4 / 12
4
しおりを挟む
「敏明、頼むからもう少し生気を分けてくれ」
そう言って泣きそうな顔をする。
「え、でも、キスは嫌だ」
怯む俺に男はすっと寄って来た。
今、浮いた? 歩かずに移動したよな? マジで座敷わらし? 思いこみじゃなくて?
パニックになる俺に男はさらに迫ってくる。
「涙でもいい」
「そ、そんな急に泣けないって」
「じゃあ精液でもいい」
「はああ?」
「敏明の体液が欲しいんだ」
「お前、祖母ちゃんにそんなことしてたの?」
「そんなわけないだろう。人の生気を食べていると言っただろう」
「だ、だったら俺がいればいいんじゃないか?」
「半年も飢えてて、もう限界なんだ」
そう言いながら俺の首筋を撫でる。
その手はひんやりしていて、本当に消えそうな感じだ。
端正な顔が近づいてくる。半分やけになって俺は目を閉じた。座敷わらしか半信半疑だけど俺のせいなら仕方ないのか?
ああもう、訳がわからん。
触れた唇は冷たかった。舌で唇をなぞられてぞくりと背筋が震えた。
嫌悪が恐怖か判断できない。遠慮なく口の中を舐められる。頬の内側や上顎、歯並びを確かめるように舌を回され、くすぐったくて身をよじった。
いつの間にか男の腕は俺を抱きしめていて、体がひんやりと冷えていた。
舌を絡め取られて、溢れそうになる唾液をすすられる。それが目的とはいえ、こんな深いキスは久しぶりでもぞもぞする。
ずいぶん長い間、熱心に舐められて舌を吸われて息が上がる。
なんだか気持ちがいい。
「も、いいだろ」
身を引いたが男は俺の後頭部に手を添えて、まだと言うとまた唇を押しつけた。半年分だもんな。
男のキスは巧みで頭がぼうっとする。
いつの間に体が熱くなっていて、頬がほてっていた。
やけに気持ちがいい。体を撫でる男の手は温かくなっている。
ゆっくり床に押し倒された。
「敏明、やっぱり精液をもらっていいか?」
「は? ダメに決まってるだろ!」
「でもこれ、どうするんだ?」
男がそこを撫でて初めて、勃起しているのに気がついた。
「え、なんでそんな」
驚く俺に男は平然と言う。
「座敷わらしの体液は催淫効果があるらしい」
「いやいやいや、先に言えよ!」
「俺もいま初めて実感した」
「初めてだったって?」
「ああ。で、これを脱がせていいか?」
ジーンズの前立てを開かれて俺は焦る。
「ダメだって!」
「こんなにおいしそうなのに、もらえないのか?」
しゅんと悲しげにされると何だか罪悪感がわく。
そう言って泣きそうな顔をする。
「え、でも、キスは嫌だ」
怯む俺に男はすっと寄って来た。
今、浮いた? 歩かずに移動したよな? マジで座敷わらし? 思いこみじゃなくて?
パニックになる俺に男はさらに迫ってくる。
「涙でもいい」
「そ、そんな急に泣けないって」
「じゃあ精液でもいい」
「はああ?」
「敏明の体液が欲しいんだ」
「お前、祖母ちゃんにそんなことしてたの?」
「そんなわけないだろう。人の生気を食べていると言っただろう」
「だ、だったら俺がいればいいんじゃないか?」
「半年も飢えてて、もう限界なんだ」
そう言いながら俺の首筋を撫でる。
その手はひんやりしていて、本当に消えそうな感じだ。
端正な顔が近づいてくる。半分やけになって俺は目を閉じた。座敷わらしか半信半疑だけど俺のせいなら仕方ないのか?
ああもう、訳がわからん。
触れた唇は冷たかった。舌で唇をなぞられてぞくりと背筋が震えた。
嫌悪が恐怖か判断できない。遠慮なく口の中を舐められる。頬の内側や上顎、歯並びを確かめるように舌を回され、くすぐったくて身をよじった。
いつの間にか男の腕は俺を抱きしめていて、体がひんやりと冷えていた。
舌を絡め取られて、溢れそうになる唾液をすすられる。それが目的とはいえ、こんな深いキスは久しぶりでもぞもぞする。
ずいぶん長い間、熱心に舐められて舌を吸われて息が上がる。
なんだか気持ちがいい。
「も、いいだろ」
身を引いたが男は俺の後頭部に手を添えて、まだと言うとまた唇を押しつけた。半年分だもんな。
男のキスは巧みで頭がぼうっとする。
いつの間に体が熱くなっていて、頬がほてっていた。
やけに気持ちがいい。体を撫でる男の手は温かくなっている。
ゆっくり床に押し倒された。
「敏明、やっぱり精液をもらっていいか?」
「は? ダメに決まってるだろ!」
「でもこれ、どうするんだ?」
男がそこを撫でて初めて、勃起しているのに気がついた。
「え、なんでそんな」
驚く俺に男は平然と言う。
「座敷わらしの体液は催淫効果があるらしい」
「いやいやいや、先に言えよ!」
「俺もいま初めて実感した」
「初めてだったって?」
「ああ。で、これを脱がせていいか?」
ジーンズの前立てを開かれて俺は焦る。
「ダメだって!」
「こんなにおいしそうなのに、もらえないのか?」
しゅんと悲しげにされると何だか罪悪感がわく。
5
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
とびきりのクズに一目惚れし人生が変わった俺のこと
未瑠
BL
端正な容姿と圧倒的なオーラをもつタクトに一目惚れしたミコト。ただタクトは金にも女にも男にもだらしがないクズだった。それでも惹かれてしまうタクトに唐突に「付き合おう」と言われたミコト。付き合い出してもタクトはクズのまま。そして付き合って初めての誕生日にミコトは冷たい言葉で振られてしまう。
それなのにどうして連絡してくるの……?
年上の恋人は優しい上司
木野葉ゆる
BL
小さな賃貸専門の不動産屋さんに勤める俺の恋人は、年上で優しい上司。
仕事のこととか、日常のこととか、デートのこととか、日記代わりに綴るSS連作。
基本は受け視点(一人称)です。
一日一花BL企画 参加作品も含まれています。
表紙は松下リサ様(@risa_m1012)に描いて頂きました!!ありがとうございます!!!!
完結済みにいたしました。
6月13日、同人誌を発売しました。
お客様と商品
あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる