紡ぐ者

haruyama81@gmail.com

文字の大きさ
上 下
51 / 117
【第9章 自由の国】

第4節 最悪の再会

しおりを挟む
「コンパルゴ?!」
そこにはコンパルゴの姿があった。
「いつぶりだ?八岐大蛇の時以来か。少しは強くなったか?」
コンパルゴはこちらを舐め腐ったような喋り方をする。
「なぜお前がここにいる?」
「決まってんだろ。こいつの様子を見に来たんだ。」
コンパルゴはゾンビの塊を指差す。
「お前の仕業か!」
「いいや。俺は指示に従っただけだ。」
「指示?誰のだ。」
コンパルゴは少し考える。
「言ったところで意味ないから言わない。それより、早く殺り合おうぜ。俺が言ったこと、忘れてないよなあ?」
(次会うときは必ず殺す。)
ロビンはあのと時のコンパルゴの言葉を思い出す。
「あの時みたいにはいかねえぞ!」
「やっとその気になったか。おい、後ろの3人!手出しすんなよ!お前らの相手はこいつだ!」
ゾンビの塊が徐々に人の形に変わっていく。
「ぐおおぉぉ!」
ゾンビの塊は巨人のような姿になった。近くの廃ビルよりも大きい。
「まじかよおい!」
ゾンビはその巨体で襲いかかってくる。
「うーん。よし、ジャイアントゾンビと名付けよう。」
「なんでこんなときに名前考えてんだよ!」
「だってそのほうが呼びやすいでしょ?」
玖羽はツッコむのに疲れた。玖羽は目の前のビルを指差す。
「あのビルの近くに行くぞ。ビルに着いたら、お前らはゾンビを引き付けてくれ。俺は上から飛び移る。」
3人はビルの近くまでゾンビを誘導する。


ガンッ!
ロビンとコンパルゴは激しくぶつかり合っている。
「ちったあ強くなったみてえだなぁ!」
コンパルゴの拳が大岩を粉砕する。
(こいつ……どんな腕力してんだよ!)
ガシッ!
コンパルゴはロビンの腕を掴んで、ビルの上に放り投げる。
「これはどうだ?!」
コンパルゴは地面を蹴ってビルの上まで飛び上がる。
(脚力もおかしいなぁ!)
コンパルゴはロビンの上まで飛び上がると、拳をロビンに振り下ろす。
ガキインッ!
ロビンは刀で拳を止めて振り払う。
「ふんっ!」
コンパルゴはもう片方の拳で殴りつけるが、ロビンは体を動かしてコンパルゴの上に行く。
「お返しだ!」
ロビンは刀を振り下ろす。しかしコンパルゴは手で刀を掴む。
「なっ……?!」
「この程度で俺が殺られると思うか?それに、この高さだとお前は落下死するぞ。」
ガッ!
ロビンはコンパルゴの胸ぐらを掴む。
「死ぬと思うか?」
ロビンはコンパルゴの頭を落下しながらビルに打ち付ける。
「ぐっ?!」
コンパルゴはロビンの腕を掴むとビルの壁を突き破って中にロビンは投げ飛ばす。
「そらっ!」
コンパルゴは飛び上がってロビンを踏みつけようとする。ロビンは床を転がって避ける。
ドゴンッッ!
衝撃で床が砕けてコンパルゴは下の階に落ちる。
「おらっ!」
コンパルゴは天井を突き破って戻って来る。
「うおっ?!」
ビルが揺れて傾き始める。先程の衝撃でビルが倒壊する。ロビンは急いで外に出る。
「お前だけ行かせるか!」
コンパルゴもビルの外に出てくる。
ガッ!ガンッ!ズバッ!
2人は傾くビルの上でぶつかり合う。ビルはどんどん地面に近づいている。
(このままだと巻き込まれる。)
「やるぞ九尾!」
「その言葉を待っていた!」
ロビンは九尾を憑依する。
ザクッ!
ロビンは刀をコンパルゴの胸に刺す。
「ちっ、貴様……」
ロビンは刀にコンパルゴを刺したまま空中に飛び上がる。刀を抜くとコンパルゴを地面に向かって踏みつける。
ガンッッッ!
コンパルゴはビルを貫通して地面に打ち付けられる。
「がはっ……」
ロビンはすぐにその場を離れる。1秒も満たないうちに、ビルがコンパルゴに倒れかかる。
ドォォォンッ!
辺りに突風が吹く。
「ハア……ハア……ハア、やったか?」
ドンッッッ!
瓦礫を吹き飛ばしてコンパルゴが現れる。
「ハア…ハア…貴様……よくもやってくれたな!」
コンパルゴは怒り心頭だ。ロビンは身構える。



「青!落雷!」
青はジャイアントゾンビに雷を落とす。しかし効果が薄い。
「図体がでかいから効きづらいぞ。」
「じゃあ飛び移る。近くに向かって。」
青はジャイアントゾンビの近くに向かう。ゾンビは巨大な腕で反撃してくる。
「くそっ、近づくことすらできないか。本来の力があれば……」
ズバッ!
ガーネットが魔法でゾンビの左腕を切り落とす。
「切断魔法……威力が私のとは桁違いね。これが天級。」
「今なら左側から移れる。青、再生する前に。」
「言われなくともわかっている。」
青は左側に回り込む。ゾンビは右腕を伸ばして青を掴もうとする。
「喰らうか!」
青は体を蛇のようにくねられせて避ける。美桜は右腕に飛び移って頭部を目指す。
「うがあぁぁぁ!」
ゾンビは雄叫びをあげて暴れ狂う。
「くっ……うわぁ!」
美桜は落下するがゾンビの体に薙刀を突き刺して空中で停止する。美桜は薙刀にぶら下がっている状態だ。
「よいしょっと。」
美桜は薙刀に飛び乗ると、反動を利用して高く飛ぶ。青が美桜を回収する。美桜は魔力を使って薙刀を手繰り寄せる。
「気をつけろ!地上にゾンビが湧いてるぞ!」
玖羽が2人に注意を促す。ガーネットに一体のゾンビが襲いかかる。
ズバァンッ!
弾丸がゾンビの頭を貫通する。
「ふっふっふっ。大魔統制会 アメリカ支部
銃撃部隊 只今参上!」
ビルの上からマールドが軍帽のつばに手を添えて、声を高らかにして立っていた。左手にはスナイパーライフルを手にしている。
「やっと来たか。待ちくたびれたぞ!」
「こちらでもゾンビに遭遇してねえ。急遽、対ゾンビ用の弾丸を作ってたのさ。」
「こいつで頭を撃ち抜けば一撃で仕留められよ。まあ、あのデカブツには分かんないけど。」
マールドはスナイパーを構える。
「後方支援は私たちに任せて、君たちはデカブツだけに集中して。あとこれ。」
マールドは玖羽に爆弾を渡す。
「了解、面白くなってきたぜ!」
玖羽はビルの上からゾンビに飛び移る。ゾンビは腕を伸ばして振り払おうとする。
ザクッッ!ザシュッッ!
玖羽はゾンビの腕を切り刻みながら頭部を目指す。
カシッ!ピッ!
「じゃあな。」
玖羽はゾンビの頭頂部に爆弾を仕掛けると、後ろに倒れる。青は美桜の指示で玖羽を回収する。
ドォォォン!
爆弾が爆発して、衝撃でゾンビは地面に手をつく。しかし討伐には至らない。
「う~ん……威力はロケラン並なんだけどな~。」
マールドはそう言いつつ、地上のゾンビの頭を的確に撃ち抜く。




「貴様……よくもやってくたな。」
「しかも、あのゾンビもやられっぱなしか。無性にイライラするぜ。」
コンパルゴは頭をかきながら喋る。ビルの下敷きになったのにも関わらず、まるで気にしていない様子だ。
(こいつ……化け物だろ……)
ロビンは顔には出さないが驚愕する。
「お前に問題だ。今の俺は怒っている。この怒りを全て、"攻撃"に変えたらどうなると思う?」
コンパルゴは空(くう)を殴ろうとする。
「物陰に隠れろ!急げ!」
九尾は何かに気づいて警告する。
「遅え!」
コンパルゴは空を殴る。前方に凄まじい衝撃波が走る。
「うわぁぁぁ!」
ロビンは岩陰に隠れるが、衝撃波の威力が凄まじく、吹き飛ばされてしまう。
ドッ、ドンッ、ドシャアッ!
ロビンは何度も地面に打ち付けられる。
「どうだぁ?すごい威力だろ。感情によって威力が変わるんだ。1番強いのは喜び、弱いのは悲しみだな。」
(これで本気じゃないのか?意味が分かんねえ。)
ロビンはなんとか立ち上がるが、全身に痛みが走る。
(肋骨が折れた。この状態じゃ戦えない。)
コンパルゴはこちらに歩いてくる。
「終わりだな。」
コンパルゴは拳を振り上げる。しかし一向に振り下ろさない。
「ちっ、来たか。どうやらお前を殺すのはお預けのようだ。」
バラバラバラバラ……
どこからかヘリコプターが飛んでくる。ヘリコプターはゾンビの真上に止まると、1人の男性がゾンビ目掛けて落下してくる。
ズシャンッッッ!
男性の一撃でゾンビは地面に倒れる。
「ようやくお出ましか。」
コンパルゴは腕を組んで男性のほうを見ていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

残影の艦隊~蝦夷共和国の理想と銀の道

谷鋭二
歴史・時代
この物語の舞台は主に幕末・維新の頃の日本です。物語の主人公榎本武揚は、幕末動乱のさなかにはるばるオランダに渡り、最高の技術、最高のスキル、最高の知識を手にいれ日本に戻ってきます。 しかし榎本がオランダにいる間に幕府の権威は完全に失墜し、やがて大政奉還、鳥羽・伏見の戦いをへて幕府は瓦解します。自然幕臣榎本武揚は行き場を失い、未来は絶望的となります。 榎本は新たな己の居場所を蝦夷(北海道)に見出し、同じく行き場を失った多くの幕臣とともに、蝦夷を開拓し新たなフロンティアを築くという壮大な夢を描きます。しかしやがてはその蝦夷にも薩長の魔の手がのびてくるわけです。 この物語では榎本武揚なる人物が最北に地にいかなる夢を見たか追いかけると同時に、世に言う箱館戦争の後、罪を許された榎本のその後の人生にも光を当ててみたいと思っている次第であります。

救国の大聖女は生まれ変わって【薬剤師】になりました ~聖女の力には限界があるけど、万能薬ならもっとたくさんの人を救えますよね?~

日之影ソラ
恋愛
千年前、大聖女として多くの人々を救った一人の女性がいた。国を蝕む病と一人で戦った彼女は、僅かニ十歳でその生涯を終えてしまう。その原因は、聖女の力を使い過ぎたこと。聖女の力には、使うことで自身の命を削るというリスクがあった。それを知ってからも、彼女は聖女としての使命を果たすべく、人々のために祈り続けた。そして、命が終わる瞬間、彼女は後悔した。もっと多くの人を救えたはずなのに……と。 そんな彼女は、ユリアとして千年後の世界で新たな生を受ける。今度こそ、より多くの人を救いたい。その一心で、彼女は薬剤師になった。万能薬を作ることで、かつて救えなかった人たちの笑顔を守ろうとした。 優しい王子に、元気で真面目な後輩。宮廷での環境にも恵まれ、一歩ずつ万能薬という目標に進んでいく。 しかし、新たな聖女が誕生してしまったことで、彼女の人生は大きく変化する。

あなたが選んだのは、私ではない私でした

LIN
ホラー
隣町から引っ越してきたケリーのことを妹のように可愛く思っていた。 私の持っているものを買って「お揃いだね!」と言ったケリーを見て、妹ができたみたいで嬉しかった。だから、我儘なところも笑って許せた。 でも、段々と私に似てくるケリー… 少しずつ感じる違和感… ケリーは一体何がしたかったの?

芭小庵〜夏至

dragon49
大衆娯楽
俳句。

俺様公爵様は平民上がりの男爵令嬢にご執心

狭山ひびき@バカふり160万部突破
恋愛
五歳の時に男爵である父親に引き取られたセレア。 でもそれは、父がセレアを愛していたわけでも、死んだ愛人(セレア母)に負い目があるからでもなく、セレアが聖女が持つ浄化能力を顕現させたからであった。 国に聖女は何人かいるが、最近瘴気だまりが発生しやすくなっていることもあり、聖女は領地を持つ高位貴族たちから大人気だ。 つまり、自分がのし上がるための政略結婚の道具にしたくて引き取ったのである。 義母は愛人の子であるセレアが気に入らないようで、父がいないところで殴る蹴るの暴力を加えてくる。 義母の子である異母兄は、セレアが成長するにつれていやらしい目で見るようになってきた。 …もう、こんな家にいたくない! そんな思いを抱えながら、セレアは父に連れられてあるパーティーに参加する。父はそこで、二十も年上の好色な侯爵にセレアを紹介し、娶せようと計画しているのだ。 どうやら、セレアと引き換えに、貴族議員に推薦してもらえる約束を取り付けているらしい。それを知ったセレアは、隙を見て逃げだそうと画策する。けれどもその途中、異母兄に見つかり、茂みに連れ込まれてしまう。 「結婚がいやなら俺がかくまってやるよ」舌なめずりで言う異母兄。 絶体絶命! セレアは異母兄から逃げようと抵抗するも、逆に怒らせて殴られて気絶してしまう。 そして次に目を覚ました時、セレアは知らない邸にいた。 なんと、あの場から助けてくれたレマディエ公爵ジルベールに連行され、セレアは彼の邸に連れて来られていたのである。 助けてくれたーーそう思ったのもつかの間、ジルベールは助けてやった礼に妻になれと迫ってくる。 逃げ出したいのに、逃げられない!これってある意味監禁ですよね!? なんとかしてジルベールのもとから逃げ出して、自由を手にしたいのに、彼はあの手この手でセレアの逃亡を阻止してきてーー

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

没落した元名門貴族の令嬢は、馬鹿にしてきた人たちを見返すため王子の騎士を目指します!

日之影ソラ
ファンタジー
 かつては騎士の名門と呼ばれたブレイブ公爵家は、代々王族の専属護衛を任されていた。 しかし数世代前から優秀な騎士が生まれず、ついに専属護衛の任を解かれてしまう。それ以降も目立った活躍はなく、貴族としての地位や立場は薄れて行く。  ブレイブ家の長女として生まれたミスティアは、才能がないながらも剣士として研鑽をつみ、騎士となった父の背中を見て育った。彼女は父を尊敬していたが、周囲の目は冷ややかであり、落ちぶれた騎士の一族と馬鹿にされてしまう。  そんなある日、父が戦場で命を落としてしまった。残されたのは母も病に倒れ、ついにはミスティア一人になってしまう。土地、お金、人、多くを失ってしまったミスティアは、亡き両親の想いを受け継ぎ、再びブレイブ家を最高の騎士の名家にするため、第一王子の護衛騎士になることを決意する。 こちらの作品の連載版です。 https://ncode.syosetu.com/n8177jc/

別れた婚約者が「俺のこと、まだ好きなんだろう?」と復縁せまってきて気持ち悪いんですが

リオール
恋愛
婚約破棄して別れたはずなのに、なぜか元婚約者に復縁迫られてるんですけど!? ※ご都合主義展開 ※全7話  

処理中です...