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第十一話 観劇を見終えて

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晴れ渡る晴天の休日。
私とオルガはアカデミーの学生寮から馬車で城下町ラバダに向かった。

ラバダの建物は王城やアカデミーとは違い、色鮮やかな色彩を取り入れていて見ているだけでワクワクしてくる。

ラバダの中心部は大きな広場になっていて、その中央には大きな噴水があり、噴水のうしろにはドドーンとセントラル劇場が建っている。
今日私とオルガが観劇を見る場所がそのセントラル劇場。

「晴れて良かったわね~」と、休日の晴天に私とオルガの気持ちは盛り上がる。

今日 私達二人は堅苦しいドレスではなく庶民的で動きやすい服装で外出している。
優しいガーゼ生地のミントグリーンのワンピースが風でふわっと揺れた。

「どうかな?こんな軽い服初めてよ」
「うん、立派な町娘」
「それ褒めてる?」
「うん。褒めてる」
「それよりも、オルガのその格好何なの?」

いつもの明るい長い金髪が茶色のショートカットに変わっていた。
それだけじゃない、オルガは上は白のシャツに下は黒の細身のズボンと膝丈のブーツを履いていた。

私の視線を感じたオルガが、茶色の髪をカパッと持ち上げた。その下には纏められた金髪が見える。

あ、ウィッグだったのね。
てっきり変装道具を開発したのかと思ってしまったわ。

「コンセプトは男装令嬢。シークレットブーツ履いてるから背も高いし男に見える?」

なるほど、背が高いなぁとは思っていたけど、シークレットブーツを履いてるのね。

「歌劇を見るのに男装する意味あるの?」
「なーい。気晴らし気晴らし」

相変わらず自由ね、オルガ。

オルガと他愛もない会話をしながら劇場前のお店でポップコーンとジュースを買って劇場に入った。

さすが王都で人気の歌劇だけあって賑わっている。

「ところでどんな演目なの?」
「テーマは真実の愛だって。好きでしょ、アリシア」

きゃぁー、何ですって!?
好き好き、好きすぎるわよっ。

私は言葉にならない興奮を首をコクコク縦に振って表現した。

暫くするとブーという音がして会場が暗くなっていった。

舞台は架空の王国。
幼くして婚約を結んだ二人の若者がいる。

お互いに恋愛感情はないがお互いの家門のために結ばれた婚約を蔑ろには出来ないと結婚の話が具体的になった数日後、男性は過去に出会った女性と運命的な再会をする。

・・・・・・ん?

実は男性はその女性を昔助けたことがあった。しかし助けた後、高熱を出しその日の記憶がなくなっていた。婚約者のいる身でありながら何故かその女性が気になって仕方がない男性。

・・・・・・んん??

婚約者と居ても彼女が気になる。
次第に婚約者の女性も男性が何だかおかしいと気付く。婚約者には他の女性がいるのではと疑い調べると、ある女性に辿り着く。
婚約者の女性は二人を引き離すために色々と邪魔をする。最終的にはその邪魔によって婚約者の男性が命の危機に陥る。それを助けたのが過去に男性を助けた女性だった。

・・・・・・あれ?

命の危機から目覚めた時、男性にあの日の記憶が戻り二人は愛を確かめ合う。

『君こそが私の真実の愛だ』

男性は高らかにそう言った。
それを偶然聞いてしまった婚約者の女性は、潔く相手の真実の愛を成就するため身を引き幕が降りた。

・・・・・・これって。

ポップコーンを片手に私は、この観劇が他人事ではない事を痛感した。

殿下の本当のお相手はティアラ嬢だったのね!
きっと私に対しての真実の愛はやっぱりただの勘違いだったんだわ。

「大変。私、行かなくちゃ」

会場は大喝采で盛り上がっていたけど、私は今すぐにでも殿下のもとに行き、身を引く事を伝えなくてはいけないと強く思わされた。

「行くってどこに?このあとランチ予約してるんだけど」

「ごめんね。またね、オルガ。ありがとう!」

ガタンと立ち上がり私は一目散にセントラル劇場を後にした。

軽い服装が私の足取りを更に早める。
こんなに爽快な気持ちは入学式の日の朝以来だわ。

殿下、待ってて下さいね。
私が絶対に殿下の真実の愛を成就致しますから!
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