1 / 20
第1章 痛み
頭が痛いです。
しおりを挟む「う、うーん……」
私は起き上がり、まばたきをする。
「うっ」
ズキズキと頭がいたむ。
なんでこんなに頭が痛いんだろうか……
ふと、自分の手を見ると赤い何が付着していた。
「ひっ」
これは……血?
驚きからか瞬きが止まらない。
ギュッと目を閉じて、もう一度開き、そっと手を見ると血が消えていた。
「血が消えっ、消えた!」
私は驚きながらも内心ほっとしていた。
疲れているのかな……
ひとまず深呼吸しようかなぁ。なんて考えながらそっと息を吸い込んだ。
しばらくして少し、落ち着いてきたかな
「……………………こ、ここはどこ」
こんな場所、私は知らない。
パパもママもどこにいるの……
キョロキョロと辺りを見渡すが人の気配は感じられない。人がいるんだろうか?
❖❖❖❖❖
「なあ、レヴィー………あのガキどうするんだ?」
俺は隣にいる友人に話しかける。
何もかもがめんどくさいと言わんばかりの表情でこちらを見てくるレヴィー。
「ん? どうするって」
「お前なあ、自分で拾ったガキだろうが」
「ああ、お人形ちゃんのことか」
「人形ってなあ……」
「仕方ないだろうが、名前知らないんだから」
もうちょっとマシな呼び方は思いつかなかったのか、と思いながら言葉を返す。
「だからって人形呼びは酷いだろうが……いくらお人形みたいだからって」
「お前も中々ひどいぞ、ハール」
まぁ、これは性格だからなおしようがないよな。
おあいこってとこか。
❖❖❖❖❖
冷静になり辺りを見る余裕も出てきた私は状況を確認することにした。
「おり?」
どう見ても檻だよね。
私、何で檻の中にいるの?
「さっきまで家にいたよね!? 夢じゃないよね」
興奮して、つい声が出てしまった。あまり大声を出すと私を閉じ込めた犯人にバレそうだから黙っていたいのに……
「痛っ!」
頬をつねったら痛かった。夢ではない様だ。
このままでは拉致があかないので、ひとまず起き上がり歩く事にした。
とは言ってもあまり歩く事は出来ない。
なぜならベッドの周りはすぐに鉄格子。
でも、出入り口くらいあるよね。
えっ、あるよね? 本当にあるよね?
自分で考えだしておいて不安から焦りが止まらない。
鉄格子を端から端までくまなく見る。
すると、一箇所だけ幅が違う場所ならあった。
「あっ! ここなら空きそう」
(やっと見つかった!)
見つかったは良いものの、こういう時は大抵開いてない。
「はぁ。やっぱり開いてないか」
まぁ、都合良く開いている方が怖いのだが。
ドンドンと叩いてみるもののビクともしない
叩いてだめなら……と思い引いてみたが意味がなかった。
「誰かー。いませんかー」と叫びたいけど、ここがどこかも分からないのに危険すぎるよね。
そう思った私は諦める事にした。
「うっ」
何もできない事が嫌でもわかる。泣きそう……
泣いてもどうにもならないのに、わかっているのに。
❖❖❖❖❖
「レヴィー、いいかげん、様子を見てきたらどうだ?」
全然様子を見に行く気配のないレヴィーに話かける。
「えぇ、面倒くさいなぁ。ハール代わりに行けよ」
「はぁ、何で俺が。拾ったのはお前だろ」
拾った当人が様子を見に行こうとしないのはどうかと思うな。
そんな言い合いをしていると、ふと疑問に思った。
幼いながらに整った容姿。甘くて美味しそうな魂。どこからどう見ても最高級品だ。
「つーか、どこで拾ったんだ。あんな最高級品」
「ん?どこって、そんなのヴァンーー」
会話を遮るように誰かの声が響く。
「ーーうっ」
「何か聞こえたな」
「そうだな、レヴィー」
「はぁ、様子を見に行くか。続きは後でな」
「なら、俺も行くよ。反応気になるし」
こうして、二人の人物は少女がいる部屋に向かうのだった。
❖❖❖❖❖
トントントントン。カチカチカチカチ。
足音らしきものが聞こえる。
ーー足音が止んだ?
と思えばコンコンと音がする。
だ、誰だろう。私をここに閉じ込めた人?
私、どうしたらいいの?
タイミングを見計らって逃げる?
でも、足音は少なくても2つしたよね。
このまま、ここにいたらいいのかな?
寝たふりしようかな?
❖❖❖❖❖
コンコン。
「なぁ、レヴィー あのガキ起きてると思うか?」
「さぁ。まぁでも、起きていない方が幸せなんじゃないか?」
「……」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。
猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。
『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』
一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる