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第一章

Question -問-

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「……。」

お、怒ってる?

「……だったら何なんだ。」

「ほぇっ?」

「今言っただろ、俺のものなんかじゃないって。」

「言いましたけど……」

「だがな、お前を買ったのは俺だ。
それは変えようもない事実なんだよ。」

「それとも、10000クマドル払うのか?
それならそれで構わんが。」

……10000クマドル何てお金もってないよ。
そもそもクマドルも分からないのに。

私、どうしたらいいの……

「何てな、冗談だよ。
お前にそんな金があるとは思えんしな。
まぁ、もの呼びしたのは悪かった…」


謝った!?
思っていたよりも悪い人ではないのかも。
でも、こんな怪しげなオークションに来る人に
良い人なんて居ないだろうし…

「さぁ、帰るぞ。」

「お家に返してくれるの。」
一縷の望みをかけて言ってみたのだが。

「帰すわけないだろ。」
やっぱりダメですか。どうにか隙をみて逃げないと。

「なら、どこに行くんですか?」

「俺ん家だ。野宿の方がいいならそれでもいいが…
下級悪魔だらけだぞ。」

「野宿なんて嫌です。絶対に嫌でふっ、」
ゴホゴホ、ゴホゴホゴホゴホ。

「おい、大丈夫か?」

「ゴホゴホ、だ、ゴホ、大丈夫です。」

「そうか、ならいいが。」

はい、盛大にむせただけなので。

あれ、そういえば…
「さっき、悪魔って言っていませんでしたか?」

「野宿に虫が出るならわかるんですが、何で悪魔?
御伽噺じゃないんですから悪魔なんて」

「悪魔なんているわけない。か」
「悪いが悪魔ならいるぞ。
下級悪魔、中級悪魔、上級悪魔、そして魔王。」

えっ!?冗談じゃなくて⁇

「冗談じゃないぞ。実際に、ほら俺たちがそうだ。」

パチンと指を鳴らしたと思うと、角が…角が…
「角!?」

「あぁ、見たことないのか。」

「見たことないに決まっ」
あれ?前にもどこかで見たような…

いつだったっけ?
確かあれは、そう6歳の誕生日の時に。

何があったんだっけ?
確か、ママとパパが大きなケーキを焼いてくれて、
愛らしい熊のぬいぐるみをくれて、
1日中一緒にいて遊んでくれて、それで、それで確か…

「うっ。」

「おい、どうした。」
「お嬢様?大丈夫ですか、どうなさいました?」

「泣いているのか?」
私、泣いているの?
何で、何で…

「目を擦るのはやめとけ。ほらっ」
ハンカチで涙を拭いてくれる。
それなのに涙が止まらない。
綺麗な刺繍入りのハンカチがどんどん濡れていく。



段々、涙が収まってきた。

「あっ、えっと、ごめんなさい。」

「何がだ?お前が謝るべきことなんて1つも」

「ハンカチを濡らしてしまって。」

「そんな事はどうでもいい。それより大丈夫か?
しんどくはないか?」

「大丈夫です。」

「ほっ、なら良かった。」

「落ち着かれたようで良かったです。安心しました。
それでは、私は車を回してきますので
少しこちらでお待ちください。」

「何か?」

「×××××。」

「何を言われたんだ?」

「内緒です。」
旦那様はああ見えて優しいですから。
なんていわれましてもまだ信用出来ません。
まぁ、優しいのは本当みたいですけど。
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