、き……っ」
「あー……可愛い。好き」
気持ちよくて体が震えてしまう。気持ちいいを我慢してるせいか、体勢が悪いのか、なかなか達せなくて、アンリのシャツをぎゅうっと握りこんだ。
「……っ、ん、ぅ……」
「由佳、上向いて」
「ふ……っ」
アンリがキスしてくる。唇を合わせて、舌をからめる大人のキスは、それだけで頭の中がとろけてしまいそう。
アンリのキスは、私の呼吸を全部食べてしまえと言わんばかりに深くて、苦しくなる。呼吸が止まる前に顔の角度を変えて息継ぎをすれば、だんだんと二人の呼吸が荒いものへと変わっていく。
「……っ、由佳、ごめん、もう、いい?」
「く、くすり、は」
「効いてきてる。お願いだ。由佳の中に入りたい。ここ、ぐちゃぐちゃにしたい」
隘路に挿し込まれていた指は、いつの間にか三本に増えていた。私はこっくりうなずく。
アンリは早かった。ガバっと起き上がると、乱暴に服を脱ぎ捨てていく。あっという間に、全部脱いでしまったアンリは、起き上がりかけた私をころりと転がして、足を抱えてしまった。
アンリのスミレの瞳と視線が交わる。
甘い熱を孕んで、雄らしい欲と立ち昇るような色気がアンリの表情からにじみ出て、お腹の奥がきゅんとする。こぷりとはしたなく、蜜がこぼれていく。
「由佳、受け入れて」
「ん……っ」
ずぷりとアンリの熱が体の中を割って入ってくる。
アンリはゆるゆると腰をすすめると、私を抱きしめてくれる。キスもいっぱいしてくれた。
「……っ、由佳、すぐイキそうだから、そんなしめないで」
「わかんない……っ」
「あーもー」
その後に続くだろうと思っていた言葉は続かずに、アンリはゆるりと腰を引いた。
「由佳をイかすまではイかない」
なんで!?
意味が分からずアンリの顔を見上げれば、アンリは眉に僅かに険しさをにじませている。私の視線に気づくと、ゆるりと口元をゆるめた。
ゆるりとアンリが再び入ってくる。
蜜壺からこぼれるようにあふれる蜜を潤滑油にして、アンリはゆるゆると腰を動かした。
「うぁ……っ、あ、だめっ、ゆっくり、だめっ」
「でも由佳、これ好きだろ。この奥、ここ、こすられるの好きだもんな」
「ちがっ、あっ、ふ……っ、きもちぃくなるからっ」
「うん、気持ちいいな。由佳、まだ今日は中でイけてないから、頑張ろうな」
アンリが長く長く、じっくりとストロークすると、背筋にぞわぞわと快感が這い登ってくる。ふるふる震えてそれに耐えていれば、アンリは言葉と腰とで、私を責め立ててくる。
気持ちいいがじわじわとせり上がってくる。
私の身体はとても気まぐれだ。初夜の時のようにものすごく感度がいい時もあれば、今日みたいになかなか達することができない時もある。
アンリは私がちゃんと達しないと満足しないようで、今日まで散々私は喘がされてきているのですが、たぶん今日も、アンリと私の我慢比べが始まるわけで。
「ん……っ、ふ…、…ぅ……っ」
「由佳、声出して。声出したら、気持ちよくなるよ」
アンリが私を誘う。ゆるゆる挿し抜きされる熱に、お腹の奥にどんどん気持ちいいが溜まっていく。
ふるふると首を振れば、アンリちょっとだけ眉をしかめる。それから、ゆるりと引いた腰を、思いっきり最奥へと叩きつけた。
「ああっ!」
「ごめん、僕の方が保たない……由佳、お願いだ。気持ちよくなって」
「まっ、やっ、ああっ!」
「これじゃイけない? ちょっと体勢変える?」
「あっ、あっ、やっ、ひぅっ」
「由佳、どうしてほしい?」
熱い吐息とともに、アンリが私の耳元でどうしてほしいのかを尋ねてくる。
そんなの、そんなの聞かれたって……!
「き、きもちいいっ、きもちいいから……っ、ふ、ぅ、んぁっ!」
「イける?」
「いっ、いきたいっ、いきたいよぅ……!」
気持ちいいがいっはいいっぱいで、体の奥がぐずぐずしてる。快感の出口が分からなくて、私は頭を振る。
「いかせてっ、やだっ、おかしくなるっ」
「……っ、ちょっと乱暴にするけど、ごめん」
「ーーーっ、ぁっ、はっ、やぁっ! だめだめだめ! それだめっ!」
アンリが私の左足を肩へと担いでしまう。それは、お腹が破れてしまいそうなくらい、深くつながる体勢で、それこそこれで何度も突かれたら、気が狂いそうになるやつだ。
私が上へと逃げようとすると、アンリは私の足と腰を捕まえてしまう。
「気持ちいいだけだから、大丈夫だ。ほら、気持ちいい」
「あっ、あっ、あっ」
トントントン、と深いところをアンリの熱にとんとんされる。奥から脳天にまっすぐ気持ちいいが伝わってしまう。
「あんりっ、あんりっ」
「由佳……由佳。可愛い。イけそう? 気持ちいいかい?」
「いいっ、きもちっ、いいからぁっ」
もう、気持ちいいはお腹いっぱいだ。
気持ちよさが過ぎて、ぽろぽろと涙が出てくる。
アンリが私の体をおるように口づけて、私の涙を舐めとってくれるけど、その体勢がさらに深くつながるものになって。
私は、とうとう。
「ひぅっ、んっ、ふ、あっ、あ、あああっ!」
気持ちいいが一気に弾けて、頭の裏がまっ白になる。きゅうっとお腹の奥がしまって、恥ずかしいところにあるアンリの熱をぎゅっと締めつけた。
「イったかい?」
「いっ……いった、からぁ……っ」
「可愛い。それじゃあ、もう少し頑張ろうな」
へ?
はぁはぁと肩で息をしていれば、アンリがにっこり笑う。
今、なんて……?
「今度は僕がイくまで、気持ちよくなろうな」
アンリを鬼畜だと思った瞬間だった。
「由佳、可愛い。沢山キスしような
」
なんでー!
どうしてー!
何がどうしてアンリをそう突き動かしたのか全く分からないけれど、アンリがすごく、すごくキスしてくる。
ころんと私をベッドに転がしたアンリは、私に覆いかぶさると、最初に唇に濃厚なのを一回。それだけでくらくらして溶けちゃいそうになりかけていると、頬に、鼻に、まぶたに。なぞるように顔中にキスの雨を降らしてくる。
「あ、アンリ、は、話を……っ」
「分かってる。由佳が朝起きたいって理由は十分に理解した。だから今までみたいに抱きつぶさないようにするよ。―――仕事の日は」
できれば休みの日もそうして欲しいんですが!?
そんな私の叫び声はアンリの口の中に吸い込まれて、こっくりと飲み干されてしまう。
「ごめん、由佳、我慢できない。抱いていい?」
「い、いや……! 話っ、お話するからぁっ」
「お願いだよ、僕の奥さん。可愛い由佳。君が好きすぎて、もうほんとどうにかなっちゃいそうなんだって」
「そんな他人事みたいに言わないでっ! 自制して!!」
「これでも充分、自制してるんだけどなぁ」
のんきにそんな事言ったって、結婚ビフォーアフターではアンリの態度全然違うからね!?
「由佳ぁ、殺生だ。こんな可愛い奥さんを前にお預けなんて生殺しだ」
「お預けって思ってるなら服脱がそうとしないで!」
「だって抱きたいし」
開き直ったようにけろっと言わないでくれる!?
そろそろツッコミと抵抗に疲れてきていると、アンリが私の服にかけていた手を止めて、真剣な顔をした。
「由佳、どっちがいい? 今すぐここで味見程度に抱かれて夕飯食べてゆっくり眠るのと、夕飯の後に眠るまで抱かれるの。どっちがいいかい?」
「今も、夕飯の後も、何もしないで寝る選択肢はないの?」
「ないなぁ。今抱かせてくれないなら寝る前にするよ?」
その言い方、決定事項なの??
