4 / 14
3,【お客さん】の謎
しおりを挟む
「うわーっ、すげぇ!」
「ここが、お金持ちが住むお屋敷・・・・・・」
牙狼と心愛は普通の家庭だったので、今日からここの家に住むということを実感できていないのだ。
それもそのはず、メアリーとブランが所持している家なのだから。
「ふふっ、気に入ってもらえたかしら?あなたたちは今日からこの家の子よ」
「牙狼くんと心愛ちゃんが来てくれてきっと家も喜んでいるに違いない。いきなりの新しい場所で戸惑うかもしれんが・・・・・慣れればすぐだ」
(牙狼兄さん、信じていいのかな?わたし・・・・・なんだか緊張してきたよ)
(大丈夫だ、心愛。俺らはもう六年生だぜ?母さんも父さんも見守ってくれるはずだ)
心愛が不安げにうつむく。
牙狼は最初は気に食わないものの、逃れられないことはわかっていた。
だったら文句は言えないだろう。
「そういえば、ここには様々なお客さんが住んでいるのよ」
メアリーが突然に言う。
「ああそうだな。彼らもきっとふたりを歓迎してくれるはずだ」
ブランも当たり前のように笑いながら言った。
牙狼と心愛は、気になって仕方がない。
質問するだけタダだと思いながら、とりあえず聞いてみることにした。
「なぁ、ここにいるお客さんってもしかしてあれか?執事かメイドのことじゃね?」
「お金持ちの家ならたしかにありえそうな回答だな。だがここには僕とメアリーしかいないぞ」
「あ、もしかしてペットと飼っているとか!ワンちゃんやネコちゃんがいてもいいかも!」
「そうね、心愛ちゃん。でも残念だけれど、ここにはペットはいないの。飼うのは禁止なのだから」
牙狼と心愛の顔色が急に真っ青になり、ストーカー夫妻が言うお客さんの意味が少し理解できた。
冗談で言っているようには聞こえない、真面目な顔だ。
「あの、メアリーさん・・・・・」
「なぁ、ブランさん・・・・・」
すると、ふたりは牙狼と心愛に向かって耳元でささやいた。
「私のことはママって呼びなさい。いい?お客さんが現れても絶対に逃げないでね?」
「僕のことは父と呼んでくれていい。日本ではなじみがないかもしれん。だが僕たちの国ではこれが普通だから」
さっきまで優しかった顔が急に真剣になり牙狼と心愛は何も言い返せなかった。
やっぱりここは何かおかしい。
窓際にいた人影も、幻じゃないとしたら・・・・・。
「わたし、今日はもう寝るね。行こう、牙狼兄さん」
「ああ。明日は、はやく学校に行かなきゃいけないんだったな。うん」
ふたりは、ストーカー夫妻の話を信じることはなかった。
「ここが、お金持ちが住むお屋敷・・・・・・」
牙狼と心愛は普通の家庭だったので、今日からここの家に住むということを実感できていないのだ。
それもそのはず、メアリーとブランが所持している家なのだから。
「ふふっ、気に入ってもらえたかしら?あなたたちは今日からこの家の子よ」
「牙狼くんと心愛ちゃんが来てくれてきっと家も喜んでいるに違いない。いきなりの新しい場所で戸惑うかもしれんが・・・・・慣れればすぐだ」
(牙狼兄さん、信じていいのかな?わたし・・・・・なんだか緊張してきたよ)
(大丈夫だ、心愛。俺らはもう六年生だぜ?母さんも父さんも見守ってくれるはずだ)
心愛が不安げにうつむく。
牙狼は最初は気に食わないものの、逃れられないことはわかっていた。
だったら文句は言えないだろう。
「そういえば、ここには様々なお客さんが住んでいるのよ」
メアリーが突然に言う。
「ああそうだな。彼らもきっとふたりを歓迎してくれるはずだ」
ブランも当たり前のように笑いながら言った。
牙狼と心愛は、気になって仕方がない。
質問するだけタダだと思いながら、とりあえず聞いてみることにした。
「なぁ、ここにいるお客さんってもしかしてあれか?執事かメイドのことじゃね?」
「お金持ちの家ならたしかにありえそうな回答だな。だがここには僕とメアリーしかいないぞ」
「あ、もしかしてペットと飼っているとか!ワンちゃんやネコちゃんがいてもいいかも!」
「そうね、心愛ちゃん。でも残念だけれど、ここにはペットはいないの。飼うのは禁止なのだから」
牙狼と心愛の顔色が急に真っ青になり、ストーカー夫妻が言うお客さんの意味が少し理解できた。
冗談で言っているようには聞こえない、真面目な顔だ。
