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第二章

Arriving -到着-

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わぁ、大きい。
近くで見るとさらに大きく感じる。

門が自動で開いた!?
すごい。
自動で開く門なんて初めて見た。

車が門を通り過ぎると、
これまた自動で門が閉じた。

ここから逃げるのは難しいかな?
周りは塀で囲まれているし、
この様子だと門は普段は閉まっているみたいだしな。
塀か門によじ登れば何となりそうだけど……

「そんなに珍しいか?」

何が?

私の怪訝そうな顔から何かを察したのだろう。
あぁ、と頷いてから
「ずっと門を見てるから、自動で開閉する門って
珍しいのか気になってな。」
と。

あっ、どっ、どうしよう。
挙動不審だったかな?大丈夫かな?
怪しまれてないかな?

「珍しいです。」

やっと出た言葉はその一言だけだった。

「そうか。」

特に興味もなさそうな返答に安心した。
怪しまれてはいなさそうだ。


そんなことを考えていたら、車が止まった。
扉が開く。

「さぁ、お手をどうぞ。フェア様。」

こういう時ってどうしたらいいんだろう。
救いを求めるようにセフィさんを見る。

「手を握れば良い。
支えてくれる、えーと、手すりだとでも思えば良い。」

「えっ。」

「イメージだ、イメージ。
あんまり気にするな。」

そーっと、リーアさんの手を握る。
意外と骨張っていてしっかりしている。
細身なのにすごい……

「あ、えと、ありがとうございます!」

「いえいえ、仕事ですから。」

続いてセフィさんも降りてきた。

「足元きをつけろよ。」

足元を見ると階段があった。
お屋敷の扉への階段を数段登る。
扉も大きくて豪華だ。

「高そう。」

思わず、漏れた言葉だった。

「どうなんだろうな。
ここより高い屋敷も結構あるしな。」

ど、どうなってるの!?
この世界の価値基準。
あっでも、安い可能性もあるのか。
1シエラと1クマドルどれくらいの差があるんだろう?
また今度聞いてみようかな…

ガチャ。
扉が開いた。流石にこの扉は手動らしい。
安心した。これなら中から鍵も開けれそうだし。

ガチャン。
鍵の閉まる音?何で?
みんなスリッパに履き替えて、
扉から離れた位置にいるのに。

「驚きましたか?
実はこの扉も自動でして。
勝手に鍵を閉めてくれるんですよ。」

「おまけに、中から開けようとしても
開かないようになっていまして。
だから逃げようとしても無駄ですから。フェア様 捕らわれの姫。」

ゾクっと寒気がした。
この人、怖い。

「どうかしたか?リーア、フェア。」

「いいえ、何も。」

「それではお屋敷をご案内しますね。」

ひとまず頷く。

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