私はぐぬぬとうなる。ひどい。アンリはとってもひどい。
アンリのせいで体の奥にポツポツと点った火が、うずいてる。
私はそろっとアンリから視線をそらした。
アンリが大好きな気持ち(心)とアンリが大好きな気持ち(身体)が、天秤にかけられぐらぐら揺れてる。
でもどっちにしてもアンリが大好きなのには変わりなく。
―――今致しても、夕食の時間までなら、明日起きれるのでは?
そう悪魔が囁いた気がした。
お許しを出してからのアンリは早かった。
するっと私の服を脱がしてしまうと、アンリは私にキスをしながら、その身体をなぞっていく。
「んっ……ふ、っん」
「由佳、舌出して」
一瞬だけためらったけど、アンリに言われるままちろりと舌を出す。アンリは目を細めて笑うと、ちゅ、と私の舌を食べるようにすすってしまう。
それがなんともえっちで、恥ずかしくて、もじもじしていれば、アンリが私の背中に腕を差し入れて浮かせた。
ブラのホックが外される。
驚くことにこの世界、貴族は腰のラインを強調するためにコルセットをつけるけど、平民の下着としてブラジャーは元の世界と遜色のない形のものが出回ってた。はるか昔、オルレットのお妃様になったという天降り人が伝えたらしい。
アンリは器用にブラのホックを外すと、ゆるんだ胸元に手を差し入れてくる。
アンリの大きくて、顔に似合わず無骨な指が、私の胸をやわやわと揉みしだく。
「ん、んんんっ」
「由佳、可愛い。これ、食べていい?」
「ひぁっ」
やわやわと胸に触れていたアンリの指が、私の胸の頂をくりっといじってくる。
ころころ転がされると、お腹の奥がきゅっとして、胸の内側がじんとしびれてくる。
「や、やだ……っ」
「えー? ……あ、そっか。ちょっと待って」
アンリか何かを思い出したように愛撫をやめてしまう。
そろりとベッドに横たえられた私は目を白黒させた。
え?? なんでやめたの???
「あ、アンリ?」
「いや、これ飲むの忘れるところだった」
そう言うと、アンリはチェストの上に置いた、イアン君から貰っていた瓶に手をのばす。
丸薬らしいそれを一粒手の平に出すと、パクっと食べてしまう。もぐもぐするアンリの顔が渋くなった。
「にっっが……」
「アンリ? それなに?」
「避妊薬」
「あれ? いつもはお水じゃなかった?」
きょとんとしてれば、アンリが笑う。
「いつもは水に溶かして、即効性を高めてるんだよ。丸薬のまんまだと効き目が出るのが遅いから」
「へぇ……え?? 効き目が遅い?」
「そ。まぁ効き目が出るのは自分で分かるから、効き目が出るまではいっぱい愛してあげるさ」
ふぅんとうなずけば、アンリは瓶を元の場所に置いて、私に再び覆いかぶさる。
「それじゃ、もう一度。可愛い由佳を見せてくれよ」
「ふぁ、ちょっ」
するりとブラが外されて、私は完全にショーツだけになる。慌てて胸を隠そうとすれば、手をシーツに押しつけられて、アンリが私の胸へとキスをする
「んっ」
「由佳のここ可愛い。ぴんってしてる。そんなに触ってほしかったのかい?」
「あ、アンリが触るから……っ、あっ」
「素直じゃないなぁ」
アンリがころころと舌先で転がすように胸を突起をいじってくる。
じわじわと灯る官能の熱に身を任せていると、アンリの指が下の方へと伸びていく。
ゆるゆるとショーツの縫い目をなぞるように動くアンリの指に、腰が揺れそうになる。我慢して、内股に力を入れれば、アンリがくすりと笑った。
「由佳、足を閉じるなって」
「や、やだ……恥ずかしい……」
「毎日してるのにまだ恥ずかしがるか。可愛いなぁ」
アンリが嬉しそうに笑う。なんでそんなに嬉しいのか分かんない。
きゅっと眉を寄せれば、アンリは私の眉間にキスをする。
「そんな顔するなって。可愛い顔が台なし」
「……可愛いくないし」
「可愛いよ。ここも、ここも、……ここも」
アンリが私の可愛い所を数えるように、キスを落としてくる。顔はもちろん、首筋を通って、胸、お腹までキスして、やがて私の、恥ずかしいところにまで。
「由佳、脱がしていい? すごく濡れてる」
「言わなくて、いいからぁ……っ」
そんな恥ずかしいこと言わないで!!!
涙目でアンリを睨みつければ、アンリはご機嫌で私のショーツを脱がしてしまう。
そして大きく私の足を広げると、私の隠されていた場所へとキスしてくる。
瞬間、私の腰が浮く。
「ひあっ!」
「可愛い。ぐずぐずに溶けてる。僕のせいかい?」
「~~~っ」
誰かアンリの口を縫い止めてー!
恥ずかしさと気持ちよさで口をはくはくさせていれば、アンリは容赦なく、私が気持ちいいと感じるところへと舌を這わせてくる。
「ふぁっ!? あっ、やっ、ひ、ぅっんっ!」
「由佳、ここ気持ちよくて好きだよね?」
「ち、ちがっ」
「違わないだろ」
な? と言わんばかりに花芽を吸われて、私の中にくすぶっていた気持ちいいが一気にはじけた。
「あぁっ!」
達した私が肩で息をしていると、アンリはひょっこりと足の間から顔を出す。
「もう一回いい?」
「よくないっ! これ恥ずかしいしっ! きたないっ!」
「えー」
えー、じゃない、し!
「由佳は汚くなんかないよ。まだ薬の効き目出てないし、もうちょっと味あわせておくれよ」
「……やだ。舐めないで」
「僕の奥さんはお預けばかりだ。それも可愛いけど」
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私がアンリのキスに意識を持っていかれていると、アンリの指が秘所さぐってくる。
つぷり、と指が中へと入ってくる。
「薬が効くまで、中ほぐそうか」
これにはうなずく。恥ずかしいからアンリの胸元に顔を埋めた。
くちゅくちゅと、はしたない水音が聞こえてくる。
「ん……ふ、ぅ、んっ」
「由佳、声我慢しないで。聞かせて」
「やだってば……ぁんっ」
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私受けるなんて言ってないんだけど!
でもアンリの指がだんだんと大胆な動きになっていくから、私はアンリにしがみついて必死に声を抑えた。負けるのは悔しい。
「……っ、ふ、ぅ……っ、はぁ」
「体震えてる。ここもひくひくしてる。気持ちいい? つらい?」
「へい、き……っ」
「あー……可愛い。好き」
気持ちよくて体が震えてしまう。気持ちいいを我慢してるせいか、体勢が悪いのか、なかなか達せなくて、アンリのシャツをぎゅうっと握りこんだ。
「……っ、ん、ぅ……」
「由佳、上向いて」
「ふ……っ」
アンリがキスしてくる。唇を合わせて、舌をからめる大人のキスは、それだけで頭の中がとろけてしまいそう。
アンリのキスは、私の呼吸を全部食べてしまえと言わんばかりに深くて、苦しくなる。呼吸が止まる前に顔の角度を変えて息継ぎをすれば、だんだんと二人の呼吸が荒いものへと変わっていく。
「……っ、由佳、ごめん、もう、いい?」
「く、くすり、は」
「効いてきてる。お願いだ。由佳の中に入りたい。ここ、ぐちゃぐちゃにしたい」
隘路に挿し込まれていた指は、いつの間にか三本に増えていた。私はこっくりうなずく。
アンリは早かった。ガバっと起き上がると、乱暴に服を脱ぎ捨てていく。あっという間に、全部脱いでしまったアンリは、起き上がりかけた私をころりと転がして、足を抱えてしまった。
アンリのスミレの瞳と視線が交わる。
甘い熱を孕んで、雄らしい欲と立ち昇るような色気がアンリの表情からにじみ出て、お腹の奥がきゅんとする。こぷりとはしたなく、蜜がこぼれていく。
「由佳、受け入れて」
「ん……っ」
ずぷりとアンリの熱が体の中を割って入ってくる。
アンリはゆるゆると腰をすすめると、私を抱きしめてくれる。キスもいっぱいしてくれた。
「……っ、由佳、すぐイキそうだから、そんなしめないで」
「わかんない……っ」
「あーもー」
その後に続くだろうと思っていた言葉は続かずに、アンリはゆるりと腰を引いた。
「由佳をイかすまではイかない」
なんで!?
