紡ぐ者

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【第22章 人智を超える者】

第4節 悪魔

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「何その姿?!」
美桜は傍観先から飛び降り、玖羽の姿について問いかける。
「今はんなことに答えてる場合じゃねえ。危ねえから離れてろ。」
玖羽は魔獣に向かって飛びかかる。魔獣は腕を伸ばして玖羽を掴もうとする。玖羽は軽やかな身のこなしで魔獣の腕に飛び乗る。
「てめぇの腕、少しは頑丈そうだな?!」
玖羽の魔力が集まり、剣のような形になる。玖羽はその剣を使い、魔獣の腕を切断する。
「へっ、脆い脆い!」
玖羽は魔獣に向かって剣を投げる。剣は魔獣に突き刺さると、爆発して魔獣を魔力で覆う。魔獣は体を起き上がらせて玖羽に襲いかかる。
「てめぇは、地面に倒れてるのがお似合いだ!」
玖羽は魔獣を踏みつけて地面に押し付ける。
(あの巨体を一瞬で……)
玖羽は魔獣の胸に立ち、魔獣の胸部に拳を当てる。
「ここか?」
次の瞬間、玖羽は拳を打ち付け、魔獣の皮膚を突き破る。皮膚を突き破った衝撃で、周囲の大気が震動する。
「なんだ、違うのか?」
玖羽は腕を引き抜き、魔力を集めて剣を作る。玖羽は剣を振り、魔獣の頭部を斬り刻む。魔獣はゆっくりと塵になって消える。
「どういうことだ?そいつには俺たちの攻撃は通用しないはず。」
天垣は玖羽に問いかける。
「俺がこいつの体をぶち破れるだけだ。」
突然、建物が大きな揺れに襲われる。天井の穴から先程の魔獣が再び侵入してくる。
「またかよ……。」
魔獣が床に着地すると、瓦礫が周囲に飛び散る。玖羽は瓦礫を剣で弾く。
「てめぇの相手をするほど、俺は暇じゃね……」
玖羽は手を止めて動くのをやめる。魔獣の体は一箇所に集まり、形を変えているのだ。魔獣の体が凝縮されると、そこには騎士の姿をした魔獣が立っていた。
「へぇ、少しは面白そうなやつがいるじゃねえか。」
玖羽は剣を向ける。魔獣は2本の長剣を玖羽に向かって振り下ろす。長剣から放たれた魔力が地面を抉りながら玖羽に迫る。玖羽は魔力を剣で斬り裂き、魔獣に向けて剣を振る。魔獣は長剣を振り回す。玖羽は長剣を防ぐが、勢いに押されて壁に吹き飛ばされる。
「やろぉ……」
玖羽は剣を魔獣に投げつけ、短剣を取り出して魔獣に接近する。魔獣は剣を弾き、玖羽目掛けて長剣を振り下ろす。玖羽は長剣の間をすり抜けて、魔獣の体を2本の短剣で切り刻む。
「うっ……!」
魔獣の長剣が玖羽の腹部を貫く。魔獣には玖羽の攻撃が全くと言っていいほど効いていなかったのだ。玖羽は魔獣を蹴り飛ばして傷口を手で押さえる。
「大丈夫?!」
「来るなっ!」
玖羽は美桜を止める。
「このくらい、なんともねぇよ。」
玖羽の傷はいつの間にか治っていた。その様子を見て、魔獣は戸惑ったように首をかしげる。
「少し油断したな……。まぁ、それがてめぇの限界だ。」
(とは言ったが……、普通に殴るだけじゃあ意味がない。やるなら、霊撃だな。)
玖羽は魔獣に近づき、短剣を持って殴りかかる。玖羽の攻撃は、魔獣の胴体の一部を粉砕する。
「やっぱ、霊撃に弱いんだなっ!」
玖羽の拳が魔獣の体を貫く。魔獣は地面に膝から崩れ落ち、塵になって消え始める。
「終わったの?」
「あぁ。もう出てきていいぞ。」
美桜は瓦礫の陰から飛び出して玖羽に近寄る。
「あんたねぇ!その力は何?!その実験とやらで手に入れたものなの?!」
「説明すると長くなる。だがその前に、臨戦態勢に入っておけ。」
「まだいるの?」
「あぁ、とんでもない奴がいる。」
何も起きないまま、時間だけが過ぎていく。沈黙の中、インザードが足を引きずりながら入口から入ってくる。
「何があった?!」
ギルガラントは倒れそうになったインザードに肩を貸す。
「魔獣の群れです。群れを率いているのは………悪魔……。戦った者は………私以外……みな、死にました。」
「わかった。報告、感謝する。」
「まさか……、戦うなど………おやめ……ください。奴の強さは……こちらの認知を……遥かに上回っています。」
そう言い残し、インザードは気を失う。
「……それでも、立ち向かわなければならない。お前もそうしたはずだ。その結果が、これなんだろ?」
ギルガラントは斧の先端を地面に置く。しばらく沈黙が続いたのち、椿が口を開く。
「………来る。」
椿の言葉で、場に緊張が走る。入口のほうからコツコツと、足音が聞こえてくる。
「初めまして、と言うべきでしょうか。ご機嫌よう、魔道士の皆様。」
1人の青年が入口から姿を現す。美桜はその青年を見た瞬間、今まで経験したことないほどの恐怖に襲われる。
「怖いのか?」
玖羽は美桜を気遣うように声を掛ける。
「別に恥ずかしがる必要はないぜ。俺も怖いし、ここにいる全員が同じだろう。」
椿は刀を抜いて青年に向ける。それは無意識の行動だった。本能から来るできる限りの最大限の威嚇行為。今の椿には刀を向けることしかできない。
(だめ……腕が震える……。)
青年は椿に近づき、刀を掴む。
「そんなに怖がる必要はないです。私は、あなたたちと戦うために来たわけではありません。」
「では、何をしに来たのか、全て話してもらおう。」
天垣は大剣を床から引き抜いて肩に担ぐ。青年は玖羽のほうを見たのち、他の者にも視線を移す。
「確かに、あなたたちは厄介な存在ですね。しかし……あの時代の者たちには敵わない。」
「あの時代?」
「まぁ、知らなくて当然でしょう。なんせあの時代の記録は、殆どが抹消されてしまっているのですから。」
玖羽は短剣を握りしめ、飛び出そうとする。
「待ちなさい。」
椿は玖羽を呼び止める。
「下手に戦う必要はない。返り討ちに遭うだけよ。」
青年は不気味な雰囲気を醸し出しながら話し始める。
「あの時代とは……すなわち、私が生まれた時代のことですよ。私はその時代で、ニグレード様より生を授かりました。」
「つまり、あんたが最初に生まれた悪魔ってこと?」
「えぇ。その認識で間違いありません。」
(悪魔か。確かに、魔獣とは桁違いの魔力量だ。)
春蘭は青年の隙を狙っている。青年はただ立っているだけだが、隙と思えるタイミングがまるで見当たらない。
「私がここに来たのは、あなたたちにとある提案を持ってくるためです。」
「言ってみろ。」
天垣は依然として警戒を解かない。
「あなたたちが降伏するのであれば、私たちは人間に危害を加えません。」
「そんな言葉を信じられるとでも?」
椿の刀から魔力が溢れ出す。椿は今にも飛びかかりそうな雰囲気だ。
「構いません。後悔するのはあなたたちのほうですから。」
「それに、あんたら悪魔が危害を加えなくても、知性のない魔獣が、必ずしも危害を加えないとはならないでしょ?」
「……確かにそうですね。ですが、それは仕方のないことです。悪魔である私でさえ、魔獣の自由さを抑えることはできない。そのあたりはご理解お願いしたいところです。」
「ならその提案はなしね。危害を確実に抑えられないのなら、最初からあんたたちを全員殺したほうが早い。」
青年は胸に手を当てる。
「……わかりました。では、私が直々に相手をします。全員で掛かってくることを推奨します。」
「やっぱり、最初から私たちを全滅させる気だったんじゃない?」
「そのつもりはありません。私は、不要な殺しは好まない主義なので。」
青年の纏っているローブが溢れ出る魔力でなびく。椿は刀を抜き、青年に向かって斬りかかる。衝撃で煙幕が巻き上がる。
「どこに行った!」
椿が着地した時には、青年の姿はどこにもなかった。振り返ると、背後から青年の手が椿の首を掴む。椿は手に触れるが、それは魔力で作られたものであったため、力ずくでは剥がせない。青年は椿を壁に叩きつける。
「くっ………」
椿はなんとか立ち上がるが、ギルガラントとの決闘の疲労が残っているせいで、思うように歩けない。天垣は青年に向かって大剣を勢いよく振り下ろす。青年は無数の魔力の手で大剣を受け止める。
「この程度ですか?」
「まだまだあっ!」
天垣は大剣に魔力を集めて、そのまま力ずくで大剣を青年に向かって押し付ける。魔力の手は少し後退するが、すぐに押し返す。天垣の背後から、春蘭と玖羽が青年に向かって攻撃を仕掛ける。青年は春蘭の刀を自身の手で掴み、玖羽の拳を防御せずに受け切る。
「魔纏ですか。強力ではありますが、使用者が弱ければ意味がありません。」
青年は2人を振り払う。2人は地面に手をついて体勢を整える。
「魔人ですか。しかし、あなたの魔人の力は完全なものではない。それは、人為的に強制的に発現させたものですね?」
「そんなんあるのかよ……。」
「どうやら、知らないようですね。」
青年は2人を横目に、美桜のほうに歩み寄る。美桜は青年に向かって薙刀で斬りかかる。青年は薙刀を素手で掴み、薙刀を引っ張って美桜を引き寄せる。
「あなた1人で戦うのですね。その龍神は飾りですか?」
美桜は薙刀を青年の手から引き抜き、青年に向かって振り下ろす。青年は後ずさって薙刀を躱すが、美桜の姿に違和感を覚える。
「あなたは………」
「何ぼーっとしてんの?!」
椿の刀が青年の背中を斬り裂く。青年は椿のほうを見るが、すぐに目を逸らす。
「気分が変わりました。あなただけはここで殺します。」
青年は美桜を睨む。美桜は怯んで体が固まる。
「逃げろっ!」
玖羽は青年の首目掛けて短剣を振る。しかし、短剣は首に当たると粉々に砕けてしまう。
「しまっ……」
青年は玖羽を魔力の手で殴り飛ばす。
「所詮は擬似的な魔人です。私の足元にも及ばない。」
美桜は青と赤を呼び出す。
「ようやく使いましたか。……ですが………」
青年は青と赤を魔力の手で受け止める。
「私の敵ではありません。」
青は青年に雷を落とすが、効果は全くない。
「おや?まだやるのですか?」
椿は青年の体を斬り刻む。刀が青年の体に無数の切り傷をつける。
「いい太刀筋ですね。ですが、このくらいならすぐに治ります。」
「そうかしら?」
青年が椿の言葉に気を取られていると、背後から玖羽が青年の顔を殴る。青年の体は壁に吹き飛ばされる。
「それがどうしたというのですか?」
青年はすぐに立ち上がるが、体の異変に気づく。椿から受けた傷が中々治らないのだ。
「そうか……、回復阻害か……。これが、あなたの魔人の力ですね?」
「正解。どうだぁ?傷を治せない気分は。」
青年は切り傷を指でなぞる。
「この程度の傷、戦闘に支障はありません。」
「なら、更に重い一撃を与えてやろう!」
ギルガラントは青年の上から斧を振り下ろす。青年が攻撃を防ごうとした時、椿と玖羽が左右から攻撃を仕掛ける。次の瞬間、3人の攻撃が青年に直撃しする。その衝撃で美桜は吹き飛ばされそうになるが、青に掴まってなんとかこらえる。
「倒したの?」
美桜は恐る恐る目を開ける。そこには床に横たわる玖羽とギルガラントの姿があった。遠くに目を向けると、青年と椿が押し合いをしている。
「へぇ、私の攻撃は防ぐんだ。」
「えぇ。あの3人の中では、あなたの攻撃が最も危険だからです。」
「でもそれだと、あの2人の攻撃をモロに受けたことになる。体には相当な負担がかかってるんじゃない?」
「負担、ですか……。それは、あなたも同じなはずです。あなたはもとより消耗している。それに追い打ちをかけるような過度な魔力の使用……、下手をすれば、命を落とすことになりますよ?」
椿はなんの躊躇いもなく魔力を使用し続ける。
「なるほど………、自らの命よりも、私を倒すことのほうが優先なのですね。あなたの強い意志はわかりました。ですが……、あなたに構っているほど、私は暇ではありません。」
青年は椿を振り払う。椿は急に視界がボヤけ、抵抗する間もなく床に膝をつく。青年は椿に目もくれず、ゆっくりと美桜に近づく。
「く、くるな!」
美桜は薙刀を青年に向ける。青年はお構いなしに美桜に近づく。青年は美桜に手を伸ばし、顔に触れようとした直後、青年の腕に無数の鎖が巻き付く。
「これは……」
「君をレディに触れさせるわけにはいかない。」
カーネリアは鎖を引っ張って青年の腕の動きを制限する。
「……グリモワールの力か。確か、神呪の律令と言ったはず。」
「正解。僕は補助に徹底するから、奴の相手を頼む。トランス。」
カーネリアの背後から無数の剣が青年目掛けて飛んでくる。青年は鎖を千切って剣を弾く。
「おいおい、その鎖って力技で千切れるのかよ。まぁ、俺の武器ならいくらでも作れるから問題ないけどな。」
その場に聞き覚えのある声が響き渡る。
「この声は……」
カーネリアの後ろから1人の男が足音をたてながら歩いてくる。
「はぁ~……まさか、こんな感じに正体を明かすことになるとはな。隊長には申し訳ないが、それが俺のできる最善の行動だった。」
「君は……」
春蘭は男の姿を見て目を丸くする。そこには前線部隊副隊長の伊馬真木 白兎が立っていた。
「なぜ……君がここに?」
白兎は春蘭を見るが、何も言わずに青年に近づく。
「あなたは………彼の仲間ですか?」
「仲間とは言えるだろうな。」
白兎は大剣に手をかける。
「その剣を抜くつもりですか?」
「お前の行動次第だ。」
青年は白兎とカーネリアを見比べる。
「あなたは、彼よりも強大な力を持っている。この場にいる者の中でも、トップクラスの実力を。」
「本当にそうか?俺より強い奴は他にもいると思うが?」
「えぇ、それは存じています。」
白兎は青年に1本ずつ歩み寄る。
「残念ですが、あなたの相手をするつもりはありません。私は早急に、あの者を殺さなければありません。」
青年は美桜のほうに視線を向ける。
「紡ぎ人は……私の手で葬り去る。」
「紡ぎ人……?」
椿と美桜を除く、その場の者の頭に疑問が浮かぶ。
「知らないようですね。私はかつて、紡ぎ人に苦渋を飲まされました。たとえ未熟であったとしても、危険因子は先に取り除くべきだ。」
椿は青年に刀を振る。青年は刀を受け止め、椿と睨み合う。
「実力はあなたのほうが圧倒的に高い。ですが、紡ぎ人というだけでも、優先して始末する必要がある。どいていただけますか?まだ私は、完全な力を取り戻せていないのです。」
「そんなことを言われて、道を開けるほうが無理に決まってるでしょ!」
椿は青年を突き飛ばして、刀を青年に向かって突き出す。刀は青年の胸を貫く。
「なるほど………心臓を貫いたのですか……。」
「いくら悪魔といっても、心臓を貫けばかなりの深手になるんじゃない?」
「あなたたちに良いことを教えます。悪魔は心臓を貫かれると、周囲に魔力を放出するのですよ。これが何を意味するか、あなたならわかるでしょう?」
椿は背筋が凍るような感覚に襲われる。
「逃げろっ!!!」
気づいた頃には、その場にいる者全員に向かって叫んでいた。
「残念ですが、もう遅い。」
青年の体から魔力が溢れ出し、収束した後、空間を揺るがすほどの衝撃となって辺りを襲う。衝撃は建物を倒壊させる。
「ふぅ……風通しが良くなりましたね。」
青年は何事もなかったようにその場に佇む。足元には椿が倒れている。椿は倒れながらも青年を睨む。
「直撃をしたのに、まだ生きているのですか。その生命力は評価します。ですが、あなた以外の者はどうなってしまったのでしょう。」
「は、ははっ……生きてるよ……。」
青年は椿の言葉に耳を疑う。砂煙が晴れると、大剣を抜いた白兎が立っていた。他の者は壁際で倒れているが、全員無事のようだ。青年は白兎の様子を見てすぐに状況を理解する。
「まさか……私の魔力を、相殺したのですか?」
「あぁ………そうだぜ。」
白兎は大剣を担いで苦痛に耐えながら笑う。
「驚いた……。そのようなことをできる人間が、まだ存在したとは………。」
「ははっ、たまたまだ。」
白兎は地面に膝をつく。
「相殺するために全ての力を使ったのですか。思っていたより、警戒する必要はなかったようですね。」
青年は美桜に再び近づき出す。
「おい、動け!」
青は美桜を動かそうとするが、美桜は瓦礫に挟まって動けない。
「待て。」
白兎が青年を呼び止める。しかし青年は聞く耳を持たない。それでも白兎は呼び止めるのをやめない。
「俺が無策に……力を全て……使うと思ったか?」
その瞬間、青年は足を止める。
「それはどういう意味ですか?」
「決まってるだろ……。まだ、俺たちのターンは終わってない!」
青年は状況を理解する。
「なるほど………現れるのか。」
青年の背後に、空からグレイ・ローズが降り立つ。
「やっと見つけた……。」
グレイ・ローズは杖を青年に向ける。彼女からは恐ろしいほどの威圧感が発せられていることを、その場にいる者の全員が感じた。ただ1人だけを除いて。
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