「あの、メアリーさん・・・・・」
「なぁ、ブランさん・・・・・」
すると、ふたりは牙狼と心愛に向かって耳元でささやいた。
「私のことはママって呼びなさい。いい?お客さんが現れても絶対に逃げないでね?」
「僕のことは父と呼んでくれていい。日本ではなじみがないかもしれん。だが僕たちの国ではこれが普通だから」
さっきまで優しかった顔が急に真剣になり牙狼と心愛は何も言い返せなかった。
やっぱりここは何かおかしい。
窓際にいた人影も、幻じゃないとしたら・・・・・。
「わたし、今日はもう寝るね。行こう、牙狼兄さん」
「ああ。明日は、はやく学校に行かなきゃいけないんだったな。うん」
ふたりは、ストーカー夫妻の話を信じることはなかった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
御伽の住み人
佐武ろく
ファンタジー
国内でも上位に入る有名大学を首席で卒業し大手企業に就職した主人公:六条優也は何不自由なく日々の生活を送っていた。そんな彼が残業を終え家に帰るとベランダに見知らぬ女性が座り込んでいた。意識は無く手で押さえたお腹からは大量の血が流れている。そのことに気が付き慌てて救急車を呼ぼうとした優也を止めるように窓ガラスを割り部屋に飛び込んできたソレに思わず手は止まり目を丸くした。その日を境に人間社会の裏で生きる人ならざる者達【御伽】と関り始める。そしてある事件をきっかけに六条優也は人間社会から御伽の世界へ足を踏み入れるのであった。
※この物語はフィクションです。実在の団体や人物と一切関係はありません。
死神×少女+2【続編】
桜咲かな
児童書・童話
■この作品は『死神×少女』の続編です■
春野亜矢(はるのあや)、17歳。
マンションで一人暮らしをする、ごく普通の女子高校生。
だが、右隣に『死神』、左隣に『天使』が引っ越して来て、ついには『悪魔』と同居する事に。
死神グリアは、人間の魂を喰う代わりの手段として毎日、亜矢の『命の力』を吸収して生きる。
しかも、その方法が『口移し』。
少女は抵抗しながらも、毎日、死神に口移し(キス)されなければならない。
【表紙イラストは自分で描いています】
妖精さん達と暮らそう 改訂版
東郷 珠
児童書・童話
私にしか見えない妖精さん。
色んな妖精さんが、女の子を助けます。
女の子は、妖精さんと毎日楽しく生活します。
妖精さんと暮らす女の子の日常。
温かく優しいひと時を描く、ほのぼのストーリーをお楽しみ下さい。
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
(完結)姉と浮気する王太子様ー1回、私が死んでみせましょう
青空一夏
恋愛
姉と浮気する旦那様、私、ちょっと死んでみます。
これブラックコメディです。
ゆるふわ設定。
最初だけ悲しい→結末はほんわか
画像はPixabayからの
フリー画像を使用させていただいています。
ナイショの妖精さん
くまの広珠
児童書・童話
★あの頃のトキメキ、ここにあります★
【アホっ子JS×ヘタレイケメン
小学生の日常とファンタジーが交錯する「胸キュン」ピュアラブストーリー】
「きみの背中には羽がある」
小六の和泉綾(いずみあや)は、幼いころに、見知らぬだれかから言われた言葉を信じている。
「あたしは妖精の子。いつか、こんな生きづらい世界から抜け出して、妖精の世界に帰るんだっ!」
ある日綾は、大っ嫌いなクラスのボス、中条葉児(なかじょうようじ)といっしょに、近所の里山で本物の妖精を目撃して――。
「きのう見たものはわすれろ。オレもわすれる。オレらはきっと、同じ夢でも見たんだ」
「いいよっ! 協力してくれないなら校内放送で『中条葉児は、ベイランドのオバケ屋敷でも怖がるビビリだ!』ってさけんでやる~っ!! 」
「う、うわぁああっ!! 待て、待て、待てぇ~っ !!」
★ ★ ★ ★ ★
*エブリスタにも投稿しています。
*小学生にも理解できる表現を目指しています。
*砕けた文体を使用しています。肩の力を抜いてご覧ください。暇つぶしにでもなれば。
*この物語はフィクションです。実在の人物、団体、場所とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる