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第三章
〜過去の記憶②〜ミカエルと言う名の男〜
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時代は、はるか遠くにさかのぼり、この地に人間も、そして神と呼ばれる者達も、共に平和に共存していた頃。
なんの争いもなく、たくさんの人間が分け隔てなく、そして同じく神も同様、互いの地を行き来していた。
神が寝床としている地を「聖地」と呼び、人間が寝床にしている地を「人界」と呼んだ。
二つの地には、境界もなく互いの居どころと言うだけの世界。
そんな平和な刻が、誰もが「永遠」に続くだろうと・・誰一人として疑いもせず静かに刻が過ぎていった。
「よっこらしょっとっ!!
んじゃっ!!とりあえず、この野菜を「聖地」まで運べばいいんだな?
へへっ、褒美は・・飛びきり旨い赤ワインでって事で宜しくなっ♪」
「ハハハっ!わかった!!わかった!!いつも助かるぜっ!!本当ありがとなっ♪ミカエルっ♪」
「ほぉ~~?今日はやけに優しいんだなっ?
あっ!もしかして・・妹のヨシアが帰って来るのかっ?」
「そう・・!!その、もしかしての日なんだよ!!
遂に怪我の具合が回復して・・、やっと・・やっと・・人界に戻れると聖地より手紙が届いたんだ!!」
「・・やっと・・やっとだなっ!!ウオーッ!!
やったなっっ!!アザゼルッ!!」
ミカエルは、力強くアザゼルを抱き締めながら、そしてアザゼルは、顔をグシャグシャに泣きながら互いに喜びに騒いだ。
小さな丸太小屋の中で、喜びに騒ぐ二人の男。
その名は、「ミカエル」と「アザゼル」。
二人は仲の良い幼なじみで、共に両親を病で亡くして以来、助け合いながら互いの丸太小屋を行き来していた。
アザゼルには、歳の離れた妹が一人いて、庭先で夢中になって神の使いと呼ばれている「麒麟」の背に乗り遊んでいた。
その最中・・勢い余って麒麟の背から落ち、背骨を負傷する大怪我をおった。
「ギヤアアア~!!お兄ちゃあ~ん痛いよお兄ちゃん・・ウワアアアアアアア~」
ヨシアの泣き叫ぶ声に、薪割りをしていたアザゼルは、すぐに駆け寄りヨシアを抱き起こした。
「大丈夫かっ!?ヨシアッ!?しっかりしろっ!!」
「ウワアアア~、麒麟さんの背中から・・落っこちちゃったあ!背中が・・痛いよぉ・・お兄ちゃん・・。」
「・・すまぬ・・この私がつい、はしゃいでしまったせいだ・・誠に申し訳ない・・。」
麒麟は、面目無さそうに小さな声でアザゼルとヨシアに謝るのだった。
同じくヨシアの泣き叫ぶ声に、遅れながらもミカエルが息を切らし走って来た。
「お、お~~いっ!ハァハァ・・大丈夫かあ~!!」
なんの争いもなく、たくさんの人間が分け隔てなく、そして同じく神も同様、互いの地を行き来していた。
神が寝床としている地を「聖地」と呼び、人間が寝床にしている地を「人界」と呼んだ。
二つの地には、境界もなく互いの居どころと言うだけの世界。
そんな平和な刻が、誰もが「永遠」に続くだろうと・・誰一人として疑いもせず静かに刻が過ぎていった。
「よっこらしょっとっ!!
んじゃっ!!とりあえず、この野菜を「聖地」まで運べばいいんだな?
へへっ、褒美は・・飛びきり旨い赤ワインでって事で宜しくなっ♪」
「ハハハっ!わかった!!わかった!!いつも助かるぜっ!!本当ありがとなっ♪ミカエルっ♪」
「ほぉ~~?今日はやけに優しいんだなっ?
あっ!もしかして・・妹のヨシアが帰って来るのかっ?」
「そう・・!!その、もしかしての日なんだよ!!
遂に怪我の具合が回復して・・、やっと・・やっと・・人界に戻れると聖地より手紙が届いたんだ!!」
「・・やっと・・やっとだなっ!!ウオーッ!!
やったなっっ!!アザゼルッ!!」
ミカエルは、力強くアザゼルを抱き締めながら、そしてアザゼルは、顔をグシャグシャに泣きながら互いに喜びに騒いだ。
小さな丸太小屋の中で、喜びに騒ぐ二人の男。
その名は、「ミカエル」と「アザゼル」。
二人は仲の良い幼なじみで、共に両親を病で亡くして以来、助け合いながら互いの丸太小屋を行き来していた。
アザゼルには、歳の離れた妹が一人いて、庭先で夢中になって神の使いと呼ばれている「麒麟」の背に乗り遊んでいた。
その最中・・勢い余って麒麟の背から落ち、背骨を負傷する大怪我をおった。
「ギヤアアア~!!お兄ちゃあ~ん痛いよお兄ちゃん・・ウワアアアアアアア~」
ヨシアの泣き叫ぶ声に、薪割りをしていたアザゼルは、すぐに駆け寄りヨシアを抱き起こした。
「大丈夫かっ!?ヨシアッ!?しっかりしろっ!!」
「ウワアアア~、麒麟さんの背中から・・落っこちちゃったあ!背中が・・痛いよぉ・・お兄ちゃん・・。」
「・・すまぬ・・この私がつい、はしゃいでしまったせいだ・・誠に申し訳ない・・。」
麒麟は、面目無さそうに小さな声でアザゼルとヨシアに謝るのだった。
同じくヨシアの泣き叫ぶ声に、遅れながらもミカエルが息を切らし走って来た。
「お、お~~いっ!ハァハァ・・大丈夫かあ~!!」
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