霊感兄妹の大冒険 異変だらけのマイホーム⁉

4，事故物件

　翌日のことだった。
倉本小学校くらもとしょうがっこうの六年二組の教室で、牙狼と心愛が久々に登校してきた。
生徒たちは驚きを隠せないままでいたのだ、なぜなら二人の住む家の話が出てきたから。
「なぁ？牙狼の家って金持ちが住んでいるんだろ？いいなーオレも住みてえ」
「馬鹿じゃねえの？あそこってさヤバイウワサでいっぱいなんだぜ？」
「心愛ちゃんの住んでいる人って魔女と伯爵がいるんでしょ？よく学校これたよね」
「ほんと。大丈夫だったの？」
牙狼と心愛は、クラスメートの話に耳をかたむけず無視むししていた。
別にふたりはイジメられているのではなく、家の評判が良くないと話しているだけだ。
だけどある発言で牙狼と心愛はイラっときた。
「でもさー、あそこって《《事故物件じこぶっけん》》らしいよ。お金持ちといいつつ、誰も住んでいなんだって」
「知ってる！あそこは幽霊やお化けがたくさんいるんだよな。火事は残念だけどお前らもかわいそーだよな」

「そんなことない！たしかにあの人たちはコワいかもしれいけれど。でもだからって家を悪く言うのはやめて！」
「そんなマジになるなよ！魔女と伯爵は俺らが勝手に名付けただけで、物件の人には問題ないって言われたし！」

大きな声で叫んだ二人にクラスメートは黙り込んだ。
涙をこらえる心愛、怒りを抑え込む牙狼。
「はい、席につきなさい。皆さん。あまり月神さんを刺激させないように」
ふたりはバツが悪そうな顔で席に座り授業の準備をした。


【マイホーム】
　「ただいま・・・・・」
情けない声で帰宅したふたり。
それを見て驚くストーカー夫妻。
「おかえりなさい、どうしたの？何かつらいことでもあったの？」
「怒らないから話を聞かせてくれないか？」
牙狼と心愛が我慢ができなくなり怒りと悲しみをストーカー夫妻に向けた。
「いいかげんにしろ！お前らのせいで俺らの評判ガタ落ちだ！ふざけんな！」
「わたし・・・・・この家大っ嫌い。・・・・・あなたたちを親を呼ぶなんて無理だよ・・・・」
メアリーとブランは双子の瞳を見つめ、なぜかきょとんとしている。
そして。
「ねぇ、もしかしてふたりは・・・・・」
「やめろ。その辺にしておけ」
牙狼と心愛はうつむきながら、ランドセルを置く。
そして吐き捨てるように言った。
「俺は、お前を伯爵と呼んでやるぞ。俺の父さんをかえせ！」
「わたしは、あなたを魔女と呼びます。わたしのお母さんをかえして・・・・・っ！」
二人は部屋に戻りドアをバタン、と音を立てながら閉める。
「ねぇ、お客さんなんて軽々しく言ってしまったのがいけないの？」
「今更だろう。だが、彼らには逆らえないだろうな」
「そうね、きっと時間はかかるけどわかってくれるはずよ」
ストーカー夫妻は何も言わずリビングで夕食の準備を始めた。
冷たくあざ笑いながら。
「もうこの家から出られるなんて不可能だから」