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ピリキド
魔法使いアラン
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魔法使いに兵士長の死体を売った翌日、一行は仲間になってくれる魔法使いを探すため病院を訪れていた。
朝早かったのか病院に来ている魔法使いは少なく、死体を引き取ってくれた魔法使いもいなかった。
「あの魔法使いは私達に会いたがっている人がいるなんて言ってたけど、さすがに来るの早すぎたかな」
「病室は全部空いてるしやることねえからいないっていうのもありそうだな。それか昨日行った地下にいるんじゃねえか?」
死体を引き取ってもらった際、地下にある部屋の近くまでは行ったものの、部屋に入る直前でここから先は関係者以外入れないと断られていた。
(さっきから探索してるけど…地下の方は妨害されてるね)
「妨害?そんな特化されてる妨害あるのか?」
「いやないでしょ…魔法が干渉しない何かが張られてるんじゃないかな」
(それが僕の通信は一切魔力を使ってないんだ。恐らく僕の対策をされてる)
まるで地下に来ることが分かっていたかように対策されていることに寒気を感じる一行。
しかし誰もいない所でずっと待っているわけにも行かず誰かいそうな地下へと向かった。
薄暗く見えづらい足元に気をつけて階段を下りていくと昨日入ることのできなかった部屋の扉は開いていた。
「罠でござるな…絶対に罠でござるよ」
「でも行かないわけにはいかないだろ。ラルアのレテパジー妨害しといてこれってことは直接言いたいことがあるってことだろ?」
「そのとおりでございます!さすがはあの騎士団を壊滅させた一行でございますな!」
部屋の奥から白衣を纏い男は現れ、拍手をしながら大声を上げてリトス達の方へと歩いてきた。
「騎士団を壊滅って…見てたの?」
「ええ見てましたよ!偶然とは言えいいものを見させていただきましたよ!」
(周りに誰もいないと思ったのに…まさか)
「そのまさかです!自分の特技は二つ同時に魔法を使うことでして姿を消す魔法と通信遮断の魔法を使ったのです!通信遮断の魔法はアルラウネのテレパシーを妨害することだけに特化されまして使い道はそこまでないのですがあそこで見つかったら自分は殺されていたかもしれませんから助かりましたな!」
「お、おうそうか…直接話したいっていうのはそういうことか」
「いえこれだけではございませんよ。聞けばお仲間を探しているのでしたな、でしたらこの『アラン・ビューレ』を是非ともお仲間に加えいれて欲しいのです」
執事のようにリトスに向かって頭を下げるアラン。
「病院にいるから治療魔法は使えるだろうし歓迎するよ」
リトスが他の三人に視線を送ると三人とも首を縦に振った。
「それにしても死体運んだこの地下室って研究室とかやっぱりそんなもんなのか?」
「そんな大層なものではありませんよ。普段患者いない時、ここの魔法使いは他の人たちと組んでお金を稼いでいますが私のように戦闘が全くできないものは入れてくれる所がなくて死体処理をしてお金を稼いでいるのです。人間どの部品も加工すれば結構高値で売れますからね」
平然と恐ろしことを言ってのけるアランに自分の身の危険を感じたリトスだったが今更「やっぱり仲間にするのやめる」と言えないのだった。
その理由として純粋に魔法使いとして申し分ないということと今の仲間に変人が二人もいるのでもう一人増えても変わらないと思ったからだ。
「しっかしその服装で行くのか?白衣だと汚れ目立つだろ」
「ああこれは登場するときに印象的になるように着ていただけですよ。準備をしたいので一度家に戻りますがよければ来ますか?」
笑みを浮かべて家に誘うアランに戸惑う一同だが「極めて普通の家ですよ」というアランの言葉により一層不安を煽られた。
病院を出て町の出口のすぐそばにアランの家はあった。