意味が分からずアンリの顔を見上げれば、アンリは眉に僅かに険しさをにじませている。私の視線に気づくと、ゆるりと口元をゆるめた。
ゆるりとアンリが再び入ってくる。
蜜壺からこぼれるようにあふれる蜜を潤滑油にして、アンリはゆるゆると腰を動かした。
「うぁ……っ、あ、だめっ、ゆっくり、だめっ」
「でも由佳、これ好きだろ。この奥、ここ、こすられるの好きだもんな」
「ちがっ、あっ、ふ……っ、きもちぃくなるからっ」
「うん、気持ちいいな。由佳、まだ今日は中でイけてないから、頑張ろうな」
アンリが長く長く、じっくりとストロークすると、背筋にぞわぞわと快感が這い登ってくる。ふるふる震えてそれに耐えていれば、アンリは言葉と腰とで、私を責め立ててくる。
気持ちいいがじわじわとせり上がってくる。
私の身体はとても気まぐれだ。初夜の時のようにものすごく感度がいい時もあれば、今日みたいになかなか達することができない時もある。
アンリは私がちゃんと達しないと満足しないようで、今日まで散々私は喘がされてきているのですが、たぶん今日も、アンリと私の我慢比べが始まるわけで。
「ん……っ、ふ…、…ぅ……っ」
「由佳、声出して。声出したら、気持ちよくなるよ」
アンリが私を誘う。ゆるゆる挿し抜きされる熱に、お腹の奥にどんどん気持ちいいが溜まっていく。
ふるふると首を振れば、アンリちょっとだけ眉をしかめる。それから、ゆるりと引いた腰を、思いっきり最奥へと叩きつけた。
「ああっ!」
「ごめん、僕の方が保たない……由佳、お願いだ。気持ちよくなって」
「まっ、やっ、ああっ!」
「これじゃイけない? ちょっと体勢変える?」
「あっ、あっ、やっ、ひぅっ」
「由佳、どうしてほしい?」
熱い吐息とともに、アンリが私の耳元でどうしてほしいのかを尋ねてくる。
そんなの、そんなの聞かれたって……!
「き、きもちいいっ、きもちいいから……っ、ふ、ぅ、んぁっ!」
「イける?」
「いっ、いきたいっ、いきたいよぅ……!」
気持ちいいがいっはいいっぱいで、体の奥がぐずぐずしてる。快感の出口が分からなくて、私は頭を振る。
「いかせてっ、やだっ、おかしくなるっ」
「……っ、ちょっと乱暴にするけど、ごめん」
「ーーーっ、ぁっ、はっ、やぁっ! だめだめだめ! それだめっ!」
アンリが私の左足を肩へと担いでしまう。それは、お腹が破れてしまいそうなくらい、深くつながる体勢で、それこそこれで何度も突かれたら、気が狂いそうになるやつだ。
私が上へと逃げようとすると、アンリは私の足と腰を捕まえてしまう。
「気持ちいいだけだから、大丈夫だ。ほら、気持ちいい」
「あっ、あっ、あっ」
トントントン、と深いところをアンリの熱にとんとんされる。奥から脳天にまっすぐ気持ちいいが伝わってしまう。
「あんりっ、あんりっ」
「由佳……由佳。可愛い。イけそう? 気持ちいいかい?」
「いいっ、きもちっ、いいからぁっ」
もう、気持ちいいはお腹いっぱいだ。
気持ちよさが過ぎて、ぽろぽろと涙が出てくる。
アンリが私の体をおるように口づけて、私の涙を舐めとってくれるけど、その体勢がさらに深くつながるものになって。
私は、とうとう。
「ひぅっ、んっ、ふ、あっ、あ、あああっ!」
気持ちいいが一気に弾けて、頭の裏がまっ白になる。きゅうっとお腹の奥がしまって、恥ずかしいところにあるアンリの熱をぎゅっと締めつけた。
「イったかい?」
「いっ……いった、からぁ……っ」
「可愛い。それじゃあ、もう少し頑張ろうな」
へ?
はぁはぁと肩で息をしていれば、アンリがにっこり笑う。
今、なんて……?
「今度は僕がイくまで、気持ちよくなろうな」
アンリを鬼畜だと思った瞬間だった。
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