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「リサ。ありがとう。凄く助かった」

「よかった。わたしに出来る事だってあるね」

「本当。わたしもそうだと思った」

リサの言葉にわたしも頷いて笑いあった。三人寄れば文殊の知恵とはよく言ったものだ。リサのおかげで問題が片付きそうだ。わたしがホッとしているとリサが家の事を聞いてきた。何も教えてもらえない事が不安みたいだ。少しでも教えてほしいのだろう。

「パル。お母さんも何も言わないけど、大丈夫なの?本当は大変なんじゃないの?ウチって潰れちゃうの?」

「リサ」

リサの視線がさまよっている。不安が瞳に表れていて。知らない事は不安につながるから、教えない事が更に不安を誘っているように思えた。親心としては心配させたくないんだろうけど、勝手に話をしていいのか、クライアントの意向が気になる。リサに嘘はつきたくない、でも心配もさせたくない。わたしとしては複雑な立場だ。沈黙する事をしかできないわたしをリサが攻めてきた。

「パルも話してくれないの?どうして私だけだめなの?」

「リサ。ゴメンね。わたしが勝手に話すわけにはいかないの。おじさん達の判断が必要だから」

「どうしてよ。わたしばっかり」

リサが唇を噛みしめ床を見つめる。その瞳には涙が滲んでいるように見えた。慰めたいし、全てを話して安心させてあげたい気がする。それが出来たらリサはどれだけ安心だろうか。わたし自身も、罪悪感に気を病むこともないだろう。自分自身の罪悪感と闘いながら、息を吸い込み冷静になろうと努める。その上で私自身にできる最大限の約束をする。

「リサ、おじさんに相談するわ、リサに話していいか許可を取るから。その上でリサに話をするから。時間を頂戴。お願い」

「いいわよ。どうせお父さんは許可なんてくれないわ。どうせ何も教えてはくれないもの。それはパルも一緒でしょ?いつも同じことを言うじゃない。お父さんの許可がいるからって。お父さんは関係ないでしょ?友達でしょ?どうして話してくれないの?そんなに私だけのけ者にしたいの?そんなにわたしが信用できない?」

「違うわ。本当に勝手に話せないの。リサだけのけ者にしてるわけないよ。おじさんの許可がいるのは本当なの。約束を破るやけにはいかないの。それは信じて」

「いいわよ。どうせ答えは同じでしょ」

それだけ言うとリサは玄関の方へ消えていった。わたしはリサの信用を無くしてしまったみたいだ。

コンサルティングをしたくてこの話に飛びついてしまったけど、間違てしまったのかもしれない。私にはまだ早い事だったのかもしれない。まさか、こんなにリサとの考えがズレてしまうなんて思ってもいなかった。

自分で選んだことなのに悲しくなってくる。このままだとリサと仲良くする事は難しいかもしれない。

自分で決めたことなのにグズグズと悩んでしまう。依頼を受けることで友達とけんかになるなんて考えてもいなかった。知り合いからの依頼は受けない方が良いと、前の生活をしていた時に聞いた事があったけど、その時は意味が分からなかった。わたしがその立場に立った事がなかったから。でも、その立場になって始めてわかる。すべてを丸く収めることは難しい事なのだと思い知らされた。

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