無用心に鍵は開いておりリビングで待つように案内されると何の動物かは分からないが豪華そうな絨毯とソファーがあり、壁には様々な動物の顔だけの剥製が飾られていた。
「ねえ隆…ものすごい視線を感じるんだけどヒューマンの家ってこんなものなの?」
「んなことあってたまるか。壁一面におっそろしいほどの数の剥製が飾られてんだよ。死体処理極めるとこんなもん作るようになるのか」
長時間いると精神がどうにかなってしまいそうな部屋でラルアだけが興味深そうに剥製を触ったり眺めたりしていた。
「お待たせしました。猛地竜に挑むということで魔力補充の道具をたくさん持って参りましたよ!」
ダークジェムが埋め込まれた杖を持ち白を基調とした動きやすそうな服に身を包んだ姿で部屋に来たアラン。
張り切って杖を高く掲げるアランにリトスが猛地竜には挑まずもうこの町は出ることを説明するとこれからどうするのかを聞かれる。
「元々私達の旅の目的は魔王を倒すことなの。でもこのメンバーじゃ死の街を抜けるのは無理だってことで仲間を探してたの」
「猛地竜の討伐はその軍資金というわけでしたか…ですが何故魔王の討伐を?魔王とは不戦の関係にあるはずなのですが」
「いや魔王が征服するって言ったんだろ?その条約みたいなやつは破られたってリトスから聞いたぞ」
「何度か魔王の幹部というのも襲ってきたでござるからな」
「魔王の幹部ですか…もしかすると魔王は騎士団のいたこの町を避けたのかもしれませんね。それでも他の町から伝達が来るとは思うのですが…」
「そうね、魔王のことだし伝達する人を殺したんだと思う。何せ魔王と戦ってた連中なんだしできるだけ伝えたくはない…って私が魔王ならそうするな」
征服を誰かが流したデマだと今は知られたくないリトスは焦りを隠して分析をするフリをした。
四人にはいずれ本当の事を話そうとしているリトスだが今はその時ではない、というより話す勇気がなかった。
「そんで、魔法使いも仲間になったんだし次はやっぱり死の街か?」
「ええ、正直抜けられるか不安だけど…」
様々な不安を胸に抱えつつ、一行は魔王の城に行くために抜けなければならない死の街へと向かうのだった。
朝早かったのか病院に来ている魔法使いは少なく、死体を引き取ってくれた魔法使いもいなかった。
「あの魔法使いは私達に会いたがっている人がいるなんて言ってたけど、さすがに来るの早すぎたかな」
「病室は全部空いてるしやることねえからいないっていうのもありそうだな。それか昨日行った地下にいるんじゃねえか?」
死体を引き取ってもらった際、地下にある部屋の近くまでは行ったものの、部屋に入る直前でここから先は関係者以外入れないと断られていた。
(さっきから探索してるけど…地下の方は妨害されてるね)
「妨害?そんな特化されてる妨害あるのか?」
「いやないでしょ…魔法が干渉しない何かが張られてるんじゃないかな」
(それが僕の通信は一切魔力を使ってないんだ。恐らく僕の対策をされてる)
まるで地下に来ることが分かっていたかように対策されていることに寒気を感じる一行。
しかし誰もいない所でずっと待っているわけにも行かず誰かいそうな地下へと向かった。
薄暗く見えづらい足元に気をつけて階段を下りていくと昨日入ることのできなかった部屋の扉は開いていた。
「罠でござるな…絶対に罠でござるよ」
「でも行かないわけにはいかないだろ。ラルアのレテパジー妨害しといてこれってことは直接言いたいことがあるってことだろ?」
「そのとおりでございます!さすがはあの騎士団を壊滅させた一行でございますな!」
部屋の奥から白衣を纏い男は現れ、拍手をしながら大声を上げてリトス達の方へと歩いてきた。
「騎士団を壊滅って…見てたの?」
「ええ見てましたよ!偶然とは言えいいものを見させていただきましたよ!」
(周りに誰もいないと思ったのに…まさか)
「そのまさかです!自分の特技は二つ同時に魔法を使うことでして姿を消す魔法と通信遮断の魔法を使ったのです!通信遮断の魔法はアルラウネのテレパシーを妨害することだけに特化されまして使い道はそこまでないのですがあそこで見つかったら自分は殺されていたかもしれませんから助かりましたな!」
「お、おうそうか…直接話したいっていうのはそういうことか」
「いえこれだけではございませんよ。聞けばお仲間を探しているのでしたな、でしたらこの『アラン・ビューレ』を是非ともお仲間に加えいれて欲しいのです」
執事のようにリトスに向かって頭を下げるアラン。
「病院にいるから治療魔法は使えるだろうし歓迎するよ」
リトスが他の三人に視線を送ると三人とも首を縦に振った。
「それにしても死体運んだこの地下室って研究室とかやっぱりそんなもんなのか?」
「そんな大層なものではありませんよ。普段患者いない時、ここの魔法使いは他の人たちと組んでお金を稼いでいますが私のように戦闘が全くできないものは入れてくれる所がなくて死体処理をしてお金を稼いでいるのです。人間どの部品も加工すれば結構高値で売れますからね」
平然と恐ろしことを言ってのけるアランに自分の身の危険を感じたリトスだったが今更「やっぱり仲間にするのやめる」と言えないのだった。
その理由として純粋に魔法使いとして申し分ないということと今の仲間に変人が二人もいるのでもう一人増えても変わらないと思ったからだ。
「しっかしその服装で行くのか?白衣だと汚れ目立つだろ」
「ああこれは登場するときに印象的になるように着ていただけですよ。準備をしたいので一度家に戻りますがよければ来ますか?」
笑みを浮かべて家に誘うアランに戸惑う一同だが「極めて普通の家ですよ」というアランの言葉により一層不安を煽られた。
病院を出て町の出口のすぐそばにアランの家はあった。
無用心に鍵は開いておりリビングで待つように案内されると何の動物かは分からないが豪華そうな絨毯とソファーがあり、壁には様々な動物の顔だけの剥製が飾られていた。
「ねえ隆…ものすごい視線を感じるんだけどヒューマンの家ってこんなものなの?」
「んなことあってたまるか。壁一面におっそろしいほどの数の剥製が飾られてんだよ。死体処理極めるとこんなもん作るようになるのか」
長時間いると精神がどうにかなってしまいそうな部屋でラルアだけが興味深そうに剥製を触ったり眺めたりしていた。
「お待たせしました。猛地竜に挑むということで魔力補充の道具をたくさん持って参りましたよ!」
ダークジェムが埋め込まれた杖を持ち白を基調とした動きやすそうな服に身を包んだ姿で部屋に来たアラン。
張り切って杖を高く掲げるアランにリトスが猛地竜には挑まずもうこの町は出ることを説明するとこれからどうするのかを聞かれる。
「元々私達の旅の目的は魔王を倒すことなの。でもこのメンバーじゃ死の街を抜けるのは無理だってことで仲間を探してたの」
「猛地竜の討伐はその軍資金というわけでしたか…ですが何故魔王の討伐を?魔王とは不戦の関係にあるはずなのですが」
「いや魔王が征服するって言ったんだろ?その条約みたいなやつは破られたってリトスから聞いたぞ」
「何度か魔王の幹部というのも襲ってきたでござるからな」
「魔王の幹部ですか…もしかすると魔王は騎士団のいたこの町を避けたのかもしれませんね。それでも他の町から伝達が来るとは思うのですが…」
「そうね、魔王のことだし伝達する人を殺したんだと思う。何せ魔王と戦ってた連中なんだしできるだけ伝えたくはない…って私が魔王ならそうするな」
征服を誰かが流したデマだと今は知られたくないリトスは焦りを隠して分析をするフリをした。
四人にはいずれ本当の事を話そうとしているリトスだが今はその時ではない、というより話す勇気がなかった。
「そんで、魔法使いも仲間になったんだし次はやっぱり死の街か?」
「ええ、正直抜けられるか不安だけど…」
様々な不安を胸に抱えつつ、一行は魔王の城に行くために抜けなければならない死の街へと向かうのだった。
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