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第四章
〜駆け引き③〜
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ネズミ兵のざわめきと混乱の中、その言葉は、書き消されて当然の様な、か細く力無い言葉だった。
・・だがダミアンには、まるで耳元で囁くようにこだまし、そして響き渡った。
「・・・・フっ・・。」
オオネズミを直視していたダミアンは、その薄ら笑いと共に目線を少し伏せ、そして軽く笑ってみせた。
「フム?・・何が可笑しいのかのう?ダミアン?」
不思議そうな表情を浮かべ、オオネズミが首をかしげた。
シュバッっ!!!っ!!!っ!!!っ!
「ムムっ!!?」
ザンっ!!!っ!!!っ!!!
突き刺さっていた首斬りカマが、ダミアンの手元に戻ると、ダミアンは思いっきりカマを突き立て、目を閉じ、深い深呼吸をすると、怒りの形相で静かに呟いた。
「愚か者の戯れ言・・。」
「ほう?・・戯れ言とな?
良い良い・・、お前にとってワシは、愚か者に写ったようだのう・・?
で?貴様はワシに何を望む・・?」
「・・しいて言うなら・・貴殿の《ネーム》を封印する・・。
あのお方から・・私だけに託された秘術・・《ネーム狩り》・・。
私だけの秘術、そして・・その使命を果たすまで・・。」
ダミアンは、オオネズミを前に怯むことなく話し始めた。
「ワシの《ネーム》を封印するだと?
フワアハッハハハハハっ!!!っ!!?
どうした?ダミアンよっ!!?少しばかり会わぬうちに気でも狂うたかっ!!?
何をほざくかと思えば、まるで夢でも見ているかのようだのう!!!
フワアハッハハハハハっ!!!
ダミアン?ワシとて、貴様の《ネーム》を書き替えるなぞ雑作もない事・・。
さて?どうするかの?フワアハッハハハハハっ!
答えてみよ?ダミアンっ!!!っ!」
「・・貴殿は、何もわかっていない。
《書き替える》のと《封印》とでは・・相反する事。
ベリアル様の9つある魂者に許されたのは、《書き替える》術のみ。
しかも・・本体以外に・・決して口外してはならぬ約束事=契約のはず・・。
にもかかわらず・・貴殿の兵達は、その事を知っていて・・こともあろうに・・この私の《ネーム》を取り上げろと口にした・・。
《あのお方》は、万が一の為・・この私を《ネームの番人》にした・・。
少しばかり会わぬうちに・・気でも狂うたのは、貴殿の方だ。」
「ムムっ!・・・・・・。」
ダミアンの言葉ひとつ、ひとつがオオネズミの脳裏をつき刺した。
しばらく互いににらみ合いが続いた。
しかし、先に口火をきったのは、オオネズミ。
「・・・・なぁに?ダミアンよ、互いに誤解を払わぬか?・・。
ワシとて、本気でこのような事を言うと思っておるまい?
互いに《あのお方》を主としている者同士・・悪ふざけは、終わりにしたいのぅ・・!!」
・・だがダミアンには、まるで耳元で囁くようにこだまし、そして響き渡った。
「・・・・フっ・・。」
オオネズミを直視していたダミアンは、その薄ら笑いと共に目線を少し伏せ、そして軽く笑ってみせた。
「フム?・・何が可笑しいのかのう?ダミアン?」
不思議そうな表情を浮かべ、オオネズミが首をかしげた。
シュバッっ!!!っ!!!っ!!!っ!
「ムムっ!!?」
ザンっ!!!っ!!!っ!!!
突き刺さっていた首斬りカマが、ダミアンの手元に戻ると、ダミアンは思いっきりカマを突き立て、目を閉じ、深い深呼吸をすると、怒りの形相で静かに呟いた。
「愚か者の戯れ言・・。」
「ほう?・・戯れ言とな?
良い良い・・、お前にとってワシは、愚か者に写ったようだのう・・?
で?貴様はワシに何を望む・・?」
「・・しいて言うなら・・貴殿の《ネーム》を封印する・・。
あのお方から・・私だけに託された秘術・・《ネーム狩り》・・。
私だけの秘術、そして・・その使命を果たすまで・・。」
ダミアンは、オオネズミを前に怯むことなく話し始めた。
「ワシの《ネーム》を封印するだと?
フワアハッハハハハハっ!!!っ!!?
どうした?ダミアンよっ!!?少しばかり会わぬうちに気でも狂うたかっ!!?
何をほざくかと思えば、まるで夢でも見ているかのようだのう!!!
フワアハッハハハハハっ!!!
ダミアン?ワシとて、貴様の《ネーム》を書き替えるなぞ雑作もない事・・。
さて?どうするかの?フワアハッハハハハハっ!
答えてみよ?ダミアンっ!!!っ!」
「・・貴殿は、何もわかっていない。
《書き替える》のと《封印》とでは・・相反する事。
ベリアル様の9つある魂者に許されたのは、《書き替える》術のみ。
しかも・・本体以外に・・決して口外してはならぬ約束事=契約のはず・・。
にもかかわらず・・貴殿の兵達は、その事を知っていて・・こともあろうに・・この私の《ネーム》を取り上げろと口にした・・。
《あのお方》は、万が一の為・・この私を《ネームの番人》にした・・。
少しばかり会わぬうちに・・気でも狂うたのは、貴殿の方だ。」
「ムムっ!・・・・・・。」
ダミアンの言葉ひとつ、ひとつがオオネズミの脳裏をつき刺した。
しばらく互いににらみ合いが続いた。
しかし、先に口火をきったのは、オオネズミ。
「・・・・なぁに?ダミアンよ、互いに誤解を払わぬか?・・。
ワシとて、本気でこのような事を言うと思っておるまい?
互いに《あのお方》を主としている者同士・・悪ふざけは、終わりにしたいのぅ・・!!」
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